ゲームオンのPC用オンラインRPG『TERA』では、“TERA史上世界初プロジェクト”と称したティザーサイトが公開されている。
2018年7月18日に公開された時点では、表示された日付が巻き戻されるような演出がなされ、“2013.05.15”でカウンターがストップしていた。
この企画について、日本運営プロデューサーを務める廣田瞬一氏に話を伺った。
廣田瞬一(ひろたしゅんいち)
『TERA』日本運営プロデューサー。文中では廣田。
廣田(2018年の)8月に『TERA』が7周年を迎えるにあたり、2013年5月15日時点の環境を再現した特別なサーバーをオープンさせます。それがクラシックサーバーです。
コンテンツを制限するわけではなくて、当時のクライアントデータを用いて、根っこの部分から当時の環境と同じ。2013年2月にアイテム課金制になった直後のバージョンということになります。
レベルキャップは60で、キャラを作れるのはデフォルトで4人まで。当時のゲームバランスで、当時のコンテンツを遊べるのがウリです。
ゲームクライアントも専用のものを落としていただいて。30GB近くあるんですけど。
――なるほど。待ち時間の再現も完璧ですね。当時はなかなかダウンロードが終わらなくて焦らされました。うち、回線が細かったので。
廣田あ、そこは狙ってるわけじゃないんですけど。そこでストレスに感じるのは申し訳ないので、1週間の準備期間を設けています。クライアントのダウンロードは8月1日から始まって、8月8日からクラシックサーバーで遊べるようになります。重要な不具合は直しているんでけど、軽い不具合や仕様は当時のまま。
――当時を知っている人は懐かしく感じるでしょうね。いまとはかなり違うから、最近のプレイヤーはびっくりしそう。
廣田ですね。かなり歯ごたえがあると思います。
――クラシックサーバーはどういうふうにアップデートしていくんですか?
廣田クラシックサーバーは期間限定ではなく、全員ゼロからスタートする新サーバーです。『TERA』としては5年ぶりの新サーバー。昔の環境が期間限定なだけで、それが終わったら5年分のアップデートをかけます。
――5年分どーん! ですか。僕たちの5年間が一瞬で。
廣田一気にいきます。現行のエリーヌサーバーと同じ状態にして、その後は2サーバー体勢に。これが9月27日の予定です。
すでに遊んでいる人は(クラシックサーバーでも遊ぶと)クライアントがふたつある状態になりますけど、パッチを当てると同じものになる予定です。片方はアンインストールして大丈夫ですし、クラシックサーバーから始めた人はそのクライアントで遊び続けられます。
――9月末まではアップデートしないんですか?
廣田ええ、しません。『TERA』は仕様が頻繁に変わるタイトルです。最初は少しアップデートする案もあったのですが、環境が変わると落ち着いて遊べないだろうなと。現行のバージョンに引き上げときに、また混乱させてしまうことにもなりますし。
それに、昔のバランスだとレベリングもアイテム収集もじっくりやることが前提です。2ヵ月くらいあったほうがいいだろうと思いまして。
――昔の『TERA』といまの『TERA』の2段階なんですね。
廣田そうですね。フィールドモンスターもパーティーじゃないと簡単には狩れないとか。パーティーで遊ぶMMORPGらしさを味わえるのがひとつ。
それに、昔を懐かしむ声もあるんですよ。「前にあったダンジョンを遊びたい」とか。その辺をケアする意味もありますね。
――MMORPGとしての原点回帰でもあるんですね。オンラインゲーム全体の傾向でもありますが、最近はMOアクションみたいな作りになっていますし。
廣田わりとそうですね。成長区間はひとりで突破できたり、インスタンスダンジョンでレベリングするのが効率的だったり。
新サーバーなので、先行してプレイしている人がいません。しばらく離れていた方も、新しくプレイされる方も、ここで新しく始めていただくのもいいんじゃないかなと。
クラシックサーバーと現行のエリーヌサーバーとの違いはこちらです。
廣田選べる使えるクラスは初期の8タイプ。ソウルリーパーなどは通常サーバー化してから使えるかたちになります。アルン北大陸は65キャップ開放のときに増えた場所なので、そこ以外。当時の大規模コンテンツというと“政治システム”がありましたね。
――僕いま懐かしさで静かに興奮しています。
廣田領主を選んで税率を決めたりとか。選挙の周期はクラシック用に調整したりしますけど。
いまのエリーヌサーバーにはなくて、大規模コンテンツは少し前まであった“連盟”とかいまの“ギルド対戦”に置き換わってますね。クラシックでは政治システムで。
装備の強化は『TERA』にとってある種のメイン。2017年の“再誕”というアップデートで、強化のシステムが大きく変わりました。(クラシックサーバーでは)まず名品化をして、強化して、オプションを厳選して、あの仕組みが戻ってきます。
で、ですね。いちばんはチュートリアル。『TERA』のチュートリアルと言えば“黎明の島”です。
――うれしい! 『TERA』と言えば黎明の島。思い出深い。
廣田個人的にも、やっぱり黎明の島のイメージが強いですね。いまでもあることはありますけど、カンスト帯のモンスターが闊歩する荒れたフィールドになっているので。
当時のグラフィックやきれいな雰囲気を体験してほしいです。これのためだけにクラシックサーバーで遊ぶ人もいるんじゃないかと。
――誰もがイメージするきれいなファンタジー世界って感じですよね。
廣田プレイヤーが一兵士として調査に参加するみたいな流れもいいですよね。
――進めていくと見た目がエグいモンスターが出てきて、そこに異変が起きたんだな感がすごかった。
廣田(いまのチュートリアルマップの)“ティラニア”はすっきりしていて、わかりやすくなってます。黎明の島は広くて冒険が始まるんだなと感じますよね。人によっては移動がたいへんかもしれないですけど。
――MMORPGっぽさが強い感じがします。
廣田ダンジョンに目を向けると……当時の最上級は“シャンドラ・マナイア(上級)”。ここでストーリーもひと区切りが付きます。
――懐かしいですね。アルゴンの女王。
廣田けっこうな難度でしたから。あと2013年4月に実装された“ケルサイクの聖域”というレイドコンテンツ。いまはこれ遊べないので。
――あれ、そうでしたっけ?
廣田レイドはできないですね。通常版のほうはストーリーでありますけど。マップやダンジョンはいちばん違いが感じられる部分だと思います。現行サーバーでは閉じていて、クラシックサーバーでしか行けないダンジョンもあります。下級ダンジョンが残っている場合もありますけど。
――当時のバランスだと、カンストのレベル60までそこそこかかりますよね。
廣田一応、経験値やアイテムを獲得しやすくするキャンペーンは走らせます。じゃないと期間内にエンドコンテンツに触れないですから。
――ゆっくりやったら2ヵ月はあっという間だと思います。
廣田シャンドラ・マナイア(上級)は昔の難度でやりたいという声はいまでも届きます。ここを目指してやってほしい。
当時のままと言うと、“暗黒の領域”も、そこから行けるダンジョンの“暗黒次元の亜空間”もあります。人が集まり過ぎて重いみたいなこともありましたけど。
クラシックサーバーで再体験できる内容もまとめてみました。
廣田装備に関する変更は多いですね。装備の外見抽出はいわゆるデザイン変更。部位ごとに装備のデザインを変えられます。
最強の装備は熔嘩凱帝シリーズ。シャンドラ・マナイアで素材を集めていただくと。
――あああああ。シャンドラ周回。結局、当時の僕は揃えられませんでした。
廣田素材の要求数も多くて、ダンジョンの入場回数に制限があったり。そのままやるとたいへんだと思うので、多少はドロップ率を上げたりとかしたいですね。
装備関係はいまと比べるとシンプルですね。UI(ユーザーインターフェース)もだいぶ便利になったと感じるはずです。前は強化用素材の必要数もセットする場所もわかりにくかったりしましたけど、いまはすぐにわかるようになっています。
もともとゲーム内の案内が少ないので、少しずつ改善してきたつもりですけど、(クラシックサーバーのテストプレイで)たいへんだったんだなと実感しました。
――えーっと、ほかには……。あ、消えたNPCが復活するんですね。
廣田狩場移動管理人のエリーンは声がかわいいと評判。廃止になったときは惜しむ声がありました。
プレイに関わってくるのはクエスト関連ですかね。クエストで経験値を稼いでいた時期です。いまはミッションクエストをやっているだけで(経験値的には)足りるんですけど、狩り場でクエストを受けるのも、それはそれで楽しかったなと。
――クラシックサーバーの導入に何を期待していますか?
廣田既存のプレイヤーに楽しんでほしい気持ちはありますけど、やっぱり当時プレイされていた方、引退した方に戻ってきてほしい気持ちはあります。
もちろん、新サーバーですので、これを機に始めたい方も大歓迎。あとはアップデートで便利になった点も実感してほしいです。
――両方プレイすると、進化や変化を比較できますね。
廣田並行して走っているので、別ゲームとして楽しむのもいいと思います。クラシックサーバーが気に行ったらそのまま移住していただいても。
――これまであったルーキーサーバーとは違うわけじゃないですか。またルーキーサーバーをやる選択肢もあったと思うんですが、どうしてクラシックサーバーにしたんですか?
廣田(キャラの成長スピードが速い)ルーキーサーバーは、新クラスの実装みたいな大型アップデートのタイミングで実施した方が効果があると思うんです。
――たしかに。すぐに新コンテンツを遊べますもんね。
廣田今回は周年。『TERA』も7周年。長寿タイトルになってきました。半年に1回くらい大規模なアップデートもやっていますが、周年のタイミングはアップデートは控えめにして、イベントやキャンペーンを厚めにするようにしています。
周年で遊んでいただく施策としては、過去を振り返るクラシックサーバー。アップデートとは関係なく遊んでいただくサーバーとして、ルーキーサーバーとしては別の立ち位置で、やってみたいなと。
もっと言うと、クラシックサーバー施策は日本が初めてなんですよ。ほかの国の『TERA』では一切やってない。ですので、準備も探り探りというか。
――7周年企画はクラシックサーバーを皮切りに動き出すのでしょうか?
廣田現行のエリーヌサーバーでは、もともと遊んでいただいている方のために、イベントやキャンペーンもやっていきます。小規模ですけどアップデートも用意したり。
――日本の『TERA』運営会社として、今年はどういう展開を予定していますか?
廣田2サーバー体制を心配する声もあると思うんですよ。自分が遊んでいるサーバーから人が減ったらどうしよう、とか。人が少ないとMMORPGとして快適に遊べないので、根本的に人が増えるような施策をやっていきたいです。
いま楽しんでいただいている方に向けては継続的なアップデートを続けて満足度を上げるのがいちばん大切だと思っています。今年はアップデートのアナウンスをなるべく早めにして、プレイヤーの皆さんと双方向にコミュニケーションを取れるようにしていきたい。その一環としてオフラインイベントの準備を進めています。
――開催時期は決まっていますか?
廣田9月くらいにはやりたいと考えていて、場所は都内の予定です。近日中に7周年企画の特設サイトを公開しますので、詳細はそこで発表できると思います。
――なるほど。続いて、もう少し大きな話を。『TERA』は今後どうなっていきますか?
廣田そうですねえ。去年の再誕アップデートから、アップデートの傾向が変わって、どんどん上に積み重ねるゲームになっています。いままでは半年に1回ペースでリセットされるというか、ダンジョンが入れ替わったりして、しばらく離れていても戻りやすかったんですよ。
いまは久しぶりに戻りたい方や新しく始めた方が追いつきにくい状況も多少はあると思います。運営としてはそういうところをケアするのが課題です。
アップデートでランキング性のコンテンツが実装されたり、おもにコアな人に遊んでいただけるものが増えています。横方面への広がりも持たせる運営ができたらなと思っています。
――『TERA』の魅力のひとつである“戻りやすさ”を運営側の施策でフォローしていく感じですね。
廣田そうですね。加えて、月イチペースのアップデートは維持していきたいと思っています。
クラシックサーバーの導入もそうですけど、開発側は日本に協力的なんですよ。前よりも間違いなく日本のプレイヤーの声を届けやすくなっています。協力体制を強くしていきたいですね。新しい着想のコンテンツも作られていますし、開発元のパワーは感じますね。いちユーザーとしても。
クラシックサーバーや7周年にかける想いはひとまずここまで。後半はおまけみたいなもので、思い出話と雑談が中心だ。懐かしさを感じたい人はどうぞ。