3goo(サングー)が2018年12月20日に発売したプレイステーション4及びNintendo Switch用アクションゲーム『バトルプリンセス マデリーン』。そのプレイレビューをお届けする。

 3goo(サングー)から2018年12月20日に発売されたプレイステーション4及びNintendo Switch用アクションゲーム『バトルプリンセス マデリーン』。

 本作誕生の経緯は少し変わっていて、開発者である父が「ゲームに出たい」という愛娘マデリーンの夢を叶えるため、クラウドファンディングで開発プロジェクトを発足したという。その後、わずか3日で最初の投資目標を達成し、最終的には2000万円相当のサポートを獲得したとのこと。マデリーン自身もキャラクターデザインの原案などで開発に参加しているというから、なかなかおもしろい。

 今回、そんな『バトルプリンセス マデリーン』を先行プレイする機会を得た。どんなゲームでどんな印象を受けたのか、詳しく解説していこうと思う。

レトロゲームリスペクトな作品

 『バトルプリンセス マデリーン』の開発者は日本のレトロゲームが大好きだという。名作のオマージュがたっぷり詰まっているようだが、なかでもきっと『魔界村』シリーズを愛してやまないのだろうな、というのが容易に想像できる仕上がりに本作はなっている。あるいは、公式サイトではうまくぼかしているが、愛娘が「ゲームに出たい!」ではなく、「『魔界村』に出たい!」と言ったのかもしれない。そのくらい本作は『魔界村』超・超超超リスペクト作品となっている。

 グラフィックは、丁寧な手書きの2Dドット絵で鬱蒼と木々が生い茂る森、荒れ果てた農地、嵐の海など、多彩なステージが登場。緻密に描かれた景色は美しく、見た目でも楽しませてくれる。おもしろいのはオプション設定で“走査線”をオンにできること。これは画面に横線をうっすらと表示させるだけの機能なのだが、要するにブラウン管テレビのようなレトロっぽさをより強調させることができる。雰囲気作りをしたい人にはいいかもしれない。

 本作の主人公は言うまでもなく、王女マデリーン。とある王国のプリンセスで見習い騎士である彼女は、魔物によって奪われた王国や家族を取り戻すために、お供の幽霊犬フリッツィーとともに戦いに身を投じていくというストーリーだ。

 遊べるモードはふたつあり、住民から頼まれたクエストをこなしたりしながら冒険するRPGの要素を盛り込んだ“ストーリーモード”と、ハイスコアの獲得を目指して7つのステージをクリアーする“アーケードモード”が楽しめる。双方でプレイ感覚がかなり異なる作りなので、なかなかにお得感もあるんじゃなかろうか。なお、ストーリーモードは児童文学作家が本作のために描き下ろした物語になっているのも注目のポイントだ。

 アクション操作はいたってシンプルで、槍や短剣、斧といった武器を投げ付けて敵を倒していく。王女がダメージを受けると鎧が脱げてパジャマ姿になってしまい、その状態でさらにダメージを受けると死んでしまう。お察しの通り、このあたりはかなり『魔界村』の影響を受けていると言っていいだろう。難度はそれなりに高く、トライアル・アンド・エラーで体に覚えさせていくタイプのゲームで間違いない。

 ただし、敵を倒して魔力を一定以上溜めておけば、やられてもその場で復活できるという、やさしいシステムが本作には存在する。連続でやられさえしなければ、その場から続行可能なのでがんばれば何とかなることが多い。筆者のような、それなりの腕前のプレイヤーでも楽しめるように作られているのは、うれしいのひと言。やられても「もう1回」とやる気にさせてくれるいいシステムだと思う。

ちょっと意地悪、でも探索が楽しい

 ストーリーモードの中でいちばんおもしろく、やり込み甲斐があるポイントはフィールドの探索だろう。このモードではフィールドマップが思いの外広く、繋がりが複雑になっており、いわゆる“メトロイドヴァニア”的な楽しみがあるというわけだ。

 目的の物を見つけ出す難しさは“ちょっと意地悪”な印象。ボス部屋の鍵を探してボスに挑むことが第一目標だが、そのルートの確立だけでもけっこうひと苦労なレベルと言っていい。

 また、フィールドにはやれハンマーをなくしただの、やれ子どもが行方不明になっただのと、思い思いに要求を言ってくる住民たちが大勢いるのだが、ふつうにプレイしてボスを倒しただけだと、彼らの望みはほぼほぼ叶えられなかったのには笑ってしまった。必要なアイテムは「そこの壁、壊すの!?」といった具合に少しルートを外れて、ちょっとだけ意地悪く隠されているものだから、ホントふつうにプレイしただけだと見つからない。ゆえに、発見したときの喜びもひとしお。そこのあたりが、絶妙な境地のバランス設定になっているのかもしれない。

 あるときは、ほぼ操作ミスに等しいことをして偶然たどり着いてしまった部屋に、主人公のパワーアップに繋がる超重要なアイテムが隠されていたこともあって「マジかよ!」と叫んだのだが、同時に「昔のゲームには確かにこういう仕掛けがよくあったよな」と妙に得心してしまった。

 行き詰まって何をすればいいかわからずイライラしながら彷徨いながらも、何か進展するとケロッと機嫌をなおしてしまうこの感覚は、まさしくレトロゲームでよく体験した感覚そのもの。プレイの最中はけっこう本気でイラついてたのだけれど、時間を置いて冷静になってみるとけっこう楽しかったと思えてしまうのだからニクい。

 これは余談だが、本作はモードごとに武器の切り替え方法が異なる。ストーリーモードでは、武器を入手後ならいつでも自由に切り替えが可能。対する敵や状況に応じて有利な武器に持ち替えて戦っていくのが賢い。稼いだゴールドで強化する要素もあって、パワーアップすると軌道が変化する武器もあったりする。まぁ、その武器がちょっと意地悪くて手に入れられず、なかなか初期武器から脱却できないのだが……。

こういうモードを待っていた

 アーケードモードは、7つのステージを攻略しながらハイスコアを目指すモード。ストーリーモードと打って変わってシンプルな内容に変更されており、その名の通り昔ゲームセンターでよくあったような横スクロール型アクションが楽しめる。早い話が、『魔界村』に非常に近いゲームスタイルだ。これがなかなか熱い。

 ストーリーモードに出てきたいくつかのマップを融合させて(開発者のお気に入りマップを厳選したらしい)、ひとつのステージに再構成してあるのだが、この仕事ぶりが非常に丁寧で驚かされた。当然と言えば当然なのだが、敵の配置がまったく異なるうえにストーリーには出てこなかった敵も登場したりして、新鮮な感覚で遊べてしまうから得をした気分になる。無論、こちらのモードのマップは基本まっすぐ進むだけなので迷う心配はない。

 幽霊犬フリッツィーの能力や2段ジャンプが最初から使えるなど、システムはモード独自のものになっている。とくに大きく変わっているのは武器の切り替えだ。ストーリーモードのように自由に切り替えはできず、ランダムで敵がドロップするものを拾って持ち替えることになる。持ち替えた後しばらくはもとの武器も落ちているが、時間経過で消えてしまうため、敵に接触した反動で持ち替えてそのまま消えてしまったなんていう事故もある。今後のステージ攻略も見越して持ち替えなくてはならないため、微妙な葛藤も生じたりしてちょっとおもしろい。

 魔力があればすぐ復活できるシステムは健在だが、魔力が尽きてやられるとステージの最初からやり直しになってしまうため、ボス戦で倒されるとストーリーモードのように連戦はできない。このあたりはレトロゲームっぽさが溢れていていい感じだ。昔はこんなの当たり前だったのに、やさしいゲームに慣れてまっていたせいか「きびしいな!」と思ってしまって恥ずかしい。しかし、体力を増やす鎧なども比較的ドロップしてくれるので、本作をアーケードモードから始めたプレイヤーも理不尽さを感じることなく、歯ごたえあるゲーム体験を楽しめるだろう。

 そうそう、このモードに限ったことではないのだが、本作ではオプション設定でBGMを“オーケストラ”か“アーケード”に変更可能だ。アーケードモードをプレイするときは、後者に変更しておくとよりそれっぽくなって満足できること請け合い。

愛娘もアイデアを出した衝撃のボス戦

 これはストーリーとアーケードの両モードで言えることなのだが、本作はボス戦が楽しい。最初に戦うことになる巨大なスケルトンは、その滑稽な動きにかなりのインパクトを覚えたのだが、このボスは開発者の娘であるマデリーンが動きの演出も含めてアイデアを出したというからびっくり。見た目にも個性的なボスやザコ敵が多いので、そういう敵はマデリーンが考えているのかもしれない。

 もちろん、見た目がおもしろいだけでなく戦いかたにひと工夫必要だったりと、ボスとのバトル自体に熱いものがあるのがポイント。どうやってダメージを与えるのか、敵の攻撃をうまく回避する方法はないか、それを見極めていく過程がこのうえなく楽しいわけだ。

 ストーリーモードなら、武器や防具の強化具合や自分のパワーアップ状態でボス戦の難度はガラリと変わってしまうと思われるが、筆者の場合は強化方法を見つけられないままずっと冒険してしまったので、余計に燃えてしまった部分もあったかもしれない。ネタバレになるのでボス戦についてはあまり多くは語れないのだが、『バトルプリンセス マデリーン』において、かなり熱いポイントのひとつだということをわかってもらえるとうれしい。

新作なのに懐かしい

 筆者は基本的に最新技術で作る、ごりごりの美しいグラフィックのゲームが好きなのだが、本作をプレイしてドット絵もいいものだなとコロッと認識を改めてしまった。ゲームの出来栄えは、開発者が日本の古きよきアーケードゲームが大好きというのが非常によく伝わってくる仕上がりになっており、ボリューム感的にも大満足。

 ほとんどノーヒントに近い状態で散りばめられている隠し要素など、そういった点もレトロゲームっぽく作ってあり、新作なのになぜか懐かしさを感じてしまったほどだから、かなりそれっぽく再現されているのだと思う。何より『魔界村』リスペクトがかなり色濃く出ているタイトルなので、当時同作にハマった人たちが『バトルプリンセス マデリーン』をどう思うのか非常に興味深い。レトロゲーム好きで、ドット絵の画面を見て何か感じるところがあるのなら、ぜひ本作にトライしてみてもらいたい。