ファン限定『BLACK BIRD』完成記念打ち上げパーティーに極秘潜入! サントラはオペラ仕様&次回作はどうなる?_18
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 2018年11月17日(土)に、シューティングゲーム『BLACK BIRD』リリースとサウンドトラックの発売を記念して、“Onion Games公式飲み会 ~BLACK BIRD完成記念の打ち上げパーティー~”が開催されました。Onion Gamesは、かつてプレイステーションのアドベンチャーゲーム『moon』に携わった木村祥朗氏を中心とするスタッフで構成されたゲーム開発スタジオ。『BLACK BIRD』は、これまでスマートフォン用にRPG『勇者ヤマダくん』、パズルゲーム『Million Onion Hotel』といった独創的な世界観が魅力的なタイトルを手掛けてきた同スタジオの最新作にして、初のシューティングゲームとなる作品です。それだけに、作品の世界観も、“非業の死を遂げた不幸な少女が、災いの黒い鳥となって人々の命を奪う”といった印象深い内容になっており、スタジオ作品のグラフィックを手掛ける倉島一幸氏が描くドット絵のビジュアルと、サウンド担当の谷口博史氏のオペラのようなBGMと相まって、陰鬱な中にユーモアを感じる独特なテイストのプレイ感覚を醸し出しています。

 ちなみに、5月に京都で開催されたインディーゲームの祭典“BitSummit Volume 6”では、グランプリにあたる“ヴァーミリオンゲート賞”に加え、サウンドの最優秀賞“エクセレンスインサウンド賞”に輝いたほど、そのゲームプレイとビジュアル、サウンドが混然一体となって生まれる魅力は折り紙付きです。

 どんな作品か気になる方は、こちらのプロモーションビデオを御覧ください。

BLACK BIRD プロモーション映像

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本作は、ディレクター木村氏が大好きだったという往年のシューティングゲーム『ファンタジーゾーン』の遺伝子を受け継ぐかのようなシステムを採用。左右どちらへもスクロールできる循環型のシューティングに。

『BLACK BIRD』ファンが集って、開発者と飲んで語り合った!?

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左からボスデザイン担当の勝田聡氏、背景担当の田崎亮氏、効果音担当のスタジオカリーブ代表・杉山圭一氏、作曲担当の谷口博史氏、ディレクター木村祥朗氏、ピクセルアート担当の倉島一幸氏、リードプログラマー大久保タクマ氏、不幸な少女を演じた声優の綾里まるさん。

 さて、前置きが長くなりましたが、そんな『BLACK BIRD』の発売を祝して、“Onion Games公式飲み会 ~BLACK BIRD完成記念の打ち上げパーティー~”が開催されたわけなのですが……その看板に偽りなし。本当に新宿の某スタジオにファンと開発者が集まって、いっしょひたすら飲んでは語らい明かすという、まさしく“飲み会”として、終始なごやかな雰囲気のイベントになりました。

 いや~いろいろとゲームのイベントを取材してきましたが、こんなにアットホームでファンと近い距離で開催される発売記念イベントは初めて。よく考えると、集まった人たちはみんな『BLACK BIRD』が好きなファンばかりなのだから、そりゃあいい雰囲気に満たされるというものです。

 『BLACK BIRD』の開発時には、現在も現役でシューティングゲームを開発しているゲームクリエイターたちにテストプレイをお願いして、さまざまな意見やアドバイスをもらって改良を重ねていったそうなのですが……会場には、そんなシューティングゲーム作家も多数参加していました。シューティングゲーム開発初挑戦となった木村氏は、こうした意見が大いに参考になったと懐かしそうに話しました。

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かんぱーい! 祝! BLACK BIRDが生まれたよ!

会場では、各々飲み物を片手にファン同士で語らう歓談タイムに。各テーブルを開発スタッフが訪ねてのトークも行われました。
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好評発売中のシューティング『アスタブリード』の作者なる氏は、アドバイス代わりに自分の1面のプレイ動画で撮影して木村氏に送ったそうです。「シューティング開発者ならば、1面の通しプレイを見れば問題点がどこにあるかはわかるはずなので」とのこと。
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Onion Games作品好きの林編集長も参加! サウンドトラックを始め、ブックレットなどグッズも購入し、開発者のサインをもらっていたとか!?

壮絶! かつてないサウンド開発秘話が飛び出す

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 今回の打ち上げパーティーが、ちょうどサウンドトラックの発売日の開催だったことを受けて、作曲を担当した谷口(博史)氏、効果音を担当したスタジオカリーブ代表の杉山圭一氏、そしてディレクター木村氏の3人によるトークショーも開催。「20分じゃぜんぜん語りつくせないほどにたいへんだった(笑)」と、木村氏はサウンド制作が壮絶なものだったことを明かしました。

 全編をオペラのような楽曲が彩る『BLACK BIRD』のサウンドを聴いたことがある人なら、そのたいへんさもなんとなく想像がつくかもしれません。木村氏は、本作の開発にあたって、「谷口氏にできるだけ制約なく、自由に作曲をしてもらう」ことで、奇妙で耳に残る、架空の言語で歌い上げられる“幻聴歌劇”と呼ばれるBGMを生み出してもらおうと考えていたそうです。

 ですが、谷口氏から上がってきた1面BGMのベースとなるピアノ曲を聴いた木村氏は、「そ……まあよくもあんな不思議な音楽を作ってくれたよ(笑)」と、どうやってゲームプレイとシンクロさせればいいのか一瞬途方にくれそうになったほどだったとか……!
 音楽と敵の出現などの演出のシンクロは、谷口氏がベースとなる楽曲データを作る際に、ポイントとなる音に信号となるデータをあらかじめ仕込んでもらっておいて、その信号を参考に木村氏とレベルデザイナーの池田トム氏のふたりで、ひとつずつ敵の出現パターンなどを熟考して決めていったのだそうです。ですが、本作のサウンド制作が壮絶を極めたのは、幻聴歌劇と銘打ったオペラ……歌入りだったこと。谷口氏から後日送られてきた、完成バージョンとなる歌入りのBGMを聴いた木村氏は……「ぜんぜんちゃうやん!(笑)」と驚愕。細かく池田氏が作り上げていた敵出現のパターンも、作り直しになってしまったとか。
 
 それ以降は、「歌が来るまではほどほどに」というスタンスで取り組むことにしたという、いまとなっては笑い話で、会場でも大笑い。ですが、当時はガチで苦労していたであろうことが見え隠れした一幕も。

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ゲーム中には、音楽の展開に合わせて敵が出現する仕掛けが満載。

 それほどまでに、『BLACK BIRD』では動きと音のシンクロが大切な要素のひとつとなっていることがうかがえるエピソードですが、シューティングサウンドで重要なもうひとつのパートである、“効果音”の制作を担当した杉山氏も、独特な佇まいの本作には、いったいどのような効果音が最適なのかを探るべく……なんと1週間ほど楽曲を聴き込みながら世界観について考えを巡らせ、“音の主眼”がどこにあるのか見極めるための時間に充てたのだとか! 

 独特なオーケストラのBGMを邪魔しないような音で世界観を表現するために、とくに効果音のボリューム感には最後の最後まで最新の注意を払って調整をくり返したといいます。楽曲を手掛けた谷口氏によると、本来動きに効果音をつけることで、敵の出現やアクションを演出することが多い中、本作のBGMは楽曲のフレーズが効果音のような役割を兼ねた実験的な作りになっているのだそうです。

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1面のボス、風船男爵の対黒い鳥用大型兵器“バルンバルン”戦のBGMでは、弱点を攻撃したときに風船をこするような印象深い効果音が。ボス戦のオペラ曲のリズム、そして風船のモチーフともピッタリ。

オリジナル編曲全55分のオペラ・サウンドトラックが完成

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 「なんだか話しているうちに苦労ばっかり思い出すな~」と笑顔で振り返る木村氏。

 シューティングゲームには、いい音楽と気持ちいい効果音が欠かせないもの。『BLACK BIRD』の、すばらしい音を生み出すための舞台裏が垣間見えたサウンドトークショーだが、最後にラストバトルで流れる、ある壮大な歌曲(ネタバレになるので詳細は伏せます)を歌い上げた、オペラ歌手の北薗彩佳さんが登場。谷口さんとは旧知の仲で、本作の最終決戦では歌曲が必要になり、クラシックに親しんできた北薗さんにオファーすることを思いついたのだとか。

 北薗さんはクラシック畑での経験が長かったことから、「こちとらクラシック歌手よ?」とふたつ返事で引き受けたそうですが……送られてきたラストバトルの曲が、「モーツァルトよりも、ヴェルディよりも難しい!」と愕然とし、生半可な気持ちで引き受けたことを公開したと語りました。歌いこなすために、歌詞は「何語にも聞こえないように」という注文を受け、自らで、ドイツ語、スペイン語やイタリア語のような雰囲気を取り入れながら作詞も担当。入念に練習を重ねて収録に臨んだそうです。ラストバトルの荘厳な空間の鬼気迫る迫力にも納得。

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 手づくりのファングッズを見せ合ったり、開発スタッフのサインをもらったりと、それぞれ思い思いの時間を過ごした『BLACK BIRD』打ち上げも、気づけばあっという間に幕が下りる時間に。最後には、Onion Gamesのスタッフ全員でのご挨拶。これまではRPGやアドベンチャーを作ってきた木村氏が、初めてシューティングを作ることができたのは、『勇者ヤマダくん』、『Million Onion Hotel』とリリースしてきたOnion Gamesのスタッフ全員の開発力が熟成して高まったおかげで、しっかりとシューティングを完成させることができたと、深い感謝とよろこびをにじませました。「これからもOnion Gamesはがんばっていきます」との締めの言葉に、次回作についても早くも気になるところ!

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最後のフォトセッションでは、ファンの変顔のリクエストにもしっかり対応。決して酔っぱらっているからではありません。
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 最後に、サウンドトラックの発売に寄せて、谷口氏もサントラのために全楽曲を“オペラ”として通して聴きごたえのある形に編曲・再構成しなおし、収録時間55分にもおよぶ作品に仕上げたことに満足そうな笑みを浮かべつつ、しっかりアピール。ファンといっしょに、『BLACK BIRD』の発売と、サントラ完成を祝うイベントは締めくくられることとなりました。

 楽しい時間はすぐに過ぎ去ってしまうものですが、当日運よく参加できたファンの声は、Twitterなどで投稿されています。ハッシュタグ #BLACKBIRD_partyや#BLACKBIRD_tweetで検索してチェック!

 ……というわけで、打ち上げに参加して、お酒をいただきながら、さんざん『BLACK BIRD』とシューティングゲームの話で盛り上がったのち、会場限定で先行販売されていた『BLACK BIRD 公式サウンドトラック』を購入したのでした。さっそく帰って大音量で聴いてみたのですが、これが誇張とか宣伝とかではなくて、それはそれはもう、ただただ素晴らしかった。

 谷口氏の「リスニング用に再構成した」というお話の通り、収録楽曲は、コンサートホールで開演を待っているときに聴こえるオーケストラピットの調律の音から始まる構成になっていて、まさにオペラを観劇している気分に浸れる作り。そして、プレイした人にはおなじみの1面の楽曲が始まったときの高揚感たるや……! 反面、最終ステージの楽曲などには、どこかプログレッシブなテイストも漂っていたりと、その辺りが好きな人は、きっと名盤として愛蔵できると確信できる一枚。1面の曲が気に入った方は、ぜひ購入をオススメしておきます。

 サウンドトラックは、現在通販サイト“BOOTH”内の“Onion Store”で発売中。価格はCDとダウンロード販売、それぞれ3300円です。その他『BLACK BIRD』グッズも発売中なので、気になる人は合わせてチェックしてみては?

Onion Store (https://oniongames.booth.pm/)

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BLACK BIRD 公式サウンドトラック 収録曲リスト

内容

・ゲーム内楽曲および 未使用楽曲、ボーナストラック 全17曲
・描き下ろしイラストジャケット
・楽曲解説
・限定シール(初版のみ)

収録楽曲 (全55分)

 1. オープニング

第1幕(Act1)
 第1場(Scene1)市街地(OPPTIDUM)
 2. 禍々しき黒い鳥となりて -何というおぞましき事でしょうか!
 第2場(Scene2)夜の市街地上空(NOCTE OPPTIDUM)
 3. 風船男爵のあそこを打ち砕くのだ
第2幕(Act2)
 第1場(Scene1)田園地帯(IN AGRIS)
 4. もっとのびのびと民衆を襲えるはずなのに
 5. 女王は民衆を救うために挑むのよ
 第2場(Scene2)田園地帯のはずれ(PERIFERIA AGRIS)
 6. 鶏伯爵の吐く火の玉をかわしながら
第3幕(Act3)
 第1場(Scene1)電飾街(NEO LUMINA)
 7. 繁華街は黒い鳥が破壊するもの
 第2場(Scene2)崩落した電飾街(CATASTROFE NEO LUMINA)
 8. 鼠公爵のレーザーをよけてこそ
第4幕(Act4)
 第1場(Scene1)貴族達の発電城(ARISTOCRATA)
 9. 貴族達の屍を越えて行くがいい
 第2場(Scene2)天空の発電城(TURRIM ARISTOCRATA)
 10. 遂に塔は現る 〜ああ、救済者が牙をむく時
 第3場(Scene3)宇宙(UNIVERSUM)
 11. まさかあたしに勝てるなんてお思い? -三段変化する女王様
 12. 死して尚、女王の執念 -魂のジェムとして

 13. 主よ、死せる少女に戻し給へ
 14. アリアの散歩道(ブラックバードテーマソング)
 15. 未使用:第4幕ボス用BGM
 16. ボーナス:アリアの散歩道(カラオケ)
 17. 父とアリアと…(真のエンディング)

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