2018年7月で6周年を迎えた、セガゲームスのRPG『ファンタシースターオンライン2』(以下『PSO2』)。6周年を記念して、シリーズプロデューサーの酒井智史氏と、エピソード5ディレクターの濱崎大輝氏に、この1年の総括、や6周年記念アップデートの見どころ、そして今後の展開や運営方針など、さまざまな話をうかがった。
酒井智史(さかい さとし)
『ファンタシースターオンライン2』シリーズプロデューサー
濱﨑 大輝(はまざき だいき)
『ファンタシースターオンライン2』EPISODE 5 ディレクター
※“崎”の字は本来は“たつざき”です
『PSO2』開発陣にとってのこの1年とは?
――2018年7月で『PSO2』が6周年を迎えました。サービスインからの総括は5周年のときにうかがいましたので、この1年、エピソード5のスタートから現在までの印象を聞かせてください。
濱崎エピソード5の開始当初は、『PSO2』を離れていた多くのユーザーさんに戻ってきていただけました。ですが、クラス間のバランスやダークブラストへの不満、あとは多くの不具合が出てしまったこともあり、多数の方が離脱されてしまいました。これらが、エピソード5で大きく反省すべき点だと考えています。現在も引き続き対応中なのですが、クラスバランスについては、通常クラスのレベル85解放のタイミングで、好意的なご意見をいただけるまで持ち直した部分もありますし、ダークブラストについても、プレイヤーの姿でダークブラストのアクションを楽しめる“オーラ表示”を実装したことで、好評なご意見をいただけるようになりました。当初あった反省点を踏まえつつ改善を行ってきて、そういった結果が出たことによって、ホッとしているというのが現在の正直な感想ですね。そのほか、★14が入手できないといった不満も“幻惑の森探索”配信以降は改善されて、徐々に減ってきています。離脱される方が多かったという状況も落ち着き、継続率が安定してきました。多くの反省点がありましたが、それらを徐々に改善してきた成果が結果として出てきているというのは、よかった点ではあるかなと思っています。
――酒井さんは、『PSO2』のこの1年について、どうお考えですか?
酒井基本的には、非常にきびしい1年だったと感じています。エピソード5でいろいろな問題が出てしまい、かなり多くの方が離脱されたというのは大きな反省点です。また、その対策を行ったことで、配信自体が少し薄くなることがありました。そういったことも含めて、負のスパイラルに陥った部分があったのかなと思います。そうやって、いろいろとやってきた1年ではありましたが、この数ヵ月はありがたいことに回復の傾向にはあります。ただ、最近、非常に恥ずかしい不具合が出たりしているので、まだまだ「完全に解決しました」と言うには遠い状況です。これからも、いろいろと立て直しを計っていかないといけません。とは言え、反省を生かして、ようやく7周年に向けて新たな展開を進めていける状況にはなりつつあると思っています。
――この1年と言えば、2018年4月から『PSO2 クラウド』のサービスがスタートしましたが、状況はどうですか?
酒井『PSO2 クラウド』は、新しいチャレンジとしてサービスを開始したのですが、“SEGA IDの壁”や通信環境の問題などで、思っていたほど多くのユーザーさんにプレイしていただけていない状況が続いています。現状では、あまりうまくいっていないという印象です。
――“SEGA IDの壁”というのは?
酒井SEGA IDのを新規登録する手続きが手間という問題です。メールアドレスを入力して、来たメールを確認するという手続きをしなくてはいけない。そこで登録をせずに止めてしまう方の数がものすごく多いというデータが出ているんです。
――ダウンロード数に比較すると、ID登録して始める人数が少ないと。
酒井ダウンロードして、ゲームを起動するところでも少し数は減りますが、やはり登録のところで止めている方が圧倒的に多いですね。
――ID登録の必要があるということは、新規のユーザーですよね。
酒井そうですね。すでに他機種でもプレイしている方にとっては、快適というか、いい環境だと思うのですが、新しいユーザーさんがそこに至るまでに、何個かハードルがあるゲームになってしまった。そのあたりは、SEGA IDを登録せずにプレイできるようにするなど、今後改善していかなければと思っています。また、環境的な問題として、クラウド版では秒間30フレームしか出ない、ということもマイナス点としてあったのですが、これも秒間60フレームに対応できそうなので、今後対応していく予定です。