クソ売れてる『ポプテピピック クソカードゲーム』を作ったのは、クソどころか本場ドイツで受賞歴もある有名ゲームデザイナーだった!? 作った本人に直撃!

公式ですら“クソアニメ”と称する、2018年のテレビアニメ界最大の問題作『ポプテピピック』。その世界観を活かしたカードゲーム『ポプテピピック クソカードゲーム』の制作者カナイセイジ氏に、制作秘話を聞いた。

 破天荒かつナンセンスなギャグが満載で、2018年を代表する(!?)アニメとなった『ポプテピピック』。そんな同作の世界観を活かした、ゲーム史上屈指のクソカードゲームがついに発売。「クソゲー確定」と言われながらも、現在、好調な売り上げを記録しているという。

 ファミ通.comでは、そんな本作を手がけたゲームデザイナー梶井星奈(カジイセイナ)と何らかの関係があると思われる(?)、カナイセイジ氏に直撃インタビューを実施。カナイ氏は、アナログゲームの本場ドイツで行われる“ドイツゲーム賞”に日本人として初めて(4位で)入賞したという、すごい人だ。

 このすごいカードゲームデザイナーが、なぜこの“クソカードゲーム”を手掛けることに? クソゲー制作秘話に加え、カードゲーム業界の裏話も語ってもらった。

※こちらの記事では、作品のコンセプトにあわせて“クソゲー”表記をふんだんに使用しています。いつもより言葉づかいが汚くてごめんね。

たとえばこんなカードも。通常のカードゲームなら“バランスクラッシャー”になったり、強力すぎて中古価格ウン十万になるような突き抜けた能力を持ったクソカードが満載なのです。

プロフィール

カナイセイジ氏

ボードゲームデザイナー。アナログゲーム製作サークル“カナイ製作所”代表。2002年のコミックマーケットで自作のカードゲーム『Dragon Rush!』を初出展。以降、多数のアナログゲームを手掛け、2012年製作の『ラブレター』でドイツゲーム賞2014で日本人として初の受賞となる4位に入賞。

カードゲームデザイナーになるまでの長き道のり

――まずは、(クソではない)一般的なカードゲームの作りかたについてお聞きしたいのですが、アナログゲームを作る発想法というのは、何かセオリーのようなものはあるのでしょうか?

カナイ カードゲーム、ボードゲームのデザイナーのあいだでは、よく「テーマから行くか? メカニクスから行くか?」と言われています。たとえば、“勇者がドラゴンを倒す”というストーリーを考えて、そこに武器や防具といったカードを付け足していくのが前者のやりかた。一方、“カードが50枚あって、それをふたりで25枚ずつ分け合うとしたら、どんなゲームが作れるか”……と、システムから考えていくのが後者です。

――カナイさんの代表作『ラブレター』(ドイツゲーム賞2014に4位で入賞)は、どちらの方法で作られたのでしょう?

カナイ どちらかというと、後者のメカニクス寄りですね。もともと、“16枚のカードしか使わない”という縛りを設定し、そのなかでどのようなゲームを構築できるか考えていって。最初は、もっと殺伐としていたんですけど、ある日「ロマンチックな世界観に切り換えたほうがおもしろいんじゃないかと?」と、頭の中にお告げがあって(笑)。いざ、方向性を転換したところ、大勢の方に気に入ってもらえる結果となりました。

――お告げが(笑)。テレビゲームを作るクリエイターになる場合って、ゲーム会社に入るのが一般的だと思うのですが、アナログゲームのゲームデザイナーって、どういうふうになるものなのですか?

カナイ 一概には言えませんが、僕の例でお話します。まず、僕がゲーム制作を志した2000年代前半は、一部のアニメやテレビ番組とコラボしたゲームが売れるくらいで、アナログゲーム業界自体はいまほど注目されていませんでした。ゲームデザイナーも、コミックマーケットやゲームマーケットで個人販売をして、同好の士で楽しむ……といった雰囲気でした。それが、『人狼』(『汝は人狼なりや』)が流行り出したころから、じょじょにアナログゲームが注目され始め、ボードゲームやカードゲームをプレイする人も増え始めて。『ラブレター』がヒットしてからは、今回のように企業からゲーム制作のお話をいただくような機会も出てきました。

至上命題は“クソカードゲーム”に仕上げること

――ちなみに、本作の制作が始まる前から『ポプテピピック』のことはご存知でしたか?

カナイ テレビアニメから入ってドハマりして、原作コミックスもガッツリ読んでいました。

――『ポプテピピック』といえば、公式でクソアニメ、クソ漫画と表記している点が特徴的な作品ですが、どういう風にお話が来たのですか?

カナイ 僕が『ポプテピ』ファンであることはバンダイさんはとくにご存知ではなかったのですが、たまたま「クソカードゲームの制作興味ありますか」というお話がありまして。「ついに来たか……」という思いでした(笑)。

――もう最初から、“クソカードゲーム”というコンセプトだったのですね。

カナイ そうです。コンセプトとしては、名ゼリフといいますか、心に残る迷言が満載の作品なので、プレイヤー自身がそれらをしゃべりながら遊べたらおもしろいなと、漠然と考えていました。最終的には、トレーディングカードゲームのような方向性に振りきることになり、いまの形になりました。

――ルールを決めていく中で、苦労した部分はありますか?

カナイ  本作は、“クソ”を謳っているので、バランスを取ることはそんなに考えていませんでした。バランスを気にせず、おもしろいと思える要素をどんどん付け足していったので、そこまでの苦労はなかったですね。

クソカードゲームプレイ中の風景。もしゲームがクソすぎて腹が立ったとしても、左上のマークと数字がトランプになっているので、最悪、トランプとして使用することができる。細部まで心憎い工夫が光る。

竹書房彦麿やヘルシェイク矢野ももちろん参戦!

――バランスを気にせず制作に当たれるというのは、本作ならではですね(笑)。続いて、カードのデザインやイラストに関して、こだわられた部分をお聞きしたいのですが。

カナイ 描き下ろしイラストの中には、ポプ子とピピ美がドラゴンやロボットの姿になったものもあるんですけど、これらのクオリティーはすごいですね。よくキャラクターたちが、中指を立てるポーズを取るんですけど、それをそのまま描くと、倫理上よくないので、本当は指を立てていないけど、それらしく見えるデザインに仕上げてもらいました。

――確かに! ロボの手の甲のデザインが、中指を立てているように見えますね。ちなみに、カナイさんのお気に入りのカードはどれですか?

カナイ “竹書房彦麿”と“二度とやらんわ こんなクソゲー”カードですね。とくに彦麿は、見た目のわりにめちゃくちゃ強力な効果を持つカードなので、気に入っています。ユーザーさんには“ヘルシェイク矢野”のカードが人気のようで、発表するや、大勢の方が興味を示してくださいました。

――ヘルシェイク矢野は、アニメでも人気の高かったキャラクターですからね。そんなカードの中には、没になったものもあるのでしょうか?

カナイ プレイヤーがカードを手裏剣のように投げて、それが当たった相手は問答無用でゲームオーバー……というクソルールのカードがありました(笑)。ただ、直接投げつけて万一目に入ったりすると危ないということで、途中で没になって。ゲームそのものはふざけて作りましたが、倫理的な観点や危険性はしっかり考慮してありますので、安心して遊んでいただけます。

バンダイ販売担当 そこは販売を担当する弊社にも関わるのですが、弊社はお子様向けの玩具を多数取り扱っていることもあり、事故が起きないよう、品質管理には非常に厳しいチェックを設けています。そうしたチェックをすべてパスした商品ですので、ぜひご家族でも遊んでいただければ。じつは、本作に使われている“クソ”という言葉自体も、当初は社内で難色を示されたのですが、作品の意図と魅力を何度も説明した結果、「インターネット販売のみなら」という条件付きで、使用OKとなったんです(笑)。

――“クソ”にまつわる貴重なお話、ありがとうございます。それでは最後に、本作の購入を検討中の皆さんにひと言お願いします。

カナイ 『ポプテピピック』が好きな人ならきっと楽しめる仕上がりだと思いますので、ぜひお手に取ってみてください。友だちどうしで集まって、盛り上がってもらえたら本当にうれしいです。

――あっ、ごめん、ヘルシェイク矢野のこと考えていて聞いてませんでした。

カナイ こら!(笑)

お気に入りの“二度とやらんわこんなクソゲー”を手に微笑むカナイ氏。

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『ポプテピピック クソカードゲーム』
http://www.carddass.com/popteamepic/
バンダイ/発売中/1800円[税抜](1944円[税込])



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