2019年9月28~10月8日に茨城で開催される第74回国民体育大会“いきいき茨城ゆめ国体”。2019年3月31日、国体の文化プログラムとして実施される“全国都道府県対抗eスポーツ選手権2019 IBARAKI”の競技タイトルのひとつ、『グランツーリスモSPORT』部門の予選が茨城の地にてスタートした。

国体のeスポーツプログラムが『GT SPORT』で膜を開く

 各都道府県の代表が一箇所に集まり、さまざまな競技を行うスポーツの祭典である国民体育大会(国体)。その国体に、ビデオゲームを使ったスポーツ競技のeスポーツが国体文化プログラムに採用されたということで、昨年大きな話題を集めていた“全国都道府県対抗eスポーツ選手権2019 IBARAKI”。その競技種目として選定されていた『GT SPORT』のオンライン予選が、いよいよ明日(2019年4月1日)よりスタートする。

 このオンライン予選のスタートに先駆け、国体の開催地である茨城県にて、特別先行予選大会が行われた。今回の大会は、本大会のレギュレーションに則り、茨城県在住の18歳以上を対象とした一般の部と、同じく茨城県在住の6歳〜18歳未満を対象とした少年の部に参加希望する選手が集まり、オフラインイベントで国体茨城県代表を選出するもの。

 誰もが気軽に参加できるということで、幅広い世代が集まり、大盛り上がりを見せていたが、今大会の結果を受けて、“全国都道府県対抗eスポーツ選手権2019 IBARAKI”の茨城県代表4名が決定した。

“全国都道府県対抗eスポーツ選手権2019 IBARAKI”の出場権をいち早く獲得した今大会の4名。

 今回の予選大会は、国体の開催地である茨城県からの特別代表として、大会出場権が与えられるものとなっている。学校の春休み期間の日曜開催ということで、会場には参加者本人だけでなく、少年の部では保護者なども多数来場。参加者の年齢層も上は60歳から下は6歳まで、これまでの『GT SPORT』の大会では見られなかった層が多数訪れていた
 本大会では、少年の部と一般の部のそれぞれ参加を申し込んだ選手たちが一堂に会し、予選大会ならびに予選上位進出者による決勝戦を行うというもの。決勝戦の上位2名が。国体本戦への出場権を獲得できるというわけだ。

予選、決勝レース開始前には、本大会のルール説明を行うブリーフィングも実施されていた。
『GT SPORT』の特別先行予選大会開催にあたり、茨城県国体・障害者スポーツ大会局の石田奈緒子局長より、「今年の秋に茨城県では45年振りとなる茨城国体が開かれます。その文化プログラムのひとつとして、日本で始めて全国都道府県対抗eスポーツ選手権を開催することになりました。参加される皆さんにはがんばっていただいて、初の茨城県代表を勝ち取ってください」と、参加選手達に激励が送られていた。

 本予選大会のレギュレーションは、以下のとおり。

  • 使用タイヤは“レーシングハード”
  • マシンセッティングの変更は禁止。ただし、オプションによる設定項目の変更(トラクションコントロールの量や各種アシスト、コースガイドのオン・オフなど)は可能
  • 自前のコントローラの持ち込みは不可となっており、運営側が用意したハンドルコントローラ“Thrustmaster T-GT”か、PS4の純正コントローラDUALSHOCK 4を使用

 少年の部、一般の部とも、参加者全員が予選タイムアタックを行い、上位20名が国体参加権を手にできるオフライン決勝戦への出場権が与えられる。前述のように、さまざまな年齢層の選手が集まっているということもあり、プレイスタイルもステアリングコントローラ使用者が多かったが、右足でアクセルとブレーキを操作する人がいたり、また、DUALSHOCK 4を使用する人でも方向キーや、モーションセンサーでステアリング操作をする人がいたり、視点もバードビューやコックピットを選択する人もいるなど、プレイスタイルはこれまでの『GT SPORT』の大会以上に自由な雰囲気が見られたのは、国体ならではのものだろう。
 使用コースは鈴鹿サーキットで、Gr.3カテゴリーのマシンを用い、10分間で5周のタイムアタックを行われていった(10分間が経過した場合は、その時点でタイムアタックは終了となる)。

実車の運転さながらに右足でアクセルとブレーキペダルを操作するプレイヤー(写真左)。ドライビングに際し、レーシンググローブを持参する人も(写真右)。
普段のプレイで慣れ親しんでいるDUALSHOCK 4を使用するプレイヤーも(写真左)。中には、方向キーやモーションセンサーで操作する姿も見受けられた(写真右)。
少年の部の参加者の父親が、家庭でのプレイ環境を同じドライビングオプションを設定している様子(写真左)。家族総出で参加者の応援に繰り出す姿が見られたのも、本大会の特徴だ(写真右)。

 少年の部は保護者が同伴している家族も多く、会場の雰囲気はこれまでの『GT SPORT』大会とは異なり、アットホームな雰囲気が感じられるものに。
 いまから2年前の2017年、一般参加者を招いた『GT SPORT』スタジオ見学ツアーが実施されたことがあったが、そのときにシリーズプロデューサーの山内一典氏が「実際にユーザーの方と触れあって僕が感じたのは、いろいろな世代の方が『GT』を遊ばれているんだなということです。僕らが20年前に『グランツーリスモ』を始めたときからのファンの方もいらっしゃいましたし、ずいぶん若い方も含まれていて、同じことを20年続けることの価値というものが、こういうところにあるのかと、あらためて感じさせてもらいました」と語っていたことがあったが、今回その言葉通りの状況を目の当たりにできた。
 参加している子どもたちに聞いてみると、ほとんどが父親がかつて『GT』シリーズを遊んでおり、その影響で遊び始めているとのことで、まさに『GT』が積み重ねてきた歴史の結果を垣間見ることができたというわけだ。

 予選タイムアタックはそれぞれ単独での走行ということもあり、前述のとおり、皆思い思いのスタイルで『GT SPORT』をプレイしている様子で、和気藹々とした雰囲気でイベントが進行していった。その後、それぞれの部のタイムアタックの上位20名が選出され、決勝レースが行われることとなった。
 決勝レースは、まずタイムアタックの成績順に、奇数順位のAグループと偶数順位のBグループといった具合に10名ずつのグループを結成。予選でのタイム順がそのままスターティングポジションとなる形で、A、Bグループのバトルを行い、両グループの上位5名ずつが、国体参加権を競い合う最終レースに出場できることになる。
 少年の部、一般の部の予選タイムアタックの結果、決勝レース進出を決めた上位20名と予選タイムは以下の通り。

少年の部

  • 1位:箕輪卓也選手 1'59.833
  • 2位:小林陽樹選手 2'00.763
  • 3位:園部卓人選手 2'01.084
  • 4位:吉田ナユタ選手 2'01.955
  • 5位:菊池優希選手 2'02.167
  • 6位:廣瀬隼選手 2'02.949
  • 7位:小野崎将太選手 2'03.373
  • 8位:川野辺拓弥選手 2'03.579
  • 9位:若本衛幸選手 2'03.588
  • 10位:秋田剛輝選手 2'04.225
  • 11位:谷口敬祐選手 2'04.301
  • 12位:田口乃嗣選手 2'04.696
  • 13位:細田雅人選手 2'05.063
  • 14位:吉田隼選手 2'05.201
  • 15位:齋藤琉河選手 2'05.682
  • 16位:千代谷公平選手 2'06.306
  • 17位:廣瀬巧選手 2'06.311
  • 18位:小山悠稀選手 2'08.384
  • 19位:鈴木櫂選手 2'11.107
  • 20位:長井陽杜選手 2'13.841

一般の部

  • 1位:嵯峨鷹選手 1'59.893
  • 2位:綱島優太選手 1'59.973
  • 3位:植木俊輔選手 2'00.054
  • 4位:萩原俊介選手 2'00.252
  • 5位:宮内悠樹選手 2'00.291
  • 6位:佐藤彰選手 2'00.409
  • 7位:竹守駿介選手 2'00.726
  • 8位:菅野祐介選手 2'00.973
  • 9位:粕谷正人選手 2'00.989
  • 10位:城戸口和希選手 1'01.053
  • 11位:橋本浩平選手 2'01.072
  • 12位:鈴木慎也選手 2'01.111
  • 13位:松浦裕樹選手 2'01.215
  • 14位:鈴木和史選手 2'01.358
  • 15位:菊池崇広選手 2'01.425
  • 16位:鹿島大樹選手 2'01.584
  • 17位:伊勢翔吾選手 2'01.762
  • 18位:大山克巳選手 2'01.946
  • 19位:西野恭平選手 2'02.083
  • 20位:和氣暁大選手 2'02.249

 いずれの部も、上位は2分を切るという好タイムを見せつける結果となったほか、少年の部の箕輪選手が全体を通して最速タイムを計測。さらに、5位の菊池選手までが一般の部でも上位20位以内に入れるというタイムを出すなど、少年の部のレベルの高さを見せつけていた。
 決勝戦よりレースアナウンサーの中嶋秀之氏と、『GT』元アジアチャンピオンにして現在ポリフォニー・デジタルに所属するYAM氏による実況解説も行われることに。タイムの近いドライバーが集まってのレースということで、決勝の第1レースはレベルの高いバトルがくり広げられていった。
 決勝レースの舞台はロングストレートが特徴の富士スピードウェイを使用。1キロを越すストレートを有しながら、テクニカルセクションもあることから、どのようなマシン選択を行うかも重要なポイントになってくる。
 レースでは接触やショートカットがペナルティの対象となるということで、予期せぬハプニングで順位を落とす選手も出てくる中、一般の部の最速タイムを計測していた箕輪選手は、決勝レース中にまさかの機材トラブルによる戦線離脱という波乱も。レースレギュレーション5の3項によると、レーススタート前に発生した機材の不具合に関しては交換対応がされるものの、レース中に起こった場合に関しては3名以上の不具合が発生した場合はレースを一時中止して再スタートとなるところ、2名以下の場合はレースは続行されるとのこと。
 この結果、好タイムをマークしていた嵯峨選手は残念ながら決勝第1レースで姿を消す結果となってしまった。レース中に他車に巻き込まれる形で順位を落とすなどといったハプニングは実際のレースでも、バーチャルなレースでもよく見る光景だが、機材トラブルという部分に関しても、本物のレースで時折発生するマシントラブルのようなものとして捉えるしかないだろう。
 今回の特別先行予選大会で国体出場権を得られなくとも、2019年4月1日から始まる“国体オンライン予選”に出場し、茨城県の代表になるチャンスは残されているので、嵯峨選手の今後の活躍にも期待したいところだ。

大会時の参加選手達の様子。
写真左:中嶋秀之氏、写真右:YAM氏
決勝第1レースの結果を受け、国体参加権を競い合う最終レースの出場権を得たのはこちらの選手たち。このレースの1位と2位が、“全国都道府県対抗eスポーツ選手権2019 IBARAKI”の『GT SPORT』茨城県代表権を獲得することになる。

 いずれの部とも、白熱のレースがくり広げられた結果、最終的に少年の部では箕輪選手と小林選手が、一般の部では綱島選手と植木選手が、日本最速で“全国都道府県対抗eスポーツ選手権2019 IBARAKI”の『GT SPORT』大会出場権を獲得。この4名の選手は、2019年10月5日・6日に茨城県・筑波市で行われる本大会に出場することになる。

 全レースの終了後、茨城県代表としてのユニフォーム姿の4人が登場。それぞれによろこびを語りつつ、10月の本大会での活躍を誓い合っていた。最後に、出場権を得た4選手たちの囲みインタビューを紹介していこう。

写真左:箕輪卓也選手、写真右:小林陽樹選手
写真左:綱島優太選手、写真右:植木俊輔選手

−−レース中はどんなことを考えていましたか?

箕輪選手「ミスをしないことを頭に置いて走っていました」
小林選手「コースアウトやペナルティを受けないよう、油断しないようにしました」
綱島選手「最後のレースでは俊さん(植木選手)とバトルをしていたので、コーナー毎に抜かれないように注意しながら走っていました」
植木選手「抜きたい気持ちが先行しないよう、平常心を心がけていました」

−−レース中に選んだマシンとその理由を教えてください。

箕輪選手「レーシングカートをやっているのですが、ポルシェは特性がカートとよく似ているところもあり、運転しやすかったので選びました」
箕輪選手最終レース使用車種:ポルシェ 911 RSR(991)'17
小林選手「決勝第1レースでは、レクサス RC Fを使いましたが、最終レースでは1コーナーで抜けるようなクルマということで、アストンマーティンにしました」
小林選手最終レース使用車種:アストンマーティン V12 ヴァンテージ GT3 '12
綱島選手「レースでは他車に抜かれないことが大事なので、ストレートが長い富士スピードウェイのコースに強いシボレーを選びました」
綱島選手最終レース使用車種:シボレー コルベット C7 Gr.3
植木選手「FR車だと、自分のドライビングスタイルではブレーキング時にアンダーステアが出てしまい、レース運びが難しくなってしまうんので、ブレーキで曲げやすいアウディ R8を選びました」
植木選手最終レース使用車種:アウディ R8 LMS '15

−−普段はどのようなことをして過ごされていますか?

箕輪選手「高校ではサッカーをやっているのですが、このあいだまでケガをしていたので、最後の大会に出られるようにいまがんばっているところです」
小林選手「普段はピアノの習い事をしています。でも、ピアノの練習はしつつ、『GT』の練習もがんばります」
綱島選手「この3月まで大学生でしたので、直近は就活が忙しかったです。ただ、とくに趣味もなかったので、そのお陰で『GT SPORT』に没頭できたのかもしれません」
植木選手「いま専門学生なのですが、普段は暇さえあれば『GT SPORT』をプレイしています。それ以外ではマンガやレースを見ています」

−−今後の目標があれば教えてください。

箕輪選手「最終的にお父さんといっしょにクルマ関係の仕事ができればいいなと思っています」
小林選手「今回、実況を担当されていた中嶋さんのようなカーレースの実況ができるようになりたいです」
綱島選手「数週間前、“グランツーリスモワールドツアー 2019 パリ”に参加させてもらったのですが、現地での盛り上がりや格式の高さというものを実感してきました。いずれ『GT』からリアルレーサーになるという道もあるかと思いますが、僕自身は『GT』の大会でトップに立てるような功績をあげられるようにしたいです」
植木選手「優太さん(綱島選手)がオフラインのイベントで活躍をされていますが、自分もそんな舞台に立てるようになりたいです」

 一般の部の決勝最終レースで見事優勝を遂げた綱島選手はインタビューでも語っているように、先日フランスで開催された“グランツーリスモワールドツアー 2019 パリ”のマニュファクチャラーカップに出場している実力者のひとり。また、全クラスを通して最速タイムを記録した少年の部の優勝者、箕輪選手も現在17歳ということで、『GT SPORT』のチャンピオンシップの出場資格もまもなく得られるほか、2位となった小林選手はまだ11歳ながら大人顔負けの落ち着いたクレバーな走りを見せるなど、これからの健闘が期待される若手のホープと言えるだろう。
 今回、『GT SPORT』の大会では実施されていなかった“少年の部”が実施されたことで、これまで表舞台に登場してこなかった若年層の選手たちのレベルの高さを見せられた本大会だが、全国にはまだ見ぬ実力を持つ若い選手たちが多く潜んでいることがうかがえる結果となった。
 若年層の活躍は、モータースポーツならびにeモータースポーツの裾野の拡大に貢献することにつながるはずなので、今後ますますの大会の盛り上がりと選手たちの活躍に期待したいところだ。

都道府県代表になるチャンスは今日から始まる!

 今回紹介した“全国都道府県対抗eスポーツ選手権2019 IBARAKI”、『GT SPORT』部門のオンライン予選は、2019年4月1日にスタート。期間中は何度でも挑戦できるうえ、6歳から参加可能と、国体に名を残すチャンスはまだまだ残っている。
 オンラインでの上位成績者は、2019年8月に行われる都道府県代表決定戦に出場し、国体出場をかけて競い合うことになる。詳細は『グランツーリスモSPORT』 都道府県予選の特設サイトをチェックしよう。

【2019年4月1日記事修正】
記事初出時、一部タイム表記に誤りがあったため訂正をいたしました。読者の皆さまならびに関係者各位にご迷惑をお掛けしたことをお詫び申し上げます。