社内ゲーセン、その名は“ディライトワークス×ゲーセンミカド”
2019年3月27日、ディライトワークスは社内に社員向けのゲームセンター“DELiGHTWORKS×ゲーセンミカド”を新設し、プレス向けに発表会を開催した。
ディライトワークスと言えば、もちろんスマートフォン向けゲームの『Fate/Grand Order』が真っ先に思い浮かぶはず。そんななか、2018年3月に社内に開設した“ボードゲームカフェ”はゲーム業界のボードゲーム好きから熱視線を浴び、現在では外部からの参加も可能なイベントを開けば100人以上の参加者が集まるという。また、オリジナルのボードゲームを開発・発売するなど、大きなムーブメントを見せている。今回の“社内ゲーセン”も表向きは自社のゲームクリエイター育成を目的としているが、その真の目的は何なのか。さっそく発表会をリポートしよう。
今回の企画の発案者は、ディライトワークス DELiGHTWORKS SWALLOWTAIL Studios スタジオヘッドの塩川洋介氏だ。“社内ゲーセン”を作ったきっかけは、同社が開発したアーケードゲーム『Fate/Grand Order Arcade』(FGOAC)。社内のクリエイターは、実際にゲーセンで『FGOAC』をプレイしているそうで、一般のプレイヤーと同じ目線でプレイして、それをフィードバックし、開発に活かしていることから、いずれ社内に筺体を置きたいと考えていたとのこと。そこから、ただ『FGOAC』の筐体を置くだけではなく、ゲームセンターのようにしたほうがおもしろいということで、今回の“社内ゲーセン”が実現したわけだ。
ここで塩川氏が社内ゲーセンの名前を発表。
ゲーセンミカドといえば、現在都内に2店舗を構える超有名店。ただ最新タイトルを置くだけではなく、さまざまな趣向で行われるイベントやゲーム大会が人気で、地方からも多くのプレイヤーが集う伝説のゲームセンターだ。そのゲーセンミカドがタイトル選定や筺体の設置を行っていて、発表会にはゲーセンミカドから池田稔氏が登壇した。
初めて塩川氏から話を聞いたときの印象は、「まったく意味がわかりませんでした(笑)」と池田氏。池田氏によると、娯楽の幅が広くなったことで、実際に100円を使って遊ぶゲーセンの需要が減っている現在、イベントや大会を開催することでコミュニティの形成とライブ感を出していることが成功につながっていると話す。また、ゲームセンターでのプレイは息抜きにピッタリで、新しいコミュニケーションが生まれるはずと期待を寄せた。
社内ゲーセンに設置タイトル一覧
『Fate/Grand Order Arcade』
『スペースハリアー』(DX筺体)
『MELTY BLOOD Actress Again Current Code』
『餓狼伝説スペシャル』
『雷電II』
『ファイナルファイト』
『ブレイクアウト』
『ストリートファイターII』
『IRON MAN PRO』(ピンボール)
『AC/DC』(ピンボール)
『国盗り合戦』(エレメカ)
このゲームの選定は池田氏が行っており、今後も定期的に筺体の入れ換えを行うという。ちなみに今回の“第1弾”として選んだ11本について池田氏は、「『スペースハリアー』から『FGOAC』と、セガの歴史を感じられると思う」とコメントした。ちなみに現行法上では、この『スペースハリアー』のような激しい動きは規制されていて、現在では作れないそうだ。また、ピンボール2台と『国盗り合戦』が異彩を放つが、それだけバラエティーに富んだラインアップとなっている。
社内ゲーセンの未来像として、塩川氏はつぎの3つを挙げた。
(1)ゲームセンターとして発展を
(2)業界発展のためのコミュニケーションの場を
(3)新たな創作活動のためを
基本的にディライトワークス社内に向けたクローズドのゲームセンターのため、ICカードが必要となる『FGOAC』以外は、いわゆるフリープレイ。「たとえば食事のあとに、フラッと息抜きで気軽にプレイしてもらいたい」(塩川氏)。
また塩川氏は、「遠からず、企業対抗戦やメディア対抗戦のような交流会をぜひやりたい」と抱負を述べた。
そして、マンガ『ハイスコアガール』などで人気の押切蓮介先生がデザインしたゲーセンミカドのイメージキャラクター“ミカドちゃん”とのコラボが実現。押切先生描き下ろしによるイラストが公開された。キャラクターの彩色が変更されているほか、胸には“DW 帝”と描かれているこだわりようとなっている。
ちなみに塩川氏のアーケードゲーム歴について伺ったところ、最初に出てきたタイトルが『熱血高校ドッジボール部』。駄菓子屋に置いてあった筺体で熱心にプレイしていたそうだ。そして『ストリートファイターII』にハマったそうだが、その後一時期アーケードから離れてしまったとのこと。再びアーケードゲームをプレイするようになったのは、ゲームの仕事をするようになってからで、当時まだ少なかった3Dのアクションゲームを研究するために『ダイナマイト刑事』をプレイしたとのこと。それから、今回のラインアップの第一印象について、「今回のラインアップのポイントを上げるならば、TYPE-MOONさんの作品ということもあり『メルティブラッド』を挙げたいですね」と塩川氏。
池田氏は、「いろいろなゲームがあるが、ミカドを10年間やってきて、ゲームを使った大会以外でも、わたあめの大きさを競うとか、ジャンケン大会とか、なんでも真剣にやるとおもしろい。(『国盗り合戦』やピンボールといった)アナログタイプのゲームがデジタルに劣るとはまったく思っていないので、単純でシンプルであるがゆえの理不尽さを楽しんでもらいたい。そして笑いに昇華してもらいたいですね」と語った。
ボードゲームカフェがコミュニケーションの場となるとともに、新作ボードゲームの制作にまで“昇華”した。今回の“DELiGHTWQRKS×ゲーセンミカド”がどんな化学反応を起こし、今後のディライトワークスのタイトルに活かされていくのか注目したい。