日本とアジアのゲーム市場をつなぐ、ファンテックジャパンの事業内容を3つのポイントに分けてご紹介。

 ファンテックジャパンという会社をご存じだろうか。事業内容はおもにディストリビューター、いわゆる流通業者である。代表の瀬野氏は、セガゲームス在籍時に『龍が如く』シリーズや『初音ミク』シリーズをアジアに広めた実績があり、そのスキルを活かして国内のゲームをアジアに輸出する会社を設立した。現在は台湾、香港、シンガポール、韓国などに日本のゲームを流通させることを中心に活動している。ファンテックジャパンの強みは、一般的な輸出業者が商品を販売するところまでなのに対し、国ごと、タイトルごとに異なるイベントやプロモーションまでも企画するところだろう。そんなゲーム市場を熟知するファンテックジャパンの事業内容を、3つのポイントに分けてご紹介しよう。

ファンテックジャパン
瀬野 宏氏

国内のゲームメーカーと海外の販売業者をつなぐ、ディストリビューター。前職で得たスキルを活かして、ひとりですべてを手掛ける。

Point 1 会社設立のきっかけと現在までの実績について

 セガゲームスで、自社タイトルのアジアへの営業を担当していたという瀬野氏。台湾での小売店への直販を始め、東南アジアへの販売ルートの開拓をしていたそうだ。同社を定年退職後、それまでの経験を活かして2017年に起業した。おもな事業は、アジアへの販路を持たないゲームメーカーへのサポート。

 現在までに手掛けた事業のひとつ、ディストリビューション(流通)については、つぎのように進めている。まず、国内で販売されているゲームの中から、アジア各国で人気の出そうなタイトルを探し、メーカーに交渉。そして、現地の卸売業者や小売店に売り込み、交渉が成立したらソフトを輸出するという流れとなる。瀬野氏によると、「国や地域によって異なる市場に合わせて、ソフトを選んでいます」とのこと。前職で培われた各国の市場構造に関する知識と、現地の業界でのネットワークを活かして、さまざまなタイトルをアジア市場に投入している。なお、言語については「ニンテンドースイッチのソフトは、多言語に対応しているものが多いのです。つまり、ほとんどがそのまま輸出できますよ」だそうだ。

 ほかに、ライセンスサポート事業も行っており、現在は『絶体絶命都市4Plus -Summer Memories-』を中国語にローカライズ中。アジア市場での販売の権利が空いていると知って、すぐさま開発元のグランゼーラに向かったという。すべての交渉をひとりで臨機応変に行う瀬野氏だからこそのスピード感だ。

『絶体絶命都市4Plus -Summer Memories-』

九条氏の作品と言えば、膨大なシナリオも特徴のひとつ。翻訳には、かなりの時間がかかるかも?

Point 2 現地でのゲームイベントやプロモーションも代行する

 ファンテックジャパンの事業の一環として、現地でのゲームイベントやプロモーションを手掛けることもあるそうだ。この点も前職での経験を活かしたものなのだが、販売業者だけでなく、現地メディアも熟知している瀬野氏だからこそこなせる仕事でもある。また、「どのメディアを使うのが効果的なのか、タイトルごとに最適なプロモーションを販売業者に提案しています」ということから、何らかの付加価値を含む売買を手掛けるスキルがうかがえる。「私は、基本的に国内におりますが、毎月1、2回は各国の販売業者を訪問し、ミーティングを行っています」と、直接会うことで相手の欲するものを感じ取っている様子。そうすることで、つぎのビジネスにつながる何かを得ているのだろう。

 そこで気になるのが、現地のスタッフとの会話は何語かという点。瀬野氏に聞いてみると、「私は中国語も韓国語も話せません。ただ、現地のパブリッシャーの方々は、日本語を話せる人が多いんですよ。あとは英語ですね」。つまり、日本語を話せる人が多い、イコール日本に興味を持っている人がいるということで、日本のゲームが受け入れられる市場があることの証左ともなるのではないだろうか。

ぎゃる☆がん2

言い寄る女の子を眼力で昇天させるシューティングゲーム。本作のプロモーションに女性は欠かせない存在だ。
というわけで、韓国で開催されたイベントがこちら。コスプレ女子を狙い撃て!?

Point 3 2019年から新規事業として海外のゲームを日本へ

 設立から1年以上が経過したころ、瀬野氏は韓国のH2 INTERACTIVE(以下、H2)というパブリッシャーと知り合ったそうだ。H2はもとは販売業者だったが、現在ではパブリッシャーとしても活躍するメーカー。さらに、海外のタイトルを輸入、ローカライズしてアジア市場に流通させる、ディストリビューターとしての側面も持っている。自身とは競合の関係にあるメーカーだが、『プロジェクト・ハイライズ』を日本で流通させられないかとの相談を受けて、おもしろいと思った瀬野氏。「いままでは国内のタイトルをアジアに流通させることばかり考えていましたが、海外のタイトルを国内に紹介するという事業に気づかされました」と、それまでの経験を活かせる新規事業へとつながったそうだ。その最初のタイトル『プロジェクト・ハイライズ アーキテクトエディション』は、H2が日本市場向けにローカライズし、流通を国内のパートナーに委託する形で実現した。逆転の発想から新たな事業を始めることになったファンテックジャパンは、年内に3、4タイトルをリリースする予定。

『プロジェクト・ハイライズ アーキテクトエディション』

PCやスマートフォンで配信された作品を、家庭用ゲーム機に移植。ダウンロードコンテンツもすべて収録済み。