ゲームエンジンUnreal Engineを提供するエピックゲームズが、基調講演で最新情報を公開した。

 サンフランシスコで開催中のゲーム開発者向けの国際カンファレンス“GDC”(ゲーム・デベロッパーズ・カンファレンス)3日目、ゲームエンジン“Unreal Engine”(以下UE)を提供するエピック・ゲームズの基調講演が行われた。

 本誌ですでに、同社が運営するPCゲーム配信プラットフォームEpic GamesストアでQuantic Dreamの『Detroit: Become Human』PC版をはじめとするさまざまな有力タイトルの独占配信が決定したことをお伝えしたが、ここでは基調講演で発表されたそのほかの内容をお伝えしよう。

 まずは、Epic Gamesが提供するゲーム用のクロスプラットフォームなオンラインサービスを利用するためのSDK(ソフトウェア開発キット)が本日より配信開始。

 これはもともと昨年12月に提供が発表されたもので、同社の人気バトルロイヤルゲーム『フォートナイト』で培われたログイン機能やフレンド機能、ボイスチャットなどの機能を利用するためのフレームワークを、エンジンを問わずに提供するというもの。

 現状ではユーザー分布などの分析や問い合わせに対応するサポートチケットシステムなどの運営ツールなどが組み込まれており、先に書いたような機能は年間を通じて追加していくとのこと。

 そしてUE4を使った優れたプロジェクトに経済支援を行うUnreal Dev Grantをさらに発展させた、総額1億ドル(約111億円)の開発支援策“Unreal MegaGrants”が発表。支援金は5000ドルから50万ドルまであり、カテゴリーはゲームだけに留まらず、映像やエンタープライズ、教育、ツール開発なども対象としている。

『フォートナイト』マネーすごい。

 エンジンそのものに関しては、『キングダムハーツIII』などでの使用事例が紹介されたほか、現行のUE 4.21および2週間後に正式リリースとなるUE 4.22に関して、レイトレーシングなどの最新のグラフィック技術を利用した2種類のデモ映像が公開された。

さまざまなアクションに対応できるようにするため、テスト環境を作って開発していったという。
こちらはワールドの違いなどに対応するため、波を細かくコントロールするシステム。アートスタイルなどもワールドに応じてエディター上で選択できるようになっているそう。

 まずテクスチャーツールなどを提供するQuixelによる“Rebirth”というデモは、Quixelのフォトグラメトリー技術(写真や動画からリアルな3Dモデルを作る)も活用し、たった3人のアーティストによって制作されたという。『スターウォーズ』の近作などを想起させるもので、こちらはUE 4.21で作成されている。

 そしてもう一本、“Troll”はGoodbye KansasとDeep Forest Filmsによる短編映像で、UE 4.22上のリアルタイムデモとして動作。レイトレーシングによりエディターでカメラや光源を弄っても正しい反射が描画される様子も見せていた。

 基調講演のラストでは、UE 4.23からアーリーアクセスを開始予定の次世代の物理演算&破壊表現システムである“Chaos”のデモが行われた。

 同社のVRゲーム『Robo Recall』の世界を応用したレールシューター風の内容になっており、VRヘッドマウントディスプレイのHTC Viveのコントローラーを使用して(ただしVive自体は被っていない)、画面に向けて撃つたびに建物の柱や壁がリアルかつ盛大にぶっ壊されていく。

撃った所がもりもり壊れていく。

 先んじて行われた競合のUnityのカンファレンスでもレイトレーシングと物理演算は最先端のトピックとなっており、そう遠くない未来、ハイエンド寄りのゲームでこれらの技術の恩恵を受けることができるんじゃないだろうか。