2019年3月8日(金)にカプコンからプレイステーション4/Xbox One/PC用に発売予定のスタイリッシュアクション最新作『デビル メイ クライ 5』(以下、『DMC5』)。
今回、メディア向けのプレビュー版をプレイする機会を得たため、そのプレイでわかったことや、気になったことなどを、『DMC5』ディレクターの伊津野英昭氏、シニアプロデューサーの岡部眞輝氏、プロデューサーのマシュー・ウォーカー氏に聞いてきた。絶賛配信中の体験版第2弾で己のスタイリッシュさに磨きをかけて、華麗に暴れ回る準備を整えておこう!
伊津野英昭氏(いつの ひであき)
『デビル メイ クライ 5』ディレクター
岡部眞輝氏(おかべ みちてる)
『デビル メイ クライ 5』シニアプロデューサー
マシュー・ウォーカー氏
『デビル メイ クライ 5』プロデューサー
ニコの登場シーンには驚くと思います
――『DMC5』プレビュー版をプレイしました。タイトル画面の“HISTORY OF DMC”で『DMC』シリーズの歴史を映像作品として鑑賞できるのはいいですね。うれしいファンも多いのではないでしょうか。どのような経緯で入れたのですか?
伊津野 『DMC』シリーズはストーリーにつながりがあるため、「初めて触れるのが『DMC5』でも大丈夫ですか?」という質問をよく受けていました。そこで、前作までのストーリーがわかるものを作ろうと思ったのがきっかけです。『DMC4』のときはインストール中に観られるものを作りましたが、今回は映像作品としてしっかり観られるものにしようかと。スタイリッシュさは重要なので、見せかたに四苦八苦しましたが。
――シリーズの時系列もわかりやすかったです。
伊津野 じつは映像の中の一部に、これまでの設定から変えている部分があるんです。
マット コアなシリーズファンの方は、映像を観ればどこが変わったかすぐにわかると思います。
――ソフトを立ち上げたときや、プレイの締めくくりなどで、ついつい何度も観てしまいました。
伊津野 映像は5分ほどですが、それほど気に入っていただけたなら成功かな?
――先ほどスタイリッシュさが大事だとおっしゃいましたが、本編以外の部分もカッコいいですよね。
伊津野 カッコよく見せることはつねに意識しています。でも、あまりに狙い過ぎて、必死さが透けて見えるような演出ではダメですけど。
――なるほど。ではさっそくゲームの内容について。電話ボックスを使ってニコを呼び出せるシステムがありますが、実際のプレイでは電話ボックスにいろいろなタイプがあることに気づきました。
伊津野 もともと、電話ボックスにはバリエーションを用意したいという話が挙がっていました。あと、電話ボックスでニコを呼び出したときの演出も毎回異なりますが、じつは僕が気付かないうちに、スタッフが作っていたんですよ。
マット 僕は、ニコの登場シーン好きですよ。思いがけない場所から走ってきたり。
岡部 ニコのキャラクター性がよく出ているよね。
伊津野 正直「え、こんなすごいの作ったの?」という印象でした。スタッフのがんばりですね。
――以前の取材で体験版をプレイしたときは、電話ボックスが初めて出てくる場所のせいか、鳴っている電話ボックスをネロが受けて、ニコが「今後はそっちから電話で呼べよ」と言われました。それで、今後は電話をかけた瞬間にショップの画面になるのかなと思っていたら、あんなにド派手な演出があるとは……。
マット あまり詳しく言えませんが、いきなり天井から落ちてくる登場シーンがお気に入りです。
――ネロが「さすがにここには来られないか」と言っていたところにも来たりとか。勢い余ってネロを轢きそうになったり……。
岡部 ニコの登場シーンは観ていて飽きないものばかりですので、ぜひ楽しんでほしいです。
『デビル メイ クライ 5』ニコ登場シーン
伊津野 使用キャラがネロかVかで、ニコの登場演出が変わるところもあるんですよ。
――Vが使役しているグリフォンに向かって、「チキンヤロー」など挑発したような会話をするニコに、彼女の強さが感じられました。
岡部 そんなニコも、ムチャな運転をして冷や汗をかいたりと、意外とかわいい一面もあります。おそらく『DMC5』をプレイしていくうち、ニコのことを好きになると思いますよ。レディやトリッシュなど、ほかの女性キャラクターもそれぞれの魅力があります。
――ネタバレになるので詳細は自粛しますが、レディが●●姿で出てくるところは……正直言いますと「エロい!」と思いました。
伊津野 そこに触れますか(笑)。あのシーンよかったですか?
――よかったです! 『DMC5』は、男女、種族問わず、すべてのキャラクターが個性的で存在感がありますよね。やはりキャラクター設定を考えるのに苦労されたのでしょうか?
伊津野 『DMC』シリーズはキャラクターの濃さが重要なので、キャラクターが勝手に動き出すくらいまで作り込んでからシナリオに移りました。
――プレビュー版は日本語でプレイしましたが、Vの声もカッコいいですね。
岡部 Vは、日本語では少し声が高めですが、英語では少し声が低めなんですよ。若干声質が違いますがどちらもVのイメージに合っていますよ。
Vは初心者から熟練者まで幅広く楽しめるキャラクター
――各ミッションクリアーまでの時間が、短すぎず長すぎず、また起伏に富んだ仕掛けも多かったのが印象的でした。
伊津野 遊ぶペースは人によって異なるので、1日に1ミッションだけ遊ぶ人、もしくはボス戦手前まで遊び、翌日にボスと戦おう、というように、日々のモチベーションを保てるバランスにはしています。毎日少しずつ遊んでも充実感を感じていただけるように、意識して作りました。
――まさにいまの時代を意識したゲームデザインなのですね。Vのアクションについてお聞きします。以前インタビューでうかがったときは、3体も魔獣がいて操作はどうするんだろう、という質問に、「各攻撃ボタンがそれぞれ魔獣に振り分けられている」というお話でした。実際にプレイすると、想像していたほど難しくなく、それでいて爽快感が感じられました。
伊津野 じつは社外の方にVのプレイ感想を聞くのは、今回が初めてなんですよ。どっちがインタビュアーかわかりませんが、もっと聞かせてください。
――2体の魔獣をどう使うか考えるのが楽しいですね。通常攻撃だけなら2体の魔獣の同時操作も簡単なのですが、魔獣のスキルを覚えて、よりスタイリッシュに戦いたいと考えると、テクニカルな操作を求められるという。
『デビル メイ クライ 5』Vの魔獣紹介
岡部 デビルトリガーゲージを1本消費して魔獣1体を自動で戦わせられますから、そのあいだに残り1体を操作するのもアリですね。
伊津野 そこからVの操作に慣れていくのがいいですね。極めれば、指1本でシャドウの攻撃ボタンを長押ししながら、グリフォンの攻撃ボタンを連打するといったことも自然にできるようになりますので、その域まで達したら2体同時操作を楽しんでください。
マット 2体とも連打で出せる技なら、ふたつのボタンを押すだけでいいですが、長押しや左スティック入れつつなど、さまざまな入力を組み合わせての操作には慣れが必要ですね。でも、うまく技を出せるようになると、プレイヤー自身がカッコいいと感じられると思います。
――デビルトリガーも比較的溜まりやすく、1体の魔獣を継続して自動で戦わせられ続けました。
伊津野 R2ボタンでVが本を読むのですが、このアクションを意識すれば、さらにデビルトリガーゲージを管理しやすくなります。Vが敵に近づいている状況で本を読むほど溜まりますから。
――本を読んでいる状態は移動速度が遅くなるので、敵の攻撃をヒヤヒヤしながら避けています。
岡部 安全に戦うことを意識するなら、Vを敵から離して本を読み続け、魔獣を自動で戦わせ続けるということもできます。この場合はゲージが溜まるのに時間はかかりますが。プレイスタイルによって、初心者から上級者まで幅広く扱えるキャラクターになっています。
――戦況が不利になったらナイトメアを召喚するのもアリかと思いましたが、これも正解ですか?
伊津野 その使いかたで問題ありませんよ。ナイトメアは自律して行動してくれますし。
――魔獣が敵の攻撃を食らい体力がゼロになると、コア化してしまい、一定時間戦闘に参加できなくなるとお聞きしました。でも、魔獣はけっこう無茶させても、あまりピンチにならないと感じました。
伊津野 魔獣の体力は比較的多いので、今回のプレビュー版ではコア化する状況は少ないと思います。ですが、後半では強力な一撃を食らうだけで魔獣がコア化することもあるので、魔獣の回避行動も重要になるんです。Vの回避行動と2段ジャンプが、それぞれシャドウ、グリフォンをVの場所へ戻すアクションも兼ねているので、魔獣が攻撃を避けたいときは、それでVの場所へ引き戻すと。
――Vの操作に慣れるまでの序盤~中盤は、魔獣を使いやすい状況にしているわけですね。そして慣れてきた後半でシビアになっていくと。
岡部 実際にプレイしてみて、2体ともコア化した状況はありましたか?
――2体同時はなかったですね。1体のみでも、コア化した状況は少なかったです。
岡部 魔獣が2体健在だと爽快な戦いができますが、魔獣がコア化すると戦況がきびしくなります。しかも2体同時にコア化すると、Vが避け行動を使えなくなりますし、攻撃手段もほぼ皆無です。さらにV自身が撃たれ弱く、かなりのピンチだと思います。敵の一撃が強力になる後半では、そうならないよう立ち回ることが重要ですね。
――では、いざというときのためにナイトメアを温存しておくのもひとつの手ですか?
伊津野 ナイトメアを召喚すると、コア化している魔獣も復活するので、それも有効ですね。
――プレビュー版では、敵が出現したら速攻でナイトメアを召喚して戦わせていましたが、後半は控えたほうがよさそうですね。
伊津野 デビルトリガーゲージが溜まっていたら召喚したくなりますよね。もちろん温存も正しい選択ですが、ナイトメアを召喚すると隠し通路が出現することもあるので、どんどん使うのもアリですよ。
マット ナイトメアの登場シーンも地形や場所によって変わるので、むしろ使って欲しいですね。
――ナイトメアが空から降ってきたり、地中から現れたり、かなり凝っているなと感じました。
伊津野 狭い場所で召喚すると、ナイトメアが頭だけヒョコっと出して戻っちゃうこともあるので、ぜひいろいろ探してみてほしいですね。
『デビル メイ クライ 5』Vの魔獣 自動戦闘紹介
Vはトドメの刺しかたが重要になる!
――『DMC』といえばスタイリッシュアクションなので、コンボ評価を意識して戦うと思います。評価を上げるコツはありますか?
伊津野 ネロ、ダンテ同様に多様なスキルを使うのがひとつの条件です。さらにV特有の要素として、魔獣が敵をリザイン(瀕死)状態にした直後にVがトドメを刺すとスタイリッシュゲージが上がりやすくなっています。リザイン状態の敵を連続で倒すのも有効ですね。さらにVのスキルに“ロイヤルフォーク”という、リザイン状態の敵をまとめて倒せるスキルがあるのですが、それでトドメを刺すと一気にスタイリッシュゲージが上がります。
岡部 ほかには、リザイン状態の敵にVが杖を刺してトドメを刺すのですが、杖を引き抜く瞬間にタイミングよく別のリザイン状態の敵へのトドメを入力すると、ワープして連続トドメ状態になります。まずはこの方法がオススメですね。Vで意識するのはトドメの刺しかたと覚えてもらえれば。
――連続トドメはボタン連打で出ないんですか?
岡部 連打でも出やすいようにはしています。
――慣れるまでは連打のほうがよさそうですね。また、Vがトドメを刺すモーションも、いろいろなパターンがありカッコよかったです。
伊津野 カッコいいという範囲で収まればいいのですが、後半ではそれが命取りになる状況も……。
――トドメのモーションの中には少し時間がかかるものもあったので、たしかにシビアな戦況では危険そうですね。ではつぎはネロについてお聞きします。ネロはワイヤースナッチの引き寄せと剣の攻撃をメインに使っているのですが、銃をうまく使うコツなどありますか?
伊津野 銃は連射せずに溜め続け、強力な一撃を叩き込むという使いかたがオススメです。なので、キーコンフィグで攻撃しながらも溜めやすい場所へ射撃ボタンを配置するのもいいですね。
――だからキーコンフィグが自由に変えられるようになっているんですね。
伊津野 個人的には、左手の人差し指でずっと押しておけるLボタンに射撃を配置するのがオススメです。剣やデビルブレイカーの攻撃に影響なく押し続けやすい場所なので。やり込む方は、あらかじめ配置を変えておくのもアリですね。
――たしかに、途中からボタン配置を変えると覚え直すまでが大変ですね。剣の威力を上げるイクシードについては?
伊津野 イクシードは前作と違い多少タイミングがずれても溜まるようになっています。ぜひチャレンジしてください。使っていればいずれタイミングを覚えていくと思います。
――ミッションを進める前に、どんなボタン配置が自分に合っているのか、VOID(練習)モードでじっくり考えたほうがよさそうですね。
伊津野 でも、デフォルトの配置は比較的使いやすいボタン配置になっているんですよ。いま話していたのは高難度での話なので、ストーリーをクリアーするくらいならデフォルトがオススメです。
『デビル メイ クライ 5』ネロのバトル紹介
――つぎはダンテについてのアドバイスなどをお聞かせください。
伊津野 まずは、あまり使わない武器はセットから外しておくことでしょうか。ダンテは剣、銃をそれぞれ4個ずつセットでき、武器切り替えボタンを押すごとにセットされている隣の武器に切り換わるんです。例えば剣を4個セットしていると、2個目の剣から1個目の剣に変えたいときに切り換えボタンを3回押す必要があるんです。ですが2個にしておけば、1回ボタンを押すごとに使いたい剣に切り換えられるため、戦いやすいですよ。
――なるほど。あえて選択の幅を減らして、そのぶんシンプルな操作ができるようにと。
伊津野 「すべての武器を使いこなしてコンボをつなぎたい!」という方以外は、剣、銃ともによく使う2種類を決めてセットすると『DMC3』のような操作感覚になると思います。あとは覚えるスキルに関してですが、コマンド入力の関係上、意図しないスキルが出てしまうかもしれません。そのような場合は、コマンド入力が似ているスキルは片方のみを習得する、というのも重要です。
――そういう選択もあるんですね。購入価格が安いスキルは、片っ端から覚えがちですが。
伊津野 あまり一気に覚えると、コマンドを把握してコンボに組み込むのもたいへんですし、先述した意図しないスキルが出てしまうこともあるため、慣れるまでは絞ったほうがいいかも?
――まずは使いやすいと思ったスキルを絞り、そのスキルを強化していく流れがいいんですね。
伊津野 そのほうが確実に戦いやすくなると思います。あとダンテの場合は、4つあるスタイルを把握して使うことも重要です。と言っても、最初からコンボにスタイルチェンジを組み込むのは難しいので、徐々に組み込んでいただければ。
『デビル メイ クライ 5』ダンテ、バルログ紹介
『デビル メイ クライ 5』ダンテ、キャバリエーレ紹介
――獲得したレッドオーブも3人共通なので、だれのスキルを覚えるのかも悩みます。
岡部 Vは、魔獣の体力を増やすスキルがあるのですが、それを買っておけば楽になりますよ。
伊津野 本作ではレッドオーブはスキル購入だけではなく、コンテニューでも使用します。なので、少し残しておくといった選択肢も生まれます。
――ゴールドオーブでもコンテニューできるので、そちらを使っていました。
伊津野 ゴールドオーブがある場合は、レッドオーブはスキル購入に使って大丈夫です。ゴールドオーブは1日1個もらえるので、1日に少し遊ぼうというプレイスタイルの方ならゴールドオーブだけで十分だと思います。
マット 短時間でも、遊んだという達成感を感じられるバランスにはしているつもりです。
――たしかに、少しのプレイ時間でも楽しんだ感といいますか、充実感があるんですよね。
岡部 いまはネロを操作できる体験版の第2弾が配信中なので、ぜひそちらで本作の楽しさに触れていただければと思います。Vについては、ぜひ発売をお待ちください。
――Vは楽しいですよね。とくに魔獣2体、Vの戦況を把握しながら戦えてくると楽しさが倍増して、「自分がうまくなった感」をすごく感じられます。
岡部 初心者にも扱いやすいので楽しさをわかってもらえますし、極めようとすれば1本の指で魔獣2体を操作ということもできるので、やり込みがいもあるキャラクターになっています。