お落し玉です……やっていきませんか? お落し玉、どうですか? 1回50HK$で、ルールは……あ、西川くんです。2018年11月22日、プレイステーション4にて『シェンムー I&II』が発売されましたね! いやぁ待ってましたよ。毎年毎年、出ないかなぁ、HD版とかないかなぁ、そろそろだよなぁとか考えていたら、まさか今年、本当に出るだなんて!

 『シェンムー I&II』とは、1999年にドリームキャストにて発売された『シェンムー 一章 横須賀』、その続編となる『シェンムーII』が1本セットになったタイトル。総製作費70億円と、当時のセガの総力をかけて作り上げた偉大なる作品で、“FREE(Full Reactive Eyes Entertainment)”と呼ばれる自由なゲームスタイルは、3Dオープンワールドの先駆けと言われているほど。あの『グランド・セフト・オート』シリーズにも大きな影響を与えている、というとそのスゴさが分かりやすいかもしれません。

 前半では、本作を初めてプレイする方々へ向けて、本作の魅了をご紹介。後半はドリームキャストですでにオリジナル版をプレイ済みの方々へ、プレイレビューをお届けしていきます。

祝『シェンムー I&II』発売! 涼の旅路、横須賀の街並、香港での冒険を再び味わうプレイレビュー。若い世代にもプレイしてもらいたい_01

初めてプレイする人は、涼さんに惚れてほしい

 さて、ここからは『シェンムー』シリーズをまだプレイしたことがない人へ向けて、本作の魅力を紹介したいと思います。物語は、主人公・芭月 涼の父親である、芭月 巌が、謎の男に殺されるシーンから始まります。男は“鏡”の在り処を求めて巌を脅していたようで、なぜ父が殺されたのか? あの男は誰なのか? 鏡とは何なのか? という謎を探るべく、プレイヤーは涼を操作し、地元の街・横須賀を探索します。

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 『シェンムー 一章 横須賀』は、1986年の横須賀が舞台。電話もダイヤル式の黒電話で、スマホはもちろん携帯電話なんて普及していません。昭和の空気を感じられるゲーム内に作られたもうひとつの世界は、プレイヤーをノスタルジーな気持ちにさせてくれます。

 そこに暮らす人々たちは、いわゆる“モブキャラ”にですら名前が付けられており、ゲーム中にはほぼ関係ありませんが、細かな設定まで用意され、それぞれが自分自身の生活を送っているのです。現在では、リアルな街並みを探索するゲームは数々ありますが、これほどまでに人間の生活感、その街に“住んでいる”感覚というのは、『シェンムー 一章 横須賀』がいまだに頂点なのでは、と個人的には思っているほどにリアルです。

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 そして『シェンムーII』では、香港を舞台に、さらに広大なマップを探索していきます。イギリスと中国の文化が入り混じる香港の、さまざまなエリアを探索していく雰囲気は、『シェンムー 一章 横須賀』では味わえなかった“旅行感”が楽しめるのです。この緻密に作られた世界で、壮大な物語を追っていくのが、『シェンムー』シリーズ最大の魅力と言えるでしょう。

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 マジメに謎を追っていくのもいいですが、ミニゲームなどの横道が豊富に用意されており、ついついハマってしまうのが『シェンムー』シリーズの大きな醍醐味! キャラクターフィギュアなどが手に入るガチャガチャといったコレクション要素や、『スペースハリアー』や『アウトラン』といったアーケードゲームが遊べたり、ときには香港でギャンブルに興じるなどなど、やれることが盛りだくさん。物語の中で、ときにはバトルに発展することもあり、格闘ゲームさながらのアクションバトルが楽しめるのもポイントです。

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 さらに、ストーリーとは直接的には関係のないイベントや、登場人物たちとの何気ない会話も大きな魅力。大きな本筋はありますが、その世界で何をするかはあなたの自由……。それこそが、オープンワールドの先駆けと言われている所以なのです。

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 個人的に最も推したいのは、主人公・芭月 涼の存在。クールでぶっきらぼうで、不器用な男なんですが、ときにはやさしく、そして人思いという姿が、見ていて素直にカッコいい。そして、彼を通して見ていくさまざまなドラマや冒険の数々は、涼とはどういう男なのか、という魅力を最大限に味わえます。それがいいんですよ……! ちなみに涼さんがよく言う「そうですか」は“手がかりじゃない!”、「わかりました」は“ちょっとヒント”、「ありがとうございます」は“答えを教えてくれて感謝!”という、僕の中での三段活用だと思っていますので、涼さんの一挙手一投足にぜひとも注目してください(笑)。イベントでわざと負けるのも愛らしいですぞ!!

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 さてさて……まだまだ語っていない魅力はたくさんあります。ですが、これ以上はぜひともプレイして、自分で経験してほしい!! もちろん、『一章 横須賀』は1999年『II』は2002年と、約20年前に発売ゲームですので、古く感じたり、多少遊びにくい部分はあるかもしれません。ですが、そんなことを上回るような、驚きの体験をたっぷりと味わえるはずです。ぜひぜひ、ゲーム好きを自称するならば、1度はプレイしておいて損はありませんよ!!!!!!!

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綺麗、ロード早い、遊びやすい!

 さて、今回の移植で最大の特徴とも言えるのが、1080p解像度で楽しめる美麗なグラフィックでしょう。イベントシーン以外では画面比率は16:9に対応し、当時からすでに描き込まれまくったリアリティのある街並みや人物をワイドな画面で見れるのは、なんともうれしいポイントです。現代のAAAタイトル……とまではいきませんが、それでもやっぱり、鮮明な画面でもう1度『シェンムー』を味わえるのは、ファンの皆さんも願っていたことでしょう。ただ、移植作業の都合でどうしても……ということだとは思いますが、イベントシーンも16:9で味わいたかったなぁ、というのが正直なところでしょうか。

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バトル画面も、16:9の画面比率で描かれます。
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『一章 横須賀』のイベントシーンは、4:3の画面比率になり、横に黒い枠があります。
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『II』は上下に黒い枠線があるので、最初から画面比率は16:9なのですが、解像度(というかカメラの枠といいますか)は小さいです。

 操作方法の追加も見逃せません。ドリームキャストのコントローラでは、左スティックで視点移動、方向キーで移動となっていましたが、プレイステーション4のコントローラ(DUALSHOCK4)は、左スティックの移動が可能となったおかげで、左スティックで移動、右スティックで視点移動が可能になるなど、操作性も向上しました。とくに、バトルシーンのスティック入力技が出しやすくなったと個人的には感じました。

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QTEも左スティックでオーケー。ちなみにQTEのUIは小さくなって、アクションが見やすくなったのはいいですが、ちょっと見逃しやすい(笑)。

 さらに細かな点ですが、『シェンムー 一章 横須賀』は、涼の家でしかセーブできませんでしたが、本作ではどこでもセーブが可能に。もちろんプレイを止めるタイミングを自身で決められるようになったのはグッド。とくにアイテムコンプリートなどを目指してプレイしている人にとっては、非常に重宝する機能になるのではないでしょうか。また、ロード時間が全体的に短縮されており、ゲームプレイは非常に快適。ロード中、地名が表示されますが、一部マップはロードが早すぎて地名がじっくり読めないレベルです。エリア移動の多い『シェンムーII』ではロードもたくさん入るので、とくに実感できるうれしい要素でした。

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 ちなみに、海外のみで発売されたXbox版『シェンムーII』ではすでに搭載されていたものですが、基本的に日本のプレイヤーにとっては新たな要素となるのが“スナップショット”機能。これは、ゲーム内で写真撮影を楽しめる機能なのですが、特定の人物などを撮影して集めるという、コレクション要素でもあるのです。これは基本的にゲーム内いつでも撮影が可能なもので、著名な人物をバシバシ撮影して楽しむのは、海外版をプレイされていない方にとって、今回が新たな体験になるでしょう。コレクションを集めれば、“シェンムー 2章”が描かれたマンガなど、さまざまな特典をゲーム内で楽しめますよ(特定の人物が指定のブロックに分かれていて、ブロック内すべてを撮影すればひとつずつ解放されます)。ただ、この機能を使う際に注意しておきたいのは、ゲーム写真撮影機能はプレイステーション4のスクリーンショットフォルダには保存されない点。コレクション以外で撮影したい人はShareボタンでスクリーンショットを撮ったほうが便利です。

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ゲーム中、R1ボタンを押せばスナップショット完了。イベントシーンなどでも、右上にカメラマークの表示がある場合は撮影できます。
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ちなみにカメラ機能のひとつとして、L1ボタンを押すと画面にいくつかのフィルターをかけられますよ。

 ちなみに、メニュー画面などのUIが一新され、アイテムや文字の視認性はとてもよくなりました。ただし、オリジナル版の雰囲気は消えてしまっているので、「前のほうがよかった!」という人もいるかもしれません。このあたりは好みの問題になるでしょう。個人的には、おおむね気にならない点ではありますが、『シェンムー 一章 横須賀』の縦書きで技名が書かれた巻物風の技表がなくなってしまったのは残念なところです。とはいえ、アイテム、コレクション、セーブといった要素をサクサク切り換えられるUIは快適なので、デザイン性を取るか、機能性を重視するかで評価が分かれるポイントになるでしょう。

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 大きな変更点から細かいところまで触れましたが、簡潔に言えば綺麗になって、ロード早くて、しかも遊びやすい!ってなわけです(笑)。ファンだからこそ「ここがもっとこうなれば……!」みたいな気持ちが個人的にはありますが、オリジナル版の良さが存分に味わえますよ。また、今回画面が綺麗なったおかげで発見できることも僕にはありました。僕はオリジナル版を当時、小さなブラウン管テレビでプレイしていたため、『シェンムー 一章 横須賀』の終盤、涼がみんなに別れを告げるシーンで、涼が握りこぶしを握ってプルプルと震えるシーンを、モニターの都合で視認できませんでした(笑)。今回、その演出を発見をしてしまい「えっ!」と、再度感動してしまったのは、僕だけかもしれせんが……。皆さんもまたもう1度、横須賀&香港での旅を楽しんでみてはいかがでしょうか?

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みんなのアイドル、徳林さんも美麗なグラフィックだ!