ロジクールが2018年9月20日より国内展開を開始するゲーミングブランド“Astro Gaming”。同シリーズのゲーミングヘッドセット“G Astro A40 TR” + “G Astro MixAmp Pro TR”を試遊する機会が得られたので、さっそくプレイステーション4に接続してゲームや映画鑑賞などを試してみた使用感などをお届けする。

 今回のレビューでは、筆者がおもにPS4でよく利用する以下の3つを検証してみた。

  • 体験その1・世界最高峰のモータースポーツに挑戦!
  • 体験その2・対テロ特殊部隊として戦場に降臨!
  • 体験その3・自宅が大迫力の映画館に!? 映画鑑賞体験!

 少し唐突になるが、昨今の薄型テレビはその構造からスピーカー容量の確保が難しく、そのため音質面に関して言えばどうしても妥協せざるを得ないという実情がある。実際、激しい銃撃戦のあるゲームや映画を見ていても、テレビに搭載されているスピーカーだけでは音量をあげてもただ騒がしくなるだけで、迫力ある音響にはなりにくい。そこで、筆者は映画やゲームをできるだけリッチに楽しみたいとの思いから、自宅には5.1chのホームシアターシステムを導入している。映画やゲームをホームシアターシステムで再生すると、マルチスピーカーならではの音の広がりや包まれ感を得ることができ、とくに激しい銃撃戦ではまるで自分がその現場の中にいるかのような体験をもたらせてくれるなど、個人的には概ね満足している。
 ただ、臨場感溢れる音響を再現するにはそれなりにボリュームを上げなければならないのだが、如何せん夜間に大音量を響き渡らせるのはご近所様に迷惑がかかるので、24時間いつでも大迫力のサウンドという恩恵を受ける訳にはいかなかった(とくに平日は仕事のためにほとんど利用できない)。どうにかして仕事が終わって家に帰ってからでも映画やゲームを思う存分に楽しむことはできないだろうか。日々、そんなことを思っていたところ、ロジクールが2018年9月20日より国内販売を開始する“Astro Gaming”ブランド製品のゲーム向けヘッドセットをお借りする機会が得られた。さっそく自宅に持ち帰って試させてもらったのだが、まずは開封の様子から紹介していこう。

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これが今回、ロジクールより国内取り扱いが開始されるゲーミングヘッドセット“G Astro A40 TR” + “G Astro MixAmp Pro TR”。PS4と接続することでマルチchのサラウンドサウンドを実現する処理機能を搭載したアンプ“G Astro MixAmp Pro TR”と、ゲームでの使用に最適化したヘッドホン&マイク“G Astro A40 TR”のセット商品になっている。
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外箱を開けて内箱を引き出すと、漆黒にUV厚盛印刷が施された重厚なパッケージが登場。中央部のつまみ部分を引き、観音状に開くと製品がお目見えする。商品構成は、ヘッドセットとアンプのほか、3本のケーブル類(電源供給用のUSBケーブル、オーディオ伝送用のオプティカルケーブル、ヘッドホン接続用オーディオケーブル)が付属。

 今回お借りすることができたのは、7.1chのサラウンドサウンドを実現する処理機能を搭載したアンプ“ロジクール G Astro MixAmp Pro TR”(以下、MixAmp)と、ゲーム機での使用に最適化したヘッドセット“ロジクール G Astro A40 TR ゲーミングヘッドセット”(以下、A40)の同梱版セット。ブラック基調に、ところどころにあるロゴ部分などにゴールドカラーのアクセントが施されているのは、落ち着いた雰囲気を醸し出しながら高級感を演出。光沢のあるブラックカラーは、指紋が目立ちやすいというデメリットはあるものの、高級オーディオ然とした雰囲気がたまらない。

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ブームマイクが別体型となっているヘッドセット部。イヤーピース部分のカバー、イヤーパッド部、ヘッドバンドパッド部も取り外しが可能。別売りとなるが、交換用のパッド類を使ったカスタマイズにも対応している。
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イヤーパッド部に、ブームマイク取り付け用端子を装備。ブームマイクはイヤーピースの左右どちらにも取り付けが可能。ヘッドセット〜アンプ接続用のケーブルには、インラインミュートボタンが付いている。
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“MixAmp”の上面には、ふたつのダイヤルボリュームと、電源、サラウンド、イコライザーボタンを搭載。上部にある大型のボリュームはマスター音声の調整に対応しており、下部の小型ボリュームはPS4の音声/チャットボイスの音量バランスを調整するボリュームになっている。イコライザーは4種類がプリセットされており、ボタンを押す度に“Astroモード”、“ナチュラルバスモード”、“バランスモード”、“トーナメントモード”が順番に切り替わる。
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“MixAmp”の前面(左画像)には、両サイドに複数のMixAmp Pro TRを数珠つなぎのように接続し、ローカルボイスコミュニケーションを有効にするためのデイジーチェーン用端子を装備(この機能を活かすには別途MixAmp Pro TRと、別売りのケーブルが必要)。中央左側にはヘッドセット接続用3.5mmオーディオ端子(4極)、中央右側は外部音声入力用3.5mmオーディオ端子(AUX)が設けられている。背面(右画像)には、PS4などからの外部音声入力用オプティカル端子(左側)、mix amp pro trに入力された音をミックスして外部機器に出力するSTREAM端子(中央)、電源供給用&ボイスチャット用のマイクロUSB端子(右側)を装備。

 PS4で使用するには、まず“MixAmp”とPS4をUSBケーブルとオプティカルケーブルを接続する。あとはヘッドセット〜アンプ接続用のケーブルを使って“MixAmp”と“A40”を接続するだけと、至極簡単。これで電源を入れれば、PS4側から外部ヘッドセットとして認識され、使用環境が完成するというわけだ(※)。

※プレイステーション4のスリム型(CUH-2xxx系)は、光デジタル端子を装備していないので、HDMI出力から光デジタル音声出力を分離・出力するHDMIコンバーターなどが別途必要になる。

 “A40”の重量は369グラム(ケーブル除く)と、見た目の重厚感から想像していたより軽く、また頭部を挟み込むテンションも緩すぎず硬すぎずといったところで、装着時の第一印象はすこぶる良好。有線接続のため、必ずケーブルが体から“MixAmp”まで伸びているという状況にはなるが、そもそもPS4はBlueToothの対応無線ヘッドセットが少ないうえ、無線接続では環境による通信エラーや音声遅延が発生する可能性もあるが、有線の場合にはほとんどこれらのエラーが起こることがないのは、ゲーム用途としてはこのほうが有用と捉えたほうがいいだろう。

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サラウンドサウンドを体験するには、PS4の[設定]から[サウンドとスクリーン]→[音声出力設定]→[主に使用する出力端子]→[光デジタル出力]とたどり、[Dolby Digital 5.1ch]にチェックを入れる。同じく、[サウンドとスクリーン]内にある[音声出力設定]→[音声フォーマット(優先)]で[ビットストリーム(Dolby)]を選択。ボイスチャットに対応させるには、[設定]から[周辺機器]→[オーディオ機器]→[ヘッドホンへの出力]とたどって、[チャット音声]にすればいい。

 ここまで外観、接続状況を見てきたが、ここからはさっそく使用してみた実感をお伝えしていこうと思う。なお、筆者はハイレゾ音源とそうでないサウンドを聞き分けるほどのこだわりを持っているわけでもなく、スピーカーにも一家言あるオーディオマニアでもないので、ごく一般的なゲーム・映画好きの率直な意見として受け取ってもらいたい。

“G Astro”体験その1・世界最高峰のモータースポーツ・F1に挑戦!

 まずは、仕事でレビュー記事を書いている最中の『F1 2018』(ユービーアイソフト)をプレイ。本作は世界最高峰の自動車レースとしてお馴染みのF1(Formula1 World Championship)の迫力・興奮を体験できるレースゲームで、2018年9月20日に発売が開始される最新作となっている。

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 “A40” + “MixAmp”を借りるまでは、ホームシアターシステムを利用して『F1 2018』を楽しんでいたのだが、ある程度の音量を出せる日中のプレイ時は、全方位から包まれるエンジンサウンド&サブウーファーの低音によって、抜群の臨場感を体験することができていたが、夜間はサブウーファー&リアスピーカーはオフにし、音量を絞るなどしていた結果、凡庸なサウンドでのプレイ環境になっていた。

 これを、“A40” + “MixAmp”でプレイしてみたらどうなるのか。ひと言で言うと、それまでスピーカーでは聞こえなかった細かな音が、とにかく耳に入りまくってくる。本当はヘッドホン未使用時のプレイでも聞こえていたはずなのだが、スピーカーの位置や音量バランスなどによってほとんど気にならなかった音の数々、例えばピットにマシンがいるあいだにメカニックが細かな作業をしている音や、シフトチェンジの際にギアが切り替わる音など、ひとつひとつの環境音が明瞭に聞こえてくることに驚かされた。

 トラクションコントロールが働き、エンジン制御にリミッターが介入しているときの排気音などもこれまでに聞こえていたものとは別物のようで、「いままさにエンジンに制御が入っていて、マシンが加速していない!」といった状況が手に取るように伝わってくる。極端な例で説明すると、従来は視覚情報:聴覚情報が8:2程度といったイメージで受け取っていたところ、6:4(あるいは5:5)と、耳から得られる情報の比率が飛躍的に高くなっているのだ。

 『F1 2018』では、走行中にピットからレース状況や戦略などを伝える無線が頻繁に入ってくるのだが、これも耳元に直接飛び込んでくるので、より聞き取りやすくなる。F1はヘルメットを被り、耳元に装着したスピーカーでピットとの無線通信を行っているのだが、まさにその感覚をリアルに再現しているかのようで、必然的に気分が盛り上がってくる。ピットへの返信はコマンド入力のため、こちらから話す必要はない(というより話しても何も意味がない)のだが、あまりの没入感の高さからついついピットへと返事をしたくなってくるほどだ。

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『F1 2018』のプレイ時には、Logicoolのレーシングコントローラ“G G29 Driving Force”を使用。今回、“A40”+ “MixAmp”を組み合わせたことで、F1マシンに乗っているかのような気分を味わうことができた。15000回転で奏でられるエキゾーストノートが心地よく耳に入ってくる。

“G Astro”体験その2・対テロ特殊部隊として戦場に降臨!

 『F1 2018』だけでもサウンド面のすごさは体感することができたのだが、ブームマイクに関してはただ独り言をマイクに向かって話しかけているだけで、その効果をまったく試せなかったので、今度は対テロ特殊部隊“レインボー”の活躍を描いた人気FPS『レインボーシックス シージ』(ユービーアイソフト)をプレイしてみた。

 本作は、世界5ヵ国の特殊部隊からさまざまな能力を持つ隊員(オペレーター)でチームを構成し、テロリストの鎮圧や人質の救出など多彩なミッションに挑んでいくタクティカルシューティングゲーム。2015年12月10日に発売されたタイトルながら、世界中でesports大会が継続して開催されていたり、つい先日の9月4日にもイヤー3シーズン3となる大型アップデート“オペレーション グリムスカイ”が配信されるなど、いまだに根強い人気を誇っている。

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 オンラインプレイ時には、攻撃側・防御側に分かれてのチーム対戦が行われるのだが、攻撃側は扉を爆破する、天井からラぺリングで降りる、ドローンで内部を偵察するなど、多彩な潜入手段を駆使して敵の殲滅を目指す。対する防衛側は、そういった突入経路を想定してバリケードを組んだり、有刺鉄線で足止めを狙ったりといった防御を行いつつ、攻撃チームを迎え撃つことになる。

 このように、かなりチーム戦を意識した作品となっているため、チーム間の連携がうまく取れるか否かによって、戦況は大きく変わってくる。とくにチーム間での報連相(報告・連絡・相談)が重要で、一回の連絡伝達ミスが敗戦にも繫がりかねないというわけだ。

 こちらも、ホームシアターシステムをフル活用できれば戦闘が行われている方位が伝わってきたり、銃撃戦で銃弾が自分の周りを飛びかっているかのような迫力は十分に体験できるのだが、前述のように筆者宅での夜間プレイ時は(音量と使用スピーカー数を制限するため)、こういった効果を得ることがほとんどできなくなってしまう。そこで、音響システムを“A40” + “MixAmp”に切り替えて『レインボーシックス シージ』に挑戦してみたのだが、プレイし始めで音の明瞭感が飛躍的に高まったことが実感できた。

 まず、フィールド内に聞こえてくる鳥の囀りや鐘の音といった、エンジンがかかっている車両や空調機の音、水のせせらぎ音など、さまざまな環境音が自然に、かつしっかりと聞こえてくる。もちろん、外部スピーカープレイ時でもこれらの各種環境音は聞こえていたはずだが、スピーカーまでの距離や出力特性によって埋もれてしまっていたようで、結果的としてこれほど鮮明な印象として残っていなかったというわけだ。

 これがヘッドホン越しに聞いていると、ひとつひとつの音が鮮明に耳に入ってくるため、“いま自分が戦場にいる感”が大幅に向上。オンラインプレイ時においては、敵(見方も含む)が鉄板の上や木の床、上の階を歩く音がより聞き取りやすくなったり、ラペリングしている音やリロード音なども鮮明に聞こえてくるので、必然的に敵の位置や行動パターンが把握しやすくなってくる。とくに、敵がすぐ近くにいる場合はその方位を含め、本当に自分の近くにいるように耳元に聞こえてくるのは、視野の範囲に限りがあるFPSにおいては有利に働くに違いない。

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ゲーム内の音響、効果音が大きくてチャットボイスが聞こえにくいと、何度か聞き直しをしたりすることもあるが、 “MixAmp”ならシーンに合わせて音声/チャットボイスの音量バランス調整が簡単に行えるので、よりスムーズな連携が取りやすくなる。

 筆者はこれまでPS4でゲームをする際、ボイスチャットの必要がある場合は付属しているイヤホンマイクを使っており、これまではあまり問題は感じていなかった。しかし、いっしょにオンラインプレイをしてくれた相手に標準マイクと“A40”の違いを聞いてみたところ、標準マイクのときはゲーム音をスピーカーから流していたこともあってか、効果音が激しい場面では若干聞き取りにくいこともあったそうだが、“A40”使用中は音声が鮮明に聞き取ることができたと好感触。これは、マイクの位置が口元近くにしやすかったことと、余計な音をマイクが拾いにくくなったことなどが合わさって、筆者の声をしっかりと拾い上げてくれていたのかもしれない。いずれにせよ、“MixAmp”を使用し、ゲーム音声/チャット音量のバランス調整を行えば筆者側がチャット音声を聞き取りやすくなるのはもちろん、いっしょにプレイしている相手にとっても効果を発揮していることがわかった。

“G Astro”体験その3・自宅が大迫力の映画館に!? 映画鑑賞体験!

 “A40”+“MixAmp”はマルチchのサラウンドサウンドにも対応しているため、音の包囲感が体感できるうえ、細かな効果音、環境音まで鮮明に聞こえてくるなど、ゲームプレイに関してはこれ以上ない最適な体験をもたらせてくれることが実感できた。ただ、PS4はゲーム以外に、Blu-rayの再生や映像のオンデマンド配信サービスにも対応している。ゲーム以外の用途で“A40”+“MixAmp”を使ったらどう感じるのだろうか。そこで、今度はPS4でいつも視聴している“Amazon Prime Video”で映画を鑑賞してみた。

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※上記の“Amazon Prime Video”の画像はPC版のものです。

 “Amazon Prime Video”のラインアップには、5.1ch対応作品も多く取り揃えられているが、個人的により効果を体感できるのは爆破や銃撃シーンの多い作品と思っている。そこで今回は数ある作品の中から『ミッション:インポッシブル/ローグネイション』と『ゴースト・イン・ザ・シェル』を視聴。映像はここに貼り付けるわけにはいかないが、『ミッション:インポッシブル/ローグネイション』のオープニングアクションで、トム・クルーズ演じるイーサン・ハントが輸送機にしがみつくシーンは、輸送機のエンジン音や風圧を感じるかのような風切り音などが直に耳に入ってくるため、迫力の倍増を実感。『ゴースト・イン・ザ・シェル』は、電脳世界に頻繁にアクセスするというSF作品だけあり、自然音ではなく、さまざまに作り出されたサウンドの定位が目まぐるしく変化する。このような効果は、通常のスピーカーで視聴しているときよりも大きく感じることができた。電脳世界へのダイブシーンは、サラウンドヘッドホンとの相性抜群といったところだ。

 映画はゲーム以上に細かな環境音が多く用意されており、それらがスピーカー使用時以上に鮮明に聞こえてくるのは新鮮な発見でもあった。登場人物たちの足音、銃撃シーンで地面に落ちる薬莢の音、銃弾でオブジェクトが壊れるときの破壊音から、ドアを開け閉めする際の軋み音や、街の喧噪、レコードプレイヤーで針がレコード盤を擦るノイズ音まで、スピーカー視聴時には気にならなかった細かな音がとにかく耳に流れ込んでくる。
 “A40” + “MixAmp”を使用するまでは、アンプ+ヘッドホンの組み合わせでマルチchのサラウンドに対応しているとはいえ、本物の5.1chホームシアターシステムには遠く及ばないだろうと思っていたのだが、これだけ手軽にサウンドのリッチ化がもたらされるのは正直、驚きの体験であった。もちろん、音圧や音の広がり、包まれ感については、(物理的に複数のスピーカーを配置した)マルチスピーカーに軍配があがるのは構造上しょうがない。
 ヘッドホンの形状・サイズ的に、ウーファーが奏でる超低音のサウンドまでを再現するのは困難で、またヘッドホンの場合は装着者がどの位置を向いていても音場は変わらない(つねに装着者が向いている方向が正面になる)といった構造上の特性もあり(マルチスピーカーシステムの場合はスピーカーの位置は固定のため、視聴者が後ろを向けば、スクリーン方向から聞こえてくる音が背後からの音になる)、本当の意味での立体音域体験ができているわけでもない。
 とはいえ、出力されるひとつひとつの細かな音や、音場の定位といった音の情報を伝える点に限っては、耳にダイレクトに届くヘッドホンシステムは最適なシステムだと言える。これだけ気軽に、かつ近隣にも気兼ねすることなく、さらに言えば部屋の広さやモニターの大きさも関係なく音に包まれている体験ができるのは、バーチャルサラウンドヘッドホンならではといったところだろう。

 今回、『F1 2018』、『レインボーシックス シージ』、映画鑑賞で“A40” + “MixAmp”を試してみたが、音響の違いによってコンテンツのおもしろさそのものがスポイルされるわけではないとはいえ、プレイ・視聴中はかなりの没入感を味わうことができた。没入感が高まるということは、(コンテンツのおもしろさは変わらずとも)体験そのものが向上するというわけである。また、夜になっても近所に気兼ねなく、大迫力のゲームプレイや映画鑑賞ができるのも個人的に喜ばしい限りだ。

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個人的には、もう少しだけイヤーパッド部のサイズが大きいと、耳をスッポリと覆い尽くせるので、より遮音性が高まって没入できそうなところだが、現時点でもとくに窮屈感などがあるわけではなく、音質面もバランスが取れている印象。プレイステーション VRと本製品を合わせての装着感が問題なさそうな点も○。今回はプレイステーション VRを使っての検証は行わなかったが、VR体験+立体サウンド体験を組み合わせたら、あまりの没入感で帰ってこれなくなるかもしれない。
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別売りのMODキットを用いれば、自分好みの仕様にカスタマイズすることも可能。人気ゲームタイトルの専用品やチーム向けMODキットなどの登場がのぞまれる。

 今回はPS4に接続してのリポートとなったが、“A40”はPCやMac、ニンテンドースイッチなどにも対応している。また、“MixAmp”をPCに接続すれば、イコライザーやマイクなどの細かな設定を行うことも可能になる。
 モニター環境は気軽な変更が困難な場合が多いが、サウンド面は今回紹介するように、手軽にスペックアップが行える。平時の使用はもちろん、チャットが必要なオンラインゲームでは、その特性を最大限発揮できるはずだ。

 なお、本製品の発売日となる2018年9月20日から千葉・幕張メッセで開催される東京ゲームショウ2018のカプコンブースでは、すべての筐体のヘッドセットに“G Astro”製品が使用されるとのこと。ゲームショウに足を運んだ場合は、カプコンブースに立ち寄って、ぜひ本製品を体感してみよう。

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