「映像で起伏を表現したい」――作品に込めた想い
『神撃のバハムート』のゲーム内イベントを元にしたテレビアニメ『マナリアフレンズ』。本作を手掛けるのが、サイゲームスの子会社として、2016年に創業したアニメ制作会社・CygamesPicturesだ。同社でプロデューサーを務める鹿嶌舜氏に『マナリアフレンズ』制作の裏側や、スタジオの今後の展望をうかがった。
鹿嶌舜(かしま しゅん)
CygamesPictures取締役。『ブレードランナー:ブラックアウト2022』の製作を担当。『マナリアフレンズ』では、アニメーションプロデューサーを務める。
――『マナリアフレンズ』は、CygamesPictures初のテレビアニメシリーズですが、どのような意気込みで制作にあたられたのでしょうか?
鹿嶌 2017年に『ブレードランナー:ブラックアウト2022』を作らせていただきましたが、テレビアニメとしては、『マナリアフレンズ』が初のタイトルとなります。最初に制作した作品が今後のクオリティーレベルの指標になりますし、CygamesPicturesというスタジオの紹介にもなるので、ショートアニメではあるものの、こだわりの見える作品にしたいと、監督とも話し合いながら制作にあたりました。
――『ブレードランナー:ブラックアウト2022』と制作のうえで異なった点は?
鹿嶌 『ブレードランナー』といえば世界的にも有名な作品で、『ブレードランナー:ブラックアウト2022』の監督をされた渡辺信一郎監督を始め、同世代のクリエイターの方々が多大な影響を受けた作品です。渡辺監督も『ブレードランナー』に対する熱量がすさまじく、作品のネームバリューも合わせて同世代のクリエイターの方々がつぎつぎに集まってきてくださいました。ですので、スタッフィングという意味では監督含め非常に恵まれた作品でした。『マナリアフレンズ』に関しては、一度制作延期となり制作会社が変更になった時点で作品の枠組みは踏襲しつつ、ゼロからの構築が必要となる要素が多かったためたいへんでした。原作ゲームユーザーの方を一度待たせてしまっている経緯もあるので「下手なものは作れないぞ」という気負いもありました。
――『マナリアフレンズ』は、15分枠のショートアニメとして放送されていますが、この形式になった理由を教えてください。
鹿嶌 ゲーム内イベント“マナリア魔法学院”をアニメーション制作するにあたって、そもそもショートアニメで制作するという企画で動いていた作品でして、当初は7分番組の構成で組まれておりました。再始動するにあたり7分という枠組みが外れましたので、シュートアニメで、なおかつキャラクターの日常や感情の機微を丁寧に描ける尺として岡本(英樹)監督とも話し合いまして、少し尺を伸ばしてエキストラパートも含めて15分としました。
――尺が増えたことで、主人公以外のキャラクターも出番が増えた感じですか?
鹿嶌 出番が増えたキャラクターもいますし、当初出番はなかったけど登場できることになったキャラクターもけっこういます。全体的にセリフ量は少なく、映像で見せる作品なのですが、尺が延びて登場キャラクターが増えたので、ゲームをよく知るユーザーの方にとっては喜ばしい結果になったのではないでしょうか。
――『マナリアフレンズ』は人物描写に加え、その映像美も話題になっています。やはり尺を15分にしたことが、映像のクオリティーアップに関係しているのでしょうか?
鹿嶌 企画の段階から、ストーリーに大きな変化を持たせるのではなく、主人公ふたりの距離感、感情の起伏を丁寧に表現したい……という思いがあって。なので、メリハリをつけるために決めどころには時間と予算をしっかりかけました。その甲斐あって制作陣がこだわった部分は視聴者の皆さんにもしっかり伝わっていたようで、「このシーンいいね」といった反応も多く拝見しました。作品のコンセプトが短尺の中で“アンとグレアの心理描写を丁寧に見せること”だったので、そこに最大限注力して制作しました。キャラクターデザインの吉田南さんが描かれたヒロインたちは、みんな表情豊かで、魅力的で、シーンに合った表情のニュアンスをギリギリまで粘って考えて描き上げていただいた結果、とても印象的な表情、空気感を醸し出していて、映像のクオリティーアップに大きく寄与していただいたと思います。
――制作陣もヒロインたちに魅了された……というわけですね。ほかにも、本作ならではの取り組みはありますか?
鹿嶌 数々の実写映画やドラマで音楽を手掛けられている、渡邊崇さんに音楽をご担当いただけたことです。通常、アニメの場合は先に映像を用意して、それを見ていただきながら音楽を作ってもらうというパターンが主流です。ただ今回はコンテの時点で世界観を説明して、映像よりも先に音楽を作っていただいて。そうして出来上がった音楽に、映像を合わせていく手法を取りました。最初に音楽があって、それを基準に演出内容を考え、作画にこだわれたことが、本作の制作過程の大きな特徴ですね。
――音楽から想像を膨らませるというのは、おもしろいスタイルですね。
鹿嶌 このスタイルがもっとも活きたのは、8話のオペラ回です。最初にオペラシーンの楽曲を丸々1曲作っていただいて、その楽曲を活かす構成で絵コンテから制作に入りました。オペラ歌手の方の歌唱指導のもと、ハンナ役の水樹奈々さんにドイツ語でオペラシーンを歌い上げていただくという、とても贅沢な仕上がりになっています。全10話の中でも、とくにリッチな作りになっていますので、見逃された方は音楽含めぜひBlu-rayで楽しんでいただきたいです。
――何度もくり返して見てほしいシーンというわけですね。ちなみに、背景美術に“草薙”が参加したことも、本作のクオリティーアップの要因のひとつでしょうか?
鹿嶌 草薙さんの技術力あってこその作品クオリティーというのは、もちろんあります。ただそこは美術監督の川本亜夕さんが、岡本監督からのオーダーに最後の最後までこだわってくれたことに尽きます。「もっとディテールを細かくしたい」、「空気感を演出したい」といった細かいオーダーに、時間がないにもかかわらず、丁寧に対応していただいて、監督のこだわりにすべて応えていただいたおかげで、このクオリティーが保てたと言えます。
――改めて見返してみると、背景の描き込みがすごいですね。
鹿嶌 舞台がファンタジー世界なので、美術面で世界観のリアリティーを追求しないと、途端に安っぽく見えてしまいます。監督とは「架空の世界だからこそ、ディテールや空気感は丁寧に描写しよう」と、企画がスタートした時点から話し合っていました。ゲームで描かれた世界観を踏襲しつつ、アニメから入られた方にもしっかり楽しんでいただけるようになっているはずです。
――制作陣のこだわりが視聴者にも伝わり、好意的な声が多数寄せられている……とのことでしたが、具体的にどういった意見が多いですか?
鹿嶌 アンとグレアの心の距離感を、10話かけて丁寧に描くことだけに注力してきた作品なので、当初はストイックな内容に視聴者がついてきてくれるかという不安もあったのですが、「そこがいい」と言ってくださる方が大勢いらっしゃったのでうれしいかぎりです。ふたりが視線を合わせたまま数秒間まったく動かないシーンもあるのですが、キャラクターの表情変化の機微と音楽だけで保たせているので、改めて吉田さんや渡邊さんに感謝です。ストーリーの中で何かしら大きなイベントがつねに起きているわけではありませんが、ヒロインたちの距離感や雰囲気を楽しむアニメだということを視聴者の皆さんにも理解していただけて、そこを楽しんでいただけたのであれば、作った意味はあったなと思っています。
――続いて、CygamesPicturesそのものについてお聞きします。『ブレードランナー:ブラックアウト2022』、『マナリアフレンズ』と、注目度の高い2作品を手掛けてこられたわけですが、制作スタジオとしての、御社の現在の雰囲気を教えてください。
鹿嶌 今年の4月で3年目を迎える、まだまだ新設少人数のスタジオですが、同じベクトルを向いたスタッフが少しずつ集まってきているので、こだわりをもった作品制作をこれからもどんどん手掛けていきたいです。現時点では、制作、作画、美術、CG、撮影と、各セクションのスタッフが揃ってきており、チームとしてうまく機能し始めています。弊社の作品をご覧いただいて、「こういう作品を作りたい」、「こういう環境で働きたい」と思ってくださるクリエイターがいらっしゃいましたら、ぜひお越しください。ただいまスタッフを大募集中ですので(笑)。
――アニメ業界と聞くと、つねに予算と時間の問題で四苦八苦されているイメージがありますが、御社の場合はサイゲームスという大本営があるからこそ、余裕をもって制作にあたれる……ということでしょうか?
鹿嶌 それはあります。自社のIP作品だからこそ、残るものとして丁寧に時間をかけて、クオリティーの高い作品に仕上げたいという思いは強いです。ゆくゆくはオリジナルの企画にも挑戦していきたいですが、まずは時間と予算をかけられる環境で制作に取り組み、しっかりとした結果を出したい。そのうえで、より多くの方にCygamesPicturesというスタジオを知っていただけるように、認知度の向上にも努めていきたいと考えています。
――なるほど。それでは御社の今後の展開について教えてください。
鹿嶌 先日、『プリンセスコネクト! ReDive』のゲームリリース1周年記念イベントにて情報公開されましたが、同作のテレビシリーズアニメを弊社にて制作することになりました。30分枠でのテレビシリーズ制作は弊社としても初の試みなので、いままで以上に気合を入れて取り組み、内容・クオリティーにこだわった作品に仕上げたいと思っております。それにともないスタッフ編成を充実させ、万全の態勢で制作に臨みたいです。『マナリアフレンズ』を通して得られた期待を裏切らないように、丁寧な作品づくりを心掛けます。
――そうして知名度が上がれば、他社からもアニメーション制作の依頼がつぎつぎに入りそうですね。
鹿嶌 この業界は横のつながりが強いですからね。弊社はまだ、創業から日が浅いスタジオですが、いい作品を作って、他社のお手伝いもさせていただくことで、つながりを密にしつつ、そうした依頼もいただけるようになればいいなと思っています。
――ますますの知名度アップを期待しつつ、CygamesPicturesのオリジナル作品が見られる日も楽しみにしています!
鹿嶌 ありがとうございます。もちろんオリジナル作品が何よりも素晴らしいとは思っていません。原作がある作品について責任をもって丁寧に作ることのやり甲斐は非常に感じています。それとはべつに、いずれはオリジナル作品にも挑戦してみたいです。そうして作りたいものができたときに対応できるよう、技術を持ったスタッフをスタジオとして確保おくことも大事なので、人材育成にも注力していくつもりです。4月より新卒スタッフも新たに合流してきますので、モノづくりの醍醐味を感じてもらいつつ、いっしょにいい作品を作っていけるよう育てていきたいと思っております。
マナリアフレンズ
放送情報
TOKYO MX 2019年1月20日より 毎週日曜24:30~24:45
BS11 2019年1月20日より 毎週日曜24:45~25:00
AT-X 2019年1月21日より 毎週月曜24:30~24:45 ※リピート放送あり
J:COM テレビ 2019年1月22日より 毎週火曜22:45~23:00
AT-Xリピート放送 毎週水曜16:30~16:45 / 毎週土曜8:30~8:45
※放送日時は予告無く変更になる可能性がございます
※放送は本編のみとなります。
配信情報
本編+エクストラパート
dアニメストア 2019年1月20日より毎週日曜24:30~
J:COMオンデマンド 2019年1月21日より毎週月曜24:00~
みるプラス 2019年1月21日より毎週月曜24:00~
ビデオパス 2019年1月21日より毎週月曜24:00~
ひかりTV 2019年1月21日より毎週月曜24:00~
FOD/フジテレビオンデマンド 2019年1月21日より毎週月曜24:00~
GYAO! 2019年1月21日より毎週月曜24:00~
あにてれ 2019年1月21日より毎週月曜24:00~
AbemaTV 2019年1月21日より毎週月曜24:00~
U-NEXT 2019年1月22日より毎週火曜12:00~
アニメ放題 2019年1月22日より毎週火曜12:00~
※配信開始日時は変更になる可能性がございます。ご了承ください。
本編のみ
Amazonビデオ 2019年1月21日より毎週月曜24:00~
dTV 2019年1月21日より毎週月曜24:00~
ニコニコ動画 2019年1月21日より毎週月曜24:00~
ビデオマーケット 2019年1月21日より毎週月曜24:00~
TSUTAYA TV 2019年1月21日より毎週月曜24:00~
Rakuten TV 2019年1月21日より毎週月曜24:00~
Google Play 2019年1月21日より毎週月曜24:00~
クランクイン!ビデオ 2019年1月21日より毎週月曜24:00~
バンダイチャンネル 2019年1月22日より毎週火曜12:00~
HAPPY!動画 2019年1月22日より毎週火曜12:00~
※配信開始日時は変更になる可能性がございます。ご了承ください。
Blu-ray情報
マナリアフレンズ I
【発売日】2019年3月2日(土)
【品番 / 価格】BIXA-1141 / 9,800円 (税抜)
【収録】1~5話
【仕様特典】
・本編はTV未放送のエクストラパートが付いた特別版
・原作イラストぽんず描き下ろし三方背アートケース
・キャラクターデザイン吉田南描き下ろしデジパック
・ピクチャーレーベル
【封入特典】
・オリジナルサウンドトラックCD I(第1~5話)
・ブックレット(16P)
【特典映像】
・EDイラストギャラリー(第1・2・3・5話)
・静止画ギャラリー(ブックレットで紹介しているベストカットを原画と合わせて収録)
【初回生産特典】
・「グランブルーファンタジー」特典シリアルコード「ダマスカス鋼」
・「グランブルーファンタジー」特典シリアルコード I・II巻購入特典「ヒヒイロカネ」
※I・II巻購入特典は「マナリアフレンズ」Blu-rayI巻・II巻のシリアルコードを入力すると受け取る事が出来ます。
※特典の受け取りは1アカウントにつき、1回のみとなります。
マナリアフレンズ II
【発売日】2019年4月2日(火)
【品番 / 価格】BIXA-1142 / 9,800円 (税抜)
【収録】6~10話
【仕様特典】
・本編はTV未放送のエクストラパートが付いた特別版
・原作イラスト虹原描き下ろし三方背アートケース
・キャラクターデザイン吉田南描き下ろしデジパック
・ピクチャーレーベル
【封入特典】
・オリジナルサウンドトラックCD II(第6~10話)
・ブックレット(16P)
【特典映像】
・EDイラストギャラリー(第6・7・9話)
・静止画ギャラリー(ブックレットで紹介しているベストカットを原画と合わせて収録)
・PV&CM集
【初回生産特典】
・「グランブルーファンタジー」特典シリアルコード「金剛晶」
・「グランブルーファンタジー」特典シリアルコード I・II巻購入特典「ヒヒイロカネ」
・「Shadowverse」特典シリアルコード「リーダースキン・アン」
※I・II巻購入特典は「マナリアフレンズ」Blu-rayI巻・II巻のシリアルコードを入力すると受け取る事が出来ます。
※特典の受け取りは1アカウントにつき、1回のみとなります。
※「Shadowverse」の特典は今後、別の方法でも入手可能となる予定です。予定のため、予告なく変更となる場合がございます。
※「Shadowverse」の特典のシリアルコード入力が行えるのは「GooglePlay版」、「DMM GAMES版」、「Steam版」のみとなります。