『MU LEGEND』は、2004年2月に日本でのサービスが開始された『MU -奇蹟の大地-』の後継作と言える、PC用MMORPGの新作オンラインRPGだ。2018年5月16日から正式サービスがスタートしている。

『MU LEGEND』ハクスラRPG化した『MU』はどう成長していくのか。開発&運営のキーマンに思いを訊く_01
『MU LEGEND』ハクスラRPG化した『MU』はどう成長していくのか。開発&運営のキーマンに思いを訊く_02
『MU LEGEND』ハクスラRPG化した『MU』はどう成長していくのか。開発&運営のキーマンに思いを訊く_03

 そのサービス開始に伴い、このほど開発・運営スタッフのインタビュー取材が実現。ファン注目のコメントが満載の、そのインタビュー内容をたっぷりお届けしよう。

 インタビューに応じてくれたのは、『MU LEGEND』開発プロデューサーのホン・ソンジン氏、企画チーム長のキム・サンヒョン氏、そして日本運営プロデューサーとして携わるWebzen Japan PCゲーム事業部 オンラインゲームチームチーフである金子忠将氏の3名だ。

ホン・ソンジン(ほん・そんじん)

開発プロデューサーのホン・ソンジン氏。文中ではホン。

キム・サンヒョン(キム・さんひょん)

企画チーム長のキム・サンヒョン氏。文中ではキム氏。

金子忠将(かねこただまさ)

日本運営プロデューサーの金子忠将氏。文中では金子。

続編の特徴は“ハック&スラッシュ”!

――日本でのサービスがいよいよ始まりました。まずは感想をお願いします。

金子日本版『MU LEGEND』はローンチから1ヵ月ほど経ち、おかげさまでたくさんのユーザーさんに遊んでいただいています。
 ただ、1ヵ月経ったところで問題点も見えてきた段階です。いま抱えている問題点やその改善策について、先日も開発元も交えてまる1日がっつりと会議をやりました。
 今後はちゃんとユーザーの皆さんに楽しんでいただけるようなアップデートや仕様調整をするために動いているところです。

ホン韓国サービス、グローバルサービスに続いて、ようやく日本サービスが開始されて、とても嬉しいです。大きな問題もなく安定的なサービスができて、本当に嬉しく思っています。

キムまだサービス1ヵ月ほどですけど、韓国のプレイヤーとは感じが違いますね。日本のユーザーさんがプレイしている姿を見るのは楽しいです。今後もどういった形で展開されるのかを、楽しみにしています。

――日本国内では、スマートフォンアプリが人気になっています。その中でPCプラットフォームを選んだ理由を教えていただけますか?

ホン最近はモバイルでいろいろなゲームが開発されていますが、『MU LEGEND』は“ハック&スラッシュ”をいちばんのテーマにしています。それをうまく表現するためには、モバイルプラットフォームではもの足りない部分があり、(多様なシステムを用意しやすい)PCオンラインゲームを選びました。

――ちなみに韓国の情勢はどうでしょう。やっぱり韓国でも、モバイルアプリが増えてきているのでしょうか?

ホンやはり韓国でもモバイルが強くなってきていています。ただ、『MU LEGEND』のように、ジャンルによってはPCプラットフォームを選ぶタイトルもあるでしょうし、それは周期的に変わっていくんじゃないかなと思っています。

――現在も、前作『MU 奇蹟の大地』のサービスを継続されておりますが、後継作となる本作では、前作と差別化されている部分などはありますでしょうか?

ホンいちおう『MU』という基本的なIPは同じですが、1000年前の世界が舞台で、世界観的な部分でも違いがありますし、ジャンル的に見ても大きな差があるのではないかと思っています。やはり“ハック&スラッシュ”という要素によって差別化ができていると思っています。

――逆に前作から踏襲されているといいますか、つながっている部分は、どういうものがありますでしょうか?

ホンコンテンツの部分としては、もともと『MU 奇蹟の大地』にあったカオスキャッスルやブラッドキャッスルなどは持ってきています。でも『MU LEGEND』と『MU 奇蹟の大地』は違うゲームなので、『MU LEGEND』に合わせてリニューアルし、よりよいところを採用して発展させるイメージで作りました。
 そのほかにも、アイテムや成長の要素としてアーティファクトを使ったりなど、『MU 奇蹟の大地』のもともとのコンテンツを持ってきているところもあるので、プレイするユーザーさんも、そういった部分は感じられるんじゃないかと思っています。

金子簡単に補足すると、ブラッドキャッスルはもうすでに実装されているんですが、カオスキャッスルはじつは韓国でも最近実装されたヤツでして(笑)。日本ではまだまだです。
 あとはアイテム系の話でいうと、祝福の宝石のドロップ音で「キーン」という音の演出があります。『MU 奇蹟の大地』のユーザーさんにはなじみの深い、やみつきになる音で有名なんですけど、そういった部分は『MU LEGEND』でも引き継いでいる形になりますね。

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ブラッドキャッスルはつぎつぎに出現するモンスターを倒しまくるコンテンツ。

――カオスキャッスルはいつ入るんですか?

金子だいぶ先ですね。ギルドシステムの都合などもあって、順番に実装していかなきゃいけないといった話はあるんですけど、できるならばより早めに……。今後のコンテンツとして、こうご期待というところです。

――期待しています。実際にプレイしてみて、ハクスラ要素とMMO要素がうまく融合できているように感じました。そのあたりで意識したことは何かありますか?

ホン今回は“ハック&スラッシュ”なんですけど、もともとはMMORPGをベースにしています。
 前作の場合は、ガイドやヘルプがもの足りなくて、キャラクターを作っても、どこで何をすればいいのかわからないという状況も多かったと思うんですね。そういった部分を改善したうえで、『MU LEGEND』ではちょっと違う形で見せるためにがんばりました。ユーザーさんを自然につぎのコンテンツに導けるようにしています。

――前作はMMORPG、今作は“ハクスラ”メインとのことですが、そもそもどうしてハクスラゲームにしたのですか?

ホン『MU 奇蹟の大地』はMMORPGで、それを楽しんでいたユーザーさんが、いまは30代・40代になられてたりもします。『MU 奇蹟の大地』は、いろいろなものを操作しなくちゃいけませんから、少しコントロールがたいへんなわけです。
 ユーザーさんに『MU 奇蹟の大地』の続編としての世界観を味わってもらいながら、爽快感あるプレイを楽しませたい。何をどうすればいいのか悩みましたね。
 悩んだ結果、やっぱりいちばん簡単で、戦闘の楽しさだけを感じられる形ということで、ハック&スラッシュという結論になり、いまの『MU LEGEND』になりました。

――たとえば、昔プレイされていたファンの方々が、いま大人になって忙しくなり、プレイできる時間も減ってきていると思います。そういった事情を考慮して、ということもあるんでしょうか?

ホンMMORPGというと、やはり成長を楽しむためにけっこうな時間を費やさなければいけないし、疲れる部分もあります。短い時間でもプレイしたら楽しく、確実に「私は成長している」とプレイヤーさんに感じさせようと、設計するときにはそういった部分を考えました。
 最初に開発するときには、コンテンツをいちばんいい状態で発展させるというところだけに集中しましたので、まだイベントや運営的なサービスの部分では、足りないところがいろいろあると思っています。
 韓国でもいろいろと改善策を立てて実装しているので、日本でもユーザーさんが楽しめる環境を作りたい考えているところです。

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ユーザーの要望に沿ったアップデートを

――金子さんから現状でも少し問題点が見つかっているというお話がありましたが、具体的にはどういったところでしょうか?

金子先ほどちょっと出てきた“アーティファクト”という言葉がありますよね。これにはいろいろな種類・能力があって、装着すると非常に強くなれるアイテムなんですが、課金ユーザーと無課金ユーザーで、非常に格差が開いている状態なんです。無課金ユーザーでももう少しハードルが緩くなるような調整というのを急遽話し合って、今後は入れていきたい方向で動いています。
 アーティファクトを成長させるため、まずは作るためのアイテムが必要で、それのレベルも上げていかなければいけないわけです。その作るための素材アイテムを得る、そしてアーティファクトの経験値を獲得するというダンジョンとして“ルパの迷宮”というダンジョンがあるんですね。そこの獲得経験値やアイテムの獲得量の調整とともに、序盤の20段階くらいまでの難易度を少し下げるような調整を、なるべく早く実装したいと思っています。
 ただ、それだけじゃなく、プラスアルファで何か開発元のほうでも、ひとひねり考案してくれるとのことなので、その内容にも期待していきたいところですね。

――どういった“ひねり”がありそうですか?

金子いままで韓国にも実装されてない内容で、すぐにできるかどうか、現実化は難しいのですけど、イベントダンジョンでしょうか。
 たとえば1日1回しか入場できないけど、アーティファクトの素材を多く獲得できるような、新しいダンジョンを追加してもらうといった案もあります。先日の配信中に出てきたばかりの、ホットな話ですけどね。

――そういったアップデートが入ってくれば、今後、韓国のゲーム内容と日本のゲーム内容が、少し別の方向に進んでいくみたいなこともあったりしますか?

金子基本の流れは同じですが、たとえばアップデートの順番を無理やり前後させてみたりとか……、“日本独自仕様”というとまた怒られるんですけどね(笑)。
 合うものがあったり合わないものもあったりと、そこは日韓の温度感もあるかもしれませんが、ユーザーのみなさんの意見というのは日々チェックしていますので、そこを取り込みながら、いい方向に進めていければというところです。

――公式サイトに挙がっていた要望ついてもお伺いできればと思います。「アイテムのまとめ売り機能がほしい」、「強化の成功率を上げてほしい」、「ムービーが始まると音量が大きくなってびっくりする」。「セットしたスキルを削除したい(スキル枠を空にしたい)」です。こういった意見が目についたのですが。

金子「セットしたスキルを削除したい」という要望は、おそらく基本スキルと移動がどちらも左クリックで行うことから来てますね。移動と攻撃が兼用になっているので「キーバインドを変えたい」、「クリックは移動だけに使いたい」という意見がいっぱいありまして。じつはクローズドβテストのときからあった意見なのですが、システムの作り上ムリで、そこはNGとなりました。
 「強化の成功率」については、日本ではすでに緩和した形で入れています。だいたい強化していくと、+1、+2って数字が上がっていくじゃないですか。もともとの仕様は4から7が、失敗すると1段階下がるような仕様だったんですけど、日本では7までは、失敗はしても下がりはしないというように緩和を入れています。このあたりの仕様調整は、ユーザーのみなさんにストレスなく強化を進めていただけるように検討した結果です。

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キム「アイテムのまとめ売り」は韓国では実装されていまして、今後日本でもアップデートされる予定です。

ホンアイテムのまとめ売りができなかった理由としては、開発的な問題もあります。アイテムの設計にはいろいろな要素が関わっているため、全部修正しないとダメで、その仕様だけ一気に入れるということはできなかったので時間が掛かったんですね。
 日本でアップデートするときにも、そういった問題を解決しながら改善していくので、いますぐとは約束できませんけど、なるべく早く日本でも実装できるようにがんばります。
 あと「ムービーが始まると音量が大きくなってびっくりする」については、申し訳ないのですが、それはテストプレイするときにヘッドフォンをつけずにプレイしてしまって、気づいていませんでした(笑)。本当に申し訳ございません。すぐに直します。

――UIを昔ながらのユーザーになじみのあるものにしたり、通常クエストを進みやすくしているのも、ユーザーのみなさんが遊びやすいようにされているということなんでしょうか?

ホンユーザーさんに戦闘の楽しさをわかってもらうため、「いまどんな状況なのか」、「攻撃されているのか攻撃しているのか」が、いちばんわかるような目線はクォータービューだろうと考えました。
 また、UIに関しても、前作をプレイされた方にはおなじみのUIの配置にすると、懐かしいしすぐ慣れるでしょうから、前作のIPを活かした形でUIをデザインしました。ボスを倒すところまで行くための成長を早く、そして楽しく成長させるという気持ちを伝えるために、そういった設計にしました。

――逆にボスを強めに設定されているのは、プレイヤーに乗り越える楽しさというか、開放感みたいなものを感じさせるために、歯ごたえを強めにされているんでしょうか?

キムボスにたどり着くまでのクエストなどは、ある意味では学習させるチュートリアル的な部分もあるので、スムーズに行けるような形で設計しています。一方、ボスの場合は、乗り越えたときの爽快感や達成感といった部分をメインにしたかったんですね。
 ちょっと難しいかもしれないけど、絶対に倒せないボスではない。ボスの動きとかパターンとか、そういったものを把握することで、より倒したときの楽しさを強調できると思っています。

――『MU LEGEND』は、『MU 奇蹟の大地』から1000年遡った世界が舞台ですよね。破壊神ですとか、前作に関わっていたキャラクターが、ストーリーにまた関わってきたリもするんでしょうか?

キム前作のキャラクターたちは『MU LEGEND』でも出ますが、今回はちょっと視点が違って、プレイヤーが英雄たちを助けて、英雄が本当のヒーローになれるところを手伝っていく形になっています。たとえばミュレンの場合は、ひとつの王国から名誉をもらうとか、そういった部分でもちろんつながりはありますよ。