戦争や蛮族よりも怖い? 自然災害の洗礼!

 2KとFiraxis Gamesより発売中の、PC用シミュレーションゲーム『シドマイヤーズ シヴィライゼーション VI』。その拡張パックの第2弾“嵐の訪れ”が、2019年2月14日(木)に発売となる

自然と国際社会を叡智で制す!『シドマイヤーズ シヴィライゼーション VI 嵐の訪れ』の魅力を余さず紹介する先行体験リポート_01

 拡張パック第1弾“文明の興亡”では、“同盟”の明確化、“総督”による都市発展の加速、“黄金時代”の恩恵など、プレイのしやすさと分かりやすさ、そして波に乗れたときの気持ちよさが、格段に向上した。

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文明を導き、発展させるシミュレーションゲームと聞くと難しそうと思われるかも知れないが、『VI』のシステムは初心者でも非常に分かりやすいのが特徴。前の拡張パックを経て、さらに分かりやすくなった。

 正直に言うと、筆者は前の拡張パックが出たおかげで、平均睡眠時間が一時期は半分くらいになるほど本作に熱中した。マルチプレイがおもしろいのは当然として、シングルプレイでもまるでプレイヤーが操作しているかのように、他文明の指導者が個性的に振る舞う。そのため本作はシングルで遊ぶ際にも、外交などが楽しいのだ。特殊なシチュエーションで遊べるシナリオモードもあるため、ひとりで遊んでてもまったく飽きがこない。

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コンピューター操作になった他文明の指導者は、“アジェンダ”というその指導者特有の方針で行動する。兵力を自分より多く持つ文明を嫌ったり、お金持ちになったら寄ってきたりなど、実に生身の人間らしい動きをするのだ。

 そんな筆者なので、2Kから先行プレイが可能な環境を提供していただいた直後、楽しみすぎていろんなチュートリアルをすっ飛ばし、“嵐の訪れ”をプレイし始めてしまった。以下、そんな体当たりプレイの結果何が起こったかを、赤裸々にお伝えしていこう。

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さまざまな文明と、その指導者を選んでプレイできるのも本作の魅力。まずは“嵐の訪れ”で追加された新文明“カナダ”の指導者、ウィルフリッド・ローリエでプレイしてみる。他の新指導者については、のちほど解説しよう。

 まずは『シドマイヤーズ シヴィライゼーション VI』の基本を再確認しよう。本作では、平地や山岳といったさまざまな地形のタイル(マップ上の六角形のマス)に、“都市”を築くところからすべてが始まる。都市は徐々に拡大していく領域を持っており、領域内のタイルから、“食料”や“生産力”といった資源を回収できるようになる。

 本作はリアルタイム進行ではなくターン制なので、タイルの情報をじっくり見極めて、都市を作る場所を見定めても問題ない。こうして時間をかけてプレイできるのが、初心者にはうれしいところだ。

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各文明に最初に与えられるユニット“開拓者”で、文明の首都となる最初の都市を作る。タイルに表示されているトウモロコシや歯車のマークが、得られる食料や生産力を表す。

 都市は食料を糧にして“市民”を増やし、タイルに配置することでそのタイルから資源を回収する(この辺の割り振りは自動でやってくれる)。また、各都市はひとつだけ生産ラインを持っており、さまざまなものを生産力を使って作ることができる。また、都市が持つ生産力が多ければ多いほど、生産完成までのターン数は短くなる。

 都市で生産できるものは、新たな都市を作るための“開拓者”や、タイルを改良し、より多くの資源を回収できるようにする“労働者”などのユニットのほか、領域内のタイルに新たな“区域”を作るなど、多岐に渡る。

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市民の数と生産力の確保は最優先だが、食料や生産力以外の資源が得られる区域を作ったり、攻めてくる他文明や蛮族に備えて戦闘用のユニットを作るのも大事だ。
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とくに特殊な資源となる、“科学力”と“文化力”は重要。それぞれがより多いほど、“技術ツリー”と“社会制度ツリー”という、都市の生産とは別の独立したシステムにおいて、新たな項目の解放にかかるターン数が短くなる。

 都市を増やし、改良して資源を得て、技術ツリーと社会制度ツリーを進めていくほどに、都市で生産できるものの種類や、得られるボーナスが増えていく。これをくり返して、ゲームに参加している他文明を何らかの形で圧倒すれば、勝利となるわけだ。

 このように分かりやすい本作なだけに、じつは序盤の定石もだいぶ決まっている。とりあえず周囲を最初からいる“戦士”に偵察させつつ、“投石兵”を作ってその辺の蛮族を倒したら“弓兵”にアップグレードする、といった感じだ。

 そして都市を置く位置も、“隣接ボーナス”があるため、だいたい川や湖といった水源タイルの隣となる。これも定石だ。今回もそうした。解説役の“助言者”が、何か言っていたような気がしたが……。

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川の横に都市の中心を置くだけで、いろいろなボーナスが得られる。さらに特定の区域にも、特定の地形タイルによる隣接ボーナスがある。パズルのように隣接ボーナスを考えて都市を開発するのも、本作の楽しみのひとつだ。

 あとはもう、パターンに入ったと言ってもいいだろう。このまま川の恵みにあやかって、新たな都市の増設と各都市の発展を続けつつ、他文明と状況に応じて付き合い方を変えていけばいいワケだ。

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他文明のユニットや都市を見つけると、外交が可能となる。社会制度ツリーを進めることで、取引をしたり、友好関係を築いて“同盟”を結び、お互いの文明にボーナスをもたらすことができる。

 よし、これであとは円満に文明発展を楽しむだけ!

 ……そんな風に、あのころは考えておりました。

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楽勝ムードが漂ったところに、いきなりこんなカットインが。え、水害……え!?

 なんと、隣接ボーナス目当てにいろいろな施設を横に設置していた川が、突如まさかの氾濫を起こした。“嵐の訪れ”では、各地でこうした自然災害が発生するようになったのだ。

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濁流に飲まれた川沿いの農場は、蛮族などに襲われたのと同じ“略奪”状態になってしまった。こうなったタイルは労働者や、都市の生産による修復を行なわないと、機能を失ったままとなる。

 そのあとも、自然災害はわりと高い頻度で我がカナダ文明を襲った。戦闘ユニットで追い払える蛮族などとは異なり、この被害は止めようがなく、一瞬で複数のタイルを破壊されてしまう。

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砂嵐、干ばつ、ブリザードなど、地形に沿った自然災害が文明に牙を剥く。何もない平地にも突如竜巻が発生することもあり、自然の猛威からは逃げられない。

 そんな自然災害の中でも一番驚いたのは、“火山”の噴火だ。別の文明でプレイしてみた際には、都市の領域内に入れると文化力などを大量に手に入れられる“自然遺産”のひとつである“ヴェスヴィオ山”を見つけ、喜んで近くに都市を作ってみたのだが……。

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ヴェスヴィオ山が突如大噴火。山に隣接するタイルを溶岩流が襲い、さらに市民が減ってしまった。その後も何度も噴火したため、隣のタイルに区域や施設を作ることはとてもできなかった。

 先に説明した通り、川や山岳の隣接ボーナスは文明発展の鍵となる。だが、本作では自然災害が、そうした場所にこそやってくるわけだ。

 これはいままでの定石を外してでも、文明発展を遅らせてでも、自然災害から逃げろということなのだろうか……?

自然の猛威を制する、これが人類の技術力!

 このように恐ろしい自然災害だが、現実の歴史を紐解いてみれば、逃げてはいけないことが分かる。結局のところ大きな古代文明は、すべて川の隣で繁栄したのだ。

 本作でも自然災害は、破壊だけをもたらすものではない。氾濫や溶岩流に覆われたタイルには、食料などの追加資源が発生して、より豊かなタイルとなる。

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川の氾濫は、隣接タイルに追加の食料や生産力をもたらす。さきほど紹介したヴェスヴィオ山では、貴重な文化力が追加される!

 こうして原始農耕を行なうタイルが豊かになると、文明の発展スピードは目に見えて早くなった。修復の手間を考えても、十分おつりが出る。

 だが、文明が発展してきたら川や山岳の隣には農場以外の区域を置きたくなるため、さすがにそれ以上の自然災害被害は避けたくなる。そんな悩みを解決してくれるのが、“嵐の訪れ”で追加された新たな技術項目だ。

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たとえば、技術ツリーを進めて“ダム”区域が設置できるようになれば、川の氾濫による被害を大きく緩和できる。ただしその分、氾濫でタイルが得られる食料などのボーナスも減る。

 また、技術の力は自然災害を防ぐだけではなく、本作ではより都市をパワーアップさせる要素に直結している。本作には新たな資源として“電力”が登場しており、これは発電所などを作らないと得られない人工の資源だ。

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発電所は“工業地帯”区域をアップグレードしていくことで、作ることができる。また、技術ツリーを進めれば、ダムに発電機能を付与できる。
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区域の中には、電力を消費することで追加の効果を発揮できるものが多い。逆に技術が進むと、電力がないと最低限の機能しか発揮できない区域も登場する。

 石炭発電や石油発電、さらに後世の原子力発電には、それぞれ“石炭”や“石油”、“ウラン”といった資源が必要になる。“嵐の訪れ”ではこうした資源は貯蓄し、消費していくリソースに変更された。

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石油やウランは、産出されるタイルから毎ターン一定数貯蓄されるものになった。鉄や硝石なども同様で、ユニットなどを生産する際に消費する。

 こうして見ると、技術の進歩によって本作での文明の発展はかなり加速したように見えるが、技術は同時に問題も起こす。資源は使っていくうちに枯渇し、さらにこうした燃料を使った発電は、大気中の二酸化炭素を増やしていく。そうして自然破壊が進むと、新たな、そして致命的な自然災害を招くことになるのだ。

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筆者もスウェーデン文明で調子に乗って燃料発電ばかりしていたら、ものすごい大気汚染を引き起こしてしまった。こうして温暖化が進むと、極地の氷が溶け、異常気象による竜巻などが多発するようになっていく。
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とくに恐ろしいのが、温暖化による海水位の上昇だ。防波堤を準備しておかないと、沿岸の一定海抜メートルまでのタイルが、そこにあった区域などと一緒に水没してしまう。

 だが、こうした問題もまた、技術の力で避けることができる。二酸化炭素を生まないクリーンな発電方法だけでなく、21世紀の技術力は、海上都市などといったかつてない都市開発手段をプレイヤーに与えてくれる。

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技術ツリーと社会制度ツリーの最終段階にある各項目は、今作からは解放条件が整うまで内容が伏せられ、ツリー上での配置も毎回変わるようになっている。
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21世紀の技術を手に入れれば、海上風力発電などのクリーンな発電方法に加え、海上都市の建設も可能になる!

 また、いままではどうしようもなかった地形の問題も、技術力である程度解決できるようになった。通り抜け不可だった山岳タイルをトンネルなどの区域でスムーズに行き来したり、内地の湖や川と外洋をつなげる運河を作ったりと、より都市開発がしやすくなる要素が増えている。

 ほかにも“工兵”が交易路を鉄道に改良し、ユニットの行き来をスムーズにできたりと、文明発展を加速させる追加要素は多い。どれも分かりやすいが効果絶大なので、ぜひ試しつつ楽しんでみてほしい。

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地形を変える技術の中でもとくに圧巻なのが、遺産“パナマ運河”だ。自身のタイルに加えて運河を1タイル隣に生み出すため、2タイルまでの陸地を貫き、内地の水源と外洋をつなげてくれる。内地での港の運用法が、この遺産ひとつで大きく変わる。

世界恒久平和のために! 新勝利条件“外交による勝利”

 『シヴィライゼーション』シリーズの魅力のひとつに、勝利条件の多彩さが挙げられる。ほかの都市をすべて武力で制圧する“制覇による勝利”だけでなく、文化を育て、世界中の観光客の大半を獲得する“文化による勝利”、技術を発展させて宇宙移民を成功させる“科学による勝利”、自文明が創始した宗教を世界の主流にする“宗教による勝利”と、4つの別々の勝利条件が用意されているのだ。

 “嵐の訪れ”では自然環境や新技術の導入のほかに、この勝利条件が新たにひとつ追加されるという、大きな変更が入っている。それが“外交による勝利”だ。

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非常におもしろい勝利方法なので、実際に筆者が今作で追加された新文明のひとつ、スウェーデン文明で外交勝利を収めるまでの過程を例に説明していく。専用エンディングはかなり壮大で気持ちいいので、一見の価値ありだ。

 まず、本作では“外交的支持”という新たな資源が追加されている。これは国際社会で自分の文明がいかに影響力を持つかを表すもので、他文明と同盟を結んだり、各地に点在する“都市国家”を代表団を通じて傘下に置いたりすることで、石油などの資源と同じく、毎ターン蓄積されていく。

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画像左上の数値が外交的支持ポイントだ。まずはさまざまな文明や都市国家と仲良くし、このポイントを溜めることが大事。
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なお、このポイントも資源のひとつなので、外交の取引で使うこともできる。各指導者とも、かなり欲しがる資源のようだ。

 世界の年数がある程度進むと、一定ターン数(標準では30ターン)ごとに“世界会議”が開かれ、全文明の指導者が集められる。会議の場では、いくつかの決議が用意されており、各指導者は外交的支持ポイントを消費して決議に投票できる。

 形式的には一国が投じる一票なのだが、外交的支持を費やすことで、その一票の“重み”を増すことができるわけだ。

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決議の内容は、特定の資源や区域に対するボーナスや、特定の指導者へのボーナスを決定するものが多い。基本的には、自分が有利になる方の決へポイントを大量に投入すればいい。どの決議にも10ポイント分は無料で投じられるので、興味がない決議には適当に無料分だけ投じよう。

 さらに時代が進むと、この世界会議の議題の中に、“特定の文明が外交による勝利ポイントを得る”というものが追加される。この勝利ポイントが10点溜まると、その文明は世界をけん引するリーダーと認められ、その文明の“外交による勝利”が即座に決まるのだ。

 また、特定のスコアなどを次の世界会議までに競い合う、コンペ型の決議も出てくることがある。戦争を用いない平和的な手段で競うことができる、新たな戦いの場だ。

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特定の文明の外交による勝利ポイントを下げるという選択肢もあり、外交的支持を消費しての殴り合いが展開する。また、災害に見舞われた文明が出した緊急決議に賛同し、最大の支援をした場合などにも、勝利ポイントが与えられる。

 外交による勝利を狙うには、ふだんから他国も有利になる同盟関係などを続けつつ、外交的支持をひたすら溜めこまないといけない。この勝利条件を狙わないなら、決議で外交的支持を消費し、自分の文明が目指す勝利条件に有利なボーナスを得てしまえばいい。外交的支持をいかに溜め、いかに使い分けるかが、“嵐の訪れ”では重要なファクターとなっている。

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カナダ文明でプレイした際には“文化による勝利”を達成したが、その際には平和的な外交で自然と溜まっていた外交的支持が、観光力の加速に大いに役立ってくれた。

 また、国際社会に関するシステムでは、他文明に攻撃することで溜まり、あらゆる文明から敵視されるようになる“好戦性”システムが、“不平”システムという新たな要素に置き換わった。

 好戦性システムがあった以前の場合、たとえばこちらの都市が別文明に武力で奪われた際に、逆に武力でその都市を取り返した場合、この報復攻撃でも好戦性が高まり、他文明に敵視されるという理不尽な状況が発生していた。不平システムは、これを解決する新たなシステムだ。

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実際にスウェーデン文明でプレイしていた際に、都市“エレブルー”を、左隣のマリ文明による奇襲戦争で奪われた。

 奇襲戦争などの国際社会的によろしくない行動をとった他文明に対して、自分の文明は“不平”のポイントを一定数得る。もし報復攻撃などをその文明に対して行なったとしても、まずはこの“不平”ポイントが減るだけで、別の文明からは「当然の行為だ」と見逃してもらえる。不平が溜まるとその分、その文明にやり返しても文句を言われない権利が得られるわけだ。

 この不平と外交的支持のポイントは、日ごろの外交の中でも上下していく。不平がいかに溜まっているかで、奇襲戦争などを仕掛けてくる可能性も計れるので、外交がかなりやりやすくなった。

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実際のプレイでは、エレブルーを取り返すのには戦闘を仕掛けず、外交的支持などを支払う交渉で取り戻した。そのため不平は戦争ほど減らず、この不平は後世に武力を溜めこんでからの逆侵略時などに活用できる。
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不平が大きく高まる行動をすると、好戦性システムと同じように、緊急の世界会議で糾弾を受ける決議が発案される。溜めておいた不平で、それを避けられるのは便利だ。

新文明も非常に個性的! すべての勝利条件がおもしろくなった!

 さまざまな新システムが導入された“嵐の訪れ”だが、それに加えて新たな指導者が9名追加された。そのいずれもが、かつてないタイプの能力を持っており、新鮮なプレイ感覚を与えてくれる。

 以下に、各指導者の簡単な特徴と、使ってみての感想を書いていこう。

・イギリス/フランス文明 アキテーヌ女公アリエノール

 ひとりの指導者ながら、ふたつの文明ごとの異なる能力を発揮する。いずれの文明でも文化を育み、芸術作品で周囲の都市を自国に招き入れる能力を持ち、さらにイギリスの場合は工業と海運、フランスの場合は観光力と自衛力に優れる。いずれも文化勝利と並行して、別の勝利条件も狙いに行きやすかった。

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なお、“同一の指導者の使用禁止”ルールが採用されている場合、イギリスとフランスのアリエノールは同一人物として扱われ、同時に使用できない。

・カナダ文明 ウィルフリッド・ローリエ

 先のプレイリポート内でも筆者が使っていた文明だが、奇襲戦争を受け付けず、また仕掛けることもできないという、平和的なプレイをするのに最適な能力を持つ。
 さらに文化力と観光力を大きくブーストでき、またふつうは不毛の大地扱いされるツンドラを活用できるため、他文明との領土衝突も避けられる。

・マオリ文明 クペ

 海洋民族の文明はこれまでにもいくつかあったが、マオリ文明はもっとも尖った海洋民族と言えるだろう。スタート時から船の技術を持ち、まずは最初の都市を建設する大陸を、海をさまよって見つけるところからゲームが始まる。
 最初からさまざまな大陸を目指せるほか、都市の防衛や自然のタイルの活用において、非常に優れた能力を持っている。

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マオリ文明のスタート時の模様。いきなり大洋に放り出されるとは……。

・スウェーデン文明 クリスティーナ

 筆者が“嵐の訪れ”で一番気に入った文明。偉人を招致するたびに外交的支持が得られたリ、文化面と技術面の両方で強力なブーストを持っていたりと、あらゆる勝利条件を狙える平和的文明だ。

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クリスティーナが参加しているゲームでは、世界会議に“ノーベル賞”の特殊なコンペ型決議が追加される。この項目はたいていの場合クリスティーナに有利な内容になっているので、わりと簡単にボーナスをいただける。

・オスマン文明 スレイマン1世

 最近はシステム的にやりにくくなった、制覇による勝利を前提とした文明。占領した他文明の都市をより忠実に、より豊かにする能力を持ち、さらに占領都市を使って生産すると有利になる固有戦闘ユニットを持つ。都市が占領しやすく、また占領すればするほど強くなっていくという、制覇の申し子だ。

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この文明は独自の総督“大宰相”を持っており、占領した都市に彼を送り込むことで、征服をさらに有利に進められる。既存の総督の能力も“嵐の訪れ”で変化しているので、要確認だ。

・フェニキア文明 ディードー

 首都がある大陸では沿岸部に新都市を設立しやすく、さらに首都を別の都市に移すことができるため、版図拡大がやりやすい。海洋活動や交易、ならびに太古時代の海戦力にも優れており、序盤で一気に都市を増やして勝負するタイプの文明だ。

・インカ文明 パチャクティ

 他文明と異なり、山岳タイルが生産力などを発生させるほか、山岳タイルの隣に農場の上位互換とも言える“棚畑”を作れる。さらに山岳タイルを一瞬で通り抜けるトンネルのような固有区域を作ることができ、山岳周辺では運搬や用兵においても強い。

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山岳タイルといえば、いままでは“キャンパス”の隣接ボーナスを生み出すタイルとして見られてきたが、パチャクティにとってはさまざまな活用が可能な場所となる。火山活動にだけは注意したい。

・ハンガリー文明 マティアス・コルヴィヌス

 都市国家を支配し、その兵力を“徴用”で一定ターン数自分のものにすることでさらに支配を強め、軍隊も強化されるという、一風変わった戦闘型文明。さらに都心から川を挟んで反対側のタイルに作る建造物に、大きな生産力ボーナスがかかる。

・マリ文明 マンサ・ムーサ

 交易と商業に優れた能力を持ち、不毛なはずの砂漠タイルから特殊な隣接ボーナスを得られる文明。さらに宗教による勝利を目指す際にに必要な資源“信仰力”にもボーナスを持ち、信仰力をゴールドを得る手段に転用することもできる。宗教勝利に向いているのはもちろん、ゴールドも稼ぎまくれる文明だ。

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砂漠タイルが追加資源を生み出すようになる遺産“ペトラ”を建設できれば、マンサ・ムーサはもはや止まらない。各遺産は全文明を通じてひとつしか存在できないので、ここでも手に汗握る競争が生まれる。

 一通りの文明を浅く広くだがプレイさせてもらい、とくにおもしろいと感じたのは、いままであまり利用法がなかったツンドラや山岳、砂漠などを有効活用できる文明だ。また、文化勝利、科学勝利、宗教勝利といった平和的な勝利条件だけでなく、制覇勝利にも強い新文明がおり、外交的支持と不平の使い道の多彩さを実感させてくれる。

 また、文明の能力だけでなく、新技術や新社会体制も、科学勝利や文化勝利をバックアップしてくれている。制覇勝利については、過去シリーズに登場した“巨大戦闘ロボット”が戦闘ユニットとして復活したので、ロボット軍団で大陸を蹂躙することも不可能ではない。

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21世紀の技術力を極めれば、ウランで動く巨大戦闘ロボットを生産可能になる! 馬鹿げた戦闘能力と移動力を誇り、他のユニットではまず歯が立たない。
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巨大戦闘ロボットには技術ツリーを進めることで、ミサイルや爆撃を撃ち落とす対空防御など、さらに強力な機能が追加される。ひとつの文明を更地にすることも、相手が巨大戦闘ロボットを持っていなければ朝飯前なのだ。

 そもそも、科学勝利に関しては条件達成の方法が変わっており、文化勝利においても“ロックバンド”という、信仰力で購入可能な、大量の観光力を生み出すユニットが追加された。これまでとはひと味もふた味も違う、新たな『シヴィライゼーション』を楽しむことができるだろう。

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科学による勝利の最終フェイズでは、宇宙船基地の区域がある都市すべてが宇宙の探査船にエネルギーを送り、航続距離が50光年になることを目指すようになっている。電力やアルミニウムをものすごく消費するが、全都市で分担することが可能になった分、妨害で止められにくくなった。
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ロックバンドは世界各地の遺産や施設でライブを行なうことで、自文明の観光力を高めてくれる。興行を続けることで成長するが、一定確立で突如解散してしまうことも……。

 また、操作系統についても新たに“生産キュー”という、各都市の生産を前もって順番に登録しておける機能が追加されたため、かなり手間が減った。また、いままでは分かりづらかった隣接ボーナスの値が、“帝国レンズ”で各タイルに表示されるので、都市の開発計画を練る際にとても助かる。

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いままでは各都市で、生産が終わると次の生産をそのたびに決定していたが、生産キューを使えば「この都市はひたすら軽騎兵を作り続ける」などといった設定が可能だ。全都市の生産状況を、一目で確認できる点でも便利!
自然と国際社会を叡智で制す!『シドマイヤーズ シヴィライゼーション VI 嵐の訪れ』の魅力を余さず紹介する先行体験リポート_58
帝国レンズを画面左下のオプションから選択すると、各タイルが得ている隣接ボーナスが表示される。どの都市が何に優れている状態なのか、非常に分かりやすくなった。

 以上のように、自然の脅威とそれを制する新たな技術、そして新たな文明や勝利条件が加わったことで、『シドマイヤーズ シヴィライゼーション VI』はますます深くおもしろく、時間を忘れてプレイさせてくれるゲームとなった。

 とくに自然災害については、いつ、どこで起きるかが分からないため、定石に陥りやすかった序盤や終盤での、とてもいい刺激になっている。あと、長時間プレイしていても、災害のカットインが入ると一発で目が覚めた。

自然と国際社会を叡智で制す!『シドマイヤーズ シヴィライゼーション VI 嵐の訪れ』の魅力を余さず紹介する先行体験リポート_59
ちなみに「川の氾濫でド派手な被害を被ったシーンが撮影したい」という邪念を抱いてプレイした際には、一度たりとも氾濫が起きなかった。自然は気まぐれなものだ。

 前回の拡張パックに引き続き、今回もまったく新しい『シヴィライゼーション』の遊びかたを提供してくれる“嵐の訪れ”拡張パック。どの勝利条件を目指す場合でも、従来よりもおもしろくなっていること請け合いだ。ぜひこの自然と世界を相手に渡り合う楽しさを、自分好みの文明とともに味わってみてほしい。