2018年5月30日にNintendo Switchで配信され、6月27日にiOS/Androidで配信された『ポケモンクエスト』。本作を生み出したゲームフリークの開発陣へインタビューを行った。なぜ、四角いポケモンは生まれたのか。ユニークで新たなチャレンジをする若手陣と、それを見守るベテランクリエイターの秘話は必読!

 2018年5月30日にNintendo Switchで配信され、6月27日にiOS/Androidで配信された『ポケモンクエスト』。本作を生み出したゲームフリークの開発陣へインタビューを行った。なぜ、四角いポケモンは生まれたのか。ユニークで新たなチャレンジをする若手陣と、それを見守るベテランクリエイターの秘話は必読!

渡辺哲也(わたなべてつや)

ゲームフリーク/『ポケモンクエスト』プロデューサー&ディレクター

松崎翼(まつざきつばさ)

ゲームフリーク/『ポケモンクエスト』アートディレクター

斉田和生(さいたかずき)

ゲームフリーク/『ポケモンクエスト』プログラマー

四角いビジュアルになったワケ

――『ポケモンクエスト』は、ゲームフリークにとっては初の『ポケモン』派生タイトルということですが、開発にいたるまでの経緯を教えてください。

渡辺 派生タイトルを作りたいという話は以前からあったのですが、『ポケットモンスター』シリーズのような規模感のタイトルを開発しつつ、派生作品を手掛けるのは、なかなか難しくて。けれどもここ数年で複数のラインで同時に開発を進められる体制が整ってきたので、そろそろ取り組んでみようかと考えていた矢先、アートディレクターの松崎から本作の企画が上がってきて。関係者へのプレゼンも好反応だったので、それじゃあこの企画でやってみよう、ということになりました。

――四角いビジュアルが目を惹く本作ですが、企画のコンセプトは、どのようなものなのでしょうか。

松崎 大型プロジェクトとしてではなく、少人数のチームで『ポケモン』のゲームを作ってみたい……というのが、そもそもの開発コンセプトでした。ひと目見ただけで、『ポケットモンスター』シリーズとの違いがわかるデザインを考えた結果、こちらの四角いビジュアルに行きつきました。

――具体的に何名ほどのメンバーで開発されたのでしょうか。

松崎 グラフィックに関しては、ほぼ僕ひとりで担当しました。開発メンバーは10人弱といったところです。
斉田 職種を問わず、みんなで意見を出しながら作り上げていけたのは貴重な体験でした。

――かつて、渡辺さんの世代が確立された、最初期のゲームフリークの“ものづくり”を、松崎さんや斉田さんたちの世代が再現した……というわけですね。

渡辺 僕からすると、「なんでいまさら、20年以上も昔のスタイルを踏襲するんだ?」という気持ちもあるのですが(笑)、彼らにとっては、少人数で互いに意見を出し合い、試行錯誤しながらゲームを作り上げていくという感覚は新鮮だったのでしょうね。本作に関しては、若い世代の主体性を尊重して、僕は締めるところを締めるポジションに終始しました。

――少人数での開発となったわけですが、企画の立ち上げ当初から、うまくいく自信はありましたか?

松崎 もともと弊社では“ギアプロジェクト”という、社員どうしでチームを組んで小規模な企画を展開していく開発制度がありまして。そちらで何回か、少人数のチームで開発を経験していたので自信はありました。本作も、自分なりに満足のいく形に仕上がっています。

――なるほど。そんな少人数のチームに入るとになり、斉田さんが初めて企画をご覧になったとき、プログラマーとして、どのように感じましたか?

斉田 当初は、現在の形よりもキャラクターのかわいらしさを楽しむ点を重視したゲームデザインでした。でも、ただ見るだけじゃなく、ポケモンたちに関与できたら、もっと楽しいだろうなと思って。松崎と話し合いながら、バトルと探検を二軸としたゲームデザインに調整していきました。

――ビジュアル面で、松崎さんがアートディレクターとしてこだわられた点は?

松崎 “四角で表現する”というルールを守りつつ、テクスチャ(3次元オブジェクトの表面に貼りつける模様)を使わないことにもこだわりました。テクスチャを使えばグラデーションや質感をつけられるのですが、デザインに統一感を出すため、あえてその調整ができないようにしました。ポケモンはもちろん、フィールドやエフェクトも、すべてテクスチャなしの四角いデザインで表現しています。

――テクスチャを使わずこの世界観を表現されているのは、すごいですね。『ポケットモンスター』シリーズと比べて、ポケモンたちのアクションにも違いがありそうですね。

斉田 四角いポケモンならではのアクションや仕草にはこだわりました。スタッフ間で議論していたときに、本作のポケモンたちは頭や背中が平らなので、「積み木のようにどんどん積んでいったらおもしろいのでは」という話になって。こういった要素で、『ポケットモンスター』シリーズとの違いを出せると思い、アイデアを取り入れました。

――ベースキャンプでは、ポケモンたちが自由に行動していますが、複数匹で遊んでいるポケモンの組み合わせに法則はあるのでしょうか。

斉田 画面上には表示されませんが、じつはポケモンたちはそれぞれ性格が違うこともあり、ベースキャンプにやってきたポケモンたちは、相性のいいものどうしで集まって、自由に遊ぶようになっています。

――同じ種類のポケモンでも、1匹ごとに性格が違うのですね。ちなみに、皆さんのお気に入りのポケモンを教えていただけますか?

斉田 ピッピです。丸いデザインのピッピをどうやって四角く表現するのか?そうした、見た目の違いも楽しんでいただきたいです。
渡辺 僕はラフレシアかな。
松崎 僕は、フシギダネがお気に入りです。そのまま四角くするとバランスが悪くなってしまうので、『ポケモンクエスト』では背中の房を、6枚から4枚に変更しています。デザイン的な見どころと言えるでしょうね。フシギダネのデザインが完成したときに、「四角いビジュアルでも行ける!」と確信が持てたので、その意味でも思い出深い一匹ですね。

『ポケモン』ファンも納得のやり込み要素が目白押し!

――これから本作をプレイする人に向けて、遊びかたのコツを教えてください。

渡辺 本作では、ポケモンたちに“Pストーン”というアイテムをセットすることで、能力を強化する仕組みになっています。いろいろなPストーンを集めて、どんどん付け換えて、自分のプレイスタイルに合った組み合わせを見つけていただきたいですね。
斉田 ステージごとに有利なタイプは異なるので、状況に応じてどんどんポケモンを入れ換えることが攻略の糸口になると思います。同じポケモンを使っているうちに愛着が湧いてきて、「チームから外したくない!」と思われる方も多いと思うのですが、しっかりとチーム編成を考える遊びかたもオススメです。

――本作ならではの戦闘システムですが、何かこだわりはあるのでしょうか。

松崎 Pストーンの組み合わせ次第で、ポケモンたちの技の性能もカスタマイズできるようになっています。たとえば“かえんほうしゃ”の場合、何発も連続で発射したり、3方向に同時に撃てるようになったりします。ステージの特徴に合わせて、切り換えながら進められるのが、本作ならではの部分ですね。

――やや話が変わりますが、野生のポケモンを仲間にするための“料理”についてお聞きします。こちらはどういった発想から生まれたのでしょうか。

斉田 ポケモンたちとの出会いを、『ポケットモンスター』シリーズとは違う形で表現してみたいと思ったのがきっかけでした。
松崎 本作では、より“ポケモンたちと友だちになる”ような感覚を求め、料理を作って誘い出すアイデアになりました。

――メニューにもこだわりがありそうですね。

斉田 使用する材料の組み合わせに応じて、完成する料理も変わり、やってくるポケモンの種類にも影響が出ます。いろいろなパターンを試してみてください。
松崎 ステージごとに入手可能な材料は異なるので、各エリアをくまなく探検していただくといいと思います。序盤から珍しい材料が手に入ることもあるので、お楽しみ要素として、料理を活用していただければと。
斉田 あと、キャンプにはもようがえグッズが設置できるのですが、アイテムのドロップ率がアップしたり、ポケモンが複数匹で来やすくなったりする効果があります。もようがえグッズをうまく利用して、効率よくゲームを楽しんでください。

――ビジュアル的にもかわいいですし、本作は初心者でも遊びやすい難度に……?

斉田 初心者の方でもサクサクと遊んでいただける内容ではありますが、終盤では、かなりやり応えのあるバトルが楽しめると思います。

――コアなゲームプレイヤーでも、ガッツリ楽しめる仕様になっていると。

斉田 そうですね。より戦略性の高いバトルや育成を堪能していただけるはずです。
渡辺 戦闘ではオートモードにも切り換えられますが、それだと終盤のステージはきびしいでしょうね。自分で考えて、的確に技を使い分けないと、後半戦は乗り切れないですよ。斉田 マニュアル操作の場合、敵の攻撃を避けるアクションが使えるのが大きいですね。タイミングをつかむには練習が必要ですが、これができるかどうかで、難度がガラッと変わるので、ぜひ挑戦してほしいです。

――やり込み要素もしっかりとありそうですね。最後にファンの皆さんに向けて、ひと言ずつお願いします。

斉田 『ポケットモンスター』シリーズとは、ひと味違うバトル、探検、育成が楽しめるタイトルに仕上がっています。自分なりの育てかたで、四角くなったポケモンたちとの探検を満喫していただきたいです。
松崎 数あるポケモンの中でも、『ポケットモンスター 赤・緑・青・ピカチュウ』に出てくるポケモンたちは、幅広い層から認知されていると思います。そんなポケモンたちが四角いビジュアルになったことで、新たな魅力を感じていただけるのではないでしょうか。知っているけど微妙に違う、本作ならではの姿を存分に堪能してもらいたいです。
渡辺 かわいい見た目とは裏腹に、しっかりと遊べるゲームになっていますので、ガッツリやり込んでいただきたいですね。ゲームフリーク初の『ポケモン』派生タイトルとして、自信を持ってお送りできる作品に仕上がっていますので、ぜひ遊んでみてください。