スマートフォンで悪魔の育成などが楽しめるアプリ『D×2 真・女神転生 リべレーション』(以下、『D2』)が、この度、大規模なアップデートを果たした。
しかも、配信開始からちょうど半年が過ぎたことを祝うキャンペーンが開催されていて、ログインボーナスとして☆5レアリティの悪魔“鬼神トール”が配布されている。
これを聞いたあなたはこう思うかもしれない。「あー、はいはい。スマホゲームの“今なら○○もらえる!”ってやつね。よくあるよくある」と。
よくない。
全然違う。
ご存知だろうか。このゲームにおける☆5の価値がどれだけ大きいか、我々ユーザーが☆5を手に入れるためにどれだけの思いを積み重ねているか! 例えるなら、☆5悪魔を全員に配布するなんて、新車が無料で配られているようなものなのだ。
いや、価値を車に例えても若者には伝わらないかもしれない。なんだろう。若い子って何が欲しいの?
iTunesカード?
間違っていない気はするが、あまりに即物的すぎる。「スマホゲームのキャンペーンがどれだけ豪華か説明しますね! ズバリ、iTunesカードを貰えるようなものなんです!!」。いや、そりゃそうだろと思う。やっぱり“トール=新車”という認識でお願いしたい。
さて、じゃあどうして☆5の価値が高いのかといえば、本作『D2』には「ガチャを回さなくても☆5悪魔を“悪魔合体”で造り出せる!」というシステムがあるのだが、そのために必要なマグネタイトの量が尋常じゃないからだ。
どれくらい大量かというと、だいたい300万MAG。一回の戦闘で入手できるのは30MAGほど。このわずかな賃金をこつこつ貯めたとして、☆5悪魔の合体に必要な量を貯蓄するのに、数年かかる……。
もちろん、マグネタイトを賢く集める方法は用意されているから、本当に数年かかるわけじゃない。“アウラゲート”という3Dダンジョン風のエリアでは通常より多くのお給料が貰えるし、便利なオートモードを併用すれば不労所得でウハウハである。
ほかにも、15万MAGがもらえるゲーム内イベントがボーナス的に定期開催されたり、ごくまれに「20万MAG配布!」なんて特別賞与が降ってくることもある。
ここまでくると、もはや人生に近い。マニ車の代わりにPDCAを回し、家計簿に魔方陣を描くような、そんな勤勉で誠実な人間にしか勝利の女神……いや、悪魔は微笑まないのだ。どうだろう、サラリーマンが車を買うまでの物語を見ているようじゃないか。
“めちゃめちゃ時間をかければ合体で自力で☆5を生み出せる”。この事実が、逆説的に『D2』というゲームにおける☆5の価値を高めている。ガチャからしか出ないならまだ諦めがつくが、「努力次第でなんとかなりますよ」と煽られたら手に入れずにはいられない。
そんな☆5がプレゼントされる。これはもうたいへんなことだ。今なら一家に一トール。なんとも景気のいい話である。ハンマー持ってるし、DIYとか手伝ってもらおう。
「キャッキャッ」
「夢が叶ってよかったわね!」
ところで、私もまた勤勉で誠実な男であり、リリース当初から半年かけて、先日ついに☆5悪魔を造りだす禁忌の偉業に成功した。
よくアニメやゲームで、邪神を復活させようと企む悪の神官的なやつが登場し、長年の野望をあとちょっとの所で阻止されているが、『D2』を半年遊んできた私には彼ら悪者の気持ちが痛いほど理解できる。主人公、許せねえ。人の努力を邪魔する奴はカスだ。
「戦争を引き起こして大量の魂を手に入れてやる! うははははは!」
こういう、派手な作戦に乗り出しちゃう気持ちもめちゃめちゃわかる。時短したいのだ。私も、リアルマネーで買える15万マグネタイトに何度か手を出している。妻にばれたら戦争だろう。
ちなみに、私が悪魔合体で造り上げたのは……
'“魔王 マーラ”''である。アーキタイプは“異能”。“物理貫通”のスキルを所持していて、無効・反射・吸収を無視して“地獄突き”を叩き込める。本当に大好きな悪魔で、無事に顕現させられたときは思わず声を上げるくらい感動した。いろいろ語りたいことはあるのだが、そこはなんというか、察してほしい。
最後に、いまだからこそ白状するが、じつは本作『D2』については、リリースされた当初はかなり怪訝な目を向けてしまっていた。私は自他ともに認める『真・女神転生』シリーズのめんどくさいファンで、そのぶん評価の基準も厳しくなってしまっていたように思う。
だが、いまの『D2』は、ユーザーの要望を叶えるようなアップデートを幾度も重ねて、内容的にも脂がのった感じがある。悪魔合体の条件はずいぶんと緩和されたし、☆5悪魔が必ず手に入るキャンペーンも今回が初めてのことではない。ユーザー同士で交流できるチャットは、メガテニストの社交場みたいになっている。マンセマットが実装されたときは、彼の名言集botみたいになってて笑った。
もともと、戦闘システムは『真・女神転生III -NOCTURNE-』で発明された“プレスターンバトル”を踏襲していて非常に面白かったし、ハイクオリティで立体化された悪魔たちも心をくすぐる。ユーザーインターフェースや音楽もいい感じだ。スマートフォンというデバイスも相まって、「日常を悪魔とともに過ごしている」感覚は本作でしか味わえない。
悪魔がお好きなら、この機会にいちどプレイしてみてはいかがだろう? くどいけど、車がタダで配られているようなものなので。