『FFXIV』の新生から5年、長きにわたって運営を支えてきたスタッフたちがいる。今回は、公式放送などでもおなじみの“モルボル”こと室内俊夫氏、“アニー先輩”の愛称で知られる白杉浩嗣氏、そしてメディア初登場となる不思議キャラクター(?)のMちゃんに取材を敢行。運営に関わる話からパーソナルな話題まで、赤裸々に語ってもらった。

『FFXIV』名物スタッフに聞く! 『FFXIV』との出会いと運営にまつわる裏話_01

室内俊夫氏(むろうちとしお)

スクウェア・エニックス
『ファイナルファンタジーXIV』グローバルコミュニティプロデューサー

Mちゃん(えむちゃん)

スクウェア・エニックス
『ファイナルファンタジーXIV』プロジェクトマネージャー

白杉浩嗣氏(しらすぎこうじ)

スクウェア・エニックス
『ファイナルファンタジーXIV』リード宣伝プランナー

それぞれまったく別の道から『FFXIV』チームへ

──まずは、お三方の現在の肩書きと、業務内容を教えてください。

MプロジェクトマネージャーのMと申します。プロジェクトマネージャーチームは、開発の進行管理や運営などを担当しています。私は、どちらかというとディレクターの吉田側ではなく、プロデューサーの吉田側にいるプロジェクトマネージャーですね。

──なるほど。では、続いて室内さん。

室内『FFXIV』としての肩書きは、グローバルコミュニティプロデューサーです。会社的には、コミュニティー&サービス部のジェネラル・マネージャーをやっています。仕事の内容は、スクウェア・エニックス全社のカスタマーサービスもろもろと、『FFXIV』ではそれに加えてコミュニティチームとして活動したり、不正対策を行っております。

──プロデューサーレターLIVEを始めとした、番組の出役としても活躍されていますよね。

室内はい。『FFXI』のときは、もっちー(コミュニティチームの望月一善氏の愛称)が番組に出ていて、私は台本を書いたり、裏で人を動かしたり、もっちーに金ピカの服を着せてニヤニヤしていたんです。それで、あるとき『FFXIV』の生放送に関する会議が行われたのですが、ちょうど私は用事で出られなくて。すると、会議から戻ってきたスタッフたちが「おめでとうございます」と……。そんなこんなで、本人の意思とは関係なく、吉田の横に座るのが私と決まり……。不本意(笑)。

──そんな経緯があったとは(笑)。では、最後は白杉さん。

白杉私はリード宣伝プランナーです。日本の宣伝を担当しています。

──宣伝チームの長ですよね。

白杉長なのか、所属して長いだけなのか(笑)。でも、そういう感じで合っています。

──自己紹介をしていただいたところで、そもそもこの業界に入ることになったきっかけと、社内の数あるプロジェクトの中でなぜ『FFXIV』に関わるようになったかを教えてください。

M私ゎ昨年女子大を卒業して、新卒でスクウェア・エニックスに入社しました♪

──という設定でしたっけ?(笑)。それで、実際のところは?

Mえっと……。中の人の話をすると、大学を中退して、屋台でチョコバナナを売ったりするバイトをしている中、求人誌でスクウェア(当時)が開発事務のアルバイトを募集していたのを見かけて、それに応募したのがきっかけです。 面接を担当していた人に、自分を採用した理由を聞いてみたことがあるんですけど、「お酒が強そうだったから」だと。そういう時代でした(笑)。

──いま、面接で「お酒は飲めますか?」なんて聞けませんからね(笑)。業務としてはどんなことをされていたのですか?

M当時のプロジェクトマネージャーチームは、いわゆる“なんでも屋”的な部署で、最初は事務だけをやっていたんです。そこからだんだん、進捗管理も担当するようになって。そんな経緯があって、私もプロジェクトマネージャーの一員となりました。

──『FFXIV』のプロジェクトマネージャーになったのは、旧『FFXIV』のころからですよね?

Mそうですね。もともとは吉田が『FFXIV』に関わる前に担当していた、新規プロジェクトのプロジェクトマネージャーでした。それと同時に、『FFXIV』側のプロジェクトマネージャーの手が足りないということで、途中から手伝いをしていたんです。そんな中、『FFXIV』が“大事故”を起こしてしまい……。その事故の度合いがひどかったので、私もプロジェクトマネージャーの一員として責任を取るために、もとの担当を辞めて『FFXIV』に移ったと。

──それが旧『FFXIV』の体制変更につながるというわけですね。ちなみにMちゃんは、吉田さんとガチで渡り合える数少ないメンバーだと聞いていますが、それを象徴するようなエピソードがあったら教えてください。

M吉田は『FFXIV』が大好きなので、1日中会議という日でも、合間の休憩時間中に『FFXIV』をプレイするんです。それに対して私が、「溜まっている仕事があるんだから、遊んでないでそっちをやってくださいよ!」みたいなことを言いすぎてしまって、最近は吉田がウソをつくようになったんです。私が部屋に入ると、“やべっ”という顔をして、「いま、黒魔のバランス見てるから」と、何も聞いていないのに説明してきます(笑)。

室内それって完全に、中学生の男の子と、部屋に入ってきたオカンの構図じゃん(笑)。

──もう、今回の取材、とれ高として十分な気がしてきました(笑)。

室内僕らの話、いります?(笑)

──いったんMちゃんから離れましょう。続いて室内さんの経歴を。

室内私がこの業界に入ったきっかけは、まずはPCゲームの『ディアブロ』にハマって、そのまま『ウルティマ オンライン』にもハマり、プレイヤーとして熱中しすぎた結果、向こう側(運営)の人になりたいと思ったことですね。そこから『ウルティマ オンライン』のゲームマスターのお手伝いをするという、ボランティアプログラムに参加したりしていました。それでも飽き足らず、ゲームマスターになりたいなと思い始めて。ちょうどそのときに、のちの私の上司になるSage Sundi(セージ・サンディ)が『ウルティマ オンライン』のゲームマスターチームのトップにいて、彼から声を掛けられてゲームマスターになったんです。

──オンラインゲーム好きが高じて業界に入ったというわけですね。そこからスクウェア・エニックスに移籍するわけですが、どのような経緯があったのですか?

室内ゲームマスターになった後、スクウェアがMMORPG(つまり『FFXI』)を作るという記事をファミ通で見たんです。うわ、相当きびしいだろうなこれ……と思っていたわけですが、当時のスクウェアの偉い人たちが、合弁会社だった僕たちのオフィスに視察にやってきて。そのときに、ヘッドハンティングの話が持ち上がりました。どうしようかと仲間内で話し合い、結論としては、スクウェアがMMORPGを運営したら、日本でのスタンダードは絶対そっちになるだろうと。どうせだったらスタンダードになるところでやろうよということで、Sage Sundiにくっついてスクウェアに入社しました。それが2001年12月ごろ、『FFXI』の運営が始まる半年くらい前ですね。

──そこからしばらく『FFXI』に関わられていたんですよね。『FFXI』から『FFXIV』に業務が切り換わったタイミングは?

室内チーム全体で言えば、どちらも業務の範囲で、どこに軸足を置いているかという違いですね。私個人の話で言えば、『FFXIV』の生放送に出ていたりもするので、外の方からしたら『FFXIV』の人に見えているかもしれませんが、スクウェア・エニックスのオンラインゲーム全体を担当しています。

──オンラインゲーム全体というと、『ドラゴンクエストX』もですか?

室内そうですね。『ドラゴンクエストX』ではコミュニティ運営こそ担当していませんが、不正対策やカスタマーサポートなどを行っています。業務内容は順当に広がっていっているのかなと。

──なるほど。ちなみに、海外のファンフェスティバルなどで流暢な英語を披露されていますが、これはどこで身につけられたのですか?

室内英語はもともと好きで、勉強もしていました。仕事上では、『ウルティマ オンライン』を担当していたころ、アメリカの本社に意思を伝えるには、自分の口で言わないことには始まらないというのがあって、そこで読み書きの部分をトレーニングさせられた感じです。そこからスクウェアに入った後、『FFXI』の運営を拡大させるために、ヨーロッパに2年間行くことになるんです。「ブッコ(室内氏の愛称)はある程度英語の読み書きができるから、なんとかなるでしょう」というノリで放り込まれて(笑)。あとは、ひたすら実地訓練のような形で英語が話せるようになりましたね。

──そんな経緯があったとは。

室内私にとってはサバイバルのようなものでした(笑)。そこからは、MMORPGを中心としたゲームの話くらいは英語でやり取りできるようになりましたね。でも、旅行などでのコミュニケーションはいいとして、まったく違う業界の会話を英語でできるかと言われたら、語彙的にきびしいと思います。偏った英語ですね。

──実務で身に着けたようなものなんですね。

M彼女が外国人とかは?

室内私にも妙な設定を求めないで(笑)。

──(笑)。ところで、『FFXI』で2年間ヨーロッパに行っていたというのは、どういった目的で?

室内当時のヨーロッパのオフィスは、パブリッシャーではなかったんです。『FFXI』をヨーロッパで展開するとなったときに、自社パブリッシャーを建てようという話になりまして。最初は半年という話だったのですが(笑)。

──任期が4倍に(笑)。

室内あと、現地の貴重な日本人だったので、プロモーションなどで偉い方々が日本から来た際のアテンドもよくしました。田中弘道さん(現・ガンホー所属。元・スクウェア・エニックスのプロデューサー)もそうですし、堀井雄二さん(『ドラゴンクエスト』シリーズの生みの親)なども。どうしても話し相手が少ないので、頼られることが多かったです。そこでいろいろな方と交流できたのはよかったですね。当時、植松伸夫さん(作曲家。『FF』シリーズの数多くの楽曲を担当)にもよく海外でお会いして、そのときに植松さんに言われていまでも忘れないのが、「君とは海外でしか会わないな。同じ会社なんだって?」と(笑)。

──行きっぱなしですもんね(笑)。 さてさて、最後は白杉さんです。この業界に入ったきっかけを教えてください。

白杉僕もMちゃんと同じで、コンビニで求人誌を見ていたんです。そこで、「ゲームをやってお金がもらえる職業が世の中にあるんだ」と知って、スクウェアのデバッガーのアルバイトに応募したのがきっかけですね。デバッガーを1年くらいやった後、きちんと入社したいと思うようになり、品質管理部のスタッフ募集を見て、それにエントリーをして、ギリギリで合格をしたんです。

──ギリギリとは?

白杉後から聞いた話なんですけど、当時の部長が、ものすごく僕を入れることに躊躇したらしいんです。それもそのはず、面接中、何も覚えていないくらい緊張してしまって……(苦笑)。これはさすがにやらかしたと思っていたんですが、採用担当の何人かはデバッガーとしての僕を知ってくれていて、その評価に助けられて、なんとか入社できたんです。

──最初は品質管理部のスタッフとして入社されたんですね。

白杉そうですね。その後、営業に異動するのですが、当時『FFXIV』のプロデューサーだった田中弘道さんに、「『FFXIV』のマーケティングを手伝ってくれないか」と言われて、田中さんの部署に合流したんです。そこでは『FFXIV』を売るための営業的なサポートをしていました。その後は皆さんご存じの通り、体制変更があって。しばらくは営業サポートを続けていたんですが、ある日突然、吉田から「宣伝やってみない?」と言われて、それでなぜかうなずいてしまったんですね。そしていまにいたるというわけです。

──吉田さんはなぜ、白杉さんを宣伝にと思ったのでしょう?

白杉会員数の予想を田中さん体制のころから立てていたんです。それもあって、今後どうなっていくかという話を吉田とよくしていました。そうした交流もあって、気心が知れたというか。話をしていくうちに、「あ、この人本気だな」というのはわかってきたし、それに乗るのもおもしろいかなと。

室内部署的にはMMORPGの宣伝を担当していたこともあって、それ自体はおかしくないことでしたね。

──旧『FFXIV』のころに、吉田さんと少なからず不和があったという話を聞いたのですが、それについて詳しく教えてくれませんか?

白杉まず、僕はみずから何かをしたいというタイプではなくて、何かをしようと思っている人のお手伝いがしたい人間なんです。矢面に立つとやられちゃうので、陰から応援する方が向いているというか……。

──つまり、参謀的な。

白杉そんなすごいものじゃないです。絶対的な親分として当時田中さんがいて、僕は田中さんのために仕事をしているつもりでいたわけです。それで旧『FFXIV』の出来事が……。あれは、本当にあってはいけないことだとは思っていますが、誰かひとりに責任を取らせるという雰囲気に感じてしまって……。みんなが一生懸命やったけど、あのような結果になったわけであり、それをひとりに押しつけるのは違うんじゃないかと思っていて。その矢先、吉田体制になると聞いて、おい、何を言っているんだと(笑)。

M当時、プロジェクトマネージャーチームにもすごい噛みついてきて。「お前らが開発をちゃんと回せなかったからだろう」とすごく怒っていたのをよく目にしていました。それを見て、怖い人だなって(笑)。

室内現場だけじゃなくて、社長のところにまで乗り込んだからね。

──体制変更の発表があり、白杉さんが社長室まで乗り込んだと。

白杉けっこうな勢いで、納得がいかないという趣旨のことを言ったら、僕より胆力増して返ってきました(笑)。

──それで冷静になったと。

白杉それくらい、当時の和田さん(和田洋一氏)は『FFXIV』を立て直すことに対して真剣だったんです。和田さんの考えをすごく丁寧に説明していただいて、初めてわかりました。正直、経営者の考えることは、僕たち現場にはわからないですし、自分の地位を守ることだけを考えているのかなと思っていたんです。でも、実際は私欲みたいなものはいっさいなくて、『ファイナルファンタジー』のブランドを守るために必死だったと。当時のことは深く反省しております……。

『FFXIV』名物スタッフに聞く! 『FFXIV』との出会いと運営にまつわる裏話_02

あっという間の5年。それぞれの想い

──そろそろ本題である『FFXIV』についてもお聞きしないとですね(笑)。5周年を迎えて、いかがですか?

Mいま振り返ると、それほどの時間が経ったという感覚がないですね。ずっと走り続けてきたので、長いと感じたこともなくて。ファンフェスティバルも、つぎで3回目を迎えるわけですが、本当にこんな大きなイベントに関わったのかなというくらいの気持ちです(笑)。ですので、5周年だからこんな気持ちというのはあまりないですね。ただ、この5年でいろいろなプレイヤーさんと出会えたので、そこは本当に私の宝物だと思ってます♪

──最後のほう、急に設定が出てきましたね。

室内じつは私も、Mちゃんと感想がほぼ同じで、振り返ると、もう5年も経っていたのかと感じるんですよね。

──皆さん、そうなのかもしれないですね。

室内そうですね。ここにいる3人と開発チームとで違うのは、区切りがない仕事をしているところなんです。私はその最たるもので、サービスは止まることがありませんから、ずっと業務を続けているというところがあって。もちろん、ファンフェスティバルを開催したとか、チームも大きくなったなとかいろいろあるんですけど、気づいたら5年が過ぎていました。一瞬で過ぎていったという感じですね。

──そういう感覚なんですね。

室内先日、プロデューサーレターLIVEのときに、吉田から「まだ5年かな」と言われたのですが、それは、これからまだがんばるという意味の“まだ5年”だと思っています。

──白杉さんはいかがですか?

白杉5年は早かったですね。でも本当に、『FFXIV』は大きくなったなという感じがします。この言いかたは正しくないかもしれませんが、近所の悪ガキがすくすくと青年に育って、いまやスターになっているという感覚でしょうか。

──旧『FFXIV』からずっと見てきたからこその感覚でしょうか。

M私は、『FFXIV』で初めてオンラインゲームというものを知ったんです。初期によく言われていたのが、「MMORPGは、拡張パッケージを発売したとしても、基本的に下がっていく一方だよ」ということでした。でも、実際は真逆の結果になっているので、正直驚いています。

──『紅蓮のリベレーター』の発売で、課金プレイヤー数が過去最大になるという。

Mそうですね。すごくありがたいです。

室内日本、北米、欧州という3つのリージョンで均等に育っていっているのもすごいことだよなと、客観的にも思いますね。

──では、皆さんが『FFXIV』に関わるうえで大事にしていることを教えてください。

M私はカジュアルに遊んでくれる、ライトなプレイヤーさんのこともちゃんと考えてゲームを作ったり、運営してほしいという話をよくしています。もちろん、コアに遊んでくださる方々もすごく大切なのですが、カジュアルに遊んでいる方々にも、より楽しんでいただきたいんです。吉田もよく言っている、「1回休んで、また帰ってくるといいよ」というのがまさにそれで、たとえ毎日ログインしていなくても、プレイヤーとして大事にしてもらえているという雰囲気が必要だなと思っています。

──まだまだ『FFXIV』は拡大中ですしね。

M私は空気を読まずものが言えるタイプなので、そういう意味でも、ライト層の代表としてがんばろうかなと。吉田と「ライトのことを考えていない」とよくケンカをしています(笑)。

──では室内さんは?

室内日ごろから気をつけようねと自分でも思いながら、チームのみんなとも共有していることなのですが、思ったことや気づいたことは必ず言う。要は、忖度はやめましょうと。5年も経ったら、吉田のスケジュールも緩くなるのかなと思っていたら、逆に過密度が増している。ですので、吉田を捕まえるだけでもたいへんなんです。でもそのときに、「これくらいのことは確認しなくてもいいかな」となりがちなところを、我々は空気を読まずに言っていこうと心掛けています。その結果、違ったら違ったでべつにかまわなくて、でも確認だけは怠らないようにしようと。

──巨大なプロジェクトだからなおさらですよね。

室内そうですね。ときに言いづらいこともあるんですけど。

──白杉さんはいかがでしょう?

白杉自分は、新規のプレイヤーを増やすのがメインのお仕事です。そこで施策を考えるときに、新規の方々に振り向いてほしいがゆえに、いま遊んでいる人たちへの配慮がスッと抜け落ちたりする。それはよくないことなので、冷静に立ち返るようにはしています。

──運営型ゲームゆえの悩みですね。いま遊ばれているプレイヤーの方々も大事ですし。

白杉コミュニティあってのMMORPG運営、宣伝ですからね。

3人から見た吉田氏の人間力

──皆さんから見た吉田さんはどんな人ですか?

室内吉田は、お客さん目線な人ですね。迎合するという意味ではなくて、お客さんからどう見えているかということを本当に考えているなと。あと、イベントなどで子どもや車いすの方が来たら、ちゃんと座ってお話をするんですよ。そのホスピタリティーはすごくて、そういうところは真似しようと思っています。

──ホスピタリティーって、気恥ずかしさがジャマをしたりするんですよね。

室内そうなんですよ。以前、吉田が私経由でサインを求められたことがあって、バックヤードにいる吉田のところに行くと、「サインは目の前でしてあげることにも意味があるのだから、いいよ、そこまで行くよ」と言って足を運ぶんです。そういう気遣いもすごいなと。

『FFXIV』名物スタッフに聞く! 『FFXIV』との出会いと運営にまつわる裏話_03

──Mちゃんはどうですか?

Mマメなインテリヤ〇ザですね。

──とんでもないワードが飛び出てきましたね。詳しく説明してもらえますか(笑)。

M会社での立場は上がっているのに、マメなところは変わらず、本当に雑用みたいなこともやってしまうんです。たとえば、スタッフに対する連絡とかも、ほかのスタッフに丸投げということができず、自分でなんでもやりたがってしまう。私には絶対に真似できないんですが、そういうマメなところがあるからこそ、時間がないときでも、どのスタッフに対しても真剣に向き合って、話せるのかなと。

室内確かに最近、Mちゃんが吉田に「そんな連絡は吉田さんからしなくていいです!」と言っているところを見ます。吉田が“やろうとしちゃう”という部分はあると思いますね。

Mそのうえで、インテリヤ〇ザというのは、人を説得するのが本当にうまいんです。危機的な状況になったとしても、それこそ社長のところに乗り込んでいって、説得しちゃう。人と会話をさせたら、私もそうですけど、最終的には自然と納得させられるんです。ちゃんと流れにそって丁寧に説明してくれて、最終的には吉田が持っていくというか。

──それにしても、もっとほかにいい例えはないものですかね(笑)。

Mふふふふふふふふふ。

──さて、白杉さんから見た吉田さんはどんな人ですか?

白杉吉田は、アスリートのような存在だと思っていて、欲がなくならないというか、ここを何秒で走れたから終わりではなくて、より速く走るにはどうしたらいいかを追求し続ける、飽くなき欲求の塊だと思うんですよね。ですので、いっしょに働く人はたいへんな思いをしたり、ステキな思いをしたり、いろいろなことがあるとは思います。

──求道者ですね。

白杉出世もして、『FFXIV』も客観的に見て一定の成功を収めているじゃないですか。ここでアクセルを緩める人って、いっぱいいると思うんですよ。吉田はぜんぜん緩めない。

室内うかつにも、我々や海外のマーケティングチームが手を緩めたのを見透かされると、けっこう怒られますね。

──怒られることは多いんですか?

白杉失敗したことに対してはあまり怒らないんですが、手を抜くと怒られますね。もっとやれるのに、なんでそんな姿勢なの? と。

Mあと、絶対にクリアーできることを目標にすると怒られますね。

──では最後に、今後の目標や、個人的に達成したいことなどを教えてください。

Mえっと、最初は白杉、締めは室内で。

──な、なんで急に仕切り出した? で、では白杉さんからお願いします(笑)。

白杉『FFXIV』の宣伝になってから、新生が見えてきて、やれるといいなと思ったことは、ほとんど達成しているんです。プロジェクションマッピングやライブ、グッズ展開もそうですね。その当時に思いついた大きなことはやれたので、いまは新しい目標を設定するフェーズです。ドラマ『光のお父さん』なども、たまたまお声掛けいただいて実現できて、あれ以上のことを起こすのは相当たいへんで、運も必要だと思うのですが、また皆さんが驚くようなことに関われたらうれしいです。あと、先ほど『FFXIV』がスターに見えると言ったのは、おそらく『FFXIV』の成長に対して、自分の成長が追いつけていないからじゃないかなと。もうちょっと速く走って追いつかないといけないなと思っています。

──『FFXIV』は皆さんが総力を挙げて成長させているというのもあるでしょうね。では、つぎはMちゃんです。

M『FFXIV』は、プレイヤーとコミュニケーションを取ることを大事にしているゲームだと思っています。『吉P散歩』という公式番組で吉田がプレイヤーの皆さんと遊ぶのもそうですし、地方をイベントで回って直接お話しするというのもそうですね。こういったことを強化して、いろいろな人と接する機会をもっと作りたいです。あとは、やっぱり5年経つと、開発チームの人間も変わってきたりもします。新しいスタッフの教育もしっかり行い、成長を見守りたいなと思っています。新しい人たちが成長していけるような場を作れればなと。私も新卒ながら、がんばりたいです♪

──ここでまた新卒設定かー(笑)。でもコメントはマジメ!

白杉達観した新卒だなぁ……。

『FFXIV』名物スタッフに聞く! 『FFXIV』との出会いと運営にまつわる裏話_04

──最後に室内さん、締めていただけますか。

室内直近ではあるのですが、今年はファンフェスティバルイヤーですので、とにかく北米、欧州、日本の3拠点のファンフェスティバルを成功させるというのが、今年の最大の目標なのかなと思っています。状況で言えば、北米のチケットが即ソールドアウトで、うれしいことに欧州でも2週間ほどで無事にチケットが売り切れました。欧州は前回、売り切るまでに何ヵ月もかかりましたが、前回よりも会場のキャパシティを広げたうえですぐ売り切れたのが、すごくよかったです。チケット販売だけで言えば、日本のターンが秋口に来ますが、ちょっとドキドキしています……。

──数が足りないという意味ですか?

室内余ったらどうしようと。

──余るわけないじゃないですか!

室内そう思うじゃないですか……。でも、2014年の1回目から、2016年の2回目では会場を倍にして、3回目の今回はそのさらに倍。販売する枚数もすごく多くなっていて、大丈夫かなと……(笑)。

M規模を大きくしすぎて、ちょっとビクビクしていますね(笑)。

──心配しているのは中の人たちだけじゃないですか?(笑)

室内北米も欧州も規模を拡大しているんですけど、来年の東京のファンフェスティバルはとにかくすごいですよ! 発表の内容は吉田次第なので、私にもわかりませんけど、なにせ会場が広い……(笑)。東京ゲームショウで例えれば、幕張メッセで有名メーカー何社ぶんものスペースを、『FFXIV』というひとつのタイトルで埋めるわけです。いま設営プランを進めていますが、あの空間ならではの、あの広さだからこそできるステージの配置にできるんじゃないかなと。いままで開催されたファンフェスティバルとは明確に違う、おもしろい見えかたになると思っています。ご期待ください。