2018年12月3日、東京都・品川にあるグランドプリンスホテル新高輪にて、PlayStation Awards 2018が開催された。PlayStation Awards(以下、PS Awards)は、プレイステーションフォーマットで発売されたタイトルの中から、ヒット作品を表彰する祭典。PlayStation誕生の翌年、1995年から始まり、今年で24回目の開催となる。
本記事では、各部門の受賞タイトルをまとめてご紹介するとともに、登壇者の受賞コメントにフォーカスしてイベント全体のリポートをお届けする。まずは、以下の記事で受賞作のおさらいを!
まずは、ソニー・インタラクティブエンタテインメント ジャパンアジアリージョンオフィス プレジデントの盛田厚氏が登壇し、PS Awardsは1年を締めくくるお祭りでもあるので、ぜひ楽しんでほしいとコメント。
また、歴代プレイステーションハードウェアの世界累計実売台数が5億2500万台を突破したことに触れると、「今後もさらに多くの人たちにプレイステーションを楽しんでいただくべく、この勢いをさらに加速させていきます」と語った。
インディーズ&デベロッパー賞
最初に発表されたのは、日本・アジア市場でのインディーズタイトル、および配信専用タイトルのラインナップ拡大に貢献した3タイトル贈られる、インディーズ&デベロッパー賞だ。対象となるのは、2017年10月1日~2018年9月30日までの期間中に発売・配信されたタイトル。受賞者には、盛田厚氏よりトロフィーが贈呈された。
『Ultimate Chicken Horse』(Clever Endeavour Games)
Clever Endeavour Games CEO/ゲームデザイナー
リチャード・アトラス氏
『ABZU』(505 Games)
エリカ・イシジマ氏
(Erica Ishijima)
『Dead Cells』(Motion Twin)
スティーヴ・フィルビ氏
(Steve Filby)
PlayStation VR賞
続いての発表は、PlayStation VR賞。同期間中に発売・配信されたPlayStation VRタイトルの中で、日本・アジア市場でのPlayStation VRの盛り上がりに貢献した3タイトルに贈られる。プレゼンターは、SIE SVP 兼 日本ビジネスオペレーション部門部門長の織田博之氏が担当した。
『V!勇者のくせになまいきだR』(SIE)
SIE クリエイティブディレクター
山本 正美氏
『グランツーリスモSPORT』(SIE)
ポリフォニー・デジタル エンジニア
高野 修一氏
『The Elder Scrolls V: Skyrim VR』(ベセスダ・ソフトワークス)
ベセスダ・ソフトワークス プロデューサー/ブランドマネージャー
田中 剛氏
ユーザーズチョイス賞
ユーザーズチョイス賞は、同期間中に発売・配信されたタイトルの中で、ユーザーの投票数がもっとも多かった10タイトルに贈られる。プレゼンターは、引き続き織田博之氏が担当した。
『アサシン クリード オリジンズ』(ユービーアイソフト)
ユービーアイソフト 代表取締役社長
スティーヴ・ミラー氏
『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』(スクウェア・エニックス)
スクウェア・エニックス ディレクター
内川 毅氏
『龍が如く 極2』(セガゲームス)
セガゲームス プロデューサー
佐藤 大輔氏
『モンスターハンター:ワールド』(カプコン)
カプコン ディレクター
徳田 優也氏
『フォートナイト』(エピックゲームズ)
Epic Games テリトリーマネージャー
河崎 高之氏
『ゴッド・オブ・ウォー』(SIE)
サンタモニカスタジオ クリエイティブディレクター
コーリー・バルログ氏
『DARK SOULS REMASTERED』(フロム・ソフトウェア)
フロム・ソフトウェア プロモーター
北尾 泰大氏
バンダイナムコエンターテインメント アシスタントマネージャー
吉村 篤雄氏
『Detroit: Become Human』(SIE)
SIE シニアローカライズスペシャリスト
谷口 新菜氏
『Marvel's Spider-Man』(SIE)
インソムニアックゲームズ ファウンダー&CEO
テッド・プライス氏
『英雄伝説 閃の軌跡IV -THE END OF SAGA-』(日本ファルコム)
日本ファルコム 代表取締役社長
近藤 季洋氏
PlayStation Network Award
続いての発表は、PlayStation Network Award。同期間中に配信されたタイトルのうち、年間のネットワーク売上上位3タイトルに贈られる。プレゼンターは、SIE SVP 兼 ジャパンアジアパブリッシャー&デベロッパーリレーション部門部門長の植田浩氏が担当。
『FIFA 18』(エレクトロニック・アーツ)
エレクトロニック・アーツ シニアキーチャンネルマネージャー
小針 幸恵氏
エレクトロニック・アーツ アジアデジタルチャンネル アンドパートナーシップマネージャー
野口 ショーン氏
ここで、エレクトロニック・アーツ本社のあるアメリカより、ゲームプレイ・プロデューサーのKantcho Doskov氏とリードアニメーションエンジニアの山下祟彦氏よりビデオメッセージが。「FIFA開発チーム全体を代表して、この素晴らしい賞に感謝します、ありがとうございます」と感謝の意を表した。
『モンスターハンター:ワールド』(カプコン)
カプコン エグゼクティブディレクター 兼 アートディレクター
藤岡 要氏
カプコン ディレクター
徳田 優也氏
徳田氏は『モンスターハンター』シリーズについて、「カプコンがそれまでアーケードゲームで培ってきたアクションゲーム、そしてユーザーどうしが協力して遊ぶという要素を家庭でも楽しんでもらおうという思いから始まりました」とコメント。今回の受賞については、「業界の盛り上がりに協力できたことをうれしく思います」と喜びを語った。
『フォートナイト』(エピックゲームズ)
エピックゲームズ テリトリーマネージャー
河崎 高之氏
エピックゲームズ Publishing Producer
ロブ・グレイ氏
受賞のコメントを求められると河崎氏は「PS Awards 2017の後にソニーの偉い方に呼び出されまして、早く日本でも『フォートナイト』を出すようにとお叱りを受けました」とユーモラスに裏話を披露。続けて、「“来年のアワードをいただけるようにがんばります”、とお答えしましたが、本当に賞をいただけたのは、ふだんから遊んでくださっているファンの皆さまのおかげです。本当にありがとうございます」と、ファンへの感謝を語った。
また、ロブ氏は「たくさんの日本のプレイヤーに楽しんでいただけて嬉しい」とコメント。今週から始まる“シーズン7”も楽しんでほしいと語り、最後は英語で「Thank you so much」と締めくくった。
Gold Prize
Gold Prizeは、同期間中に発売・配信されたタイトルのうち、累計生産出荷数および配信数の合計が50万枚を超えたタイトル(日本・アジア合算)に贈られるもの。今年は7タイトルが受賞した。プレゼンターは、引き続き植田浩氏が担当。
『スーパーロボット大戦V』(バンダイナムコエンターテインメント)
バンダイナムコエンターテインメント 『スーパーロボット大戦V』プロデューサー
佐竹 伸也氏
バンダイナムコエンターテインメント 『スーパーロボット大戦』シリーズプロデューサー
寺田 貴信氏
バンダイナムコエンターテインメント 『スーパーロボット大戦T』プロデューサー
最上 頌平氏
コメントを求められた最上氏は、受賞への感謝を述べた後、「現在、新規タイトルの『スーパーロボット大戦T』を開発しておりますので、ぜひご期待ください」と語った。
続けて寺田氏は『スーパーロボット大戦V』が『スーパーロボット大戦』シリーズ25周年記念作品であることに触れ、長く愛してくれているユーザーや関係者への感謝の気持ちを述べた。
『ウイニングイレブン 2018』(KONAMI)
コナミデジタルエンタテインメント 統括プロデューサー
細田 真規人氏
コナミデジタルエンタテインメント アシスタントプロデューサー
木村 征太郎氏
細田氏は感謝の言葉を述べた後、本アワードの司会進行を勤めていたジョン・カビラ氏に向き直り、いつもゲーム内で実況を担当してくれていることへの感謝の言葉を口にした。また、「引き続き、30周年、40周年と迎えられるように、世界中のサッカーファンのためにゲームを作っていきます」と意気込みを語った。
『グランツーリスモSPORT』(SIE)
ポリフォニー・デジタル エンジニア
高野 修一氏
高野氏は、先日“FIA グランツーリスモ チャンピオンシップのFinalシーズン”が行われるなど、発売から1年経ったいまでも盛り上がりを見せているほか、発売後も車種やコースの追加などのアップデートを定期的に無料で行っていることをアピール。「これからもまだまだ進化を続けていきますので、今後も『グランツーリスモSPORT』をよろしくお願いします」と締めくくった。
『コール オブ デューティ ワールドウォーII』(SIE)
ACTIVISION マーケットオペレーションディレクター
中元 志都也氏
SIE 宣伝担当
朱 起兌氏
中本氏は、たくさんのユーザーに遊んでもらっていることやesportsのプロリーグが発足したことについて、喜びを語った。また、朱氏からは「最新作の『コール オブ デューティ ブラックオプス4』について、今後の新たな施策にも期待してください」とのコメントがあった。
『ゴッド・オブ・ウォー』(SIE)
サンタモニカスタジオ クリエイティブディレクター
コーリー・バルログ氏
SIE プロデューサー
安次嶺 クリス氏
コーリー氏は、サンタモニカスタジオのスタッフやSIEワールドワイド・スタジオ プレジデントの吉田修平氏など、制作をサポートしてくれたたくさんの人たちに感謝を述べた。ゲーム制作の過程では怒号が飛び交うこともあったそうだが、それに耐えて素晴らしい作品を作ってくれた仲間に、改めて感謝の言葉を口にした。
『実況パワフルプロ野球2018』(KONAMI)
コナミデジタルエンタテインメント 『実況パワフルプロ野球』シリーズ エグゼクティブプロデューサー
谷渕 弘氏
コナミデジタルエンタテインメント 『実況パワフルプロ野球』プロデューサー
山口 剛氏
谷渕氏は、実際のプロ野球の試合を追体験できる“LIVEシナリオ”モードやVRへのチャレンジ、そして日本野球機構と共催している“eBASEBALL パワプロ・プロリーグ 2018”など、本作では新たなチャレンジに取り組んでいることをアピール。また、「2019年度シーズンの選手データをアップデート配信することが決定しましたので、これからも末永く楽しんでください」とコメントした。
『Marvel's Spider-Man(スパイダーマン)』(SIE)
インソムニアックゲームズ ファウンダー&CEO
テッド・プライス氏
SIE シニアローカライズスペシャリスト
谷口 新菜氏
テッド氏は今回の受賞について、「ソニーの皆さんとのあいだに築いた20年の信頼と友情のたまものだと思っています」とコメント。最後は「ありがとうございました」と日本語で感謝を述べた。
Platinum Prize
Platinum Prizeは、同期間中に発売・配信されたタイトルのうち、累計生産出荷数および配信数の合計が100万枚を超えたタイトル(日本・アジア合算)に贈られる。本賞は2タイトルが受賞した。プレゼンターを務めたのは、盛田厚氏。
『The Last of Us Remastered』(SIE)
ノーティードッグ アートディレクター
ジョン・スウィーニー氏
ノーティードッグ ディレクター・オブ・コミュニケーション
アーニー・メイヤー氏
SIE プロデューサー
安次嶺 クリス氏
ジョン氏は「この賞を受賞できて誇らしく思います」とコメントし、ともに開発を行った仲間たちに感謝を述べた。また、「プレイステーション4というプラットフォームでゲーム制作を行うことは非常に楽しく、今後も新たなゲーム制作を行っていきます」と語った。
『ペルソナ5』(アトラス)
アトラス 『ペルソナ5』ディレクター&プロデューサー
橋野 桂氏
アトラス 『ペルソナ5』キャラクターデザイナー
副島 成記氏
アトラス 『ペルソナ5』サウンドコンポーザー
目黒 将司氏
『ペルソナ5』は、PS Awards 2016、PS Awards 2017と続けてユーザーズチョイス賞を獲得(※)している。橋野氏はこれについて「大変なロングランで、われわれも経験したことのないような結果」だと語った。副島氏は、受賞について「作り手として、日々の開発における励みになります」とコメントし、これからも『ペルソナ』シリーズを盛り上げていきたい、と意気込みを語った。
また、目黒氏は、受賞の際にH ZETTRIOが自身の楽曲を演奏していることに興奮した様子で、「H ZETTRIOが僕の曲を弾いてくれている! すごくテンションが上がりました(笑)」と、笑顔で喜びを口にしていた。
※PS Awards 2016では日本における得票でユーザーズチョイス賞を受賞。PS Awards 2017では、アジア地域の投票数のみで受賞。
Quadruple Platinum Prize
Quadruple Platinum Prizeは2018年9月30日までに発売・配信されたタイトルのうち、累計生産出荷数および配信数の合計が400万枚を超えたタイトルに贈られる。本賞を受賞するタイトルが出るのは、2011年の『モンスターハンターポータブル 3rd』以来7年ぶりとなる。盛田厚氏、織田博之氏、植田浩氏の3名総出でプレゼンターを担当した。
『モンスターハンター:ワールド』(カプコン)
カプコン エグゼクティブディレクター 兼 アートディレクター
藤岡 要氏
カプコン プロデューサー
辻本 良三氏
カプコン ディレクター
徳田 優也氏
受賞タイトルの発表時には、このために作られた特別映像が流された。さらに、受賞者の3名にはシークレットで、制作スタッフを代表する33名が壇上に集結。Quadruple Platinum Prize受賞を記念して、北海道の伝統的な染物屋・水野染工場が染め上げたという1点物の“大猟旗”が贈呈された。
辻本氏は「本当に何も聞いていなかった」と驚きを隠せない様子。「特別映像についても3人ともまったくチェックをしていません」、「どういう経緯でこの話になったのか、会社に戻ってからゆっくり聞いてみようと思います」とジョークを飛ばし、笑いを誘った。
『モンスターハンターポータブル 3rd』で同賞を受賞して以来、は本作でも“Quadruple Platinum Prize”目標にしていたそうで、改めて受賞の喜びを語った。
7年ぶりとなる“Quadruple Platinum Prize”の発表をもって、PS Awards 2018は閉幕となった。
今年初めてPS Awardsを取材した記者が、とくに印象的だったのは、受賞した方々の誇らしげな表情や無邪気な笑顔だ。まさしく全身全霊をもってゲーム制作を行っているからこそ、その努力が実った瞬間、あれほどの充実感を感じさせる表情ができるのだろう。そして、そんな開発者たちの作ったゲームだからこそ、ユーザーからここまでの高評価を得られるのだろうと思われた。2019年度はどんな素晴らしいタイトルが登場し、誰がこの壇上に上がるのか、いまから楽しみで仕方がない。
PS Awards 2018を受賞した計23タイトルの関係者の皆さま、この度は大変おめでとうございました!