エンターテインメント部門大賞はNHKで放送中の『チコちゃんに叱られる!』。同部門にはゲームも入賞した。

昨年は『人喰いの大鷲トリコ』、今年は『チコちゃんに叱られる!』

 2019年3月1日、都内にて“第22回文化庁メディア芸術祭受賞発表”が行われた。“メディア芸術”とは、従来の絵画や彫刻などとは違う、新しい表現形態の美術作品を指す。“文化庁メディア芸術祭”では、アート、エンターテインメント、アニメーション、マンガの4部門において、優れた作品を毎年表彰している。

 そのうちエンターテインメント部門ではゲームも審査対象としていて、昨年は『人喰いの大鷲トリコ』が大賞を受賞した。今年も61タイトルのゲームを含む、547作品がエンターテインメント部門に応募。大賞に輝いたのは、NHKのテレビ番組『チコちゃんに叱られる!』だった。

遠藤雅伸氏が語る『チコちゃんに叱られる!』選出の理由

 『チコちゃんに叱られる!』は、なんでも知っている5歳児チコちゃんが、「お別れするとき、手を振るのはなぜ?」といった素朴な疑問を投げかける、クイズ形式のバラエティ番組。出演者が回答できないと、「ボーっと生きてんじゃねーよ!!」と怒りの形相で叱りつける。

『チコちゃんに叱られる!』(C)NHK(Japan Broadcasting Corporation)All rights reserved.

 チコちゃんは2.5頭身の着ぐるみだが、放映時にはその頭部が3DCGに置き換えられ、ときには頭を突然大きくしたり変顔をしたりと、さまざまな表情を見せる。受賞発表会にはチコちゃんも駆け付け、決めゼリフを披露したり、集合写真におさまったりして愛嬌をふりまいた。

会場にチコちゃんが登場!

 エンターテインメント部門の審査委員主査を務めるのは、『ゼビウス』などで知られるゲームクリエイターの遠藤雅伸氏。遠藤氏は『チコちゃんに叱られる!』への贈賞理由について、「最終的には5歳に負けた」と笑いを誘った。

 また、「CGを合わせるのはすごくたいへんらしいが、見ている人にとってはどうでもいいこと。すごい技術が使われているにも関わらず、それがまったく気にならずに見られる体験に落とし込んでいることこそ、日本らしい技術の無駄遣い(笑)」と、作品を評した。

遠藤雅伸氏(エンターテインメント部門審査委員主査)

優秀賞には体験型ゲーム、新人賞にはブラジル発のVRゲームが

 大賞のほか、優秀賞と新人賞も合わせて発表されたが、それぞれにゲームが入賞。優秀賞には体験型ゲーム『歌舞伎町 探偵セブン』が、新人賞にはブラジル発のVRゲーム『Pixel Ripped 1989』が選ばれた。

 優秀賞の『歌舞伎町 探偵セブン』は、リアル脱出ゲームでおなじみSCRAPのプロデュースによる、新宿・歌舞伎町の町全体を使った体験型ゲームイベント。実際の店舗に訪問して聞き込みなどを行ない、謎を推理していく。

 新人賞の『Pixel Ripped 1989』は、VRゲームの中で8ビットゲームをプレイするアドベンチャー作品。ゲーム内ゲームでは、日本のレトロゲームがオマージュされている。遠藤氏は「作った人たちの日本のゲームに対する愛の現れかたがハンパじゃない」と解説した。

エンターテインメント部門にはスマホアプリも

 エンターテインメント部門の受賞作品は次の通り。ゲームのほか、ミュージックビデオなどの映像作品や、スマホ用アプリなども受賞している。

■大賞
チコちゃんに叱られる!テレビ番組『チコちゃんに叱られる!』制作チーム[日本]
■優秀賞
歌舞伎町 探偵セブン体験型ゲーム『歌舞伎町 探偵セブン』制作チーム(代表:加藤 隆生/西澤 匠/平井 真貴/堀田 延/岩元 辰郎)[日本]
LINNÉ LENSアプリケーションLINNÉ LENS制作チーム(代表:杉本 謙一)[日本] 
Perfume×Technology presents “Reframe”パフォーマンスPerfume+Reframe制作チーム(代表:MIKIKO)/真鍋 大度/石橋 素[日本]
TikTok』 アプリケーション『TikTok』Japanチーム[日本]
■新人賞
水曜日のカンパネラ『かぐや姫』ミュージックビデオ水曜日のカンパネラ『かぐや姫』制作チーム(監督:山田 健人)[日本]
春映像作品大森 歩[日本]
Pixel Ripped 1989ゲームAna Ribeiro/Carlo CAPUTO/Julia LEMOS/Leonardo BATELLI/William RODRIGUEZ[ブラジル]

アニメーション部門優秀賞には『ひそねとまそたん』も

 458作品の応募があったというアニメーション部門の大賞に輝いたのは、フランスの短編アニメーション『La Chute』。優秀賞にはテレビアニメ『ひそねとまそたん』や、劇場アニメ『ペンギン・ハイウェイ』『若おかみは小学生!』も名を連ねた。

■大賞
La Chute短編アニメーションBoris LABBÉ[フランス]
■優秀賞
大人のためのグリム童話 手をなくした少女劇場アニメーションセバスチャン・ローデンバック[フランス]
ひそねとまそたんテレビアニメーション樋口 真嗣[日本]
ペンギン・ハイウェイ劇場アニメーション石田 祐康[日本]
若おかみは小学生!劇場アニメーション高坂 希太郎[日本]
■新人賞
透明人間短編アニメーション山下 明彦[日本]
Am I a Wolf?短編アニメーションAmir Houshang MOEIN[イラン]
The Little Ship短編アニメーションAnastasia MAKHLINA[ロシア]

マンガ部門大賞は週刊ヤングマガジン連載のSF『ORIGIN』

 マンガ部門には878作品の応募があり、大賞は週刊ヤングマガジンに連載されたBoichiの『ORIGIN』が獲得。ほか、ギャグSF『宇宙戦艦ティラミス』や、江戸時代のBL『百と卍』など、多彩な作品が受賞した。

■大賞
ORIGINBoichi[韓国]
■優秀賞
宇宙戦艦ティラミス原作:宮川 サトシ/作画:伊藤 亰[日本]
凪のお暇コナリミサト[日本]
百と卍紗久楽 さわ[日本]
夕暮れへ齋藤 なずな[日本]
■新人賞
黄色い円盤黄島点心[日本]
見えない違い--私はアスペルガーマドモワゼル・カロリーヌ/原作:ジュリー・ダシェ/訳:原 正人[フランス/日本]
メタモルフォーゼの縁側鶴谷 香央理[日本]

アート部門にはサウンドやダンスを表現に用いた作品も

 アート部門には2501作品の応募があり、大賞は300台を超えるスピーカーとLEDライトを使用したサウンドインスタレーション。インスタレーションとは、展示空間ごと作品とする表現方法のことだ。

■大賞
Pulses/Grains/Phase/Moiréサウンドインスタレーション古舘 健[日本]
■優秀賞
Culturing<Paper>cutメディアインスタレーション、バイオアート岩崎秀雄[日本]
datumメディアインスタレーション平川 紀道[日本]
discrete figuresダンスインスタレーション真鍋 大度/石橋 素/MIKIKO/ELEVENPLAY[日本]
Lasermiceメディアインスタレーション菅野 創[日本]
■新人賞
SPARE(not mine)インタラクティブアートJonathan Fletcher MOORE[米国]
Total TolstoyメディアインスタレーションAndrey CHUGUNOV[ロシア]
watageメディアインスタレーション(euglena)[日本]

受賞作品は6月1日から日本科学未来館にて展示

 これらの受賞作品は、6月1日から6月16日まで、日本科学未来館(東京・お台場)ほかで開催される“第22回文化庁メディア芸術祭受賞作品展”にて展示される。入場は無料。詳しい情報は文化庁メディア芸術祭ウェブサイトで発信される。