gumiより2018年9月27日に配信が開始されたスマートフォン用アクションゲーム『ブレイドスマッシュ』。本作は、開発をムゲンコンボ、エンジンズが担当している、カンタン操作で爽快なバトルが楽しめる対戦アクションゲーム。その配信に向けて、ファミ通.comでは開発陣とゲーム業界の著名人を交えた、連続対談企画を3回に分けてお届けする。

元カプコンの西谷氏、あきまん氏、手塚氏が『X-MEN』同窓会!? ゲームの感想も伺った『ブレイドスマッシュ』対談企画パート1_07

 今回の対談は、開発を手掛けるムゲンコンボの手塚 武氏(以下、手塚)のゆかりのあるメンバーが集結。手塚氏は元カプコンでゲームセンター用のゲーム開発を手がけていた。そのつながりから、『ストリートファイターII』(以下、『ストII』)などを生んだ、元カプコンのアリカ代表取締役社長の西谷 亮氏(以下、西谷)と、『ブレイドスマッシュ』でも一部キャラクターデザインを担当し、当時カプコンのアートを担当していたイラストレーターのあきまん氏を迎えての対談が決定。元カプコンの3名が『ブレイドスマッシュ』についてや、いっしょにゲームを開発していたころのエピソードなどをたっぷりとくり広げた。

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左から、あきまん氏、手塚 武氏、西谷 亮氏

3人の元スタッフが語る、カプコン同窓会

――まずはそれぞれ、これまでのゲーム業界でのキャリアを教えてください。

手塚 僕は1990年にカプコンに入社し、アーケードのタイトルをずっと作っていました。1999年に、ドコモの“i-mode”(対応した携帯電話で漫画や、ゲームなどが楽しめる総合サービス)がスタートしまして、“i-mode”対応のゲームを作り始めるようになりました。それ以降はモバイル部門の開発部長としてずっとモバイルゲームを作っていました。そして2014年にカプコンを退社しまして、ムゲンコンボを立ち上げました。

あきまん 僕がカプコンに入社したのは、1985年ですね。おもにアートワークに関わっていました。2003年に退社しまして、いまはイラストレーターとして活動しています。いまもゲームのイラストやデザインに関わることが多いですが、カプコンにいたときは開発としてアートに関わっていましたので、僕のなかでは『ファイナルファイト』や『ストII』は特別な感覚です。

西谷 僕は1986年入社ですね。当時、岡本吉起さん(元カプコンの開発責任者。現在はオカキチ代表取締役)に拾ってもらいまして、『ファイナルファイト』や『ストII』などを作りました。バラバラな3人のように見えますが、かなりいっしょに仕事をしていましたよ。手塚くんは僕が育てましたから(笑)。

手塚 おっしゃる通りです(笑)。これからは“西谷さんの直弟子”を名乗らせていただきます!

あきまん “ワシが育てた”をリアルで言う人、初めて見ました(笑)。

西谷 あきまん先生とは、『ロストワールド』、『ファイナルファイト』、『ストII』などなど、よくいっしょに仕事をしましたね。僕のワガママを、なんでも絵にしてくれるんですよ。かなりやり直しをさせてしまって、当時は本当にすみませんでした。

あきまん いえいえ。

西谷 僕は会社に入るまで、絵を描くという作業を目の当たりにしたことがなくて。あきまん先生の作業を見て、“絵ってこうやって描くんだ!”と思いました。当時の僕はピュアといいますか、絵のたいへんさを知らないわけですよ。手間とか技術とか、そういうのを考えないで「ゲームだからこうしないとダメだ」みたいな意見を言っているのに、それをあきまん先生は全部聞いてくれて。あとになって思いましたよ、あれってワガママだったなって。

あきまん 僕は当時、西谷さんを、まさに“天才”だと思っていましたよ。西谷さんは、入ってきたのが高校を卒業してすぐなので、当時18歳でしたよね。岡本さんが“劉備玄徳”とするならば、西谷さんは“諸葛亮公明”といった感じで、いきなりゲーム制作のトップに立っていて。僕はそのとき21歳ですから、18歳の新人が21歳の僕に指示するわけですよ(笑)。ですが、その指示が本当にすばらしいので、ムカつきもしませんでした。開発スタッフ全員で「カプコンで初めてゲームの分かるヤツが入ってきた!」って騒然としてましたよ。

手塚 僕、入社してすぐ岡本さんに言われましたよ。「西谷はゲーム作りの答えを知っているから、困ったら西谷に聞け」って。

あきまん だからもう、天才なんです。神のような人なんですよ。僕個人の考えとしては、ゲームのロジックをカプコンにもたらしたのは岡本さんです。それを完成させたのが、西谷さんだと思っています。本当に困ったら、何か聞けば全部答えてくれるんですよ。聞いたらすぐに的確というか、的確以上の答えが返ってくるんです。

手塚 西谷さんの作った『ストII』の企画書なんてすごいんですよ。作り終わってから書いたなんじゃないかってくらい、すべてがそのままで完璧でした。

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西谷 べた褒めすぎて、恥ずかしくなってきましたね(笑)。まあそこからカプコンを退社しまして、アリカを設立して現在に至ります。

当時の開発現場を語る!

――手塚さんと西谷さんは、どのタイトルからいっしょに仕事をするようになったのですか?

西谷 『マーベル・スーパーヒーローズ』からですね。リリース時期は違いますが、『X-MEN チルドレン オブ ジ アトム』と同時に立ちあがった企画でした。チームは別でしたが、ほぼ同じ“『X-MEN』チーム”みたいな感じで手塚くんといっしょに作っていました。

手塚 初めて会ったのは『ストII』が出る直前なので、入社してすぐのころですね。西谷さんは天才なのに、人の話をよく聞いてくれるんですよ。当時の僕は『ワンダー3』というゲームを作っていて、同じフロアで『ストII』も作っていました。僕の席の横が西谷さんだったので、開発スタッフがいろいろ話しにくるのを聞いていたんですよ。それですごいなーと思うのが、スタッフからの提案をとにかくよく聞くこと。スタッフからの意見を即座に判断して「じゃあそれ!」って簡単に受け入れちゃうんですよ。ゲームをおもしろくすることに、とにかく貪欲な人だなという印象でした。

西谷 『ストII』のボタンの会話、覚えてる?

手塚 覚えてますよ。入ってすぐのころ、開発中の『ストII』を見たら、初代『ストリートファイター』みたいなボタンじゃないんですよ(『ストリートファイター』は、現在主流のコントロールパネルではなく、大きなボタンを“叩いて”パンチなどをくり出すシステムを採用していた)。だから「あのデカいボタンにしないんですか? あれが好きだったのに!」って西谷さんに詰め寄って(笑)。いま思えば、あんなデカいボタンで『ストII』なんてあり得ませんが、当時の西谷さんはアホな新人の言うことも「なるほどーそういう考えかたもあるねー」と、ちゃんと聞いてくれました。

――『マーベル・スーパーヒーローズ』といえば、いまでは映画などもあり、マーベルのヒーローたちは有名になりましたが、当時はあまり知られていなかったですよね。なぜマーベルのキャラクターを使った対戦格闘ゲームを作ろうと思ったのでしょうか?

西谷 うーん、なんででしょうね?

あきまん 秋友くんでしょ。

手塚 そう、秋友くんのせい(笑)。

西谷 秋友くんか!

――“秋友くん”とは……?

西谷 秋友克也、というスタッフが当時いまして。いまは翻訳家や模型ライターとして活躍していますね。

あきまん アメコミ博士なんですよ、英語もペラペラで。いまもアメコミの翻訳とかをしています。カプコンは『X-MEN チルドレン オブ ジ アトム』の前から、『パニッシャー』というマーベルが原作のゲームをリリースしていたんです。その流れで、秋友くんが開発スタッフ陣に「『X-MEN』がおもしろい!」って、布教し始めて(笑)。

手塚 『X-MEN』の勉強会とかやってましたよね(笑)。

あきまん そのおかげで、会社全体で“『X-MEN』のゲームを作らなきゃ!”みたいな空気になって、それから作ることになったんじゃないでしょうか。

――なるほど。あきまんさんは、手塚さんと仕事をいっしょにされたときどんな印象でしたか?

あきまん カラオケでダンスを踊っていたこと!

西谷 カラオケの印象強いね!

あきまん 仕事以外での印象のほうが強すぎますね(笑)。

手塚 あー、スキンヘッドにしたりしましたよね、3人で(笑)。

あきまん あったね。なんか悪いことしたんだっけ?

手塚 いえ、西谷さんとノリで、「人生に1度はスキンヘッドにしてみよう」って話をしていたら、ちょうどあきまんさんが休日出勤してたので、いっしょに行きましょう!ってなって。

あきまん よく覚えてるなぁ(笑)。

西谷 僕は怒られた。『ストII』とかでインタビューとかにどんどん出なきゃいけない時期なのに、急にスキンヘッドになってて。

手塚 僕もスキンヘッドに西谷さんを巻きこんだって怒られましたよ。お前はどうでもいいけどなって。

――それは気まずい!(笑)。西谷さんは手塚さんの印象はいかがでしたか?
西谷 18歳で業界に入ったせいで、以後入ってくるスタッフたちも全員年上だったんですよ。ですが、手塚くんとは同い年でして、初めてフランクに接することができたスタッフだったなって思いますね。だって、先輩たちは本当に怖かったですから(苦笑)。

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マーベル系ゲームの制作秘話!

――みなさんは対戦格闘ゲームに長く関わってこられたクリエイターだと思うのですが、ゲームを作るうえでいちばん気を付けているポイントはどこですか?

西谷 これは手塚くんとよく話していましたが、僕は理論派なんです。ゲーム作りを理屈から考えてしまうんですよ。それも大事なのですが、アーケードゲームは感覚的な気持ちよさや、カッコよさ、楽しさというものも大事なんです。それを僕は蔑ろにしてしまうタイプで。よくあきまんさんに言われたのが、「カッコいいからこのキャラクターを使いたくなるんだ」って話で、僕は最初、理解できませんでした。カッコよさより、強いキャラクターでしょ! と。見た目なんて二の次だと本心は思っているところを、そうは思わないようにするのが大事だと思っていました。

あきまん ザンギエフのデザインとか、もっと最初は細かったですよね。

西谷 そうそう。僕は強さを重視していたので、ザンギエフもっとゴツくあるべき、もっと筋肉があるべきだって。それをあきまんさんに、どんどんお願いしたんですよ。

手塚 『X-MEN チルドレン オブ ジ アトム』のジャガーノートとか、大きさやばかったですよね。

西谷 あれは相当大きくしたね。ただ、あれはやリすぎまして、マーベルにあとで怒られました(苦笑)。

あきまん あれは当時からやりすぎだと思ってましたよ。

西谷 ジャガーノートも最初は原作通りの見た目だったのですが、やはり大きくしないと! と思って(笑)。

――あきまんさんは、こだわりなどはありますか?

あきまん 僕は格闘漫画が好きだったんですよ。『北斗の拳』や、『空手バカ一代』ですとか。ああいう強いキャラクターたちをゲームに出したいなと思ってデザインしていました。もちろん、真似をしたらただのパクリです。いろいろな漫画から、少しずつ少しずつ、僕の好きなエッセンスを取り入れていました。あと、爽快感を重視していましたね。昔のゲームって正直、爽快感があまりなかったんですよ。感覚的な話ですが、敵を“ポコポコ攻撃”するだけじゃ爽快感がなくて。“ガンガンと敵をブン殴る!”って感じの勢いのほうが、楽しいじゃないですか。ゲーム性なんかより、動きの爽快感をいかに出すのかを考えていました。逆に言えば、そこで迷惑を掛けてしまったのかなぁと。

西谷 同じお話ですよ。ユーザーが求めているのはカッコイイグラフィックですし、ゲーム性も悪かったら爽快感なんてないです。

あきまん ああ、思い出した。入れたいものをゲームに盛り込んで、当時西谷さんに「こういう風にしたんですけど、ゲーム性とかどうなっちゃうんですか」って相談したら、西谷さんは「僕に調整できないものはない」って言ってましたよ。

西谷 うーん、ちょっと言い過ぎだったかも。さっき手塚くんから、僕が意見をよく聞いてくれるというお話がありましたが、本当に何でも聞きました。何でも聞くといいところがあって、あきまんさんのようなデザイナーなどが、いい意味で調子に乗ってくれるんで、どんどんゲームのクオリティが高くなるんです。悪いところは、そのせいでゲーム性などのヤバい部分は全部僕に来るわけで(笑)。

手塚 調整に関しては本当に西谷さんヤバかった。「どんなゲームでも調整できるから大丈夫」って言ってましたよ。

あきまん だからもう、スゴかったんですよ。ゲーム作りは、西谷さんと、ほかその他でやってたと言っても過言ではありません。

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――手塚さんはいかがでしょうか?

手塚 僕はおふたりと違って、ゲームが下手なんです。下手だからこそ、下手な人でも楽しめるゲームを作ることをテーマにしています。『X-MEN チルドレン オブ ジ アトム』などのマーベル系の対戦格闘ゲームって、『ストII』のような細かい駆け引きではなく、爽快感をとにかく味わえる、みたいなゲームになっているじゃないですか。ストイックに対戦に臨むような格闘ゲームを作ってしまうと、どんどんやる人が減ると思っていて。“とにかく触って楽しめるゲームにしたい”というのが、いまも続く信念です。

――ちなみに、当時マーベル系のゲームで、キャラクター選出はどのように決めていたのでしょうか?

西谷 基本的にはマーベルさんとの話し合いでしたね。このキャラクターを使いたいのですが、と交渉して、オーケーが出たらという感じで。

手塚 あとは作りたいゲーム内の性能に合わせて、キャラクターを当てはめたりとかですね。ただ、マーベルさんはコミックのプロなので、認知度のあるキャラクターを当然出してほしいと思うわけです。ですが、見た目でどんなキャラクターなのか分からないと、ゲームに落としこんだときに、どんな技を使うのかまったく分からないですよね。だから、キャラクターの見た目は重要視していました。

あきまん 僕は立ち絵やアニメーションなどを担当していましたが、あのころからとにかくアニメーションの枚数が増えて、社内で戦争が勃発しましたよ。

――えっ、どういうことですか!?

あきまん キャラクターの立ちポーズのアニメーションを、いかに枚数多く動かすかみたいな戦いになって(笑)。とあるスタッフが作ったキャラなんか、指までぐねぐね動いてすごいわけですよ。それを見た誰かが、俺も負けてられないと、ほかのスタッフたちも立ちポーズの枚数を増やしていって(笑)。

手塚 演出も、どんどん派手になっていきましたしね。超越した力を持つ者たちの戦いなので、ブッ飛んだものにしないといけないですから。

あきまん 『X-MEN 』の流れが、僕らの中での『ストII』の正統続編なんです。

手塚 西谷さんはもともと『ストリートファイターIII』か、『X-MEN』のどっちを作る?と言われたんですよね?

西谷 僕は『ストリートファイターIII』を作りたくなかったんですよ。僕が作ったら同じようなゲームになってしまうと思って。でも『X-MEN』みたいに超人たちが戦うゲームであれば、発想の枠も広がりますし、何でもできそうだと思いました。結果的にVSシリーズではリュウやケンも超人のような戦いをするようになりましたが、当時の考えではさすがに『X-MEN』のような戦いはさせられなかったでしょうね。

手塚 最初に超必殺技みたときはビビりました。弾が画面いっぱいに出てて、絶対避けられないと思って(笑)。

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アクションが苦手な人に遊んでほしい『ブレイドスマッシュ』

――さて、今回は手塚さんが開発している『ブレイドスマッシュ』から派生した対談企画です。事前に『ブレイドスマッシュ』をプレイしていただきましたが、率直な感想をお聞かせください。

西谷 操作がカンタンでいいですね! 見ているだけだと、テンポがもっといいとよりいいかなと感じたのですが、実際に触ってみるとそれが気にならなくて、キビキビキャラクターが動いて気持ちいいです。コマンドの難しさとか、余計なところに気を使わずに対戦ができるなと。

手塚 ありがとうございます。スマートフォン向けのゲームですので、アクションゲームが苦手な人でも楽しめるようにしています。今後の追加キャラクターにはもっとテクニカルなものも出てきますので、上手なプレイヤーはそういったキャラクターで遊べばやり応えを感じていただけると思います。

あきまん 動きやエフェクトががいいですよね。すごく、真っ直ぐな気持ちで対戦できる、いいゲームだと思います。

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――あきまんさんは、登場キャラクターのひとり“キワメ”をデザインされていますよね。どういった経緯でデザインすることが決定したのでしょうか?

手塚 僕が直々に、あきまんさんにお願いして実現しました。

あきまん 手塚くんのお願いだと、聞かなきゃいけないような気がしちゃうんですよ。

手塚 『パワーストーン』のときも、お願いして描いてもらいました。

あきまん 仕事させるのがうまいよねぇ(笑)。毎回手塚くんとは、昔の思い出話に花が咲いて、お話が終わったら、「よし、じゃあいっちょやってやるか」って、仕事がしたくなる気分にさせてくれます。

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キワメ

――“キワメ”はどんなキャラクターを目指してデザインしたのでしょうか?

あきまん 空手娘という要望だったので、空手着を着ている、大山倍達の娘をイメージしました。大山倍達は、空手で山籠もりをしていたじゃないですか。山籠もりしているから、髪の毛がボサボサ。だからキワメちゃんも髪の毛はボサボサです。ですが、本来は美少女なので、目がキラキラしているんです。

手塚 あきまんさんはチュンリーをデザインした人ですから、中国拳法娘にしようとも思いましたが、そこをあえて空手にしていただいたきました。

――なるほど。では、『ブレイドスマッシュ』の開発について詳しくお聞きしたいのですが、『ブレイドスマッシュ』は何年前から開発がスタートしたのですか?

手塚 3年前くらいですかね。そこからずっと開発が続いています。

――いまでこそスマートフォンで対戦ゲームも増えてきましたが、3年前だと、スマートフォンでもまだまだ対戦ゲームは浸透していませんでしたよね?

手塚 そうですね。その頃は画面をタッチしているだけのポチポチゲーがまだ多かったですが、当時そろそろプレイスキルが求められるようなゲームが流行すると考えていたんです。そこで操作が楽しい対戦ゲームを作ろうと思ったのですが、ガチンコの対戦格闘ってスマートフォンとあまり相性がよくないんですよ。だからもう少し敷居を下げた、対戦アクションを作ろうというところから開発が始まりました。

――開発で苦労されたポイントはありますか?

手塚 通信対戦なので、回線の通信部分ですね。いかにラグを感じさせないか、というところの調整です。あとスマートフォンは機種によって、それぞれに合わせて作るのがたいへんですね。

――スマートフォンでリリースを決められた理由はありますか?

手塚 僕はアーケードゲームを作っていましたが、昔のアーケードゲームって、ゲームセンターに行って、ちょっとやってみるかと、100円を入れて手軽に遊べるゲームだったわけですよ。いまは環境が変わり、スマートフォンで気軽にダウンロードして遊んでみるという時代じゃないですか、だから気軽に遊べるゲームを作る環境がスマートフォンだったってだけですね。

西谷 モバイルとアーケードって似ているんですよね。まず、パッと見ておもしろそうだと思ってもらえないと、ゲームに近寄ってくれないんですよ。そこから、仮にプレイしたとしましょう。その1プレイで何か引っかかる部分を作らないと、もう2度と遊んで貰えないわけです。アプリだったら、削除ですよね。ですが、手塚くんは、そこで何かひとつ思わせる技術とノウハウを持っている男です。

あきまん 対戦が楽しかったので、リリースされたらちょっとやってみるか、と僕も思いましたからね。

西谷 ええ。ですので、皆さんもぜひ配信が始まったら、まずは触ってみてください。絶対に「おっ」と思わせる何かを感じられるはずです。

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――そして、西谷さん、あきまんさんは、今日の対談の感想をお聞かせください!

西谷 ひさしぶりに会えて楽しかったですね(笑)。

あきまん いやぁこんなに昔話していいのかなって思ってたけど(笑)。僕はほとんど外に出ないタイプなので、やっぱり久々にみんなで話をすると楽しかったですね。

手塚 みんなバラバラに分かれたので、会う機会がないんですよね。ほかのスタッフも呼んで、『X-MEN』同窓会とかやりたいですよ。

西谷 ぜひぜひ、今後はもっと会いましょう!(笑)。

――ありがとうございました!