Wargamingは2015年からサービスを提供中の『World of Warshis』(以下、WoWs)のプレス向けメディアツアーを、ロシア連邦サンクトペテルブルクにある新スタジオにて開催。現在進められている空母のリデザインだけでなく、新たに驚きのアップデート内容を発表した。その模様をお届けしたい。

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美しいサンクトペテルブルクスタジオで『WoWs』の新要素にふれてきました。

 スタジオツアーに先立ち、同作のエグゼクティブ・プロデューサーであるアルトゥール・プロチェニック氏はメディア向けのプレゼンを行った。開発スタート時は40人しか居なかったスタッフが現在は300人を軽く超える規模へと拡大し、当初は2国家と68の艦艇しかなかった参戦国や艦の数が現在は7国家171艦艇まで増えたことを紹介。

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エグゼクティブ・プロデューサー アルトゥール・プロチェニック氏

 さらに、現在では4週間に1度のアップデートをすることで、ゲームバランスの調整やコンテンツの追加などプレイヤーの体験をよりいいモノにするために努力していると強調した。

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 また、サービス開始当初はWargamingが提供する『WoWs』専用のランチャーを導入しなければならなかったが、現在はSteamやWindows Storeといった異なるプラットフォームからも参戦できるようになった。

 ゲームへのアクセスが容易になったことに加え、すでにリリースされているモバイル版の『World of Warships Blitz』と、2018年6月に発表されたコンソール版『World of Warships Legends』が準備中であると説明。

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 コンソール版はオリジナルとも言えるPC版と異なり、12対12で行われていた戦闘が9対9へと変更。また、戦闘時間は短く調整され、よりアクション満載のゲームプレイが楽しめるように製作中とのこと。ちなみに、ゲームパッドで操作するコンソール版に向けて専用のUIを用意しているそうだ。

 なお、残念ながら今回のスタジオツアーでは実際に動いている様子を見ることは叶わなかった。しかし、コンソール版もPC版と同じビルの別フロアで制作されているとの説明があり、Wargamingが本気でコンソール向けに取り組んでいることが伺えた。

 といった感じで、これまでの3年間をさまざまな角度から振り返った。ここからは今後の『WoWs』について紹介がスタート。

航空母艦のシステムを大胆にリデザイン

 最初に言及されたのが航空母艦(空母)のリデザインだ。現在、『WoWs』の航空母艦はプレイヤーから敬遠される艦種となっている。その理由のひとつがハードルの高さだ。ほかの艦種はアクションライクな操作方法なのに対し、航空母艦の操作方法は複数の航空中隊を同時に操作することからRTS(リアルタイムストラテジー)寄りのものになっている。

 そのため、この操作に慣れているプレイヤーと慣れていないプレイヤーでは戦力に大きな差が生じやすい。それに、超上級者が航空母艦を操作すると、その一隻だけで勝利しているような状況が生じてしまうことがあり、開発側はそれをバランスブレイカーであると認識しているそうだ。

 このほかにもさまざまな要素が積み重なり、敬遠されがちな航空母艦。そこで、誰でも操作しやすいように航空母艦の操作システムに大改修を施すのが、このたび発表されたリデザインだ。

 どういったところが改修されるかというと、これまで複数の航空中隊に指示を出せたところを、1度に1中隊までに制限。出撃中の航空中隊はプレイヤーが実際に操作し、爆撃や雷撃を行えるように操作方法を変更。

 筆者としては、突出した戦力差になりがちだった航空母艦をできるだけ平均化しようという試みに感じる。なお、この仕様は最初にテストサーバーで徹底的に調整が試みられる予定。すべてが順調に進んだ場合はすべての作業が年内に終了予定とのこと。

New Aircraft Carriers | World of Warships

ついに潜水艦の導入が決定! まずはハロウィンを待つべし!

 これまで多くの『WoWs』のプレイヤーが潜水艦の登場について幾度も開発側に質問をぶつけてきた。しかし、その答えは決まって「潜水艦の実装はない」という一蹴するものであり、いつしかプレイヤー側も質問することすら諦め、話題にすら滅多に上がらなくなっていた。

 だが、それまでの発言を覆し突如として潜水艦の実装を発表。これには驚かされたWoWsファンは少なくないだろう。

 潜水艦は最初に2018年のハロウィンイベントにて特別仕様としてお披露目される予定。海中深くへと潜り敵の攻撃を回避し、気付かれないように浮上して魚雷による攻撃を仕掛ける……といった、これまで潜水艦の登場を願っていたプレイヤーの夢を叶えるようなものだという。

 このハロウィンイベントで実装される潜水艦の評判がよければ、改めてコンセプトを改善し、潜水艦を2019年に実装することを真剣に検討するつもりだと発表。本実装された暁には映画『U・ボート』のように敵艦から発せられるソナーに震えるような緊張感を味わえるようになるかもしれない。

 なお、なぜメインとなる対戦モードではなくPvEのイベントモードに実装されるのかというと、安全に試験導入できるというのが大きな理由なのだそうだ。

 いやー、潜望鏡で敵にこっそり忍び寄り魚雷を放って一撃離脱……なんてプレイができるようになるかもしれないと思うと辛抱たまりませんな。

『WoWs』潜水艦プレイ動画

とにかく実際に触ってみる

 今回の取材で最初に触ったのは、リデザインによって大幅に変わる予定の航空母艦だ。筆者はプライベートで何度か空母をプレイしていたのだが、その難度と活躍できなかった際に有り難くも頂戴するメッセージに心が折れ、途中で使用を辞めてしまった経緯がある。

 しかし、今回はプレス向けの体験会というクローズドな場であり、AI相手に戦うという誰にも迷惑をかけないシチュエーション。心おきなくプレイしてみた。

 母艦の操作方法はWSADで前進後退と面舵・取舵という点はほかの艦種となんら変わらない。ナンバーキーの2~4をダブルクリックすると、甲板で待機中の爆撃機や攻撃機などが出撃する。

 航空機の出撃後の操作はWSADでエンジンブーストと減速、左旋回と右旋回といった感じでになっていて、ほんの2分ほどで操作感覚を掴むことができた。

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試遊台に置かれていた操作マニュアル

 攻撃方法も至ってシンプル。飛行中に界面に表示される灰色のサークルが攻撃位置で、マウスで左クリックすると攻撃準備に入り、サークルが緑色に変色する。

 あとは敵に当たるように微調整しながら再度左クリックを押すと攻撃が開始され、うまくやれば敵艦にダメージを食らわせられるというものだ。

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実際に攻撃してみた状態。うまく攻撃を当てられれば気持ちいいのだが、対空砲が激しいので即離脱しなければ蜂の巣に。

 一度攻撃態勢に入るとキャンセルすることはできず、さらに操作性もかなり落ちる。キビキビ動けすぎると攻撃時の微調整がやりにくかったり、ヤバそうならすぐ逃げられるといった感じでバランスを壊してしまうからなのだろう。

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画面下部にある12/12が飛行中隊の残基数。ゼロになるまで飛ばし続けられるが、明らかに攻撃力が落ちるので適時帰投させなければならない。攻撃後は母艦に帰らずとも少し時間が経過すれば再度敵を急襲することが可能だ。ただ、敵艦からの対空砲火は凄まじく、中隊の僚機がつぎつぎと撃墜されてしまうこともあり、数回の攻撃ごとにFキーで帰投する必要がある。

 帰投はオートで行われるので、このタイミングで別中隊のキーをダブルクリックすると、別働隊を送り出すことが可能だ。

 何度か敵艦に雷撃や爆弾などを当ててみたのだが、後半になるに従い、明らかにダメージは減っている。これは恐らく航空機をほぼ手動で操作できるようになり、攻撃が比較的容易に当たるようになったからだろう。

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雷撃機からの魚雷攻撃。2個命中しているが、そこまで大きなダメージは入っていない。

 ただ、前述したように攻撃態勢に移行すると操作性が悪くなる。そのため、駆逐艦のように足が速い艦船への攻撃は本当に難しい。対空に優れた駆逐艦相手にはかなり手こずることになりそうだ。逆に、足の遅い戦艦にはガンガン攻撃を当てられるのだが、猛烈な対空砲火を浴びるので僚機が減る速度も凄まじい。

 そうそう、現行バージョンとは異なり、敵艦に接近すると対空砲のエフェクトが恐怖を覚えるレベルで表示されるのは驚いた。その凄まじさは戦争映画でよく見るアレと同じだと言っても決して過言ではない。

 数時間ほどリデザインされた航空母艦を操作してみたのだが、正直に言うと「すげぇよかった」である。以前は爆撃機などを出すも相手側の迎撃機に粉砕されて何もできず涙していたわけだが、今回は1中隊だけの出撃ということで相手の航空機と遭遇しないように飛行すれば戦闘にも介入でき、少なからず役立ってる感覚が得られたからだ。

 現行バージョンの操作方法に慣れている人には酷な変更かもしれないが、挫折組の筆者としては速く導入してほしいかぎりだ。

 なお、こちらもコミュニティの意見を聞きながら慎重にバランス調整をしていく予定とのこと。

機動力の高い潜水艦で敵艦を藻屑に!

 さて、潜水艦も触ってきたので紹介しようと思う。基本的な操作方法はほかの艦種と変わらず、WSADで前進・後退・面舵・取舵。加えて、QキーとEキーで深度の変更が可能だ。

 深度は全部で5段階あり、水面から船体を晒している状態から潜望鏡のみを出している状況……といった感じでキーを押すごとに深く潜るようになっていた。

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潜水艦の操作マニュアル。シンプル操作できゅーそくせんこー。

 「それなら深く潜って魚雷を撃てばいいのでは?」と思うかもしれないが、魚雷を発射できる深度は船体を晒した状態や潜望鏡で見られる深さといった感じで限られており、深く潜りすぎると魚雷を発射することすらできなくなってしまう。つまり、攻撃時に敵に察知される大きなリスクをはらんでいるということだ。

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海面に浮上している状態
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潜航中の潜水艦。下部の表示されている兵装にロックアイコンがあり使用不能状態を表している。

 海中深く潜ってしまえば、敵からの魚雷や砲撃を容易に回避可能なのだが、潜水艦には酸素残量という概念があり、潜り続けて残量がゼロになると強制的に浮上させられてしまう。

 過信して潜りすぎるとピンチを招くことになるので、状況を見極めながら潜航の使い方を考える必要がある仕様だ。

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 魚雷は前後方向に配備されている。前方を航行する敵に前側から発射後、敵の船体を潜航でくぐり抜け、後部発射管から魚雷を放つといったオシャレスタイルで敵を攻撃することも可能だ。また、使用する潜水艦にもよるがリロードの速度が早いものもあり、かなり攻撃的な運用をすることができる。

 ただし、潜航中と浮上中で魚雷の射程距離が異なり、ロングレンジで放つには浮上しなければならず、どうしてもリスクが生じてしまう。かといって潜航しつつショートレンジで攻撃しようと近づいても酸素残量がピンチになったりと、なかなかイヤラシイバランスだった。

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このとき使用した潜水艦では浮上している状態と潜航中で2kmも魚雷の射程が異なる。ちょっとした差に思えるかもしれないが、実際にプレイしてみると大きな差であると感じた。

 今回試遊できた航空母艦のリデザイン版と潜水艦ははあくまでもリリース前のバージョンだ。そのため、本リリースの際に異なるところがあるかもしれない。ただ、それでも触ってみた感想としては「おもしろい試みだし、実際に楽しかった」である。どちらも本リリースが待ち遠しい出来だった。

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敵を轟沈させたときの気持ちよさといったら最高ですよ!

そんなサンクトペテルブルクスタジオはこんなところだ

 さて、前後逆になった感もあるのだが、『WoWs』が制作されているサンクトペテルブルクスタジオのツアーの模様もお届けしたいと思う。

 スタジオが入っている建物はパッと見で海外のデパートのような見た目をしていた(冒頭の写真参照)。外壁にはWargamingのロゴやスタジオの在り処を示すような看板はとくになし。

 ただ、ひとたび建物内に入ると、雰囲気は一気に『WoWs』な雰囲気が漂う不思議な空間だった。

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エントランスに入るとWargamingのロゴがお目見え。セキュリティはマジでガチガチでした。
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階段を登っていると眼に入るのが機雷などのオブジェクト。当然爆発はしないのだが、その存在感たるや。

 最初に案内されたのはプレス向けにPCが多数設置されたホール。ここにはエアホッケーやテーブルフットボールといったレクリエーション用の筐体が置かれていたり、艦橋気分を味わえるよう可動する舵などもあった。

 以前に東京ゲームショウで配布されていたアドミラリティガイドなどもディスプレイに飾られており、見ているだけでもおもしろい空間といったところ。

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アルペジオコラボは最高でしたねぇ。

 ライブプロデューサーであるフィリップ・モロッドコベッツ氏の案内でひたすら大きなスタジオを移動していると、よく目にするのが船の丸い窓に綺麗な絵が描かれたオブジェ。『WoWs』界の妖精とも個人的に思っているダーシャ・ペローヴァ嬢の美しい絵に見とれてしまいますねぇ。

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フィリップ氏はたびたびジョークを交えながら各部屋の役割を丁寧に説明してくれた。
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部屋の入口でディカプリオ様がお出迎え。これだと船が沈んでしまう気がするのですが!

 フィリップ氏が話してくれた中で個人的におもしろいと思ったのが、さまざまなリサーチを行っている部署だ。

 すでにゲームを遊んでいる人からの情報は当然として、ゲームを遊んだことがない人が『WoWs』をプレイしたときに、視線がどう動いているのかを調べ、それをUIやHUDなどに反映させるといったことも行っているとのこと。

 そういった情報を積み重ねて蓄積することがオンラインゲームでは重要なのかもしれない。

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サンクトペテルブルグスタジオにある謎の階段。セキュリティのためではなく、まだ工事中のフロアとのことで壁で覆っているそうな。

 といった感じで今回は航空母艦のりデザイン版と待望の潜水艦のプレイにフォーカスしてお伝えした。このほかにも開発者インタビューやサンクトペテルブルグ市内観光の模様を後日掲載予定だ。

 そちらも濃ゆい内容となっているのでぜひともご期待いただきたい。