2019年2月9日、10日に、東京・お台場の日本科学未来館で開催された“ワンダーメイクフェス5”を取材した。“「みんなが主役」のITxものづくり発表会”をコンセプトにした同イベントは、その主旨のとおり、子どもたち自身が作ったプログラムだったりロボットだったりを発表する場だ。

 イベントを主催するのは、小学生向けプログラミングとロボット教室を展開するLITALICO(りたりこ)ワンダーで、“ワンダーメイクフェス”は、生徒である子どもたちの成果を発表する場として開催されているもののよう。プレゼンがあったりブース出展があったりと、学園祭に近い感じなのかな……との印象だ。

 子どものための教室といえば、記者が子どものころは、せいぜいそろばん教室や習字教室くらいしか存在せず、IT関連の教室というのは、「時代の流れだなあ~」ということで感慨深いが、それにしても会場をふらり回って驚かされるのは、子どもたちの作品のクオリティーの高さ。展示されている、プログラムを駆使してのゲームやロボットには、自分が同じくらいだった年のことを考え合わせると、「すごいなあ」と、素直に感嘆してしまう。

 プログラムの勉強という点では、ゲームが活用されることが多いようで、ブース出展には数多くのゲームが出展。その雰囲気は、さながら“ちびっ子インディーゲームイベント”といった様相だが、子どもだち自身の説明を聞きながら、ゲームを試遊するのはなんか楽しい。「この中から、きっと将来ゲームクリエイターになる人も生まれてくるんだろうなあ」と思うと、未来を少し覗き見しているようでワクワクしてしまう。記者、不勉強にもこのワンダーメイクフェスのことはあまり知らなかったのだが、かように楽しいイベントでありました。

“ITxものづくり発表会”のワンダーメイクフェス5にデジカが出展した理由は?_11
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自分で作ったゲームやロボットをみずから説明する子どもたち。小学生でここまでできるなんてすごいとしかいいようがない。記者が子どものころといったら……。
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会場にはパネルも用意されていた。これはプレゼンが苦手な子どもの向けという意味あいもあるようだ。

 そんなワンダーメイクフェス5には、いくつかのスポンサー企業が出展しており、デジカもその1社。デジカというと、Steamのパートナー企業であったり、eコマースサービスを事業とする企業との印象が強く、子どもの教育とは関連がなさそうにも思えるが、当日は同社が海外販売やサイト運営を担当する『RPGツクール』を出展し、子どもたちに自由に触ってもらっていた。それもただ出展というわけではなくて、担当者のレクチャーを経て、15分くらいかけて自分の思うがままに街を作成。できあがった街を会場に設置されているパネルに貼っていき、最終的には2日間の体験者全員、大きな街を作り上げるという趣向だ。しかも、パネルの横には体験者のクリエイターさんとしての名前を記入するボードも用意されており、ゲーム作りの楽しさと、いっしょに何かを達成することの醍醐味、そして参加することのうれしさを体験できるようになっている。

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記者が取材に訪れた1日め(9日)のボードはこんな感じ。
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 おそらく当日体験したほどんとの方が、『RPGツクール』に触るのは初めてだと思われるが、その集中ぶりといったら! 原稿1本書くのにも、あっちをよそ見したり、あさってを見つめたりと効率が悪く、つとに集中力のなさを自覚する記者としては、羨ましい限り。「この中から、ゲーム開発に興味を持ってくれる子どもも出てきてくれるかもしれないなあ」と思うと妙にうれしかったり。

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 会場で、ブースの責任者であるデジカの清水翔氏にお話をうかがうことができた。「今回出展したのは、子どもたちにクリエイティブの楽しさに触れてほしいと思ったのが大きな理由です。子どもたちに触りやすいツールを提供することで、将来ゲームクリエイターに興味を持っていただけたらうれしいです」と出展の理由を説明。そのうえで、出展内容の意図については、「今回は自分で作ったマップをシールにして、それを全体の大きなボードに貼っていくことで、自分ひとりではけっして作れないような大きな街が、いろいろな人も力を合わせると完成するということをわかっていただきたくて、企画しました。自分の中でクリエイティブになったものがいろいろな人のクリエイティブにつながっていくと、もっと大きなものになる。自分ひとりでは叶えれれないこともできるということを体験してもらいたかったんです」と語ってくれた。

 ローマは一日にして成らずではないが、こうした取り組みが、将来に着実につながっていくのだと思わずにはいられない取材だった。それにしても、ワンダーメイクフェスは楽しかった……。

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参加者にレクチャーする清水翔氏。記者のインタビュー中に「あ、ちょっと……」と言いながら子どもに説明するために駆け出していってしまったが、子どもに接するのが楽しくてたまらない様子。
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イベントの終了が近づいたくらいのボート。当初は現代のマップを作る子どもが多いかと思われたが、最終的にはファンタジーが圧倒したようだ。