商売と冒険の二足のわらじを履くアクションRPG
2019年3月28日、テヨンジャパンより、Nintendo Switchにて配信が開始された『ムーンライター 店主と勇者の冒険』。そのプレイレビューをお届けする。
本作のタイトルに冠されている“ムーンライター”とは、本業以外に夜間に副業をしている人を差す言葉だが、まさに『ムーンライター 店主と勇者の冒険』はそんなタイトル通りのゲームだ。
主人公の少年ウィルは、昼間は道具屋の店主として店を切り盛りし、夜は冒険者としてダンジョンでお宝の仕入れに励むことになる。
昼間のお店を経営する部分はシュミレーションゲーム的な要素が強く、夜のダンジョンを冒険するパートはローグライク要素の強いアクションRPGとして進行していく。
ここからは、実際に『ムーンライター 店主と勇者の冒険』をプレイする流れをお伝えするために、ムーンワーカーである主人公の1日に密着してみよう。
店主兼勇者ウィルの1日に密着
6:00 起床・開店準備
ムーンワーカーの朝は早い。店に客を入れる前に、前日にダンジョンで集めてきたアイテムを店頭に並べていく。
8:00~ 開店
店頭に商品を並べたら、さっそく開店。店が開くと同時に客がなだれこんでくる。開店中のおもな仕事は会計と商品の補充だが、ほかにも細かな作業がいくつかある。ひとつは商品価格の微調整。お客さんの顔色を伺って高すぎて売れない商品は値下げし、逆にあまりにも売れすぎる商品は値上げする。商売の基本だ。
そしてもうひとつの重要な仕事が、万引き犯の確保。ダンジョンで命がけで仕入れてきたアイテムをタダで持っていかれてはかなわない。怪しい動きをしている人物がいたら、すかさずカウンターから飛び出して捕まえてやろう。
18:00~ 閉店・冒険の準備
息つく暇なく働いて、やっと今日の営業時間が終わったが、ムーンワーカーはまだ休めない。明日の営業のため、これからダンジョンに仕入れに出かけなければいけないのだ。
19:00~ 冒険
ダンジョンは入るたびに構造が変化する。そのため何度も入ったことのあるダンジョンでも気を抜くことはできない。うっかりポーションも持たずにボス部屋に突入してしまったらひとたまりもないのだから。
モンスターは倒すといくつかの素材をドロップする。明日の商売のために、リュックがいっぱいになるまでは帰りたくない。
しかし、力尽きればリュックの中身をすべて失ってしまう。冒険は引き際を見極めつつ慎重、かつ大胆に行わなければいけない。
この日は3階層あるダンジョンの最下層まで到達。巨大なボスモンスターを倒し、大量のお宝を手に入れられた。
24:00 帰宅
アイテムでパンパンのリュックを抱えて帰ってきたウィルに残された最後の仕事は、ぐっすり眠ること。明日の朝も早い。家に帰るや否やウィルは泥のように眠りこけてしまった。
ウィルの夢は5つあるダンジョンを全て踏破すること。まだまだ駆け出しではあるが、彼の商いと冒険の道はこれからも続いていく。
少しずつ強く、少しずつリッチになっていく快感
“徐々に強くなっていく気持ちよさ”が体験できるのはRPGの魅力のひとつだが、『ムーンライター 店主と勇者の冒険』ではRPGの強くなる気持ちよさに加えて、店の経営によって徐々に自分が大金持ちになっていく快感を大いに得られる。
店を増築して、装備を強くして、いままでいけなかったダンジョンに行けるようになる。するともっとお金を稼ぎやすくなって……というループが小気味よくくり返されることで、本作は独自の中毒性を生み出している。そこにローグライク特有のアイテムをロストするかしないかというヒリヒリ感が加われば、やみつき間違いナシだ。
ゲームバランスも申し分なく、ボス戦はたいてい回避やガードを駆使しなければ勝てないギリギリの戦いになる。とはいえ、アクションが苦手なプレイヤーでも、店をうまく経営できれば金にまかせて強い装備を揃え、楽にボスを攻略することもできる。
『ムーンライター 店主と勇者の冒険』は、ローグライク・アクションRPG・シュミレーションという3つのジャンルを見事に融合させた、インディータイトルとは思えないほど隙のないハイクオリティの作品となっている。
『ムーンライター 店主と勇者の冒険』はニンテンドーeショップにて2000円(税込)で発売中。現実で働き詰めになるのは勘弁だが、ゲームなら悪くないのでは?
■脳間 寺院(のうま・じいん)ゲーム・動画ジャンルが専門のライター。京都生まれポケモン育ち、ボンクラオタクがだいたい友達。Twitterでも面白い動画やゲームについて情報を発信中。
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