『アークザラッド』シリーズで好きなキャラクターはロマリア四将軍(とくにアンデル)のギャルソン屋城です(当時、フルボイスでセリフを聞きたかった……!)。こんにちは。
いよいよシリーズ最新作となる、スマートフォン向け完全新作RPG『アークザラッド R』(以下、『アークR』)がリリースされる。事前登録も20万人を突破したとかで、注目度の高さがうかがえる……とそれらしいことを言おうと思ったが、本音はもちろん「これで★4トッシュが確定したから、当面の戦力には苦労しなさそう。よかった!」である。
「トッシュを突っ込ませとけばだいたい大丈夫」はシリーズファンの合言葉。本作で初めて『アーク』シリーズをプレイするという人も覚えておくといいだろう。
そんな安堵感に包まれながら、本記事ではリリース前のテスト版をプレイしてのインプレッションをお届けする。
『アーク』シリーズと言えば、初代プレイステーションを代表するRPG(ほかに『ワイルドアームズ』シリーズや『ポポロクロイス』シリーズなど)である。と言っても、'80年代からのメインストリームだった、広大なマップを探索する時間の長い“冒険型”ではなく、マップ上での行動をある程度省略してストーリー描写とバトルに重点を置いた“劇場型”とも言える、当時としては新しい形式の作品だった。むしろ、現代のスマホRPGでよくある形式の元祖とも言える。
本作でのゲームの流れも、シリーズの伝統を汲んだものになっている。メインストーリーは細かく区切られたクエスト形式で進行していき、ひとつのクエストはシナリオ→バトル(いずれかがないクエストもある)で構成される。そう、スマホRPGにおいては特段変わったものではない。
クエスト1本あたりの長さはバトルにもよるが、長くて5分程度。短いと1分もかからない。メインストーリーは章立てになっていて、章の下に“○幕”、さらに“○話”という単位で区切られている。最小単位が“○話”で、1幕は8話程度、1章は8幕前後という構成になっているので、1章につき60話ほどのシナリオが楽しめるという計算。
肝心のシナリオは、『アークI』、『アークII』も担当していた米坂典彦氏が本作でもメインシナリオディレクションとして携わっており、相変わらずの個性的なキャラクター“しか”いない、「平均って何? それ美味しいの?」的なやさしい世界が展開している。
『アーク』と言えば、いつだって「やれんのか?」「おう、やったるわ」的なやり取りをしつつ、国家単位の強大な敵に数人の戦力で挑む……という、勇敢で壮大な展開がお約束。助けに行ったはずの少女と殺し合いをさせられたり、主人公とヒロインが死んでしまうなどツラい内容も多いのだが、どんな圧力にもひるまず抗い続ける痛快なストーリーへの評価は高い。
今回も、随所でヒロインのミズハが無謀なことを言い出しては周囲を巻き込んで突き進んでいく内容となっており(なお、主人公はハルトという落ち着いた少年だ。念のため)、いつもの『アーク』っぽい流れが感じられた。
なお、ミズハは『アークI』のククルと『アークII』のサニアの過激さを足して、さらにポンコツ属性も備えているようなヒロインである。ワガママだがかわいげのある、ポンコツだがヒロインとしてはハイスペックと言える少女だ。出会ったばかりのはずなのになぜかハルトに対してはっきりとした好意を寄せているのだが、そのあたりの事情も追々明らかになっていくはずで、今後の活躍に期待したい。
本作の舞台は『アークII』の10年後ということで、シリーズキャラクターはいずれも大人になって落ち着いてしまったところがあるのだが、そのぶんミズハを始めとした本作のオリジナルキャラクターが暴れてくれる。とくに、トッシュの親衛隊に所属している“ミカヅチ三姉妹”の次女ホムラ、三女ライカのキャラクターはなかなか強烈。
往年のファンはシリーズキャラクターの活躍を楽しみにしているかもしれないが、じつはオリジナルキャラクターこそ注目すべきだと筆者は確信している。
バトルは、タッチ操作に対応しつつ、シリーズ作品のものにかなり近い形になっている。マス目で区切られたフィールドを、各キャラクターを移動させながら敵と相対し、勝利条件(敵の全滅、特定のエリアへの移動など)を達成するのだ。
見た目以外では、キャラクターごとに自動で発動する“オートスキル”が用意されていること、任意に使用できるスキル(技、魔法)がひとりふたつとなっていることや、アイテム使用がなくなっていることがおもな違いだろうか。
攻撃する(される)方向によってダメージや命中率が大幅に変化する要素は健在で、それがあるためにヘタに敵集団に突っ込んでいくと集中砲火を浴びてやられてしまうことも。反撃で敵を倒してしまったがために、そのスペースに入ってきた敵に攻撃を食らってやられる……というパターンもけっこうあるので、ポジション取りがかなり重要となる。
ただ、ほとんどのバトルでは敵の数が3~4体と少なく、あまり無理をしなければ序盤ではやられてしまうことはない。“敵を引きつけておいて囲んで倒す”戦術を基本に、攻撃役3人、回復役ふたりくらいの編成で行くとどんな相手でもスムーズに戦えるはずだ。
ちなみに、3×3マスぶんもの巨体を誇るボス敵も登場する。一撃がかなりキツいので、ゲージを溜め、強力なスキルを使って集中攻撃を行い、攻撃される前に倒したいところ。
そして、週刊ファミ通本誌ではすでに紹介しているが、やり込み要素が豊富に用意されているのも本作の特徴。
おもなところでは
・キャラクタークエスト
・ハンターズギルド
・闘技場
・古代王の地下遺跡
の4つがある。
キャラクタークエストは、該当キャラクターの入手などが条件となるが、その他の3つはシナリオ進行により開放されていく。また、キャラクタークエストとハンターズギルドで請け負う特殊なクエストにはシナリオが用意されていることもある。
闘技場は非同期型の対人戦が楽しめる施設。1日に挑戦できる回数が決まっている(権利を購入することも可能)ので、いかに流行のパーティーの対策を取るかが勝利への鍵となるだろう。長く遊ぶプレイヤーにとっては、もっともアツい要素となるかもしれない。
そして古代王の地下遺跡。いわゆる“50Fダンジョン”というやつだ。各階が条件戦なので、深層まで攻略するにはさまざまなキャラクターが必要となりそう。腕前に自信がない人は、配信後しばらく経って攻略法が確立されるのを待つのもありだ。
ビジュアルのタッチがだいぶ変わったことなどで、やたらとネガティブな意見を喧伝する向きもあるが、実際にプレイしていてそれほど違和感はない。それはそうだ。“10年後の新作ストーリー”なのだから。むしろうまくリセットされていると感じた。
もっとも、サニアだけは性格そのものがかなりオトナになっていて、「これがあのサニア!?」と驚くことになったが……。
全体的なイメージとしては、進行形式やストーリーの“ノリ”的なものでシリーズの伝統を踏襲しつつ、舞台を大きく変化させることでビジュアル面やシステムも無理なく新しいものに切り替えられている、といった感じ。
また、音楽面もシリーズ作品に近いノリで作られていて、シリーズ経験者は懐かしく感じるだろうし、未経験者も「こういうBGMもおもしろいな」と感じてくれると思う。
テスト版ということで序盤(1章2幕8話まで)のみのプレイとなったが、なかなかに可能性を感じる内容であった。いちファンとして、リリースが待ち遠しい。