2019年3月7日、優れたシミュレーション・ゲーミングの研究者を表彰する“第12回FOST賞授賞式”が行われた。その様子をリポートする。

3部門で優れた研究者を表彰

 “FOST賞”とは、科学技術融合振興財団であるfoundation for the Fusion Of Science and Technology(略称:FOST)が、優れたシミュレーション・ゲーミングの研究者を表彰して与える賞。平成30年度の受賞者を表彰する“第12回FOST賞授賞式”が、2019年3月7日、東京都内の帝国ホテルにて行われた。その様子をリポートする。

 FOSTは1994年4月に設立した財団で、シミュレーション&ゲーミングの研究など、科学技術の融合を促進させる研究課題を事業の中心に活動。FOST賞を授与する事業は平成19年度にスタートし、平成23年度より、社会貢献という観点から顕著な業績を上げた人または団 体を表彰する賞として“FOST社会貢献賞”を、また平成25年度からは若手研究者向けに“FOST新人賞”を、それぞれ新設している。

 授賞式ではまず、理事長である襟川陽一氏が、授賞式に先がけて以下のとおりあいさつを述べた。
 「FOST賞は、シミュレーション&ゲーミングの研究をさらに活性化させるべくスタートいたしました。本日の発表を私自身も楽しみにしています。FOSTの活動も今年で25年、四半世紀が経ちました。今年は記念のシンポジウムと懇親会を秋に予定しておりますので、ぜひまたご参加いただければと思います」(襟川氏)。

理事長を務めるのは、コーエーテクモホールディングス代表取締役社長の襟川陽一氏。

 続いては審査委員長の東海大学名誉教授・白鳥令氏が登壇し、“FOST賞”、“FOST新人賞”、“FOST社会貢献賞”の受賞者を発表するとともに、それぞれの研究内容を簡単に説明。その後各賞の表彰に移り、襟川氏により受賞者に表彰状と記念品が手渡され、授賞式は滞りなく進行して終了となった。各受賞者と研究課題、受賞コメントなどは以下のとおりだ。

審査を取り仕切った、東海大学名誉教授の白鳥令氏。
受賞者には表彰状と記念のトロフィーが贈られた。

FOST賞

早稲田大学理工学術院教授・菱山玲子(ひしやま れいこ)氏。
研究課題:Gラーニング空間の多言語化による外国人向け老舗企業探索ラリーの開発と実践

受賞コメント:今回の研究では、伝統産業というものが大きなキーワードです。多くの外国人の方にも、日本の深い伝統文化を伝えたいという思いをゲームと融合させ、新しいコンテンツとして展開し、広く社会に発信したいという気持ちで、空間軸・時間軸を超えた取り組みをしてまいりました。付き合ってくれた研究室の学生たちに、またこのような賞をいただけまして、襟川氏にも心より感謝しております。どうもありがとうございました。

FOST新人賞

広島大学大学院工学研究科・福井昌則(ふくい まさのり)氏。
研究課題:数学的ゲーム・パズルを用いたモデリングのスキル向上を目指すプログラミング学習のデザインと実践

受賞コメント:私の研究は、モデリングとかシミュレーションの素地となる力を養うためのプログラミングをどう行うか、ということをモチベーションにしています。今回は学生にとって作りやすい、ゲームやパズルを題材としたグラミング教育を実践し、その効果を測定する試みを行ったわけです。非常に時間もかかり、なかなか結果も出ませんでしたが、補助金などの援助もあって達成できました。研究をさらに進め、より幅広い活動を展開したいと思います。

FOST社会貢献賞

日本大学生物資源科学部獣医学科教授・堀北哲也(ほりきた てつや)氏。
研究課題:考案したグループ対抗のカードゲーム“やぐら鶴”のワークショップの実施とチームビルド効果の検証

受賞コメント:私は現場の獣医師でしたが、4年前に獣医学の教授になりました。前後して口蹄疫や鳥インフルエンザが発生したりで、そんなときは獣医がチームを組むのですが、寄せ集めなのでうまくコミュニケーションが取れません。そこで考えたのが“やぐら鶴”というカードゲームで、ゲーム後にはみんなで振り返るディスカッションもするスタイルにしています。このゲームが職種に関わらず、コミュニケーションが深まり仕事が円滑に進むツールになればと願っております。