中国のゲームミングスタジオ、Coconut Island Studioが手掛けたNintendo Switch、プレイステーション4、Steam用2Dジャンピングゲーム『汐(しお)』。本作は、ほぼジャンプのみを使用して目の前の障害物の突破を図っていく、横スクロールアクションゲームだ。一見すると簡単なゲームのようにも見えるが、そのじつ、障害を飛び越えるにあたってジャンプのシビアなタイミングが求められる、高難易度のタイトルとなっている。今回は、そんな『汐』のプレイレビューをお届けしていこう。
多彩なカラクリの罠が、プレイヤーの行く手を阻む
冒頭で紹介した通り、『汐』で使用する基本操作はジャンプのみ。ただし、全4章に分けられた各ステージでは、それぞれ違った天候が待ち受けていたり、違う特性の持つカラクリが登場したりと、あの手この手でプレイヤーの行く手を阻んでくる。
よく登場するのが、刃付きの歯車。当たればアウトであることは見た目通りなのだが、上下左右、その設置箇所が絶妙に邪魔だったり、一定の間隔で動き続けてジャンプのタイミングを測る必要があったりと、非常に厄介な代物であった。これに消える床や滑る地面など、各ステージ固有のアトラクションが交わることで、ゲームのやり応えが倍増されているわけだ。
はっきり言って、初見で全ステージのギミックを看破できるプレイヤーはいないだろう。とりあえず挑戦してみて、失敗をしつつつぎはどうすればクリアーできるかをちょっとずつ理解、中間のセーブポイントにたどり着けたら、また目の前の新しいステージに挑戦――。このくり返しの中で、少しずつ前に進んでいくことが『汐』の基本的なクリアー手順になる。ときには失敗のしすぎで鬱憤がたまりそうになるし、「こんなの無理だ」と、匙を投げそうにもなる。しかし、苦難が多い中でもそこには必ず正解の手順が隠されており、苦労した分、クリアーしたときには、得も言われぬ達成感を味わうことができた。
アクション攻略に注力しつつ、独特の世界観も堪能
作中、ステージをクリアーするにつれて謎の少女の回想シーンが度々登場する。また、チェックポイントの周辺には、塗りつぶされていたプレイヤーの日記の中身を埋められる箇所があることも。
プレイヤーが操作する、ランタンを持つ謎の仮面の男。本作のストーリーは、ベンチで寝ていたこの男が目を覚ますところから始まるわけだが、この男と回想で登場する少女の関係性は何なのか。何度も改善が加えられたというデザイン性と、エレクトロニックミュージシャン“Lanx”が手掛けたBGMが流れる独特の世界観の中で、目の前の罠をクリアーしつつ、主人公は物語の核心へと迫っていく。日本語訳のテキストの中には、ちょっと意味が伝わりづらい箇所もあるのは少し残念だが、こだわりのストーリーは非常に新鮮な感覚にあふれていた。
一度のクリアーで終わりではない、何度も挑みたくなるゲーム性
全4章で構成されている本作。各章には複数のチェックポイントが存在する。クリアー時、ポイントからつぎのポイントへのタイムが計測されるので、一度クリアーした後でも過去の自分の記録へ何度も挑むことができる。また、ステージの道中で入手できるアイテムがあり、そのコンプリートを目指すというコレクション要素もやり込み甲斐がある。
ゲームの難易度は2種類。“浅い夢”のほうでも十分なやりごたえはあるが、慣れてきたらより高難度の“ディープスリープ”に挑戦してみるのも楽しみかたのひとつである。
筆者は、イチからプレイを始めてみて、ひと通りクリアーできるまでおよそ半日くらいかかった。ボリューム的には軽く遊んでみるのにちょうどよく、それでいて挑戦し甲斐のある高難度の2D横スクロールアクションゲーム『汐』を、ぜひあなたもプレイしてみてはいかがだろうか。