2018年11月3日、4日に、“東京藝術大学ゲーム学科(仮)「第0年次」展”というゲーム展示会が開催。11月2日に開かれた内覧会の模様や、展示ゲームの内容などを紹介しよう。

東京藝大の精鋭がゲームを制作

 2018年11月3日、4日に、“東京藝術大学ゲーム学科(仮)「第0年次」展”というゲーム展示会が開催。11月2日に開かれた内覧会の模様や、展示ゲームの内容などを紹介しよう。

 “東京藝術大学ゲーム学科(仮)「第0年次」展”とは、“東京藝術大学にゲーム学科ができたら”という仮定のもとに、東京藝術大学大学院映像研究科修了生のなかから選出された5人のディレクターが、ゲーム学科の「第0年次」の研究生となり、制作したゲーム作品を成果発表会として展示するもの。各ディレクターはゲームを“表現”として捉え、ゲームの概念や可能性を広げることを目指し、約6ヵ月をかけてコンテンツ制作にチャレンジ。展示会では、来場者が完成した作品を実際に見てプレイし、担当ディレクターと会話することも可能だ。

 展示会は2018年11月3日、4日の開催となるが、直前の11月2日には内覧会が開かれた。その模様と、展示ゲームの内容などを紹介しよう。

 なお展示会の実施にあたっては、産学協同の試みとして、『ファイナルファンタジーXV』の制作を手掛けた、スクウェア・エニックス関連会社であるLuminous Productionsのクリエイターたちが、選出された学生ディレクターたちのメンター(仕事上の指導者、助言者)として作品制作に協力。また東京藝術大学では11月以降、同校学生を対象として、上野キャンパスで講義“芸術と情報”(ゲームコース全4回シリーズ)が行われるが、これらの講義にもスクウェア・エニックスおよびLuminous Productionsのクリエイターが講師として協力、ゲームの体系的な教育を行っていくという。

2フロアーの広いスペースでゲームが展示された。

バラエティー豊かな5作がエントリー

 内覧会では、来場者が自由にゲーム体験できるフリープレイタイムのあと、講評会も行われ、ディレクターやメンターみずからが来場者にゲーム内容や制作コンセプトを説明した。以下、ゲームごとに、概要やクリエイターのコメントを紹介する。

講評会の進行を務めた、東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻教授・研究科長の桐山考司氏。

たいふうのよる/Typhoon Night

 台風の一夜を過ごす姉妹を描いたアニメーション『たいふう14ごう』をもとにしたVR作品。プレイヤー自身は“ろうそく”、つまり光源となって、姉妹と一晩をともに過ごしながら、光と影を彩る。

メンター・Luminous Productions、畠山清香氏。

 VR作品にするときに、ディレクターさんの絵のよさを残さないといけないという話し合いをして、 結果的にVRではあるけれど2Dという形に落ち着きました。2Dでの奥行きや影の表現は課題でしたね。エンジニアさんに入っていただいて実装が始まったのが8月くらいですが、企画書をもとにできるものとできないものを区別していきながら最大限、彼女のやりたいように作品を仕上げていきました。

元ネタとなったアニメーションも上映されていた。
絵コンテや演出などが記された制作シートも展示。
ヘッドセットを装着して台風の一夜をVR体験。
メンター・Luminous Productions、畠山清香氏。

here AND there

 iPadの画面にタッチすることで、風景が切り替わったりなどアニメーションが変化する。ストーリー性はないものの、のんびり楽しめる遊び心が詰まった内容で、App Storeでのリリースも決定した。

ディレクター、小光氏。

 ゲームというよりはおもちゃとしてプレイしてもらえればと思っています。絵をタッチしていろいろ起こるのですが、「この先何が起こるんだろう?」ということを楽しんでもらうのがコンセプトです。昨年作ったバージョンに、いろいろなアニメーションを追加していて、プレイしがいのあるゲームになったのではと思っています。

タッチパネルの操作によっていろいろな出来事が起きる。
グラフィックのイメージどおり、体験ブースもアットホームな雰囲気。
ディレクター、小光氏。

ゲーム学科(仮)展ーつづきからー/Virtual Department of Games-Continuation

 ふたつのステージがリンクして、プレイヤーの行動で同時進行していくようなコンセプトの作品。たとえば下画面ではハエ叩きをするが、その十字キー操作とともに上画面のキャラクターが移動するような仕組み。講評会ではプロトタイプから進化形に至る過程が説明された。

ディレクター薄羽涼彌氏

 見た目と操作感覚をポイントとして、さまざまな実験を重ねました。プレイヤーの操作によるリアクションだけでなく、ゲーム内で自立に動くメカニズムがあり、その重なりでおもしろい体験ができればと。ダブルタスクの負担、難しさについてのブラッシュアップで、最終形を作りました。

一貫して、2ステージをリンクさせるコンセプトで開発。

ゲームを遊ぶ人を操るような、夢と現実が混じる構造のゲームだ。
開発の過程を説明した、ディレクターの薄羽涼彌氏。

怪獣縁起/Monster Augurs

 怪獣の霊体の中を、iPadのタッチで旅していくゲーム。前方にはホノグラムステージが設置され、ゲーム内の変化をそのまま3Dジオラマで確認できる。デジタル空間を活用した、イベント用ならではの独特なゲーム作品だ。

ディレクター、谷耀介氏

 デジタルとジオラマとを融合させたいと思いました。仕組みとしては、プレイヤーにミニゲームを操作してもらい、それがホログラムと連動しています。いろいろ冒険はできますが、最後に幽霊を退治するとグッドエンドです。

ゲームタッチとジオラマ画面が連動。
ディレクター、谷耀介氏

中の人たち/The Insiders

 AR、VR、観客視点という、3つの目線を融合させたゲーム。いわゆるマルチプレイ状態では、通常はお互いが見ている全体的な世界はわからないが、そのシーンをスクリーンに映しこむことで、プレイしていない第三者がその映像を味わえる。立場の違うユーザーがそれぞれ楽しめるというユニークなコンセプトの作品。

ディレクター曽根光輝氏

 VR、AR、違った形でキャラクタ-が存在しています。ゲーム内ではまったくべつの世界ですね。それをもっと劇場化できればと思っています。どこにいるかという情報は共通ですが、すごく抽象的な世界です。AR側は物体を投げ、V側が受け取る。その奇妙な空間が生まれています。AやVRの共通点は自分が見えないところだと思いますが、それを見られる舞台を作りました。

プレイヤーはVRとARに分かれて操作する。
統合された画像がスクリーンに映る。
ゲームを説明する、ディレクターの曽根光輝氏。

“東京藝術大学ゲーム学科(仮)「第0年次」展”成果発表会

日時:2018年11月3日(土)、4日(日)11:00-18:00
会場:東京藝術大学 上野キャンパス アート&サイエンス棟1Fおよび4F
料金:入場無料
主催:東京藝術大学大学院映像研究科
共催:東京藝術大学 COI 拠点
協力:スクウェア・エニックス、Luminous Productions