企業の社内部活動にゲームはアリかナシか? 株式会社リクルートライフスタイルの“モンハン部”を直撃!

社員どうしが交流を図れる社内部活動。さまざまな部が存在するが、株式会社リクルートライフスタイルの“モンハン部”はひと味もふた味も違った……。『モンスターハンター』愛溢れる部員に部活動の意義を訊いた!

 仕事の枠を越えて社員どうしが交流を図れる社内部活動は各企業で盛んに行なわれているが、“ホットペッパー”や“じゃらん”など、多岐に渡るネットサービスでおなじみの株式会社リクルートライフスタイルには、『モンスターハンター』だけを純粋に楽しむという社内部活動が存在する。しかも、部員には『モンスターハンター:ワールド』のハンターランクが436、『モンスターハンターポータブル 2nd G』を2500時間以上遊んだ代表取締役社長がいるという。その名も、“一狩り行こうぜ!モンハン部”が、福利厚生の一環である部活動として成立する理由は? いち部員である代表取締役社長、『モンスターハンター4G』でハンターランクが800にまで到達した部長のおふたりに、部活動の意義を訊く。

こちらが取材時に参加していた“一狩り行こうぜ!モンハン部”部員の皆さん。『モンスターハンター:ワールド』でのハンターネームとハンターランクを教えていただきました。『モンスターハンターポータブル 2nd』からプレイしている方など、筋金入りのハンターばかり。“モンハン部”入部を機にのめり込んだ方もいらっしゃるそうです。

プロフィール

淺野健氏(あさのけん)

株式会社リクルートライフスタイル 代表取締役社長

楊 濤氏(ようとう)

株式会社リクルートライフスタイル ネットビジネス本部 テクノロジープラットフォームユニット データエンジニアリング2グループ 価値開発チーム

いち社員も役職者に自由に発言できるボトムアップの場所が部活動

――まずは、おふたりの『モンスターハンター:ワールド』(以下、『MH:W』)でのハンターランクをお聞かせください。
淺野 『MH:W』のハンターランクは436です。『モンスターハンターダブルクロス』(2017年発売)は999まで行ったんですけれど。

 私は、発売されたころに子どもが生まれたこともあって、あまり遊べていなくて、まだ71なんですよね。『モンスターハンター4G』(2014年発売)は800くらいになるまで遊びました。
――十分、スゴイですよ。淺野さんのシリーズプレイ歴は?
淺野 シリーズを遊び始めたのは、『モンスターハンターポータブル 2nd G』(2008年発売)からですね。ゲーム自体、子どものころはあまり裕福ではなくて、ファミコンを買ってもらえなかったんです。友だちの家で『ファミスタ』や『ファミリーテニス』を遊ばせてもらうくらいでした。ゲームで遊び始めたのは社会人になってからで、『マリオカート64』(1996年発売)を先輩の家で遊んだのをきっかけにハマりました。以前、私は“フロムエー・ナビ”というアルバイト探しのサイトに携わっていたのですが、そこの部員たちと毎週、大会を開いていました。本格的には『マリオカートDS』(2005年発売)からで、それからは『マリオカート8 デラックス』まで、ずっと遊んでいます。
――そこから『モンスターハンター』に入ったんですね。
淺野 『マリオカート』をいっしょに遊んでいた同僚から「おもしろいから」と勧められて、遊んでみたらものすごくおもしろくて。『2nd G』は2500時間以上プレイしました(笑)。それからは、全部のシリーズで勲章のコンプリート、ハンターランクのカンストを目指してプレイし続けました。『MH:W』はなかなかランクが上がらないので時間がかかっていますが、トロコン(トロフィーのコンプリート)はしていますよ。
――そこまでハマる理由は何でしょうか。
淺野 協力プレイのおもしろさですね。私はずっと女性ハンターでプレイしているのですが、装備や武器がかっこいいじゃないですか。いろいろな武具を見たくて、武具の収集にもハマっています。『MH:W』も現時点では、マム・タロトのレア8武器をあとひとつ残すのみで。

 中国にいるときは『モンスターハンターポータブル 3rd』(2010年発売)をひとりで遊んでいて、強いモンスターにソロで挑むのが楽しかったんです。でも、部活動で部員のみんなと遊ぶようになって、協力プレイの魅力を体感しました。それぞれ性格も違って、プレイに個性もあるのに、ひとつの目標に向かって突き進むのは本当に楽しいんですよ。

――その部活動ですが、御社における社内部活動の意義をお聞かせください。
淺野 部活動で、さらに風通しのいい会社にしようという狙いがあります。仕事上の役職と部活動の役職はまったく別で、会社の役員でも、部活動ではいち部員になるというルールも設定しています。社長の私を含めて、部活動では、仕事上の役職は何の影響力も持ちません(笑)。上司が買い出しに行ったり、私がネットワークをチェックするように、活動に合う役割をそれぞれが果たせばいいですし、いち社員も役職者に自由な発言ができる、ボトムアップの場所を作りたかったんです。部活動の内容は自由で、いまは233もあって、ふたつまでなら兼務できるようにしています。私もラジコン部と兼務していますから。
――部活動に会社的な成果は必要ないのですか?
淺野 あくまでコミュニケーションの強化なので、そこに成果を求めることはありません。福利厚生の一環として、多くはありませんが部費も出ます。ともにゲームをプレイして会話すれば、組織上の縦横に関係なく、部員が何を考えているのかが理解できることもありますから。仕事ではありえないような口調でお互いが話せるのも、ゲームならではでしょう。
――その中で“一狩り行こうぜ!モンハン部”が生まれたということで、どのような経緯で立ち上がったのでしょうか?
淺野 モンハン部は、私が自己紹介で『モンスターハンター』が大好きなことを必ず言っていたので、2013年に初代部長が立ち上げてくれました。

 私はもともとゲームが大好きで、入社の際に自己紹介で『モンスターハンター』をプレイしていることを話したら、淺野がすぐに私の『4G』の装備をチェックして、そのまま入部が決まりました(笑)。それから1年くらい経って初代の部長が異動になり、私が部長を引き継いだんです。正式な部員は14人ですが、退職者や異動になった部員もプレイには参加してくれるので、総数は20人以上になります。

淺野 初代部長は別のグループ会社に移ったのですが、そこでも別のモンハン部を作っています。そちらの部長のハンターランクは600を超えているので、リスペクトしていますよ(笑)。

――猛者揃いですね(笑)。あの……皆さん、お忙しいですよね?
淺野 確かに忙しいんですけどね。何を削っているんだろう。仕事?

 そんなことはありません(笑)。

淺野 仕事も遊びも一生懸命ということですね。――モンハン部の活動内容は?
 月に1、2回、淺野の部屋に集まって、みんなで飲み食いしながら遊んでいます。いままではニンテンドー3DSやNintendo Switchを持ち寄っていたのですが、『MH:W』になってからは個人のプレイステーション4を持ってきたり、PCでリモートプレイしたりと、自由なスタイルで参加しています。

淺野 自宅からネットワークで参加している部員もいますね。部員には既婚の女性社員も多いので、ふだん会社では聞けないような興味深い話も聞けておもしろいですよ。

――淺野さんはいち部員として、どのようなハンター活動をされているのですか?
淺野 個人でできるだけランクを上げて、メンバーが困っていたらいつでも登場できるようにしています。

 社長が入ると、任務クエストが早く達成できるんですよ(笑)。

淺野 そのために、めちゃくちゃ勉強していますから。ソロでプレイして練習を重ねて、オンラインに挑戦しているので。
――大会に出ようと思われたことは?
淺野 とんでもない! そこまでの能力はありません。素人エンジョイ勢のひとりです。“狩王決定戦”などの大会は観に行きますが……。

 でも、『MH:W』のネルギガンテを1分30秒くらいで討伐していますよね。

淺野 ものすごく何度も練習した結果です(笑)。
――楊さんは、淺野さんが『モンスターハンター』で見せるストイックさを、仕事で感じることはありますか?
 ふだんは、仕事で直接的に関わることは少ないんです。でも、社としての方針を話すときやプレゼンなどを見ていると、プレイとつながっていると思うこともあります。モンスターを倒したいなら、行動予測や攻撃タイミングなど、きちんと研究して理解しないといけませんよね。それに、仲間やフィールドがどのような状況になっているのか、全体を把握する必要があります。その姿勢は、仕事の姿勢と重なっているような印象を受けます。

淺野 ものすごく忖度しているよね(笑)。
――リスクマネジメント能力が高いということかもしれません(笑)。
淺野 そもそも、弊社にはおせっかいが多いんですよ。誰かが困っていたりすると、口を出さずにはいられない。『モンスターハンター』も、「この防具が欲しい」とか「ハンターランクを上げたい」とか言っている人間がいたら、手伝いたくなるじゃないですか。だからこそ、モンハン部が成り立つのかもしれませんし、何より協力プレイが楽しくなると思います。

『モンスターハンター』の話をしているときは、とにかく目がキラキラするおふたり。ちなみに淺野氏が着ているTシャツは、ご自身が“狩王決定戦”で購入されたもの。

――部員の皆さんはもちろん、淺野さんの『モンハン』愛がすごい。
淺野 とにかく全部が好きなんです。オーケストラコンサートにも行っていますし、去年のコンサートで曲を聴いたら「あのクエストは苦労したな」とか、いろいろ思い出して泣いちゃって。辻本良三さん、徳田優也さん、藤岡要さん……もう、皆さんは神ですね(笑)。この前の大会(※2018年7月15日に千葉・幕張メッセで開催された“狩王決定戦 2018 決勝大会”)の準決勝で徳田さんのうれしそうなお顔を見ていたら、私もグッと来てしまいました。
――感情移入する場所がおかしいですよ(笑)。
淺野 真面目な話、弊社でもさまざまなネットサービスを提供していてエンジニアもたくさんいるのですが、『MH:W』を見ていて、プロダクトのクオリティーの高さには驚かされっぱなしです。『ファイナルファンタジーXIV』のベヒーモスが『MH:W』に登場していますが、別のゲームの、しかも汎用性のない素材を、オリジナルを損なうことなく専用のデータで実装するというのは、かなり難しいことだと思います。会社としても、そういった発想や実現できる技術など、取り入れるべき部分は見ていきたいですね。『MH:W』になったときも、いままでのプレイの蓄積はリセットされたと最初は思ったのですが、プレイしているうちに、いままでの経験と、『MH:W』での新しい経験のバランスが絶妙で、開発思想というか、ゲームの作りかたがほかのゲームとは違うと感じました。もう『モンスターハンター』ばかりで、あまりほかのゲームも遊ばなくなっちゃって。

 『ドラゴンクエストXI』はレベルもゴールドもカンスト していたじゃないですか。

淺野 そうね(笑)。やっぱり、とことん突き詰めちゃうんですよ。
――その熱は部員の皆さんにも伝わっていると思います。結果、いいコミュニケーションを生むという部活動の目標につながっている。
淺野 おもしろいゲームをみんなで楽しむという体験は、何物にも代えがたいものだと思います。仕事って、なかなかすぐに結果が出るものではなく、努力が報われないことだってあるかもしれない。でも、『モンスターハンター』はプレイを重ねるだけ、何かしらの成果を得られるじゃないですか。その達成感はゲームならではですし、喜びを分かち合うことで何かが生まれれば、それでいいと思います。部下がモンスターを討伐してくれたら、上司も「部下のためにがんばろう!」と思うじゃないですか(笑)。

 私はエンジニアとしてネットビジネスに携わっているのですが、営業の人と話すことが少ないんです。でも、部員には営業の人もいるので、ふだんは聞けないような話ができて、「こういう考えもあるのか」と気づかされることもあります。それだけでもモンハン部に入ってよかったと思いますね。
――ゲームが生むコミュニケーションはいろいろありますが、こういった形で企業内でも活かされるというのは、開発した側もうれしいと思いますよ。
淺野 いや、こんなおもしろいゲームを作っていただいて、本当にうれしいのはこちらです。できることなら、弊社の“にゃらん”(“じゃらん”のマスコットキャラクター)や“ぺパ郎”(“ホットペッパーグルメ”のマスコットキャラクター)とコラボしたいくらいで。セブン-イレブンさんとコラボされているのを見たら、うらやましくて。
――話が大きくなってきそうなので、そろそろ終わります(笑)。ありがとうございました!

部活動真っ最中の“モンハン部”におじゃましてパチリ。社長に部長も参加してワイワイ、ときにはストイックに狩る姿に、ここが社長室ということを忘れてしまいそうでした。

 リクルートライフスタイルは、日々の生活を豊かにすることを目標に、さまざまなサービスを提供しています。“じゃらん”“ホットペッパーグルメ”“ホットペッパービューティー”といったオンラインサービスの開発・運営から、ビジネス支援に調査研究まで手掛けているので、「こんなに『モンスターハンター』を好きな人が代表取締役社長を務めている会社って?」と気になった方は、ぜひ公式サイトをチェックしてみてください。