2018年12月19日、ゲームオンはPC用オンラインRPG『ArcheAge』において、大型アップデート“ArcheAge 5.0”を実施する。
本作の最近のアップデートはナンバリングで表現。小数点以下の数字が更新されるときは小規模、整数以上が更新されるときは大規模なアップデートとなっている。その例に漏れず、“ArcheAge 5.0”はかなり大きなアップデートなる。
新エリアの実装や継承者レベルのキャップ解放、古代装備3段階の実装などなど……、その内容は多岐に渡る。中でもいちばんインパクトが大きいのが、これまではサブ適性の扱いだった“憎悪”が新適性として実装されることだ。
新適性の追加は2013年7月23日の正式サービス以来初めて。本作では、適性を3つ組み合わせることで、キャラクターの職業が決まる。これまでは10の適性があったので、実質的に120種類の職業が存在した。
ここに“憎悪”という適性が入ると職業は全165通りになり、スキルの追加・調整が加えられる。ここだけで本アップデートのインパクトが伝わると思う。
ちなみに、憎悪適性を使った職業名はユニークなものが多い。その一例を編集担当のミス・ユースケ氏にセレクトしてもらった。
【ミス・ユースケが気になった職業名】
意志+ロマン+憎悪=革命家
強固な意志を持ち、すばらしい未来を夢見て行動する革命家の原動力は、激しい憎悪であった……。物語のテーマでありそう。かっこいい。
格闘+ロマン+憎悪=浪漫騎士
へぇー、浪漫騎士かーと思ったが、浪漫騎士ってなんだ。
ロマン+愛+憎悪=踊り子
昼ドラかと思ったら踊り子でした。
今回は、実装に先立って“憎悪”スキルを触ることができたので、スキルの紹介や筆者が感じた内容をお伝えしていきたい。
細かなスキル効果や印象に残ったスキルはこの後に記載するが、ひと言で表すといやらしいスキルが集まっている印象だ。いわゆるデバッファーをイメージしていただければいいと思う。
取材は日本運営プロデューサーの石元一輝氏とGMキープローザ氏に解説してもらいながら進め、その際は「ピーキーな部分があり、上級者向けかも」と挑戦しがいのあるコメントをもらった。
もちろん適性やスキルの組み合わせしだいではある。憎悪適性をメインにするか、サブとして使うか。アタッカーと組み合わせるか、ヒーラーと組み合わせるか……。この自由度の高さが『ArcheAge』の魅力だ。
憎悪適性のスキルは魔法攻撃がメイン。個人的には、魔法アタッカーにつけてデバフで嫌がらせをしながら魔法系スキルでダメージを与えるのがよさそうな印象だった。
もちろん物理アタッカーでも使えるし、デバフができるタンクや、緊急回避的なスキルでサポートするヒーラーも悪くない。ぜひ試行錯誤してオリジナルのキャラクター作成・戦いかたを見つけてほしい。
憎悪スキルの使用感
スキル:怒り
憎悪適性のスキル全体に大きな影響を与える。使用すると10秒間“怒り”状態になり、1秒ごとに“憎悪”ポイントが溜まっていく。憎悪は最大10ポイントまでスタック可能で、憎悪の累積数によって効果が変化するスキルもある。
おもに火力が上昇するスキルが多いので憎悪ポイントを溜めたいところだが、そうなると憎悪ポイントが溜まるまで待たないといけないし(憎悪を5ポイント溜めたければ5秒間待つ必要がある)、ほかの適性のバフスキルとの兼ね合いもあるので管理がなかなか難しい。
ディレイが30秒あり、怒り状態をつねに維持することもできないので、このあたりも上級者向けと言われる所以であろうか。
スキル:フォースエッジ
以前は“死”の適性にあったスキルで、今回のアップデートにあわせて憎悪適性に移動してきた。前方の敵に小さな魔法の玉を連続して食らわせるスキルだ。
憎悪適性のスキルをメインで使う場合は、このスキルがメインのダメージソースになる。「(憎悪適性はキャラメイク時から選択できるので)序盤はこのスキルで攻撃するのが基本になると思います」と、石元氏は解説してくれた。また、怒り状態で使用すると憎悪ポイントが1ポイント溜まるので、うまく連携して使用したい。
スキル:蛇の眼
使用すると10秒間フォースエッジが“深淵の波動”というスキルに変化する。
フォースエッジはターゲットした敵を追尾して単体ダメージを与えるスキルだが、“深淵の波動”はターゲットを選択せず、キャラが向いている方向に貫通する槍のような攻撃を放つ。当てるのは難しいが複数の敵にダメージを与えられるので、集団にうまく撃ち込めれば大きな効果を発揮しそうだ。
スキル:深淵の牙
ターゲットした敵を追跡して攻撃する蛇を召喚。発動すると、射程外まで逃げても追跡して必ず命中するようになっている。
スタックされている憎悪ポイントで効果が変化。憎悪が5個スタックしているとダメージが100%増加し、範囲ダメージを与えられる。10個スタックになるとその効果に加えて最初の相手を2秒間石化させることができる。
憎悪を溜めるのはなかなか難しい印象だったが、うまく使用できればかなり強力なスキルになる印象だ。
スキル:悪魔の操り人形
5秒間、命中した地点から5m以上離れるようとすると最初の位置に戻されるユニークなスキル。
完全に移動できなくなるわけではないものの、効果時間も考えるとなかなか強力な印象。取材時に他メディアの方と憎悪スキルを中心になんちゃってPvPをプレイしたのだが、本スキルを受けたときの辛さったらなかった。ほかのスキルとの組み合わせてしだいで大きな効力を発揮しそうだ。
スキル:悪魔の剣
魔法の剣を飛ばす遠距離攻撃スキル。命中時にダメージと10秒間の持続ダメージを与える。上で紹介した悪魔の操り人形状態のキャラクターには50%のダメージが追加されるので、セットで使用していきたい。
また、魔法の剣がダメージを与えるたびに物理防御力、魔法抵抗力が減少するのも注目のポイントだ。
スキル:悪霊突進
前方に突進していくゴーストのスノーライオンを召喚するスキル。貫通する遠距離攻撃と考えるとイメージしやすいと思う。
憎悪ポイントのスタック数で効果が変化し、5ポイントでスノーライオンが2体に。10ポイントになると4体に増え、さらに相手を押し出し、詠唱キャンセルの効果もつく。
くり返しになるが、憎悪ポイントが溜まると強力なのだが、きっちりと当てることと憎悪ポイントの管理というふたつのプレイヤースキルが求められる。
スキル:悪魔の呼び声
周囲の味方といっしょに、10m以内の指定したポイントに瞬間移動するスキル。回避にも突撃にも使えるが、周囲の味方全員を巻き込むので、発動のタイミングや移動先の指定を間違えるとかなり厳しいことになる。上級者向けスキルという印象を受けた。
スキル:運命のサイコロ
このスキルがいちばんユニークでおもしろかった。使用するとランダムで5m~15m離れた位置に瞬間移動する。移動先や方向は選べない。敵からの回避にも使用できるが、逆に敵集団のど真ん中に移動する可能性もある。
一応、移動先に敵がいるとディレイタイムが減少するというメリットはあるのだが、なかなか玄人向けの印象だ。
スキル:憎悪の輪
このスキルは強烈だ。ヒットさせたキャラの右手装備を一時的に外してしまう。
武器が外れので攻撃力がダウンするというだけでも強烈だが、このスキルの真価はほかにある。一部のスキルには“武器を装備していること”といった条件が設定されている。つまり、それらのスキルが一時的に使用できなくなるのだ。
多くのプレイヤーは、連携スキルをセットしておいて、順番にスキルをポンポンポンと使ってコンボを決めていくと思う。コンボを決めている途中にこのスキルを受けるとスキルが使えなくなるので、プレイヤー自身も一時的に混乱してしまいそうだ。
うまく使えば相手のコンボを中断させられる。個人的な印象だが、憎悪適性を取るならこのスキルはマストで取得したいところである。
スキル:死神
これはいわゆる“ターゲットを切る”スキルだ。使用すると一定時間ターゲットされなくなり、憎悪ポイントのスタック数で持続時間が長くなる。
たとえば、PvPでコンボを受けているときに発動させられればコンボを止められるだろうし、PvEでも敵から逃げるときに有効。使いこなせれば強力なスキルになるだろう。
スキル:深淵の刃
範囲指定型の攻撃スキル。ふつうに使うと「まぁ、範囲攻撃だよね」といったところだが、憎悪ポイントが10個スタックしているときに使用すると、1.5秒間の串刺し効果が追加される。
串刺し中は移動やスキル使用ができないので、ここからコンボを狙ってもいいし、間合いを離してもいいだろう。
なお、今回のアップデートからパッシブスキルにスキルポイントを振る必要がなくなった。その適性に割り振ったスキルポイントに応じて、自動的に取得される仕組みだ。
全体的に憎悪適性のパッシブスキルはスキルを強化する内容になっている。憎悪適性に重きを置くほど強力になっていく印象だ。
限られたテスト時間では、ほかの適性との組み合わせた相性までは確認できなかったが、PvEよりもPvP、とくに集団戦で輝きそうなスキルが揃っている印象だ。
貫通スキルもそうだし、“深淵の刃”のような範囲攻撃もある。串刺し効果まで発動できればかなり強力だろう。もちろん、単体のPvPでもターゲットが外れる“死神”や、相手の装備を一時的に外す“憎悪の輪”なども猛威を振るいそうだ。
一方で、憎悪ポイントの管理は難しかった。慣れれば問題ないのかもしれないが、10ポイント溜めようと思ったら効果時間が切れてしまったり、9ポイントしか溜まっていないのにスキルを使用してしまったり……。
各スキルの真価を発揮するには憎悪ポイントの管理が何よりも重要。そういったところからも“ピーキーな適性”というワードに繋がる。
ちなみに、石元氏に即席でコンボを作ってみてという無茶振りをしたところ、一例として“野性”適性と組み合わせた下記のようなコンボを組んでいただいた。
「実戦ではキレイに入ることはないと思いますが……」という前置きのうえだったが、串刺しや足止めで相手の行動を制限しつつ、火力系のスキルで大ダメージを与えられる。さらに移動の妨害なども入り、かなり手強いコンボだった。参考にしてほしい。
また、各スキルの連携をわかりやすく表示する機能も追加された。スキルの組み合わせを考えるために非常に有用な機能なので、プレイヤーにはぜひ使ってほしいし、もっとアピールしてもいいと思う。
憎悪適性のテストプレイの後には、新エリア“ヒラマ山脈西部”を少し探索できた。美しいビジュアルは圧巻だし、何よりゲーム的には“古代装備”3段階の素材が入手できる点に要注目。敵がかなり強いようだが、やり込み派のプレイヤーは通い詰めることになるだろう。
取材に同席した広報さんによると「西部ということは……?」という意味深な言葉を聞くことができた。今後のアップデートでは違うエリアも登場するのだろう。さすがに時期や詳細については言及されなかったがこちらも楽しみである。
といったように、“ArcheAge 5.0”アップデートで『ArcheAge』は大きな変化を遂げる。現状発表されているアップデート要素は、やり込んでいるプレイヤー向けの印象だが、スキル同士の連携をわかりやすく表示するインターフェースなどはこれから本作の世界に飛び込むプレイヤーには非常に有用だろう。
本アップデートは12月19日(水)を予定している。まだ発表されていない情報もあるとのことなので、そちらの公開を待ちつつ、新しいスキル構成について想像を広げてもらえると幸いだ。