PC用オンラインRPG『ロードス島戦記オンライン』の初の公式オフ会が、東京・秋葉原の欧風ギルドレストラン“ザ・グランヴァニア”にて開催。
会場に招待された約30名のプレイヤーは、豪華なコース料理を満喫するとともに、同タイトルを展開するゲームオンの運営チームと“少人数オフ会”ならではのアットホームな交流を楽しんだ。
人気小説の誕生秘話を水野氏が明かした!
『ロードス島戦記オンライン』は同名の人気小説をモチーフとする世界で冒険が楽しめる作品だ。当日のイベントでは、小説『ロードス島戦記』の作者であり、本作の監修者でもある水野良氏がゲストとして登場。プレイヤーから寄せられた質問に答える形でさまざまなエピソードを披露していった。
本記事では、水野氏によるトークコーナーで発表された内容をかいつまんでご紹介。なお、読みやすさを確保するため、コメントに少なからず編集を加えている。記載されている内容は、同氏の発言をそのまま記載しているわけではないので、あらじめご了承願いたい。
【テーマ1:『ロードス島戦記』執筆時に関する質問】
【Q.】T(テーブルトーク)RPGのプレイ内容を、どのように小説へと昇華させたのでしょうか?
【A.】(このオフ会参加者の)多くの方はご存じかと思いますが、『ロードス島戦記』は1986年に雑誌“コンプティーク”にTRPGのリプレイという形で連載が始まった作品です。小説は、1988年4月に(出版されたの)ですが、そもそもコンピューターゲーム(のリプレイという体裁)で作るというコンセプトだったため、「原作が必要だよね」みたいな話から始まりました。権利の関係上、TRPGをそのまま原作に用いるわけにはいかないので、「それなら小説を書かねば」という流れになった感じです。
ぶっちゃけると、小説化は大変苦労しました(笑)。(当時)SF同人誌には所属していた(ため小説の執筆経験自体はあった)のですが……そのSF同人誌では、確か1本もしくは2本くらい書いていたと記憶しています。ともあれ、長編を書き上げたことは一度もなかなったので、とにかく大変でした。
最初に書き上げた原稿が担当編集者から全ボツを食らってしまい、再度書き直したところで、そのデータが途中で飛んでしまったこともありました。そのときは、首をくくろうかと真剣に考えました(笑)。
当時は書院というワードプロセッサーを使っていたんですが、原稿を保存したディスクにまっさらなディスクをコピーした結果、ブランクのディスクが2枚でき上がるという(笑)。(当時は)よくあったパターンです。そこからさらに書き直した結果、よくなった部分もあるかもしれませんが……とにかく、当時の僕には時間が必要でした。
【Q.】30年前に、出渕氏(出渕裕氏。漫画家、イラストレーター)が手掛けた主要キャラクターのデザインを見たときの第一印象を教えてください。
【A.】(当時の出渕氏は)巨大ロボットもののテレビアニメに登場する、いわゆる“最後のやられメカ”をひたすら描いておられるところがあったので、「キャラを書けるんだ」というのが第一印象です。「ファンタジーしているな」という感じで文句なしに素晴らしかったので、本当にすごいなと思いました。キャラクターの(デザインも手掛けられる)イメージがなかったため、びっくりしたことをいまでも覚えています。
【テーマ2:作品に関する質問】
【Q.】作中に登場するキャラクターや地域の名称は、どうやって考案されたのでしょうか?
【A.】いろんなところからインスピレーションを得たうえで、音を重視して決めています。「これはいい音の響きだな」と感じたらそれを使う、みたいな感じです。ナシェルはまさにその典型で、西洋でもあまり見かけない名前ではないのかなと。
【Q.】『ロードス島戦記』でお気に入りのキャラクターは誰ですか?
A.大ニースと小ニースに加えて、レイリアも好きかなと。もともと、スレインやウォートといった魔法使い系が好みです。
(新装版『ロードス島戦記』のスレインは、主人公のパーンと同じくらい存在感があることについて)意外に『ロードス島戦記』は、スレインの物語になっていますよね。ナニールの魂を浄化するところまでをセットで考えると、見ようによっては、レイリア様から頼まれたスレインががんばった物語……と読むこともできると思います。
【Q.】パラレルワールドみたいなお話を作る予定はありますか?
【A.】(『ソード・ワールド短編集』の)『羽根頭冒険譚』(の続き)は、以前から書かなければと思っているんですが……たぶん最終話は苦労するんだろうなと(苦笑)。いずれにせよ忘れているわけではなく、いつかは書きたいテーマです。
【テーマ3:新作について】
【Q.】新刊に登場する、新たなキャラクターを教えてください。
【A.】『ロードス島戦記三昧』という本の中に『誓約の宝冠・序章』(という短編小説)があるので、そのあたりを基にしようかなと思っています。
【Q.】新刊では、どのような物語が展開されるのでしょうか?
【A.】フレイム王が野心を抱いて、ロードス(島)を蹂躙するお話になります。
来場者全員が難問奇問に挑戦!
水野氏によるトークコーナーのほかにも、“〇×クイズ”や大抽選会など、この日のイベントではさまざまなプログラムが催されている。それらの模様もダイジェストでご紹介しよう。
【初オフ会記念〇×クイズ】
岡崎氏とGMマンティス氏が出題するクイズに正解した参加者に、インゲームアイテムなどをプレゼント。提示された問題が意外なほど難しかったようで、来場者は終始悪戦苦闘していた。
【抽選会】
手持ちのカードに記された番号を読み上げられた参加者に豪華賞品が当たる、大抽選会も大盛り上がり。
この日に用意された品物は、水野氏の次期新刊との“引換券”や、『ロードス島戦記オンライン』でキャラクターボイスを担当する全11名の声優のサイン入り色紙など、レアものばかり。当選者が発表されるたびに、レストラン全体を歓声が包んでいた。
【欧風料理】
せっかくなので、今回のイベントでプレイヤーにふるまわれたコース料理にもご注目。現地で撮影してきた写真を、筆者が味見した感想とともにご覧いただこう。
この日に行われたイベントの模様は以上の通り。筆者はこれまで、比較的規模の大きなオフラインイベントのリポートを多く担当してきたが、今回の取材を通じて、小規模な催しのよさも改めて感じた。来場者の数を適度に絞ることで、運営チームやほかのプレイヤーとより密度の高い交流が楽しめる。
アットホームな雰囲気で行われるこのような形式の催しが、今後東京だけでなく各地で開催されることを願ってやまない。