『アークザラッド R』特別インタビュー「“いま”だからこそ描ける、新しい『アーク』」

初代プレイステーションを代表するRPGのひとつ『アークザラッド』シリーズの完全新作となる、スマートフォン向けRPG『アークザラッド R』。その誕生の経緯や、制作へのこだわりをふたりのキーマンに訊いた。

 初代プレイステーションを代表するRPGのひとつ『アークザラッド』シリーズの完全新作としてリリースを果たした、スマートフォン向けRPG『アークザラッド R』。

 過去を懐かしむだけの“リメイク”でも、新しいファンだけを見つめた“リセット”でもない。“リブート(再起動)”プロジェクトだからこそ生まれた、過去にも未来にも強く結びついた新たな『アーク』。その誕生の経緯や、制作へのこだわりをふたりのキーマンに訊いた。

※本稿は週刊ファミ通2018年8月16日号に掲載した内容に加筆・編集を行ったものです。
※本インタビューは『アークザラッド R』の配信前に実施したものです。

プロフィール

川口智基(かわぐちともき)

『アークザラッド R』エグゼクティブディレクター。 フォワードワークス所属。同社において、本作を始め数々のプレイステーションIPの、スマホでの新作展開を手掛ける。ほかの代表作に『みんゴル』(総合プロデューサー)など。

土田俊郎(つちだとしろう)

『アークザラッド』企画・原案・ゲームデザイン。 ジークラフト代表取締役。『アークザラッド』、『アークザラッドII』でプロデューサーを務める。『超兄貴』、『フロントミッション』シリーズなどのプロデュースも手掛けた。

オリジナルスタッフだからこそ実現できた新たな世界観の創造

――まずは、『アークザラッド ジェネレーション』以来、14年ぶりに最新作がリリースされることになった経緯からうかがえますか?

川口 もともとフォワードワークスは「プレイステーションのIP(知的財産)のおもしろさをもっとたくさんの人に届けたい」という思いから、2016年4月に設立しました。そのときにはすでに数年後の青写真を描いていて、プレイステーションを代表する作品のひとつであり、新作を待ち望むファンの多い『アーク』に関しては、重要視していたんです。

――それが“リブートプロジェクト”になったのですね。その『アーク』新作の舞台が『II』の数年後の世界になった理由を教えてください。

川口 じつはプロジェクトが立ち上がる前から、秘密裏にリサーチをかけていたのですが、やはりファンのあいだでは『I』や『II』の人気が非常に高かったんです。そういった背景もあり、『アーク』の新作はその2作品に関わる世界にしようということになりました。

土田 ただ、その2作品の人気キャラクターを集めて過去作の追体験をするだけといったものにしたくはありませんでした。『アーク』の新作を遊んでもらうからには、このゲームをやったからこそ味わえる新たな体験をしてもらいたかったんですよ。

川口 『II』の数年後という設定にすることで、過去作の人気キャラクターにも登場してもらえ、なおかつ新たな物語を通じてこれまでになかった体験をしてもらうことが可能になりました。

土田 形としては、新たな主人公たちの冒険におなじみのキャラクターが絡んでいくものになりました。結果として、過去作のキャラクターはほぼ全員出ることになったので、オ''ールスター的な要素も楽しめます。

――ほぼ全員! あらゆるファンが得をする、最高の形になりましたね。

土田 時間を経て“支える側”になった『I』や『II』のキャラクターたちの変化もしっかりと描いていくので、新たな主人公たちの活躍とともに楽しみにしていてください。個人的にも、その後の彼らの姿を描くのは楽しかったですね。

――今回発表されたキャラクターイラストでも、ずいぶん変わった印象があります。

土田 今回、キャラ表現を3Dにしているので、キャラクターデザインは各キャラクターを3D化した際の設計図的な意味も含めて描いてもらいました。『I』や『II』のキャラクターのデザインに関しては、『II』のエンディングからどんな時間を過ごしてきたかということを、自分を含めた原作メンバーとキャラクターデザインの方とでアイデアを出して考えたものになっているので、イラストから彼らの数年間を想像してみるのもおもしろいですよ。じつは、“ちょこ”なども登場します。

――舞台設定で気になるのが、本作と同じく『II』の3年後の世界を描いた『III』との関係性です。そこはどうなっているのでしょうか?

川口 まだ詳細は言えないのですが、じつはつながりはあるんです。どのようにつながっているのかは、ストーリーを進めることで徐々に明らかになっていくようにしています。

――そうなんですね! 楽しみが増えました。ちなみに、ストーリーに出てきたキャラクターは、バトルに参加してくれるのでしょうか。

土田 ストーリーとバトルはそれぞれ独立していて、バトルにはガチャで獲得したキャラクターが参加することになります。ストーリー上、オートで動くNPCが加入することはありますが、基本的には別になっていますね。

――成長システムも従来と同様ですか?

土田 従来のレベルアップのほかに“スピリットボード”という強化要素を解放していくものと、ゲームアプリではおなじみの“進化”という、ふたつの成長要素も採用しています。なお、進化をさせるとキャラクターの見た目も変化します。たとえばトッシュの場合、『II』の姿である★3から、現在のビジュアルである★5になりますね。

トッシュ★3

トッシュ★4

トッシュ★5

――キャラクター育成では、これまでにはなかった要素の“スピリットボード”が気になるのですが……。

土田 これは強化や進化とは別系統の成長要素です。特殊なアイテムを使ってキャラクターの潜在能力を解放していくのですが、ここで解放した要素は、進化でレアリティが変わってもリセットされずに残るようになっています。それから、スピリットボードを最後まで解放すると、レアリティを最大まで進化させた後に“あること”が起こります。それが何なのかは……“お楽しみ”ということで(笑)。

――やり込み要素のあるシリーズだけあって、本作もかなりのボリュームになりそうですね。

土田 詳細はまだ言えないのですが、ハンターズギルドクエストや、対人戦ができる“アリーナ”、懐かしの“遺跡ダンジョン”などもスマホ版仕様にブラッシュアップして登場予定です。やはり『アーク』には欠かせない要素ですからね。その一方で、スマホゲームである『アークR』ならではの新たな遊びかたをそれぞれに盛り込んでいます。

――往年のファンなら、遺跡ダンジョンがどのような形で復活しているかは気になるところではないでしょうか。

土田 遺跡ダンジョンには苦労しました。もし、当時のままの形で採用したとしたら、1時間やそこらではダンジョンから出てこられませんから(笑)。いかにしてサクサク遊べるようにするか、やり込み要素を入れるうえでとにかく気をつけました。詳細はまだ言えないのですが、1回入ったら最深部に到達するまでアプリを終了できない、ということはありません。

――安心しました(笑)。遺跡ダンジョンと言えば“ちょこ”を思い出すします。先ほど“ちょこ”が本作に登場するとありましたが……。

土田 どのような形で登場するかは、まだ言えませんが……ほかのさまざまなサブキャラクターと同様、ちょこもゲーム内に出ます。彼女のような、メインとは違う立ち位置のキャラクターが、10年経ってどのように変化しているのか確かめるのも、『アークR』ならではの楽しみかたのひとつです。

こちらは『アークザラッド R』の“ちょこ”のイラスト。

“あの世界”を再構築することと“R”の文字に込められた意味

――スマホ向けだからこそ実現できたことや、逆に苦労されたことはありましたか?

土田 やはりいちばんは“多くの人に手に取ってもらえるチャンスがある”ということですね。昔『アーク』を遊んでいて、いまはゲームから離れてしまった人でも、ほんの少しの操作でダウンロードして遊べてしまえるわけですから。そういった層は、ふだんガッツリとゲームを楽しめる時間もないでしょうから、クエスト1本を短くまとめたりして、できるだけ手軽に、気軽に遊んでもらえるような工夫は随所に盛り込んだつもりです。

川口 バトルシステムも、過去シリーズでおなじみの要素は残しつつもスキルの効果範囲が自動で表示されるようになったり、タッチパネルを活かした直観的な操作ができるようにして、遊びやすくなっていると思います。

――ビジュアルや音楽面など、演出面はスマホ向けになってどう変わりましたか?

土田 ビジュアルはキャラクターを3Dにしたことでよりダイナミックな演出ができるようになっています。そのうえで、2Dと3Dをシーンに合わせて使い分けています。演出面で意識したのは、昔遊んだ人が「何か違う」と思わないように、世界観を掘り下げたうえで、過去との“共通の情報”を入れるようにしたことです。飛空艇が空港に着くシーンの再現とか。それから、じつは当時よりも1画面内に入れられる情報量は格段に増えていて、当時も担当していたスタッフと相談しながら“本当はこうしたかった”要素などをあれこれ足しています。これがたいへんな作業だったわけですが(笑)。

川口 音楽面も、家庭用版と同じくらいの曲数を用意しています。とくにバトルでは毎回、『“ アーク』らしい”楽曲が流れて盛り上がると思います。

土田 メインテーマなどは、安藤さん(安藤正容氏)に壮大な曲を新たに書き下ろしてもらっているので、ぜひ期待してください。

――その安藤さんを始め、過去シリーズのスタッフが再集結しているのも注目ですよね。

土田 それぞれバラバラのところで活躍していましたが、多くのスタッフとはずっとつながりはあったんです。世界観設定やストーリーなど『アーク』の世界をもう一度作り直す作業というのは、自分ひとりではできないものでしたから、彼らがいたことで実現したことというのはとても多かったし、大きかったですね。とくに縦持ちに合わせて画面にデザイン要素を盛り込むのはたいへんでした(笑)。

――タイトルの“R”は、そういった作り直しの意味も込めてのものなのでしょうか?

川口 いいところに気付いてくれました(笑)。“R”にはいろんな意味を込めています。リボーン(再誕)、リブート(再起動)のほか、ストーリーに関わる重要な意味も持つ文字です。

――それが何なのかは……。

川口 プレイを進めていくことでわかるようになっていきます!

――ですよね(笑)。それでは、最後にファンの皆さんに向けてひと言ずつお願いします。

土田 当時プレイしていた方には、あの続きの物語が忙しい時間の合い間でも楽しめるので、ぜひとも手に取っていただきたいですね。ゲームとして家庭用と同様に丁寧な作りをしているので、新規ユーザーの方にも深みのある経験ができるのではないかと思っています。

川口 オリジナルスタッフが再集結して、シリーズとして守るべきところは盛り込みつつ、操作方法など20年ぶんの進化も味わえる作品に仕上がりました。プレイしたことがある人はもちろん、未プレイの人にもぜひダウンロードしていただきたいですね。過去作の一部はプレイステーションのゲームアーカイブスでお楽しみいただけるので、興味のある方はぜひ!



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※画面は開発中のものです。