タイトーが手掛ける、家庭用ゲーム市場への復帰第1弾タイトル『ダライアス コズミックコレクション』。本作を手掛けるタイトーの外山雄一氏やエムツーの堀井直樹氏ら開発者のキーマンたちに、インタビューを実施した。

 『ダライアス』は、1987年にアーケードで登場したタイトーの名作シューティングゲーム。稼動当時、継ぎ目のない3台のモニターを連結して表示する専用筐体はケタ違いの迫力で、多くのプレイヤーに衝撃を与えた。あれから30年以上の時を経て、『ダライアス』シリーズが、『ダライアス コズミックコレクション』としてNintendo Switchで復活! 2019年2月28日発売予定だ。

 本作は、通常版と特装版のふたつのパッケージが用意されており、前者は『ダライアス』を筆頭に、4本のアーケードゲームを収録。一方、後者はアーケードの4作品に加えて、スーパーファミコンやSega Master System(※1)、メガドライブ、PCエンジンといった家庭用ゲーム機のタイトル5本も楽しめる(下記参照)。

※1……海外版のセガ・マスターシステム。

通常版&特装版に収録される作品

  • ダライアス(1987年稼動/アーケード)
  • ダライアスII(1989年稼動/アーケード)
  • SAGAIA(1989年稼動/アーケード)
  • ダライアス外伝(1994年稼動/アーケード)

特装版に追加で収録される作品

  • ダライアスツイン(1991年発売/スーパーファミコン)
  • ダライアスフォース(1993年発売/スーパーファミコン)
  • SAGAIA(1992年発売/Sega Master System)
  • ダライアスII(1990年発売/メガドライブ)
  • ダライアス・アルファ(1990年発売/PCエンジン)
『ダライアス コズミックコレクション』名作の復活に懸けるタイトーとエムツーのキーマンによるスペシャル座談会_01
『ダライアス コズミックコレクション』名作の復活に懸けるタイトーとエムツーのキーマンによるスペシャル座談会_02

 今回のインタビューには、タイトーと移植を担当するエムツーの主要スタッフが参加。本作の企画がスタートした経緯や、サウンド、プログラムへのこだわり、本作ならではの機能などを訊いた。

座談会参加者

  • エムツー サウンド 春日達彦氏(文中は春日)
  • エムツー UIデザイン 久保田和樹氏(文中は久保田)
  • エムツー メインプログラマー 阿部哲也氏(文中は阿部)
  • エムツー サウンド 工藤索興氏(文中は工藤)
  • タイトー プロデューサー 小林寛季氏(文中は小林)
  • タイトー 開発本部室 外山雄一氏(文中は外山)
  • エムツー プロデューサー 堀井直樹氏(文中は堀井)
  • エムツー ディレクター 辛島由紀子氏(文中は辛島)
『ダライアス コズミックコレクション』名作の復活に懸けるタイトーとエムツーのキーマンによるスペシャル座談会_03
上段左から春日氏、久保田氏、阿部氏、工藤氏。下段左から小林氏、外山氏、堀井氏、辛島氏。

『ダライアス』が復活! エムツースタッフの熱意ですべての移植を担当!

―― まずは、本作がどのような経緯で企画されたのかを教えてください。

外山 私は1年ほど前にタイトーに入社しましたが、『ダライアス』を復活させる話は、私が入る前から動いていました。それで、どのような形で復活させるかをいろいろ検討して、復刻版パックを作ることを決めました。

―― タイトルはどのように選んだのですか?

外山 最初は特典付きの9本パックのみで考えていて、当初は2種類に分けていなかったんです。つまり、特装版だけを発売しようとしたのですが、そうなると高価な商品だけになってしまいます。より多くの方に遊んでいただきたいと考えて、人気が高いアーケード版だけ収録した、お求めやすい通常版と、すべて収録した特装版に分けたのです。

―― なるほど。収録タイトルの本数が多いとファンはうれしいですが、移植を担当するエムツーの労力はたいへんかと……。

外山 私も、エムツーさん1社だとスケジュールがきびしいかなと思いましたが、堀井さんに相談したところ、「全部うちでやらせてほしい」と力強いお返事をいただきました。

堀井 いちファンとして、『ダライアス』が移植されることがあれば、ぜひやりたいと考えていましたからね。人員やスケジュールを確保せずに即決したので、スタッフにいろいろ言われるかなと思いましたが、「『ダライアス』なら」と、全員納得してくれました。

――『ダライアス』に並々ならぬ熱意を持っていると(笑)。本作の目玉はやはり『SAGAIA』(アーケード版/Sega Master System版)だと思いますが、これらのレアな作品を移植することになった経緯を教えてください。

外山 往年のセガファンの方とは、Sega Master Systemはすごかったという話題でいまでもよく盛り上がるんですよ。

堀井 わかるわかる(笑)。

外山 日本で16ビットのメガドライブが席巻していたときも、欧州ではメガドライブと8ビットのSega Master Systemが併売されていました。それほどSega Master Systemの人気は高く、8ビットのすごいゲームもたくさん発売されたので、本作に『SAGAIA』を収録して、日本のユーザーに当時のセガハードのすごさを知ってもらいたいという思いがありました。

――とはいえ、海外版を移植するのは、一筋縄ではいかないと思いますが……。

堀井 そもそも『SAGAIA』が手に入りにくいという問題もあります。

外山 じつは、Sega Master Systemの『SAGAIA』はタイトーにもありませんでした。エムツーさんが海外出張に行かれたとき、わざわざ探して購入してきてくれたんです。

辛島 ただ、アーケード版の『SAGAIA』は基板が動く環境がなくて……。社内で『ダライアス』と『II』、『外伝』は実機で遊べるのですが、アーケード版『SAGAIA』は正解がないので、現在進行系でいろいろと苦労しています。

堀井 アーケード版『SAGAIA』は、データを引っこ抜いて、エミュレーター上では『II』の基板で動かしています。ただ、実際に『II』の基板で動かしているわけではないので、これから答え合わせを行いながら、本物に限りなく近い形に仕上げていきたいです。

――今回、ひと足早く本作をプレイさせていただきましたが、『II』と『SAGAIA』は内容が大きく違っていて驚きました。

堀井 ぜんぜん違うゲームですよね(笑)。

久保田 僕も初めてプレイしたときはびっくりしました。すぐに終わるぞって(笑)。

堀井 『SAGAIA』は『ダライアスII』とリソースは同じなのに、セットを変えるだけであそこまで変わるのかというのは、本当にすごいと思います。

外山 プレイ時間は、海外市場に合わせて短くしたと聞いていますが、なぜああいった調整になったのか、真相はわからないですね。ボスが倒しやすくなっていますし、そもそも登場するボスの順番が違いますから。

――特装版と言えば、付属の特典も非常に豪華なものになっていますよね。

外山 CDは付けたいと考えていました。当社の石川(※2)も、プレイヤー時代の自分が夢見た布陣で制作したいということで、古代さん(古代祐三氏。ゲーム音楽界のレジェンド。現エインシャント代表)たちゲームミュージック界の重鎮たちにアレンジをお願いしています。

※2……石川勝久氏。ZUNTATA(タイトーのサウンドチーム)に所属している。

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堀井 アレンジを担当しているメンバーは、めちゃくちゃ豪華な布陣ですよね(笑)。

――本当に(笑)。

小林 あと古代さんと言えば、本作は『ダライアス コズミックコレクション』という名前に決まりましたが、当初は名前に『エインシャント』がついていて、そこから古代さんの話になりましたよね。

――え、そうなのですか?

外山 はい。僕が最初に企画書に書いたタイトルは、『ダライアス エインシャントコレクション』でした。

小林 “古代”は、英語で“エインシャント”です。「古代さんたちを呼びたいから『エインシャント』にしよう」って(笑)。

一同 (笑)。

外山 もちろん、ほかにちゃんとした理由はありますよ。2Dの『ダライアス』は、3D時代の作品に比べると“古代”と表現してもいいかなと考えて、今回は2Dの作品を集めたものだから、『エインシャントコレクション』はピッタリだと思いました。ただ、よくよく考えると、古代さんにより過ぎだなと反省し、いまのタイトルに決めましたが(苦笑)。

――タイトルにそんなヒミツがあったとは。ちなみに、『コズミックコレクション』の名は、どのような経緯で決まったのですか?

外山 初代『ダライアス』の開発コードネームが“コズモ”だったので、そこから石川が『コズミックコレクション』というタイトルを考えました。

小林 当社とエムツーさんでいくつかタイトルの案を出して、最後に残ったのが『コズミックコレクション』だったんです。初代『ダライアス』のBGMのひとつに『Cosmic Air Way』というのもありますね。

堀井 僕はわりと本気で、ラテン語で“水族館”や“魚類図鑑”を提案しましたが、残念ながらかすりもしませんでした(苦笑)。

――いろいろなアイデアが出たのですね。特装版には、アレンジCDのほかに公式資料集やミニチュアアクリルマーキー(※3)も同梱されます。これらのこだわりも教えてください。

※3……マーキーとは、アーケード筐体上部に付けられたタイトルパネルのこと。

小林 設定資料集には、歴代開発者のインタビューや座談会、当時の貴重な資料を収録しています。

外山 何かしら本もつけたいという話になって当社の倉庫を調べたところ、『ダライアス』シリーズの紙の資料が大量にでてきたので、その中から厳選したものを載せました。収録作に関わった方たちの声を少しでも多く届けたかったので、歴代開発スタッフで連絡の取れる方たちに声をかけています。『ザ・ニンジャウォーリアーズ ワンスアゲイン』を開発しているご縁もあって、ナツメアタリさんはナツメ時代、『SAGAIA』の開発に携わっていた方にも声をかけてくださいました。すでに退職されているにも関わらず、快くインタビューに応じていただけたのはうれしかったですね。ほかにも、小倉さん(※4)やHEY(※5)の店長さんのインタビューも収録しています。

※4……小倉久佳氏。元ZUNTATA。初代『ダライアス』などの音楽を制作したレジェンド級のクリエイター。

※5……秋葉原にあるゲームセンター。レトロゲームがたくさん置いてある。

――設定資料集は、読み応えがありそうです。

小林 あとはマーキーですね。これは現在公開している初代、『II』、『外伝』の3種に加えて、サイズの小さい『SAGAIA』のマーキーも付けることになりました。

外山 マーキーは、堀井さんのような筐体マニアのファンに喜んでもらえたらと考えて用意しました。ミニチュアなので実物サイズではないのですが、どこかに飾って楽しんでもらえるとうれしいです。

小林 サイズは再現できませんでしたが、当時の『~外伝』などのロゴをデザインしたスタッフが担当しているので、デザインはバッチリだと思います。こちらもお楽しみに。

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サウンドに四苦八苦!? 筐体や資料を解析して当時の音をリアルに再現

――サウンドを担当されている春日さんと工藤さんを中心に、サウンド面で苦労されていることをお聞きしたいと思います。

春日 アーケードの作品がたいへんですね。

工藤 家庭用ゲーム機の作品は、社内で実績のあるハードウェアが多いので、比較的作業がしやすいんです。一方でアーケードは、それぞれ専用設計のうえ、とくに複雑な構成になっている『ダライアス』は苦労しています。

春日 ベンチシートに重低音のスピーカーを内蔵した“ボディソニック”という、当時としては革新的な機能も搭載していますからね。きちんと解析しないと答えにたどり着けないので、タイトーさんの倉庫にお邪魔して実物の筐体を見ながら作業を進めています。

久保田 初代は思い入れの強い人が多いですからね。ファンの方が納得する形でサウンドを再現するのは、要求が高いことなんです。

――初代はどこが複雑なんですか?

工藤 搭載されるFM音源チップ(※6)はふつう1枚なのですが、『ダライアス』には2枚搭載されています。さらにPCM音源チップや独自のチップもあり、音に変化をつける機能が複雑なぶん、解析に手間取りました。

※6……コンピューターで音を出すための機構のひとつ。

春日 ソフトウェア解析はおもに僕が、ハードウェアの解析は工藤が担当しています。

――素人目に見ると、アーケードの音をそのまま収録するだけに思えますが、サウンドだけでもいろいろな作業が必要なのですね。

辛島 サウンドには時間をかけていて、アーケードの音をそのまま録音するのではなく、当時の音をリアルに再現しようとしています。

――なるほど。サウンドは初代がとくにたいへんとのことですが、ほかの作品は?

堀井 『外伝』も苦労しているよね?

工藤 そうですね。『外伝』の音源チップは、市販されているシンセサイザーをカスタマイズして搭載したような、非常に高性能なものになっています。音源チップから音を出すだけではなくて、残響を深くかけることもできるので、それをCPUで再現しようとすると、かなりのパワーが必要になりますから。

春日 サウンドはプログラムに関わることも多いので、阿部さんにも苦労をかけています。

阿部 確かに、サウンド関係のプログラムはとくにたいへんですね(苦笑)。たとえば『ダライアス』は、系統ごとに音源を処理するプログラムが必要になってくるので、春日や工藤に意見や改良案を出してもらいながら、プログラムを実装するようにしています。

春日 あとは、実際に筐体を調べてみないとわからないこともありますね。よくある問題としては、L(左)とR(右)が逆転してスピーカーから流れていることがあります。

――音を左右逆で聴くと違和感があると思いますが、移植するときは直すのですか?

堀井 いえ、あえてそのまま移植します。作曲者の立場なら、本来は左右をもとに戻した音を収録したほうがいいのかもしれませんが、左右が入れ替わった音を聞き慣れているユーザーにとっては、本来の音ですから。

―― あえて直さないのも、当時の雰囲気を重視する、エムツーさんのこだわりなのですね。

久保田 M2ショットトリガーズ(※7)ではよくやっていますが、作品によっては、間違ったまま収録された曲と原曲を、オプションで選べるような工夫もしています。

※7……エムツーが手掛けるシューティングゲーム復刻プロジェクト。

――あえて直さないところと言えば、スプライト(※8)の表示は、どのように処理をする考えですか?

※8……キャラクターが描かれたセル画のようなもの。たくさん表示するとキャラクターがチラつく。

久保田 スプライトは、いまのところチラついたままですね。

堀井 スプライトのチラつきも、作品によってはオン/オフで切り換える機能もありますが、本作にはいまのところ入れていません。チラついていないと、「当時の『ダライアス』じゃないよね」と言うファンはいると思うので、そのままにしておく予定です。

――やはりこだわっているのですね。先ほど、阿部さんはサウンド関係のプログラムがとくにたいへんだとお話されていましたが、プログラムでほかに苦労されているところはありますか?

阿部 もとのハードや基板の種類が異なるうえ、種類も多いので、プログラムでうまくまとめるのはたいへんですね。とはいえ、今回は基板の仕様書が充実していたぶん、作業が進めやすくてとても助かりました。

辛島 阿部さんは最後のまとめ役として、とても頼りになるんです。阿部さんがいないと、『ダライアス』シリーズはニンテンドースイッチでは動きません。

春日 それに、阿部さんは初代の熱心なファンなので、音の違和感などにもすぐに気づいて指摘してくれるんです。プログラムはもちろん、当時を知るコアなファン目線でアドバイスをしてくれるのも、非常に助かっています。

阿部 いえいえ(苦笑)。

復刻版のこだわり! 遊びやすさを追求したうれしい機能が満載

―― 本作ならではの機能などはありますか?

久保田 当社にはM2ショットトリガーズで蓄積したノウハウがありますので、基本的には、同シリーズで好評だったシステムは極力実装したいと考えています。いま絶賛開発中なのですが、便利な機能も用意していて、たとえば連射機能だと、秒間30連射の高速なものから、スローな5連射も実装予定です。

―― 5連射はうれしいです! とくに初代は、弾切れ(横3画面という環境では、ショットが画面の外に消えるまで時間がかかるため、それによる弾切れが起こりやすい。とくにショットが敵を貫通するレーザーに進化すると起こりやすかった)に悩まされるので(苦笑)。

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阿部 そうなんですよね(苦笑)。

辛島 私はマニュアル連射でもいいんじゃないかと思いましたが、社内でも「5連射は欲しい」という意見が圧倒的に多くて。

久保田 連射機能は比較的簡単に実装できそうだったので、すぐ入れることになりました。

―― ほかにどのような機能が実装される予定なのか、公開可能な範囲で教えてください。

久保田 2Pを使う作品では、おすそわけモードに対応していますので、本体が1台だけでも、左右のJoy-Conを使ってふたりプレイを楽しめます。また、『II』や『外伝』では、ひとりでプレイするときでもコントローラセッティングで操作する機体を選べるようにしており、2P側のティアット(※9)を操作可能です。

※9……ティアット・ヤング。2P側の青のシルバーホークに搭乗する女性パイロット。

辛島 ただ、初代は、1Pがいないと2Pを操作できない仕様なので、ティアットだけで遊ぶことはできません。おすそわけモードを使用すれば、ふたりプレイで遊べて、プロコ(※10)がもれなく付いてきます。

※10……プロコJr.。1P側の赤のシルバーホークに搭乗する男性パイロット。ちなみにPROCOとTIATを並べて逆から読むと……?

―― なるほど。

小林 家庭用ゲーム機のタイトルは、隠しコマンドなどの裏技も収録するんですよね?

久保田 隠しコマンドも実装する予定ですが、ニンテンドースイッチ版は使用するボタンの数を減らして操作性を高めているので、隠しコマンドを当時のまま再現しようとすると、ボタンの数が足りなくて……。再現したほうがファンの方は喜ぶかもしれませんが、ボタンを増やすことはできないので、より手軽に隠しコマンドが使える仕様を考えています。

堀井 あとは、M2ガジェット(※11)的なものも入れたいですね。タイトル数が多いので、できる範囲になってしまいますが、プレイヤーにとって便利な情報を盛り込もうかと。

※11……M2ショットトリガーズでは、そのまま復刻するのではなく、ゲーム画面にプレイに役立つ情報が表示された。これが通称“M2ガジェット”と呼ばれる。

久保田 たとえば『II』だと、機体がパワーアップしてもわからないので、可視化できるようにしたほうがいいよねという案が出ています。プレイヤーとして気になったところは、わかりやすくしていきたいですね。

――オリジナル版と比べて、快適にプレイできそうですね。

外山 連射機能やM2ガジェットのように遊びやすさを追求しながら、エムツーさんのこだわりである、再現度にも注力して開発を進めています。当社やエムツーさんに『ダライアス』の熱心なファンは多いのですが、第三者の意見も聴くために、ミカドさん(※12)に『ダライアス』のスコアラーを紹介していただきました。彼にテストプレイをしてもらい、違和感のあるところを挙げてもらってエムツーさんにフィードバックするようにしています。

※12……ゲーセンミカド。HEYと同じく、レトロゲームを置いてあるゲームセンター。現在、高田馬場と池袋の2店舗を展開している。

久保田 彼は『ダライアス』が生活の一部になっているような方で、我々は「違和感があるところを教えてください」とお願いしているにも関わらず、「ここは合っています」と、大丈夫なところまでコメントしてくれるんです。非常に頼もしいですし、合っていると言われると、我々としても自信が持てますね。

――開発は着々と進んでいるようなので、発売されるのが楽しみです! 楽しみといえば、本作や『ザ・ニンジャウォーリアーズ ワンスアゲイン』も楽しみですが……。

外山 正直、僕が担当していないタイトルなので、どこまでお話ししていいのかわからないのですが(苦笑)、『ザ・ニンジャウォーリアーズ』はナツメアタリさんと鋭意開発中ですので、こちらもご期待ください。

堀井 いちユーザーとして、『ザ・ニンジャウォーリアーズ』にはメチャクチャ期待していますよ! 東京ゲームショウ2018でも気になってブースを見に行ったのですが、開発スタッフの方が僕を見つけて話しかけてくれたんです。そこでゲームの話をいろいろ聞いて、さんざん期待を高めたうえで、あえてゲームはプレイせずに帰りましたからね。

一同 (笑)。

堀井 『ザ・ニンジャウォーリアーズ』は家でトコトン楽しむんだって。

小林 新キャラクターが2体追加されるので、あえて遊ばなかったのは正解だったかもしれません。

外山 最初は新要素を足したリメイク版のはずだったんですが、いざ開発がスタートしてみると、ほぼ新作な感じになっていますからね。

堀井 我々ももっと気合を入れて『ダライアス』の作業にあたらないと(苦笑)。

――エムツーさんのこだわりも十分感じていますよ(笑)。ちょっと気は早いかもしれませんが、第3弾以降のタイトルの発表は……?

外山 できるだけゲームファンの皆様のご要望にお応えしたいですね。ご期待いただけるとうれしいですが、まずは『ダライアス』、とくに特装版を遊んでもらいたいです。

小林 僕は初代『ダライアス』より後に生まれたので、今回、初めて遊ぶタイトルも多かったのですが、いまプレイしてもよくできている作品が多いという印象を持ちました。この機会にぜひ、遊んでもらえるとうれしいです。

工藤 サウンドの担当としては、ソフトウェアを追うだけでは絶対にわからないような、ハードウェアの面からも完成度を高める努力をしています。ぜひ手にとって完成度の高さを体験してもらいたいです。

春日 アーケード版の音の再現度は、かなり自信があります。過去最高の『ダライアス』サウンドをお楽しみに。

久保田 私はM2ショットトリガーズのディレクターを務めているので、そこで培ったノウハウをどんどん取り入れていきたいと思います。引き続き全力を尽くして開発を進めていきますので、応援をよろしくお願いいたします。

阿部 収録されるタイトル数が9本と多いのですが、昔のゲームをいまプレイしたとき、できるだけ遊びやすいように力を入れていますので、ぜひクリアーするまで遊んでください。

辛島 私はゲームセンターが大好きなので、本作で『ダライアス』を練習して、ぜひゲームセンターの筐体でもプレイしてみてください。

堀井 当時熱中した『ダライアス』を、30年以上経ったいま、自分たちの手で世に送り出せるのをうれしく思います。『ダライアス』に熱中していた学生時代の俺が、いまの俺を褒めてくれるような作品に仕上げていきますので、ご期待ください。

『ダライアス コズミックコレクション』名作の復活に懸けるタイトーとエムツーのキーマンによるスペシャル座談会_08

※本記事は、週刊ファミ通2018年12月6日号に掲載されたものに増補改訂を行ったものです。