“Composers Summit Concert 2018”の開催を間近に控え、梶浦由記氏と椎名豪氏が“プレイヤー”としてステージに立つ心境などを語り合う

2018年12月28日に東京国際フォーラムにて開催予定のプレミアムコンサート“Composers Summit Concert 2018”。同コンサートを記念しての、梶浦由記氏と椎名豪氏の特別対談をお届けする。

 梶浦由記氏と椎名豪氏。数々の作品で劇伴や主題歌を担当してきた作曲家が、今回ファンのためにプレミアムコンサート“Composers Summit Concert 2018”を開催する。しかもスペシャルゲストには千住明氏を迎え、3人それぞれが作品のために手掛けた数々の音楽を披露していくという。そんな豪華な夜を前に、梶浦氏と椎名氏が対談を行った。ゲーム音楽を担当していたころのニアミス、プレイヤーとしてステージに立つ心境などをふたりが語り合う。

多数のゲーム・アニメ音楽を手掛けてきた作曲家たちが一堂に会するコンサート“Composers Summit Concert 2018”が12月28日に開催、梶浦由記&椎名豪のスペシャル対談が公開

2018年12月28日、東京国際フォーラム ホールAにて多数のゲーム・アニメ音楽を手掛けてきた作曲家たちが一堂に会するコンサート“Composers Summit Concert 2018”が開催。同コンサートに出演する梶浦由記氏と椎名豪氏のスペシャル対談が公開された。

梶浦由記氏(左)と椎名豪氏(右)。

――今回のセッションコンサートでは自身の代表曲を披露するとともに、プレイヤーとしての一面も見せる場となります。競演を前にしたいまのお気持ちは?

椎名梶浦さんは緊張されますか?

梶浦私はあまり緊張しないんです。直前まではするんですが本番は全然。

椎名すごいですね。僕はもう……。緊張すると何が辛いかって、(ピアノの)ダンパーペダルですよ。足ががくがく震えているので、バラードのときにダンパーペダルがぶつぶつ言ってしまうのが怖くて怖くて。弾きながら「足、止まれぇ!」みたいな念力を飛ばしています。

――梶浦さんは緊張よりも楽しい気持ちが打ち勝つのでしょうか?

梶浦「梶浦さんが誰よりも一番楽しそうだった」とよく言ってもらえるんですが、絶対そう見せたいんです。言ってはいけないことかもしれませんが、難しい顔をしながらピアノを完璧に弾くライブよりは、一ヵ所くらい間違えても「めちゃくちゃ楽しい!」って顔しながらライブをやりたいとと思っているんです。

椎名僕はもういっぱいいっぱいです(笑)。どちらかというと、お客さんとして行きたいというのが本音なくらいで。いまは足を引っ張らないように、というのが一番の心構えですね。

梶浦でも、私は劇伴の仕事を始めたのが遅いので、椎名さんは大先輩ですよ。作品数も多いだろうし、多分活動時期も長いので。

椎名そんなことを仰っていただけるなんて…恐縮です。とんでもないです。そういえば昔、梶浦さんが『ゼノサーガ エピソード II [善悪の彼岸]』(以下、ゼノサーガII)の音楽をやられていたころ、『テイルズ オブ レジェンディア』の開発部隊が隣の部屋にいたんです。当時、同じフロアにあった『ゼノサーガ』チームとうち(『テイルズ オブ レジェンディア』)は、内蔵音源とストリーム再生が混在するという特殊なことをやっていて、梶浦さんの音楽と僕の音楽で実験的なことをしていたんです。大変大掛かりなプロジェクトでした。ある意味それが梶浦さんとの出会いだったのかなと思い出しました(笑)。

梶浦あれ、『ゼノサーガII』はもう内蔵音源で鳴らしてはいなかったですよね。

椎名ジングルとかが残っていたらしくて。

梶浦あ、なるほど。そこが。

椎名なので、戦闘のローディング時間を短くするためとか。

梶浦私も内蔵音源の作品を音源作りからすべて自分でやったことがあって、ものすごく大変でした。ゲームで音楽を鳴らす人たちのすごさを感じましたね。パッド音ひとつから全部作らないといけないので。しかもメモリの容量が決まっているし。そのときはまだプレイステーションだったと思うのですが、音源全部を作って落とし込むのに1年かかりました。でも、しょぼいパッドの音しか出なくて(笑)。なるべく好きな音をループして作って、試しプレイしたときは「そこそこいい音ができたんじゃないかな」と思っていたのに、別のゲームを立ち上げて最初に鳴る音を聴いた瞬間、「あ、全然違う」と思いました。当時の技術はすごかったです。内蔵音源を使わなくなって失われてしまった部分があるのはもったいない気がしますね。

椎名自分はアーケードもやっていたので、内蔵が多かったんですよ。

梶浦ひとつのゲームごとに内蔵音源を作り直していたんですか?

椎名いえ、結構使い回していました。版権の問題があったので、パーカッションは生で録って原型をとどめないくらいにリミッターをかけることもありました。

梶浦パーカッションは余韻まで入れるとかなりの容量になりますよね。

椎名そうですね。だから(鳴り始めから最大値までの)「アタック」しか録らないですよ。

梶浦そのあとに内蔵リバーブ?

椎名そうですね。僕はサイン波をリリースの代わりに使うということもしていました。

梶浦やっぱり特殊な技術ですよね。私もその一作をやったとき、日本のゲームにはどれほどの音源技術が積み重ねられていたのか、そのすごさを身に染みて感じることができました。やっぱり盛り上がるんですよ、ゲーム会社の方が作ったバトル曲は。音数は多くないのに。それまで当たり前に聴いていましたが、どう作っているのかを意識してみると、じつにうまくできていることに気づきます。当時は正直叶わないと思いました。一朝一夕でできるものではない、と。

椎名ただ、劇伴をやられている方がゲームに参入されると、そのスケール感は全然違いますよね。僕は、『ゼノサーガII』のエンディング(“Sweet Song”)を聴いたときに「すごい!」と思ったんですよ。「どこの国の音楽なんだ?」って「?」がいくつも頭に浮かぶみたいな感覚でした。でも、“和”のような、日本人魂を感じるというか。フュージョンライクな曲が多かったゲーム音楽を切り開いた感覚がありました。

――ゲーム音楽業界に黒船がやってきた、みたいな?

椎名そうですね。ペリーでしたね、インパクトは(笑)。

梶浦でも、椎名さんこそすごくエスニックな曲も作られていますよね。

椎名いや、僕のは「なんちゃって」ですよ(笑)。

梶浦私も「なんちゃって」です(笑)。ものすごく。でも私たちはBGMを作っているので、むしろ「なんちゃって」でなければいけないとも思っています。本物を聴かせたいならそちらを使えばいいですし。それに本気でやりすぎるととっつきにくいものになりますから。噛み砕いて「なんちゃって」にしたほうがBGMにはふさわしいですよね。だから私は、本当の意味でのケルトやアフリカ、中近東の音楽をやるつもりはありません。日本人はまた、そうやって取り入れていくのがうまいですよね。「なんちゃって」でいい、と思えるのが日本人のよさというか。「っぽい」音楽で止める、その加減が個々で違うことが個性にもつながっていますし。じつは私、“Snow Castle”(『鉄拳5 DARK RESURRECTION』)がすごく好きなんですよ。すごくかっこよくて、何度も何度も聴かせていただきました。あれは「なんちゃって」を超えていると思いますが、あれこそジャンルを聞かれても困る感じでとてもいいですよね。

椎名ありがとうございます。恐縮です。

――異世界感、無国籍感というところで椎名さんが意識されているところはありますか?

椎名じつは僕、世界一周が夢で、よく街で見かけるポスターを見て申し込みたいと思っている人間なんですよ。その疑似体験ができるような音楽が作れたら、という気持ちはありますね。港に泊まってその国に降り立ったらこういう体験ができる、みたいな。RPGの感覚はまさにそれだと思うので、そういうエッセンスを音楽に入れるようにはしています。

――では当日もそういった世界を感じられる空間にしたいですね。

椎名そうですね。自分も少しは楽しみながら。

――梶浦さんはコンサート当日への意気込みとしては?

梶浦そうですね。私は、いつもお願いするミュージシャンとの演奏が主になるとはいえ、せっかくの機会なのでオーケストラの方たちにいろいろとお願いしてみたいと思います。私のライブを見たことがある方も、今回のような大編成で梶浦のライブを見るのは初めてになりますから、違う面を楽しんでいただけるのが私も楽しみですね。

(取材/冨田明宏 文/清水耕司)

■■コンサート情報■■

Composers Summit Concert 2018

◇開催日時:2018年12月28日(金) 開場 16:30/開演17:30
◇会場:東京国際フォーラム ホールA
◇チケット:プレミアムシート 12,000円/一般席 8,800円

<一部 演奏予定作品>
◆梶浦由記
Fate/Zero、他

◆スペシャルゲスト 千住明
機動戦士Vガンダム
鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST、他

※上記以外の作品も演奏を予定しております。
※椎名豪の演奏予定曲も後日、一部発表を予定しております。

<出演者情報>
梶浦由記(Pf.)椎名豪(Key.) スペシャルゲスト:千住明

Vocals:今井麻美、KAORI、笠原由里、Joelle、YURIKO KAIDA

Musicians:
東京ニューシティ管弦楽団
今野均ストリングス
是永巧一(Gt.)
馬場一人(Gt.)
高橋“Jr.”知治(Ba.)
長谷川淳(Ba.)
五十嵐宏治(Key.)
ピアニート公爵(森下唯)(Pf.)
佐藤強一(Dr.)
阿部薫(Dr.)
大平佳男(Mp.)

MC:冨田明宏

※順不同

<チケット情報>
◎プレミアムシート:12,000円(税込)
(特典:前方席・プレミアムシート限定記念品・専用口からのご入場)
◎一般席:8,800円(税込)
※全席指定 
※未就学児童入場不可
※お一人様1公演につき4枚まで

只今以下のプレイガイドにてチケット好評発売中
★チケットぴあ 0570-02-9999  Pコード:126-195  https://t.pia.jp/
★ローソンチケット 0570-084-003  Lコード:71146  https://l-tike.com/
★イープラス https://eplus.jp/
★Yahoo!チケット https://ticket.yahoo.co.jp/
★楽天チケット https://ticket.rakuten.co.jp/

■本公演に関するお問い合わせ:KMミュージック045-201-9999 (平日 11:00~18:00)
■Composers Summit Concert 2018特設サイト: http://www.csc2018.jp/

■■出演者コンポーザープロフィール■■

梶浦 由記

Yuki Kajiura/作曲家

【主な代表作】
<ゲーム>
ゼノサーガ エピソード II [善悪の彼岸]』、『ゼノサーガ エピソードIII [ツァラトゥストラはかく語りき] 』、『ダブルキャスト
<アニメ>
Fate/Zero』、『魔法少女まどか☆マギカ』、『ソードアートオンライン』、『空の境界』、『ツバサ・クロニクル』、『.hack//SIGN』、『プリンセス・プリンシパル
<TV・映画>
『NHK歴史秘話ヒストリア』、『NHK連続テレビ小説 花子とアン』、『アキレスと亀』

【オフィシャルサイト】
http://fictionjunction.com/

椎名豪

Go Shiina/作曲家

【主な代表作】
<ゲーム>
アイドルマスター』、『ゴッドイーター』、『テイルズ オブ』シリーズ、『CODE VEIN
<アニメ>
『テイルズ オブ ゼスティリア ザ クロス』、『ゴッドイーター』、『レイヤードストーリーズ ゼロ』、『衛宮さんちの今日のごはん』

【オフィシャルサイト】
http://shiinago.jp/:http://shiinago.jp/


スペシャルゲスト

千住 明

Akira Senju/作曲家

【主な代表作】
<ゲーム>
ファイティング・イリュージョン ~ K1グランプリ戦士』、『機動戦士Vガンダム』、『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』、『StarHorse
<アニメ>
『機動戦士Vガンダム』、『幻想魔伝 最遊記』、『テイルズオブヴェスペリア ~The First Strike~』、『鋼の錬金術師FA』、『革命機ヴァルヴレイヴ』
<ドラマ>
『高校教師』、『家なき子』、『NHK連続テレビ小説 ほんまもん』、『砂の器』、『NHK大河ドラマ 風林火山』、『LEADERS』
<映画>
『226』、『わが心の銀座鉄道』、『愛を乞うひと』、『黄泉がえり』、『追憶』

【オフィシャルサイト】
http://www.akirasenju.com/