あの大感動の“20周年コンサート”Blu-rayが発売間近! 映画館での上映イベントに光田康典氏らが登壇
2018年4月7日~8日に千葉県の舞浜アンフィシアターで行われた『ゼノギアス』初のオフィシャルコンサート“Xenogears 20th Anniversary Concert -The Beginning and the End-”。演奏のクオリティーはもちろん、『ゼノギアス』の記憶を蘇らせる数々の演出で会場中のファンを魅了し、大盛況のうちに幕を閉じたこのコンサートが、ファン待望のBlu-ray Discになり2019年3月13日に発売される。
商品概要
- 商品名:Xenogears 20th Anniversary Concert -The Beginning and the End-
- 品番:SQEX-20063
- 価格:6300円[税抜](6804円[税込])
- 仕様:Blu-ray Disc 1枚
- 製作総指揮:光田康典
- 演奏:アーネンエルベ・オーケストラ -ゼノギアスコンサートスペシャルバンド&オーケストラ-
- スペシャルゲスト:oanne Hogg、ANÚNA
- 発売日:2019年3月13日(水)
- 発売元:スクウェア・エニックス
- 公式サイト:https://www.jp.square-enix.com/music/sem/page/xenogears/20thconcert_bd/
今回、コンサートDiscの発売に先駆け、映画館ならではの大画面と重厚なサウンドで収録映像を楽しめるというイベントが開催された。本記事では、上映の模様と、上映の前後に実施された『ゼノギアス』の数々の名曲を生み出した光田康典氏とBlu-rayの制作を担当したドワンゴの熊田憲康氏が登壇して行われたトークイベントについてリポートする。
開演時間になると、MCを務めるスクウェア・エニックスの山田紘士郎氏が光田康典氏と熊田憲康を招き、さっそくトークがスタート。ここでしか聞けない話がいろいろと飛び出すことに。
熊田氏が「映像もですが音が本当にすごい。映像を編集中の仮のミックスが光田さんから送られてきて、それをパソコンのイヤホンで聞いただけでも、ビックリするほどの出来でした」と語ると、それに対して光田氏が「最初のオープニングの曲をエディットするだけでも1ヵ月かかったので、(20曲以上あるコンサートのセットリストを考慮すると)気の遠くなるような作業量だなと(笑)。スタッフの方には完成がいつになるかわからないと告げてはいたのですが、『ゼノギアス』20周年内の発売は間に合わず、発売が『ゼノギアス』21周年になってしまいました」と、クオリティーを突き詰めた作業をずっとしていたことを述べるひと幕も。
しかし、怪我の功名か、その結果、ブックレットに『ゼノギアス』のキャラクターデザインを手掛けた田中久仁彦氏の絵が入ることになったとのことで、ファンにとってはうれしい一面も?
また、作品の注目点を聞かれた熊田氏は、最後のオルゴールや終演のアナウンスにいたるまでの音は会場の音をそのまま活かしており、それらはすべて光田氏に細かいチェックを受けていると語った。ほかにも、『導火線』の曲はカメラがお客さんの邪魔にならないように中腰で動いていたことを話し、そのカメラをどこに入れるかなど、こだわり抜いた作業を光田氏と楽しみながら編集していたと明かした。
一方の光田氏は、コンサートの終盤にラスボスの名前を「ゼウス」と間違えて呼んだ(正しくは「デウス」)ことにも言及。じつはこれ、光田氏が携わった『イナズマイレブン』の作品で“ゼウス中学”というものがあり、それと頭が混乱したということ。そうしたミスもそのまま収録されて残っており、「そこは恥ずかしいので見ないでください」と光田氏が照れ笑いすると、会場は暖かい雰囲気で包まれた。そうしていよいよ、収録映像の上映へと移ることに。
セットリストや演出など、公演の詳細は以下の関連記事にも書いたので割愛するが、上映したものを改めて鑑賞すると、そのクオリティーの高さに感嘆の息が漏れるばかりだ。
5.1chサラウンドによる音質や劇場の音響効果はもちろんだが、コンサート会場ではどうしても近場で見られない演奏者の表情や手元のアップ、ステージ全体を見渡せるアングルなど、本Blu-rayでは映像作品ならではの視覚的な楽しみも加わり、没入感がすさまじい。
せっかくの上映会なので画面に釘付けになったほうがいいのは明らかだが、静かで落ち着いた曲調の『神無月の人魚』などはハープの音色が心地よく、思わず目を瞑ってうっとりと聞き込んでしまった(笑)。激しい『紅蓮の騎士』では思わず拳に力が入ったり、ギターが超ノリノリになる『飛翔』と『翼』では、こちらも全身でリズムを取りたくなるなど、初めて公演で聞いたときの感覚を鮮明に思い出すことができた。
筆者は演奏の知識に疎いのでうまく表現できないのが歯がゆいが、演奏者の細かい指先の動きなどは、楽器演奏の知識や経験がある人が見たら、とてつもなくすごいことをやっていると感じられるはずだ。もっとも、そうした知識がなくとも、ときに真剣な表情、ときに笑顔で楽器を奏でる演奏者の様子を見ているだけでも楽しいのは間違いない。
また、熊田氏がトークで「本人にダメと言われつつも、極力光田氏の笑顔をがんばって入れていった」と語っていた通り、随所で楽しそうな光田氏のカットが入るので、本人のファン的にもうれしいはずだ(笑)。
夢のような上映はあっという間に終わり、再び登壇した光田氏と熊田氏が上映の感想を述べることに。
まずは熊田氏が「ひとつの作品としてずっと愛していただけるものになれたらいいなと思いました。ステレオの2chでも音がすごいことになっているのでご安心ください。パソコンで聴くだけでも感動できますよ」と語った。
続いて光田氏が「すばらしいスタッフに恵まれてこういった作品が作れました。最後の最後までこだわって作れてよかったなと思っています。観足りない部分は、ぜひお家で楽しんでいただければと思いますので、よろしくお願いします」と述べ、最後に会場へ足を運んだファンと記念写真を撮り、惜しみない拍手に包まれながらステージを後にした。

今回のイベント取材を終えて思ったのは、やはりすばらしいものは何度見たり聞いたりしても色褪せないということ。
演奏そのもののクオリティーが高く演出も素晴らしいうえ、ANÚNAのコーラスやJoanne Hoggの美声も堪能できるBlu-rayが発売されることで、いつでも好きなときに観て、当時の公演の感動を思い返せるのは本当にファン冥利に尽きる。
筆者は公演を鑑賞した直後、しばらく「もう1度あの公演を見たい、聞きたい……」と“ゼノギアスロス”に陥っていたものだが、これでもうその心配もなさそうだ(笑)。
最後に、公演を終えた光田氏にインタビューを行ったので、その様子をお届けする。
光田康典氏(みつだ やすのり)
作曲家。手掛けた作品に『クロノ・トリガー』、『ゼノギアス』、『ゼノサーガ エピソードI 力への意志』、『蒼き革命のヴァルキュリア』、『イナズマイレブン』シリーズなど多数。
――上映会を終えてみて、いかがでしたか?
光田新しい映像と音楽の楽しみかたを味わえる感じがして新鮮でしたね。いままでこういった上映会の経験がなかったので、皆さん来てくれるかなと不安もあったんですけど、やっぱりいい音で聞いていただきたい、大画面で見ていただきたいという想いがあったので、そういった意味ではやってみてよかったです。
――最初は商品化に反対だったと伺いましたが、こうして商品化するにいたったことに対する心境の変化を改めてお聞かせください。
光田コンサートやライブはひとつのショーなんですよ。人の動きであったりパフォーマンスはひとつの醍醐味なんですが、映像化したものを冷静に自宅で見たりすると、同じ感動で楽しめるのかという不安と、商品の価値としてちゃんとしたものが作れるのかという疑問がありました。ですので、あまりやりたくないというのが正直なところでしたね。
ただ今回は4公演分、全部録音してほしいという提案と、映像も撮れるだけ撮ってほしいとお願いしていたのですが、僕が想像していたより何倍もすごい状態の素材が上がってきたんです。ラフで組まれているにも関わらずクオリティーが高く、「これはひょっとして、ゲームコンサート史に残るBlu-rayが作れるんじゃないか」と思ったんです。
僕は昔から、誰もやったことがないことをやりたい、どうせ作るなら最高のものを作りたいと考えているのですが、今回は本当に素材が素晴らしく、これならほかのゲームコンサートでは絶対に真似できないものを作れると決断して、商品化する流れになりました。
――公演直後の時点で、ファンからの商品化の要望は多かったのではないでしょうか。
光田ファンの要望はかなり多かったですね。なかには当時『ゼノギアス』を遊んでくださった方が親になっていて、子どもが小さいからコンサートに行けなかった。でもみんなが体感したものを共有したいから映像化してほしい……という想いを口にしているファンの方もいらっしゃって。そうした行けなかった人たちのためにも、何かしらの形で商品を残さないといけないと思いつつも、自分に妥協したくはなかった。
妥協して変なものを出すのはファンにも失礼ですから、ちゃんとしたものができるまでは絶対に出さないと思っていたんです。ですが今回は、こうしていま上映して観ても全然恥ずかしくない出来栄えですし、もう1回観たいという熱量が皆さんからも伝わってきたので、成功した商品と言えると思います。
――僕もプライベートと取材で1回ずつ公演に足を運び、後日、妻を巻き込んでニコニコ動画で有料配信していた公演も鑑賞したのですが、まだまだ観たいですから(笑)。
光田ありがとうございます(笑)。やはり、何度も観たくなるポイントがちゃんと散りばめられているんですよね。映像のすごさや編集のうまさ、飽きさせない感じなど、ひとつの商品として後世に残せるものが作れたと思っているので、何度も楽しんでもらいたいです。
――演奏者の手元や表情も見られたりと、映像作品ならではの魅力もありますよね。
光田そうですね。そういった細かなところを見たい人にも今回のBlu-rayは楽しいでしょう。いちばん前の席の人などは、ステージ中央の穴が空いていくところなどは位置的に見え辛かったと思うんですが、そういう方もBlu-rayで改めて俯瞰で見ながら楽しめるでしょうから、おもしろい商品ができたと思います。
――欲張りかもしれませんが、25周年、30周年記念コンサートの実現にも期待してしまいます。この公演ではまだ使われていない曲もありますし……。
光田20周年で全力を尽くしたので現状はノーアイデアです。使っていない曲は確かにありますが、正直20周年記念以上のものを作れる自信はないです(笑)。今回は、いまのジョアンヌを記録しておきたいという想いや、いまやっておかないと一生後悔するなという想いがあったんですよ。
40、50歳となっていくとなかなか体力的にも厳しくなっていくので。それに、僕がすごい親しかったミュージシャンが残念ながらふたり亡くなられていて、もうその人たちとは一生演奏できないですから。そう思うと、大好きなミュージシャンといっしょに作品を作れる時間が限られてはいるんですよね。だからといって、じゃあ25周年記念コンサートをやるとなっても、現状はアイデアがないし、20周年を超えられるのかと考えるとハードルは高いです。
――それくらい、20周年公演が満足いくものになったということでもありますものね。それでも、やるとなればファンは絶対に沸きますよ!
光田そうでしょうけど(笑)。実際、ファンはもっといろいろな形の演奏、たとえばオーケストラで聞いてみたいという方もいらっしゃるでしょうね。ですので、つぎはどうなるかわかりませんが、やるなら違う路線というか、25周年なら25周年、30周年なら30周年にしかできない何かを作りたいですね。でも、約束はできません(笑)。
――わかりました。それにしても『ゼノギアス』20周年の企画としては、本当に素晴らしいコンサート、そして今回の上映会でした。
光田続編があるわけではない単独のタイトルでコンサートをして人が集まるのか、スクウェア・エニックス側のスタッフも僕も不安でしたが、こんなに熱いファンがいらっしゃって本当にありがたいです。20年間忘れずに『ゼノギアス』を皆さんが愛し続けてくれたおかげでこういった上映の企画も誕生しましたし、ぜひこの作品を忘れないで、映像も楽しんでもらえたらと思います。
――最後に、TOHOシネマズ新宿での上映会やニコニコ生放送を待つファンへ向けてメッセージをお願いします。
光田今日の上映会を体感された方は、こんな出来になっていたのか、こんな音だったのかということを再確認できたはずです。当時コンサートに来れた方もそうでない方も、ぜひ劇場の大画面、大音量で楽しんでほしいです。よろしくお願いします。
新宿での上映イベント、ニコ生も要チェック!
2019年3月8日には、TOHOシネマズ新宿での上映会が19時より開かれる。残り少ないもののまだ座席はあるようなので、都合のつく方、興味を持った方は足を運んでみるといかがだろうか。(※記事公開時点の情報)
また、Blu-ray発売前夜となる2019年3月12日には、ニコニコ生放送にて発売直前特番の放送も予定されている。こちらも光田氏が出演し、本作の収録映像を観ながらさまざまな制作秘話や見どころが語られるので、ファンはこちらもチェック!
番組概要
番組名:『Xenogears 20th Anniversary Concert』Blu-ray発売直前SP生放送
放送日時:2019年3月12日(火) 21時~22時30分頃(予定)
出演:光田康典氏/MC 世界三大三代川(ファミ通.com編集長)
配信ページ:http://live.nicovideo.jp/watch/lv318656734