2018年8月21日、1964年当時の渋谷をVRで再現するプロジェクト“1964 SHIBUYA VR プロジェクト”の記者発表会“タイムマシン体験会~2018年・夏”が開催された。その模様をリポートしよう。

 一般社団法人、1964 TOKYO VRは、2017年10月に第1弾プロジェクトとして“1964 SHIBUYA VR プロジェクト”をスタート。これは1964年の東京オリンピック当時の渋谷駅周辺を3DVRで再現するという試みで、個人・法人の賛助会員や、賛同した一般の方より当時の写真が数多く集められ、当時の街並みを忠実に再現することに成功している。 駅の改札で切符を切る音が聞こえてきたり、ガード下を通ると電車の音がしたりと、まさにタイムマシンに乗って1964年に戻ったかのような臨場感ある仮想現実世界をVRで実現。また同時に、渋谷駅~表参道~国立競技場~旧都庁(日比谷)までの、約4000棟の3DVRモデルの作成も進行中だ。
 2018年8月21日、その3DVRプロジェクトの体験会を兼ねた記者発表会“タイムマシン体験会~2018年・夏”が、渋谷 EDGEofにて開催された。その模様をレポートしよう。

 発表会ではまず、1964 TOKYO VR代表理事である、土屋敏男氏(日本テレビ シニアクリエーター)と齋藤精一氏(ライゾマティクス 代表取締役)が登壇。プロジェクトの概要と進捗状況を述べた。

プロジェクトの内容を説明する、齋藤氏(左)と土屋氏(右)。

 プロジェクトが発足したのは2017年10月25日で、渋谷区民ニュースという配布誌で取り上げてもらうなどで認知を広め、協賛者を募るとともに、3DVRモデル作成用の写真データを集めてきた。そして当時の航空写真、地図用の写真、個人提供の風景写真などをもとに立体データを作成。古き渋谷を見事に再現している。

 齋藤氏いわく、このプロジェクトの根底にある考えかたは、“押入れのIoT化”だという。「押入れに眠っているアルバムを、デジタルでアーカイブすることで、現代のテクノロジーにより新たなものを創り出す。キャッチコピーは“みんなで作るタイムマシン”です」(齋藤氏)。
 渋谷を選んだ理由は、「古来よりエネルギーの集まる街で、スクランブル交差点など、世界からも注目を集める街」(齋藤氏)だから。また目的は、“テクノロジーの力で過去をよみがえらせる”ことだという。「皆さんの写真からコンテンツを作る、参加型のプロジェクトだということが大事だと思っています」(土屋氏)。

コンセプトや進行状況が、スクリーンの画像とともに紹介された。

 なおここでは、今回体験できる3DVR映像が、現在の進捗状況として流された。渋谷駅前から、高架下をくぐって宮益坂に出ると、かつての東急文化会館と、屋上にはプラネタリウムのドームが。一方、道玄坂方面では、東宝の映画館があり、現在109ビルがある場所には、まったくべつの建物が建っている。全体的に、高いビルは少なく、ゆったりした街並みの風景だ。

1964 TOKYO VR参考映像その1

 続いてはゲストとして、第一号特別協賛会員の萩本欽一さんと、渋谷区長の長谷部健氏がステージに登場。それぞれが、プロジェクトについてコメントを語った。
 「新しい、おもしろいことを始めるというので、参加しました。本日紹介を受けたのは、早くお金を払えという催促だと思っています(笑)。いま映像を見ましたが、押入れのアルバムがここまでになるとは思いませんでした」と驚きを語った萩本さん。また長谷部氏は、「かなり作業が進んできたなという印象です。高齢者の方に体験していただくと、ずっと昔話をされたりすることもあって、シニアの活性化にも役立つプロジェクトなのではと思います」とコメントを述べた。

 なおこの発表会に先駆け、2018年8月18日、19日の両日には、渋谷区民向けの体験会を実施。多数の参加者が3DVRを体験し、当時の風景を懐かしがるシニアの方も多く見受けられたそうだ。

ゲストとして登壇した萩本さん(左)と長谷部氏(右)。
先行して行われた、一般体験会の様子。

 ここで実際に、萩本さんと長谷部氏に3DVRを体験プレイしてもらうコーナーに。萩本さん、長谷部氏の順番で、PlayStation VR用のゴーグルを装着し、コントローラで操作しながら渋谷駅周辺を散策。その映像はスクリーンでも流され、齋藤氏と土屋氏が、当時の建物などを解説した。

実際に3DVR映像で当時の渋谷の街並みを体感するゲストのおふたり。

 発表会では最後に、齋藤氏と土屋氏により、今後のプロジェクトの展開の広がりについて説明がなされた。それによると、渋谷に続き、表参道を通って銀座、丸の内に続く道と周辺の街並みを再現する試みも進められているとのこと。これは、東京オリンピックの、聖火が通ったルートだという。現在、約4000棟の3DVRモデルが完成している段階で、白いブロックとなっているのは、とりあえず建物の輪郭のみが作成されていることを表している。今後、資料写真などが集まるにつれ、外観などのディテールが追加されていく予定だ。なお提供された写真素材は、貴重な資料として、ネットでも閲覧できるようにするという。現在の進捗状況は、映像にてチェックしてほしい。

プロジェクトは渋谷再現からさらに広がっている。

1964 TOKYO VR参考映像その2

1964 TOKYO VR参考映像その3

 その後は登壇者全員によるフォトセッションが行われ、発表会はお開きとなり、メディアの体験プレイタイムと移った。締めのあいさつとして、齋藤氏と土屋氏は、プロジェクトへの支援、サポートがほしいことを強くアピール。協賛、また写真データ提供など、興味のある方はぜひ、1964tokyo-vr.orgまでアクセスしてほしい。

プロジェクトの飛躍を祈って笑顔でポーズ。
取材陣も実際に3DVRを体験プレイ。
いろいろな形で、プロジェクトに協力できる。