2019年3月9日(土)、福岡県福岡市の福岡市科学館6階サイエンスホールにて、第12回福岡ゲームコンテスト“GFF AWARD 2019”が開催された。毎年恒例となる公開プレゼンテーションと最終審査、特別トークショーの模様をお伝えする。

過去に類を見ないほど高クオリティーのノミネート作品群

会場となった福岡市科学館6階サイエンスホールのホワイエでは、応募作品の試遊も可能。開発者も集まり、プレイの様子を見守っていた。

 2019年3月9日(土)に、福岡県福岡市の福岡市科学館6階サイエンスホールにて、第12回福岡ゲームコンテスト“GFF AWARD 2019”が開催された。同コンテストは、全国の学生や若きクリエイターたちによる応募作品(ゲームソフト部門、ゲームグラフィック・アート部門、ゲーム企画部門)の中から、優秀な作品を選考・表彰するために2007年から開催されているもの。

 主催となる福岡ゲーム産業振興機構は、GFF(GAME FACTORY'S FRIENDSHIP)、九州大学、福岡市で組織する連携機構。この中のGFFとは、九州・福岡のゲーム関連会社が加盟している団体のことで、レベルファイブ代表取締役社長/CEOの日野晃博氏が会長を、サイバーコネクトツー代表取締役の松山洋氏、ガンバリオン代表取締役社長の山倉千賀子氏が副会長を務めている。

ホワイエには、審査を担当するサイバーコネクトツー代表取締役の松山洋氏が開発者と語らう姿も。

 開催から12回を迎えたGFF AWARD。今年の応募はゲームソフト部門309作品、ゲームグラフィック・アート部門が468作品、そして昨年から新設されたゲーム企画部門には267作品と、合計1044作品に。ゲームソフト部門では第1次審査を通過した64作品の中から、第2次審査を経て絞られた優秀賞受賞4作品による公開最終プレゼンテーションが行われ、その結果から大賞が選出されることとなる。ゲーム企画部門とゲームグラフィック・アート部門については、優秀賞はすでに決定しており、会場ではプレゼンテーションと受賞式が行われた。

ゲスト審査員として参加する三代川は、最終審査のほかに松山氏とともに特別トークショーにも出演。松山氏から思わぬポロリも飛び出したトークの内容は、本リポートの最後にお届けしている。

 会場には、ゲームソフト部門の最終審査を行う審査員として、日野晃博氏(レベルファイブ)、松山洋氏(サイバーコネクトツー)、山倉千賀子氏(ガンバリオン)、松隈浩之氏(九州大学 大学院芸術工学研究員 コンテンツ・クリエーティブデザイン部門 准教授)が登場。ことしはゲスト審査員としてファミ通.com編集長の三代川正(Gzブレイン)が登壇した。

 GFF AWARDでのゲームソフト部門の受賞作は、公開プレゼンテーション後に会場にて審査員による投票と協議が行われ、その場で大賞受賞作品が決定。表彰が行われる。ノミネートした学生たちには3分間の最終プレゼンテーションの時間が与えられ、プレゼンテーション後には、日野氏、松山氏、山倉氏、松隈氏に三代川を加えた5名の審査員による講評と質問が行われることに。その一部始終が目の前でくり広げられるため、観覧に来たお客さんたちの中には、思わず固唾を飲んで見守る人もあったほど。今回、そんな緊張の最終審査の模様と併せて、コンテスト中に開催されたサイバーコネクトツー松山洋社長と、ファミ通.com編集長三代川による“ゲーム業界の今がわかる”特別トークショーで語られた内容についてもお届けする。

開会の挨拶として、実行委員長を務める日野晃博氏は「12年続けてきたからこそ、非常に高レベルな作品が集まり、ゲームクリエイターを目指す若者たちに、ゲーム業界への門戸を開くことができてうれしく思う」と語った。

ビジュアルと企画部門 優秀賞受賞プレゼンテーション

ゲームグラフィック・アート企画部門の優秀賞を飾った『WEBBIT』。見るだけでゲームの世界観が伝わってくるビジュアルだ。
ゲーム企画部門の優秀賞受賞作品『いそげ!モグロボ』。本部門は、企画書のみでゲームの魅力を伝えられるかがカギとなるが、驚くべきはカラフルで見やすいその内容。

 まずはゲームソフト部門の最終公開プレゼンテーションに先立ち、“ゲーム企画部門”と“ゲームグラフィック・アート部門”の表彰が行われた。“ゲーム企画部門”は、昨年から新設された賞で、企画のみでの応募が可能となっているのが特徴だ。またゲームグラフィック・アート部門は、イメージビジュアルだけで作品を表現するというもの。どちらも直接ゲーム制作のノウハウがなくとも応募が可能な賞だからか、ことしも多くの応募があった。そんな中で見事優秀賞に輝いたのは、以下の2作品だった。

ゲーム企画部門 優秀賞

タイトル:『いそげ!モグロボ』

制作チーム名:総合学園ヒューマンアカデミー名古屋校 平松 早紀さん

 地中を掘り進むモグラのロボットになり、都市に飛来する隕石からビルなどの建造物を守るパズル要素の強いアクションゲーム。隕石が落下する前に、建築物の周囲の地面を掘って建物を沈めることで衝突を回避していく。飛来する隕石の順番から最適なルートを考えて掘り進むのがポイントとなる、という企画。マルチプレイで楽しめる要素も企画に盛り込まれており、隕石の飛来にみんなで声を掛け合って対応するといった、ワイワイ複数人で楽しめる企画にもなっていた。

プレゼンターは山倉氏。優秀賞受賞の賞状とトロフィーが授与された。
ひと目見るだけでも、建物の周囲を掘って隕石から建造物を守るゲーム内容が伝わる企画書だ。

 本作の企画を生み出す際には、平松氏が通学中に目にしていた風景が発想の源泉になったという。「あの大きなビルを沈められたら迫力があるだろうな」とふと考えたことから、隕石から建物を沈めて守るというアイデアが生まれたそうだ。いつもの通学ルートも、目的によって微妙に変化するといった日常の体験が大きく影響を与えたのだとか。

平井氏の通学ルートを航空写真で見てみると、目的によっていくつかのルートを使い分けていたことを発見。この、“ひとつの目的地へ複数のアプローチができるおもしろさ”が企画に落とし込まれた。
マルチプレイでは、状況に応じてプレイヤー間で声を掛け合って隕石に対応していく楽しさもアピール。企画書一枚でもその魅力が伝わってくる。ちなみに、平井氏は、卒業後にはプランナーとしてゲームメーカーへの就職が決定しているそうだ。

 平松氏のプレゼンテーションを受けて、山倉氏の講評として「企画書から伝わる世界観にブレがまったくなく、すぐにでも作り始められるレベル」だと、審査員一致での受賞だったことを明かした。また、企画書を読むだけで、プレイヤーにどんな風に楽しんでもらうのかが明確だったことも受賞の大きな要素になったという。

ゲームグラフィック・アート部門 優秀賞

タイトル:『WEBBIT』

制作チーム名:宇都宮ビジネス電子専門学校 尾形 晃希さん

 グラフィックやアートだけでゲームの世界を表現する、ゲームグラフィック・アート部門。今年の優秀賞に輝いたのは、尾形氏が手掛けたSF的な作品『WEBBIT』。

ビジュアルからは、重力を操作してデブリを集めることや、タワーディフェンス的なアクションである点などが伝わってくる。ストーリーまでもが盛り込まれている。

 尾形氏は、“宇宙を舞台にお掃除ロボットを操作して惑星のゴミ(スペースデブリ)を掃除していく”という架空の作品を、イメージビジュアルで見事に表現。自身もかつてゲームショップの店頭などでゲームのパッケージを見て“ひと目ぼれ”をしてワクワクした経験があり、今回その感覚をビジュアルで表現したいと考えたと語った尾形氏。「ゲームの内容を具体的にイメージしてもらえるようにするため、キャラクターをゲーム中で登場するであろう3Dで描いた」のだという。

 九州大学の松隈氏は、「狙い通りにひと目ぼれしてしまった」と好評価した。「リサイクルという社会問題がテーマになっている点も、ビジュアル一枚で考えさせられてよかった」と主題の選択についても評価した。

グラフィック・アート部門は、松隈氏がプレゼンターを担当した。
講評を行った松隈氏は、あえて3Dのグラフィックで描かれたキャラクタービジュアルが、ゲーム内容を想起しやすかったことを大きく評価した。