2019年2月14日発売予定のNintendo Switch、プレイステーション4用アクションRPG『ヴィクター・ヴラン オーバーキル エディション』。そのプレイレビューをお届けしよう。

デーモンハンターの活躍が存分に楽しめるアクションRPGが登場!

 2019年2月14日発売予定のNintendo Switch、プレイステーション4用アクションRPG『ヴィクター・ヴラン オーバーキル エディション』。本作は、海外でリリースされ話題沸騰となったタイトルに、最初から魅力的なふたつのDLC(ダウンロードコンテンツ)を収録した超おトクで危険極まりないシロモノだ。

 『ヴィクター・ヴラン』と言えば一部の物好きのあいだでは、その内容よりも故レミー・キルミスターがフロントマンを務めた伝説級のロックバンド・モーターヘッドが楽曲を提供し、映画『悪魔の毒々モンスター』シリーズの制作や『キラーコンドーム』の配給などで名を馳せるトロマの総帥ロイド・カウフマンが出演している作品として知られている。ここだけを見るとイロモノ度120%なのだが、それは本作のほんの一部分にすぎない。というわけで、本作を世間に知らしめるべく発売に先駆けてプレイレビューをお届けしていく。

ゲーム本編に加えて、DLC“モーターヘッド”と“砕けた世界”が収録済み。このモーターヘッドが本作のイロモノ度をぶち上げている元凶だったりする。

(意外にも)硬派なダークファンタジー

 物語の主役を務めるのは、帽子を目深に被ったデーモンハンター、ヴィクター・ヴラン。彼は消息を絶った親友を捜索するため、呪われた都市ザラゴビアへと足を踏み入れる。ザラゴビアは悪魔の軍勢によってほぼ壊滅しており、女王が必死の抵抗を試みている状態だが、ヴィクターは街の窮状にもさして興味を示さず、親友を捜すために悪魔がうろつくエリアへと歩を進めていくのだった……。

 と、このように本編ではハードなロックバンドやB級映画の帝王なんかとは無縁のダークファンタジー色の濃い物語が展開していく。ヴィクターの謎めいた素性や心境の変化、街が呪われるにいたった経緯など、なかなか興味深い要素が散りばめられているので楽しみにしていてほしい。ちなみに本編の音楽は、ブルガリアのソフィア・セッション・オーケストラが担当しており、荘厳なオリジナル楽曲の数々が雰囲気を大いに盛り上げてくれる。

一匹狼のヴィクターが生き残っている人々とかわす渋いやり取りも、非常に魅力的だ。
女王たちがいるザゴレ城が冒険の拠点。ここを中心に、ヴィクターは街周辺のさまざまなエリアを探索していくこととなる。
消息を絶った友人の行方や街の行く末などに気を取られていると、唐突に『スターウォーズ』ネタがブッコまれて取り乱すこともある。開発者はガマンできなかったのかな?

装備品を切り替えながらハック&スラッシュ!

 本作は、探索をくり返して手に入れた装備品でキャラクターをガンガン強化していくのが醍醐味の“ハック&スラッシュ”ゲームだ。そう聞くとハクスラの金字塔『ディアブロ』シリーズなどを思い浮かべる人も多いことだろう。しかし、本作の場合は装備品により多くの比重が置かれているのが特徴。一般的なハクスラ系ゲームではスキルツリーやジョブなどがキャラクター強化のキモとなることが多いが、本作にはそれらが一切存在せず、すべて装備品でまかなえるようになっている。それは単に武器を変えれば攻撃方法も変わるといった程度のものではなく、装備次第でまったく違ったスタイルで戦えるようになっているのだ。なお、基本的な装備品の種類は以下の通りとなっている。

●武器:基本的な攻撃に用い、近距離用と遠距離用の大きく2種類に分類される
●デスティニーカード:パッシブ(常時発動)スキルを得られる
●デーモンパワー:デーモンゲージが溜まると発動できる特殊な力。攻撃や回復など種類は豊富
●衣装:ヴィクターが身に纏う衣服。見た目が変わるうえ、さまざまな付加効果がある
●消耗品:使用するとなくなるアイテム

 武器は複数装備できるうえにワンボタンで切り替えが可能なので、敵に合わせて使い分けるほか、“入手経験値アップ”や“アイテム入手確率アップ”などの効果がついた武器をサブウェポン的に装備するといった選択も可能だ。

武器はバランスのいいソード、攻撃速度は遅いが威力は高いハンマー、攻撃範囲の広いショットガン、魔法の力で遠距離攻撃を行うトーム(魔法書)などなど、非常にバラエティー豊富。それぞれに強力な特殊攻撃が用意されており、クールタイムがあるものの無制限に使用可能となっている。
デスティニーカードの組み合わせは無限大。たとえば“クリティカル発生率アップ”、“クリティカルダメージアップ”、“クリティカル時ヘルス回復”、“クリティカル時爆発発生”効果のあるカードを同時に装備して、クリティカルに特化させるといった編成もできる。
敵を攻撃するなどして画面下の黄色いゲージが溜まると、デーモンパワーが使用できる。デーモンパワーも複数装備可能なので攻撃と回復など、効果の異なるものを用意してさまざまな状況に対応していける。

 本作の装備品にはレア度が設定されており、レア度が高い装備品ほど性能や付加効果が強力になる傾向がある。先述のように装備品に重きが置かれているからこそ、レアな装備品を手に入れた時の喜びは格別。強敵を倒した後に、光り輝く装備品があらわれたときなんかは脳から変な汁がドバドバ溢れて出してくること間違いなしだ。

 装備品は敵がドロップする以外にも、エリア内のオブジェクトを破壊したり、隠された宝箱を開けることでも入手可能だ。宝箱は巧妙に隠されているので、ジャンプで壁を蹴って高所に上がったり、通れそうにない道に突っ込んでみたりと、試行錯誤しながら捜索するのも楽しみのひとつとなっている。

 なお、本作はオフライン、オンラインともに最大で4人でのマルチプレイに対応している。友だとちとワイワイ騒ぎながら強敵に挑んだり、装備品を集めたりするのもまたソロプレイとは違ったおもしろさだろう。

すべてがぶっ飛んだDLCモーターヘッド!

 さて、本編の内容は十分伝えられたと思うので、そろそろ問題のDLCモーターヘッドに触れてみよう。モーターヘッドの舞台はザラゴビアとは異なるワールド。そこは終わりの見えない戦争が続き、冷血な政治家の圧政が人々を苦しめている世界だ。ロックバンド、モーターヘッドのフロントマンであるレミーは、この事態を収拾するべく邪悪な力を持つ総統に抵抗を続けていたが、頼みの綱である“スナグルトゥース(モーターヘッドのシンボルマークであり、本作では邪悪な力への対抗手段)”に異変が起きてしまう。そこで、レミーの友人であるカウフマンが事態の好転を願ってヴィクターをこの世界に呼びつけたのだった。

モーターヘッドでのヴィクターの拠点は、カウフマンが営むパブ。店の隅にはレミーの姿も見受けられる。
カウンターにはカウフマン御大が登場! 彼が手掛けた作品のすばらしさはいわずもがな、彼の出資のおかげで近年最高レベルのホラー映画『ザ・ヴォイド』が完成したのだから、本当に頭が上がらない。

 世界が危機に瀕した際、立ち上がらずにいられないのがミュージシャンというもの。日本でも肩パッド装備の浜田省吾が荒廃した世界を救うために熱唱することでおなじみのプレイステーション2用ソフト『VER THE MONOCHROME RAINBOW featuring SHOGO HAMADA』がリリースされていたが、本作もハマショーに負けず劣らずアツい内容になっている。

 本DLCをプレイして最初に気がつくのが音楽の変化。本編と打って変わってモーターヘッドの楽曲(もちろんボーカル入り!)になっており、脳天まで突き抜ける爆走サウンドがこちらのテンションを終始爆上げ状態にしてくれる。ハードロックとハスクラゲームの相性はすさまじくよく、スピーカーの音量を最大にして、爆音で鳴り響くハードロックをバックに敵をなぎ倒していると、ロックとの一体感が最高に高まり、何とも言えない快感が身を貫いていく! 本作のプロジェクトに関わりつつも、完成を迎える前にこの世を去ったレミーの熱い息遣いを確かに感じられる瞬間だ。

 そして、ゲームのテイストも本編とは少し異なっている。舞台はやや近現代風になり、そこかしこにロックテイストが感じられる。エリアを探索していると上空に爆撃機が飛来し、爆弾を投下していくといったデンジャラスなギミックまで用意されているも特徴だ。また、新たな武器種として遠距離用武器のギターが登場するのも注目ポイントのひとつ。敵集団めがけてギターをかき鳴らせば、BGMとギターサウンドがマッチして高揚感がさらに高まっていく。レミーの意志を継ぎ、ギター片手に戦場を駆け抜けるヴィクターの勇姿はシビれるほどにカッコいい!

ギターを使用するとギターサウンドに乗せて3つのエレキスパークを発射できる。

 ロイド・カウフマンが映画撮影を行う際の仕切りは大体においてテキトーなのだが、唯一口煩かったのが英語の発音だという。その理由は単純で、発音がいい加減だと作品が売れなくなるから。そんなわけで、言語の壁を超越したハードロックをBGMに、すべてを力技でねじ伏せていくこのDLCは正しくトロマイズムが継承されていると言えるだろう……。

 余談極まりないが、こんなカウフマンでも自社映画の売り込みの姿勢はわりとまともで、彼がカンヌ映画祭で悪ふざけしまくる社員に頭を悩ませつつ各国のプロモーターたちに映画を売り込むドキュメンタリー『悪魔の毒々映画をカンヌで売る方法!』は彼のテキトーなイメージとのギャップもあって、一見の価値アリとなっている。本作をプレイしてカウフマンに興味が出たら、ぜひトロマ作品を鑑賞してみてほしい。いくつかの作品にはレミーも出演しているので、併せてチェックしてみるといいだろう。