毎年恒例のキャンペーン“ヤマザキ春のパンまつり”。人々は春になると白いお皿を求めて点数を集める。毎年、1000~1500万枚の白いお皿が用意されるのだという。これはもはや“国民的ゲーム”ではないか?

国民的点取りゲーム“ヤマザキ春のパンまつり”を攻略する

 白いお皿が欲しい。

 あの白いお皿だ。松たか子さんがそっと手に取り微笑んでいる、あのお皿。

 “ヤマザキ春のパンまつり”。これを知らない人がどれだけいるかわからないが、説明しておこう。

 パンに付いている点数シールを集めると、白いお皿がもらえるのだ。

 簡潔に言うとそういうキャンペーンだ。ヤマザキのパンに、0.5点~3点の点数シールが付いていて、一定の点数を貯めると、店舗でお皿と交換してもらえる。

 キャンペーン期間は2月~4月の3ヵ月(北海道地区は3~5月)。しかも、来年で40周年を迎えるという歴史あるものなのだ。この季節、春のパンまつり参加者はとにかく点数を集める。なんと、毎年1000万~1500万枚ほどの“白いお皿”が用意され、点数を集めた人にプレゼントされるという。

 だから、“春のパンまつり”とは、“(少なく見積もって)日本国民1000万プレイヤーが毎年参加する点取りゲーム”と言い換えることができる。1000万人だ。これはもう“国民的ゲーム”と呼んでしかるべき規模だ。

 そして、ゲームのことならば、我々ファミ通が黙っていられるはずがない。ゲームと名の付くものならば、攻略法があるはずだ。

 というわけで本稿は、そういうやや強引な筋立てのもと、おそらくゲームメディア史上初となる“ヤマザキ春のパンまつり攻略法”に迫るものである。

 実際に都内スーパーなどを巡り対象商品の価格と種類を実地調査したのだが、その調査結果は割と細かい話になるので記事後半をご覧いただきたい。

 まずは「担当者にいろいろ訊くのが手っ取り早いんじゃないか」という、身もフタもない意図をもっておこなった直撃取材の模様からお届けしよう。

※ちなみに本稿はタイアップ記事っぽく見えるかもしれないんだけど、全部記者の趣味と好奇心によって生み出された記事です。だって点数を効率よく集める方法を僕も知りたかった。

点数を集めるコツってあるんですか?

山崎製パン本社

 というわけで、山崎製パンに取材にやってきた。本社は、ゲームファンにもおなじみの街・秋葉原のほど近くにある。やはり、ゲームと切っても切れない縁があるということだろう。

玄関前の大型ビジョンでも“春のパンまつり”のアピールをしている。
受付の待合スペースでも周知徹底。

中山雄介氏(なかやま ゆうすけ)

山崎製パン営業統括本部マーケティング部の“ヤマザキ春のパンまつり”担当者。「なぜファミ通がうちに取材を……?」と不思議に思いながらもいろいろと答えてくれたやさしい人。好きな『ファイナルファンタジー』は『VI』だそうです。

 担当者の中山さんに、“春のパンまつり”についていろいろと聞いてみました。

――春のパンまつりって、いつごろからやっているんですか?

中山1981年から毎年開催しています。毎年1000~1500万枚ほどの“白いお皿”をプレゼントさせていただいております。白いお皿はフランスで製造されたもので、船便で日本に運ばれてきます。

――1500万枚の白いお皿が大海の波涛を越えて! フランスから日本ですから、地球を半分ぐるりと回ってくると思うと、ロマンを感じますね。その“白いお皿”が景品として定着したのにはなにか理由があったのでしょうか?

中山第1回の“白いお皿”の評判がとてもよかったことから、つぎの年も、そのつぎの年も“白いお皿”を続けてきました、“白いお皿”という中で、大きめの皿や中くらいの皿、小鉢型など、毎年デザインを変えています。

――白いお皿という範囲内で新しいデザインを考えるのはたいへんでは? どうやって決めているのでしょう。

中山お皿のデザインは、アルク・フランス社と当社で協議し、いくつかの案の中からモニター調査を経て決定しています。ちなみに今年のお皿は花をモチーフにしたデザインです。

――確かに、こうして並べてみると、波が立体的に入っていたり、逆にどシンプルな丸皿だったりと、さまざまですねえ。

取材時、用意してもらったお皿のサンプル。全種類ではないが、それでも小鉢タイプや平皿タイプなど、“白いお皿”の中でも多彩なデザインがあるのがわかる。ちなみにキャンペーン初年の1981年に使われたお皿は、会社に保管されているサンプルもここにある1枚しかないとのことで「たぶん日本でも現存するものは数枚しかないんじゃないか」という説。それはつまり世界でも数枚ということだ。皿を持つ記者の手はブルブルと震えた(危ない)。
こちらは1997年のもの。翌1998年に開催された長野オリンピックのマスコット“スノーレッツ”が描かれたもの。イラストが入っているのは長いパンまつりの歴史でもこの1997年のお皿だけ。レア。

――こうして並べて見ると、たくさんの種類がありますねえ!

中山弊社の公式サイトで、これまでの“白いお皿ヒストリー”をご覧いただけます。ご自宅にあるお皿と見比べてみていただくと、「いつも意識せずに使っているこのお皿、じつはパンまつりの景品だった!」ということもあるのではないかと思います。

――だって、1000~1500万枚×約40年でしょう。ということは、単純に考えると約4億~6億枚の白いお皿がこの日本に存在するという計算に……!?

中山これまでに累計約5億枚をプレゼントさせていただきました。交換されたお客様からは、このお皿は強化ガラスで「割れにくい」というお褒めの言葉はよくいただきます。また、シンプルなデザインであることも人気の秘訣だと思います。

――5億枚とはスゴイ! さて、そのお皿をもらうための“点数シール”についても聞かせてください。

中山キャンペーン対象アイテムは500~600種類あり、点数シールの種類は0.5点、1点、1.5点、2点、3点があります。点数配分は、基本的には価格をベースに割り振っています。

――さて、いよいよ核心に迫る質問なのですが、“春のパンまつり”の点数を集めるコツって、何かありませんか?

「コツですか……」。ニヤリと笑う中山さん。

中山あります。

――ほほう!

中山ここ(取材場所の会議室)にあるものを見て、何かお気づきになりませんか。

――というと……?

うん……?

――ハッ。こ、これは!

お、おにぎり!
お、お弁当!

――ちょっと、どういうことですか! パンではないじゃないですか! 米まつりじゃないですか!!

中山はい。デイリーヤマザキやヤマザキショップでは、おにぎりやお弁当にも点数シールがついているものがあります。

――ああっ、家の近くにデイリーヤマザキがなくて気がつかなかった! 

中山しかもお弁当には最高得点の3点のシールが貼られています。このようなアイテムをうまく組み合わせれば、1回のお食事で5~6点集めることも不可能ではありません。

――3点のシールって、食パンとかにも貼ってありますが、ひと袋の食パンって、とくにひとり暮らしだと、なかなか食べきれなかったりしますからね。

中山この機会にぜひデイリーヤマザキ、ヤマザキショップをご利用ください。

――でも、“パンまつり”なのにご飯の製品にシールが貼ってあるのはいいんですか?

中山……。

――……。

中山毎年、多くの方に参加をしていただいているキャンペーンですので、この機会にヤマザキパングループで製造しているおにぎりやお弁当のおいしさにも触れていただきたいとの考えから、おにぎりやお弁当も“春のパンまつり”の対象アイテムにさせていただいております。

――なるほど。

「パン以外でも、パンまつりを満喫することもできますよ」と、秘技を語る中山さん。それはそば屋で鴨南蛮のそば抜きを頼む食通みたいな感じで、ちょっと粋かもしれない。中山さん、ありがとうございました!