“名作”の看板は本物だった『ANUBIS ZONE OF THE ENDERS : M∀RS』プレイレビュー

2018年9月6日発売のプレイステーション4/PC(Steam)用ソフト『ANUBIS ZONE OF THE ENDERS : M∀RS』。本作のオリジナル版を遊んでいたライターによるプレイレビューをお届け。

 2018年9月6日発売のプレイステーション4/PC(Steam)用ソフト『ANUBIS ZONE OF THE ENDERS : M∀RS』。本作のオリジナル版を遊んでいたライターによるプレイレビューをお届け。

 発売から15年を経て、いまや“ロボットアクションの名作”との評価を確立している『ANUBIS ZONE OF THE ENDERS』(以下『アヌビス』)。ただ、ゲーム通の人々も、メディアもこぞって「名作!」とほめたたえていることに、「本当?」と疑ってしまう人もいるだろう。何しろ、販売本数から言えば“ヒット作”とは言えないものだった。つまり評価も大したことがなかったのでは……という理屈だ。しかし、『アヌビス』の評価は発売後にユーザー間の口コミで広がり、高まっていったもの。まごうことなき名作なのである。

 それでは、どんなところが“名作”と評価されるゆえんなのか。それは大きくふたつの要素が挙げられる。

・簡単、爽快、カッコいいアクション
・人気ロボットアニメにも劣らない、すぐれたストーリーと演出、演技

 アクションに力を入れれば難しくなりすぎたり、ストーリーがおざなりに。かといって、ストーリーを読ませようとして難易度を下げすぎた結果、アクションが簡単なだけの味気ないものになったり……。そんな“ロボットアクションあるある”に対し、最高の答えを出してくれたのが『アヌビス』なのだ。

【遊びやすく、気持ちいいアクション】

 バトルは、基本的には空中で展開する。ターゲッティングは敵を視界に収めれば自動で行われるため(切り換えやオフも可能)、カメラをぐるぐる回す必要はほとんどなく、あとは攻撃ボタンを連打しているだけでもカッコいい攻撃がくり出されることになる。

 とくに、雑魚敵を一掃できるホーミングレーザーの気持ちよさは鳥肌もの。プレイステーション4なら、□ボタンを押しながら機体を上下左右に少し振るだけで射程内の敵すべてがターゲットになり、ボタンを放すと無数のレーザーが敵を攻撃してくれるのだ。気分はもう、某ニュータイプである。

 ちなみに、プレイステーション2版の操作方法は“CLASSIC”モードとして選択することが可能だが、本作では新たなボタン配置である“PRO”モードが用意されている。サブウェポンとダッシュボタンが独立するなど、より操作ミスのしづらい、扱いやすいものになった。とくにガード、ダッシュはストロークのないボタンに配されていて、押しやすくもなっている。

 筆者はしばらくぶりのプレイだったこともあってすっかりCLASSICモードでの操作方法を忘れていたので、あらためてPROモードをチュートリアルで学んでいったのだが、“ガード”や“掴み”、“サブウェポン”など、多少覚えることは多いもののすぐに馴れた。

 正直、ゲーム序盤は適当に撃って適当に斬っていればだいたいの敵は楽勝。その後、ボス戦ごとにひとつずつ操作を覚えられるような構成になっているので、物覚えが悪くてもだいたい大丈夫なのだ。また、敵の動きも、ボスを含めておおむねパターン化されていて、難易度NORMAL以下ならもしやられても何度かやり直せばすぐに慣れて倒せるようになるはず。

 なお、ゲームが後半に進むほど、ボス戦では接近戦が重要となってくる。接近戦で、超高速で移動しながらブレードどうし斬り結ぶ、そんなアニメでしか観られないような光景を、自分が当事者として体験できるというのは、ものすごく興奮するものだと思うので、本作を初めてプレイするという人は楽しみにしていてほしい。

 グラフィックは大幅にきめ細かいものになり、より立体感も増しているのだが、視点ブレが少ないために“3D酔い”になりにくいのも本作の大きな魅力だ。これに関しては、プレイステーション VRを装着してのVRモードでのプレイでも同様で、視覚効果の調整などユーザーにやさしい作りになっているのもうれしいところ。

 今回のグラフィックで個人的におもしろいと思ったのが、何でもキレイに作り直すのではなく、もともとの雰囲気をより強める方向でグラフィック強化を行っているところである。たとえば、LEVの見た目はオンボロ感が著しく向上している。そのほか、都市部のステージでは背景での細かい動きが視認できるようになっているなど、直接バトルの遊び心地とは関係のない、言ってしまえば“ネタ部分”にもとんでもなく力が入っているのだ。

 そういう、細かすぎて気付きにくい部分のこだわり、嫌いじゃない(大好き)。

【1クールのロボットアニメのような演出に震える!】

 続いては、アクションと並ぶ本作の柱、“ストーリー”について語っていこう。

 本作ではロボットアニメでは王道とも言える、熱血、友情、反逆の勧善懲悪ストーリーが展開する。文句ばかりいいながらも、決して仲間を見捨てない熱い主人公ディンゴ。そんな彼と、長年連れ添ってきた夫婦のような丁々発止のやり取りをくり広げるヒロイン、ケン。さらにあらゆる悪役的要素を一身に集めた敵役のノウマンなど、登場人物たちも癖は強いがわかりやすい性格をしているのが特徴だ。

 本作では、ムービーがHD対応でリマスターされているが、シナリオの中身そのものはまったく変わっておらず、かつてプレイした人たちにとっては懐かしいやり取りがふたたび味わえるようになっている。もちろん、演出もそのままだ。

 アクションゲームでは、バトルの前に会話シーンなどストーリーパートが別途挿入されることが多い。それはそれでストーリーを“見せる”手法としてありだと思うのだが、本作はストーリーとバトルを極力シームレスでつなぐような作りになっている。

 途中でインターミッションのような“休憩時間”など挟むことなく、まるで1本の映画のようにストーリーが切れ間なく進行していくのだ。ゲーム中に“区切り”があると、ゲームの“止めどき”ができていい、というメリットもあるが、本作のようにあえて区切りを入れないことで、緊張がずっと続く効果を生み出し、より強い没入感を味わわせるのもおもしろい作りだと思う。

 なお、ゲーム中はボス戦の最中であっても、会話やムービーの進行中以外はいつでもセーブができるようになっている(ただし、再開時は特定のポイントまで戻される)。

 基本は王道路線でありながら、ときにギャグも交えてメリハリの効いたストーリーを、爽快感抜群のバトルとともに展開していく本作。スムーズに進めば10時間前後でクリアーでき、中だるみすることなく一気に楽しめる。30分アニメで言うところの、1クール以上のボリュームは感じられるはず。

 一方で、やり込み要素も数多く用意されている。こちらはやや上級者向けと言える内容だが、ゲーム好きの人間がボリューム不足を感じることはないだろう。

 『アヌビス』本来の魅力はそのままに、操作系やグラフィック面など“遊びやすさ”、“見やすさ”を練り上げ、作品としての完成度を高めたと言える本作。“名作”の看板に偽りなし、オリジナル版やプレイステーション3でのリマスター版をプレイしたことがある人はもちろん、まだ触ったことがないという人も、ぜひその魅力を堪能してほしい。