2018年11月22日からスマートフォンアプリ『白猫プロジェクト』で、『モンスターストライク』のキャラクターを使用したイベントが始まった。定番・長寿ソフトとして定着しているビッグタイトルどうしによるコラボイベントは、いかにして実現したのか。キーマンの4名に語っていただいた。( 聞き手:本誌編集長 林克彦)
多留幸祐(たるこうすけ)
ミクシィ取締役執行役員、『モンスターストライク』プロデューサー。モンスト事業本部長として、『モンスターストライク』に関わる全部門を統括している。
倉田 慶(くらたけい)
『モンスターストライク』のコラボライセンスに関する業務全般を担当。他社IPとのコラボなどが行われる際には、窓口として内容の監修などを手掛けている。
浅井大樹(あさいひろき)
『白猫プロジェクト』のほか、『クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ』や『白猫テニス』でプロデューサーを務める。現在Nintendo Switch版『白猫プロジェクト』を開発中。
浅野隼吾(あさのしゅんご)
ライセンス関連業務を担当。『白猫プロジェクト』のみならず、コロプラが提供する全サービスについて、コラボの企画立案や、制作進行の管理などを行う。
驚きのコラボが誕生したのは“若気のいたり”があったから!?
――このインタビューを実施させていただいている時点では、まだイベントが始まっていないのですが、コラボの開催を知ったユーザーさんの驚きは相当なものだったと思います。ほとんどのアプリで他社IP(知的財産)とのコラボが行われていますが、ゲームアプリのキャラクターから、しかも人気作どうしが組むということは非常に珍しいですよね。そもそも、どうやってこの取り組みが実現したのか、その経緯からお聞きしたいと思います。
倉田 浅野さんからご連絡をいただいたのがきっかけですね。
浅野 定期的に行っているゲーム内アンケートで、『白猫プロジェクト』でコラボしてほしい作品をユーザーさんに挙げていただいているのですが、つねに上位にランクインするのが、『モンスターストライク』なんです。私もいちファンだったので、いつかコラボが実現できればいいな、と思っていました。
倉田 最初、SNSでご連絡いただきましたね。
浅野 (笑)。私自身、ガチプレイヤーなんです。一度倉田さんとお食事をさせていただいて、いつかいっしょに何かできればいいね、と話しました。そのころは弊社内で、コラボを積極的に行うという動きが強まっていた時期でもあり、私が企画書を作成して、社内でプレゼンしてみたところ、社内でも盛り上がりまして。では具体的に提案させていただこう、ということになり、倉田さんに正式にオファーさせていただきました。
―― 浅井さんは、このコラボには最初から関わっていたわけではないのですか?
浅井 そもそも、浅野がそんなことをやっているなんて知らなくて(笑)。でも、何かおもしろいことをやりたいということは、僕もつねに話していました。その流れの中で、浅野の魂に火が点いたのかな、と。
倉田 おもしろいことというのは『モンスターストライク』コラボ以外のことでしょうか?
浅井 いや、『モンスターストライク』とのコラボも、以前から話題にはなっていました。でも、ゲームアプリのキャラクターとのコラボはアリなのか、そもそもナシなのではないかと思っていたんです。そんな企画を持っていってはいけないと思い込んでいたのに、浅野が突撃したようで。でも、ご了承いただいたということを聞いて、すごくびっくりしました。「え、いいの!?」みたいな(笑)。
浅野 若気のいたりで許されるかな、と(笑)。
――(笑)。ミクシィさんもかなり驚いたと思いますが、実際に企画を聞かれての感想は?
倉田 弊社としても、タイミングがよかったと思います。『モンスターストライク』は多くの皆さんに遊んでいただいていますが、ゲーム外でIPとしてどう受け入れられていくのかということを、真剣に考える必要があると思っていました。『モンスターストライク』を使ってコラボイベントを実施していただくことによって、『モンスターストライク』がIPとして広がっていけばいいな、と。
――両タイトルは、どちらもアプリのRPGということで、ライバルのような関係だと思っていたのですが、その点は問題ないと?
倉田 それは多留とも話しました。競合になるかもしれないアプリにキャラクターを登場させるコラボはどうなのか、と。すると、多留から「競合とか考えず、業界全体が盛り上がるような取り組みができればいいよね」と賛同もいただいたので。そこから、積極的に取り組んでいきましょう、とコロプラさんにお答えしました。
多留 こんなことが実現できるのか、という企画も、進めてみたら意外にもめることもなかったですね。「こういう話があるんです」、「新しい驚きを届けられるのであればやりましょう」というだけなので。
浅井 いまになってみれば、先入観ですよね。実際にやってみれば、すんなり進みました。
――たとえば、『白猫プロジェクト』でコラボイベントを開催している最中は、『モンスターストライク』のユーザーさんが『白猫プロジェクト』に移ってしまうことも考えられます。双方が盛り上がって、Win-Winの関係になれると判断されたのでしょうか。
倉田 結局のところ“おもしろいかどうか”だと思うんです。今回の企画は、確実におもしろくなりそうだったので、やるべきだと思いました。あと、スマートフォンゲームの業界もずいぶん複雑化してきたので、ふつうのことをやっているだけでは成り立たないという、時代の流れもあったかもしれません。