『MH:W』×『FFXIV』コラボ 辻本氏&吉田氏インタビュー「辻本さんが待っていてくれたコラボ(吉田氏)」【E3 2018】

『MH:W』の辻本良三プロデューサーと『FFXIV』の吉田直樹プロデューサ兼ディレクターによるメディア合同インタビューの模様をお届け。

 E3 2018の会場でPRに励む『モンスターハンター:ワールド』(以下、『MH:W』)の辻本良三プロデューサーと、『ファイナルファンタジーXIV』(以下、『FFXIV』)のプロデューサー兼ディレクターである吉田直樹氏のおふたりにお集まりいただき、メディア合同インタビューを実施。今年の夏に開幕する、両タイトルによるコラボイベントの中身を掘り下げるとともに、旧知の仲として知られる辻本氏と吉田氏の知られざるエピソードについてもうかがった。

 なお本記事では、2010年9月30日にサービスを開始し、2012年11月11日に全ワールドダウンが行われたかつての作品を『旧FFXIV』と表記。2013年8月27日に『新生エオルゼア』としてサービスを開始した現行のタイトルを『FFXIV』と表している。

 また読みやすさを確保するため、インタビューには少なからず編集を加えている。記事に掲載されている辻本氏および吉田氏のコメントは、実際の発言とは完全に一致しない場合があるので、あらかじめご了承願いたい。

プロフィール

辻本良三(つじもとりょうぞう)

カプコン所属。『モンスターハンター:ワールド』プロデューサー。

吉田直樹(よしだなおき)

スクウェア・エニックス所属。『ファイナルファンタジーXIV』プロデューサー兼ディレクター。

──今回のコラボレーションは、どのような経緯で動き始めたのですか?

吉田7年前……もう約8年前になりますが、僕が『旧FFXIV』を担当するというアナウンスを出した翌日に、イベントの帰り際にたまたま辻本さんが「吉田さん!」と声を掛けてくれて。何かなと思ったら、「(アナウンスを)見たけど、何考えてんの?」と言われました(笑)。

──それに対して吉田さんは何と?

吉田「(プロデューサー兼ディレクターへの就任を)もう決めたので」と話しました。先日の出張プロデューサーレターLIVE in E3の放送では触れませんでしたが、じつはそのとき、辻本さんから「『モンスターハンター』(以下、『MH』)を作ってほしかったのに」と言われたんです。そのうえで、「やると決めたのならば、やるんだろう。でも、ダメだったら『モンスターハンター』を作りに来て。うまくいったら、その実績を持って『モンスターハンター』を作りに来て」と話してくれました(笑)。

──(笑)。

吉田僕自身としては「うまく行こうが行くまいが、そこはわかっている」というコメントをいただいたと受け止めました。「ゲームを立て直すためにはあらゆる手段を尽くすことになると思うので、そのために『MH』が必要ならば、いくらでも力を貸す」と言ってくださったことが、じつは僕にとってすごく大きかったです。当時の『旧FFXIV』のものすごいネガティブな状態をひっくり返さなければならなかったので、有名無名に関係なく、自分という人間を応援してくれる人がいるという事実を目の当たりにしたことで、思い切ってチャレンジする勇気が湧きました。だからこそ、『旧FFXIV』が『MH』と肩を並べられる位置まで行ってからでないと、コラボレーションしたとしてもそれは単に『MH』の力を借りるだけになってしまうので、辻本さんには「そのときが来るまでがんばるよ」という話を当時させてもらいました。

──企画が持ち上がった、そもそものきっかけは……?

吉田最初のきっかけは、『MH:W』が発表されるよりもだいぶ前になります。藤岡さん(藤岡要氏。『MH:W』エグゼクティブ・ ディレクター/アートディレクター)とふたりで食事をしているときに、「『MH』で本気で世界と勝負させてほしいという話を会社としているので、絶対に取りに行く!」という決意を僕に話してくれました。そのうえで、どうやって『FFXIV』は世界と戦っているのかをテーマに議論を交わしたんです。当時はまだ『MH:W』というタイトル名さえお聞きしていなかったんですが、「それが完成したときこそ何かができれば」と言ってもらっていました。

──なるほど。

吉田そうした状況を踏まえて、ちょうど1年くらい前に「正式にどうですか?」と言っていただいたので、「我々もだいぶがんばったので、満を持して実現させましょう」と。国内の新しいお客様を作ってきたのはやはり『MH』です。お世辞ではなく、現在日本一のタイトルだと思っています。新しい年齢層をターゲットに定めて、アクションベースのシステムで新しいゲーム体験を提供してきた結果、いまや小学生から高校生まで、世の中は『MH』シリーズで育ってきた人たちばかりになりました。そうした方々に向けて、『FFXIV』のようなMMO(多人数同時参加型オンライン)RPGならではのゲーム体験を、『MH』作品の力を借りることで伝えたい。また逆に、世界中の『FFXIV』のお客様に『MH』シリーズのすごさも伝えたいなと。いまが最高のタイミングであることは確かなので、「本気で行くので、本気でお願いします」とお伝えしたのがスタートです。

辻本全部言われちゃいましたね(笑)。僕が吉田さんと知り合ったのは10年くらい前で、それ以降、ちょくちょく会っています。ディレクターとしてはものすごく才能があると当時から認めていたので、いつかはいっしょにゲームを作りたいと常々思っていました。変な話ですが、折を見てそういう(移籍話の)やり取りもさせてもらっていた中、急に“吉田さんが『旧FFXIV』の担当になる”というニュースを見たんです。……ちょっと待てと(笑)。

吉田(笑)。

辻本マジかと(笑)。その発表があった直後に会う機会があったので「メチャクチャ大変だけど、本当にやるのか?」と言いました。彼のようなディレクターであれば新作も作れますし、それなのに『旧FFXIV』を担当するのかと……申し訳ないですが、そう思いました。

吉田誰がどう見ても、失敗する確率が高かったですから……。実際、『旧FFXIV』の新生版という位置づけの『FFXIV』を発表したときに、メディアの皆さんは「は?」という反応だったわけで(苦笑)。

辻本「やる」と決めたら絶対に譲らない性格であることはわかっていたので、それならば応援させていただきたいですし、「どこかのタイミングでコラボをやろう」という話も伝えました。ですが逆に、『MH:W』がリリースされる時期にいたるまで、具体的なコラボレーションの話は一切していません。

吉田1回もしてこなかったです。

辻本そのときが来るまで、というのが理由です。『MH:W』が発売される以前の『MH』作品は、日本以外での知名度がさほど高くなかったこともあり、ワールドワイドでコラボイベントを行った際に、むしろこちら側が迷惑をかけてしまう懸念もありました。ですので、『MH』シリーズが世界規模で展開できるタイミングで実施したほうがいいのではないのかなと考えたわけです。そんな中、今回の『MH:W』はワールドワイドでの展開に筋道が付けられたうえに、アップデートも順調に重ねられるようになりました。一方で『FFXIV』はご存じの取り、長く運営を続けているタイトルです。こんなにベストなタイミングはないと思って、我々のほうから提案させてもらいました。そこから先は、けっこうスムーズに進んだ感じですね。

──お互いの人気モンスターだけでなく、アイルーとサボテンダーも登場することが発表されていますが、内容を詰めていく際にどのようなやり取りがあったのですか?

辻本お互いに企画を出し合いました。双方の仲がいいというのもありますし、僕自身も『FFXIV』の開発チームを信用しています。吉田さんのほうも我々のチームを信頼してくれていたので、そこに関してはけっこう任せてくれましたし、こちらもお任せしました。お互いのタイトルをリスペクトしているので、しっかりとしたアイデアが出てきます。そういう意味では、作業がスムーズに進んだと思います。

吉田早かったですね。提出した企画書が、お互いに一発オーケーでした。とくに差し戻しも発生せず、「やるなら思い切って料理してください」くらいの感じでした。それぞれの開発チームに、双方のタイトルのプレイヤーが存在するのがすごく大きかったのだと思います。僕も含めた『FFXIV』のスタッフは、ガチの『MH』プレイヤーも本当に多いので。

──そうなんですね。

吉田MH:W』をお預かりする以上フルパワーでやりますが、むしろこれは、スクウェア・エニックスからカプコンさんへの挑戦でもあります。そのつもりで、「メチャクチャやっていいので、思う存分お願いします」と言って、ベヒーモスのデータをお渡ししました。その結果、上がってきた企画を見ると……本当にここまでやるのかと(笑)。

辻本こちらも同じことを思いました。ここまでやるんですかと(笑)。しかも参加条件がすごくきびしくて……。

吉田そうね(笑)。

辻本ともあれ、開発作業は本当にスムーズでした。お互いが守るべきところはしっかりと守ったうえで、おもしろいことを入れていこうという意識がお互いに強かったのだと思います。

──キャラクターなどのデータのやり取りもされたんですか?

辻本もちろんです。ガッツリと(笑)。

──『FFXIV』にリオレウスが登場する一方、『MH:W』の世界ではベヒーモスが大暴れします。双方のモンスターを選定した理由は、どのへんにあるのでしょうか?

吉田僕はプレイステーション2版の、いわゆる“無印”の『MH』からシリーズをプレイしています。この作品のシングルプレイに初めて触れたときに、「リオレウスを倒すにはどうしたらいいんだ」と思った経験があるのと、長らくパッケージデザインを飾ってきたこともあって……僕の中でリオレウスは、『MH』を象徴する存在なんです。このため、世界のプレイヤーにリオレウスを教えるのも、今回のコラボレーションの意味のひとつであると思っています。僕の中ではリオレウス以外の選択肢がなかったので、「申し訳ありませんが、ゲームを代表するリオレウスをいただけませんか?」と伝えると、「いいよ、いいよ」とあっさり応じてくれました(笑)。

辻本タイトルを象徴するモンスターを起用することは大前提ですが、我々の作品の中にそれが入ってきたときに、ほかのモンスターと同じになってしまうようではアクションゲームとして意味がありません。アクションゲームにふさわしいアイデアと遊びを入れたうえで、作品にすんなりとなじめるモンスターの候補を考えたときに、ベヒーモスが挙がりました。そこから遊びの部分を考えていき、実際に検証を進めた結果、最終的にこれはいけると判断した感じです。また、実物を見てもらえればわかりますが、ベヒーモスは既存のほかのモンスターとまったくちがう形に仕上がっています。この部分も、ベヒーモスを選定した理由のひとつです。

──検証に際して、ほかのモンスターも候補に挙がっていたんですか?

辻本ないです。まずはベヒーモスに絞って検証を進めました。

──ムービーにはメテオを降らすシーンもありましたが、そのあたりも期待してよさそうですか?

辻本そうですね。うちのモンスターにはないことを……(笑)。

──『MH』は日本ではアクション重視というイメージが強いタイトルかと思います。その一方、『MH:W』がリリースされた後、欧米のメディアやユーザーから「これはすばらしいRPGだ」という意見がありました。日本人と海外プレイヤーが考える、RPGの違いみたいなものは感じられていますか?

辻本どちらかといえば、海外ではゲームのプレイサイクル面においてRPGに分類されることも多いです。我々は『MH:W』をアクションRPGにカテゴライズしているのですが、たしかにゲームサイクルはRPGに近いところがあるため、そう言われることも多かったりします。

吉田クエストが進行すると拠点が広がり、冒険の場所が広がっていきますよね。たぶんそこがRPGに近いと言われているだけなのではないかなと。北米や欧州で長く展開していて思うことは、日本人が考えるRPGの定義とはまた少し違うんです。彼らがRPGと呼ぶか否かは、“ロールプレイできるかどうか”の違いだけなんでです。たぶん、モンスターをハントすることをロールプレイしているので、アクションゲームではなくRPGであると感じているのだと思います。そういう意識は、けっこう強いのではないのかなと。

──おふたりの『MH』シリーズおよび『FFXIV』のプレイ歴はどのようなものでしょうか?

辻本じつは僕は『FFXIV』をほとんどプレイしていなくて……今回の参加条件は僕に向けた挑戦状であると思っています(笑)。

──ということは、これから遊んでみようかなと。

辻本たぶん、そうですね。やらないと怒られると思います(苦笑)。

──キャラクターをレベル70まで育てて、『紅蓮のリベレータ―』のシナリオを進めた後、しっかりとコラボオリジナルのコンテンツを遊ぶ。そこまでプレイするつもりなのですね……?(笑)

吉田(笑)。

辻本……意気込みは(笑)。

吉田MH:W』を作っている人たちの中に、ガチの光の戦士(『FFXIV』プレイヤーの呼び名)が何人かいるであろうことは、監修していて確かに感じました。それくらい、ベヒーモスはちょっと異常です(笑)。

辻本ベヒーモスはヤバいですね。

吉田そういう意味では、良三さんが仮に挫折したとしても、あまりあるくらいの“光の戦士力“が『MH:W』の開発チームにはあると思います。そもそも僕はスクウェア・エニックスの別の人物の紹介で、良三さんや藤岡さんと知り合って食事に行くようになりました。僕がいちばんプレイしたのは、たぶん『モンスターハンターポータブル 2nd G』(以下、『MHP2ndG』)です。1200時間くらい遊んでいるはずなので。全クエスト、全配信クエストを大剣ソロで制覇しています。最後は、飛んでくるリオレウスを“うしろ薙ぎ(斬り上げ)”で落とすのを趣味にしていたくらいやり込みました。あの当時動画を配信していたら、もうちょっと有名になっていたと思います(笑)。

辻本MHP2ndG』をいっしょにプレイしたのが、吉田さんとの初めての出会いです。4人で集まったんですが、カプコン側が僕も含めてふたりで、スクウェア・エニックスさんもふたり。そのうちのひとりが、吉田さんでした。『MHP2ndG』をずっと遊んでいるという話をされたので、僕が「いまソフトを持ってますよ」と言うと、「プレイしましょうか」となりました。その結果、まさかカプコン側が3オチするという(笑)。

──やってしまったと。

辻本やっちまった!(笑)

吉田ふたりで粉塵(生命の粉塵)をゼロになるまで使いました(笑)。ちょうどその日にラージャンの2頭狩猟クエストが配信されていて、「これは! いっしょにやりましょう!」みたいな流れでした。

辻本後ろから撃たれるんですよね(笑)。

吉田そう(笑)。粉塵をものすごい使いましたもん。最初のうちはまだ笑っていたんですが、それぞれ1回ずつオチて、「つぎにやられたら終わりですけど。まさかカプコン側が3オチすることはないですよね」と言うと、「マジで!?」と……懐かしいですね(笑)。

辻本ああやって人って仲よくなれるものなんですね(笑)。

吉田そうですね(笑)。

──『MH:W』にはいろんな生態系の設定がありますが、ベヒーモスを入れるにあたって、そうした部分の落とし込みはされたのですか?

辻本そうですね。ただ、あくまでもコラボモンスターとして入る部分が大きいので、“らしさ”を出していく必要があると思います。『MH:W』はリリースしてからある程度時間が経過しているので、現役のプレイヤーがそのモンスターを見て、どれくらいワクワクするかという部分にご期待いただきたいです。初めて見たときの衝撃もすごいですし、本当にド派手なことをしてきます。遊んだときの楽しさが、すごく感じられるモンスターに仕上がっているはずです。『MH:W』はアクション部分を楽しんでもらうのが最大の醍醐味でもあるので、そこに重点を置いて見てもらえればと思います。

吉田僕も監修に参加させていただいてますが、テキストから出現する理由まで、プレイしてもらえればたぶん誰もが納得できると思います。しかも、『FFXIV』とのつながりまでしっかりと落とし込んでいただいているので、そこはぜひ確かめていただきたいです。本当にすばらしいと思いました。

──ベヒーモスの“二つ名”はどのような感じですか?

吉田たぶん単純に“魔獣”ですね。

辻本魔獣になると思います。

──となると、魔獣の角や魔獣の皮が……?

吉田たぶんそうだと思います。

辻本素材の話でいうと、「部位破壊をしていいものか」という話題が開発から上がってきて、確かにそうだなと思ったので、吉田さんに「部位破壊してもいいですか?」と最初に聞いたんです。すると、「ガンガンしてください」と言われて(笑)。

吉田「折れるものや壊れるものは、全部壊してください」と(笑)。プレイヤーである僕からすると、角は折れなければダメですし、2本あるのでできることなら1本ずつ折れてほしい。爪や背ビレも破壊できなければおかしいうえに、長い尻尾までついているので、これも斬れなければ不自然です。要は、「全部やってください」とお願いしました。

辻本最終的にどうなかったのかは、お楽しみに(笑)。

吉田仮に部位破壊できなかったり、あるいは見た目の欠損表現がなかった場合、何か言われるのはたぶん僕たちのほうです。おそらく「スクウェア・エニックスがダメって言ったんだな」と。それだと冷めるので、「思い切ってやってください」と依頼した感じです。

──角がないベヒーモスは、見ものです。

吉田カプコンさんがそれをどこまで料理したのかを、ぜひご自身で確かめていただきたいです。

辻本こちらとしては、「いいのかな」と思ってしまいがちですが、“おもしろくするために”といったところで一線を超えさせてもらえる部分もあったので、そこはやりやすかったです。

吉田場合によっては、モンスターをお借りしているという前提上、相手の会社をボロボロにしていると受け取る人もいるはずです。法務や広報など内側の部署から「そこまでやると問題が生じるのでは?」みたいな話が来たとしても、事前に承認しておくことで「スクウェア・エニックス側がすべてオーケーと言っている」と反論できるわけです。それをやらないと、ゲーム体験がおもしろいものにならないので……。

辻本完全に、開発チームどうしで作業している感じです(笑)。

吉田そうですね。

──『MH』シリーズに『FF』作品のキャラクターが初めて登場するわけですが、辻本さんはこの企画をどうやって開発チームの方々に説明されたのでしょう。スタッフの方から「どうして『FFXIV』なの?」みたいに聞かれなかったのですか?

辻本むしろ、スタッフから、「『FFXIV』とコラボするのは無理なんですか?」と聞かれていたくらいです。ほかの『MH』シリーズでも同様のお話があったんですが、どうしてもタイミングが合わなかったので、スタッフからのそうした問いかけに対して、いままでは「時期が到来したらお願いに行ってみる」みたいに応じていました。……今回、スタッフとしては「いよいよ来てくれたか」くらいの感じですね。

──号令ひとつですぐに始まったと。

辻本コラボイベントの始動を伝えると、スタッフたちのあいだですぐに「何をやろうか」という話になったので、「そこはもうガッツリやってくれ」と伝えた感じです。『FFXIV』が好きなスタッフも多いので、チームのメンバーはみんな喜んでいます。何しろ『FF』は、『MH』とは比較にならないほど歴史の深いタイトルです。我々のスタッフはほぼ全員、シリーズのうちいずれかひとつはプレイしているのではないのかなと。

──モンスターだけではなく、両タイトルで装備品なども当然あるかと思うのですが、そのあたりはいかがでしょう?

辻本ご期待に沿えるものが、ちゃんとあります。“世界で同時に展開”というコンセプトで意見が一致していることもあり、まずはE3 2018の場で発表したいと。とはいえ、細かい部分についてはもう少し丁寧にお伝えしたいので、今回はあくまでもスタートダッシュという位置づけです。

──コラボ開催時期は夏でしたよね。

辻本はい。夏です。

吉田コミュニティーの反応の中に、「カプコンさんとスクウェア・エニックスの夏はかみ合っているのか」という声があって……(笑)。

辻本お互いに夏だと思っている月を言い合っているのかも(笑)。いずれにしても、お互いのタイトルのプレイヤーが喜んでもらえるタイミングにするつもりです。

吉田そうですね。詳細は追ってお知らせしますが、報酬やお話の中身に関しては、期待してもらって問題ありません。これほどまでにお互い本気でやっているので、当然手に入るものもガチなものになると思っていただいてたぶん大丈夫です。

辻本帰国した後にテストプレイをするんですが、3時間も予定が取られているんです。

吉田それでも足りないと思うんだよな……。

辻本無理やりに、ボコっとスケジュールを開けられました(笑)。

吉田僕は動画ですべての技とアクションのチェックをさせていただいたのですが……これは相当難しいんじゃないかと。

辻本けっこうムチャクチャしてくるので、楽しみにしていてください。

──今回のコラボイベントによるそれぞれのタイトルへの波及効果についてはどうお考えですか?

吉田コミュニティーの皆さんは、僕がゲーマーであることをすでに知っています。『MH:W』とのコラボレーションだからこそ、ガチでやれるんだろうなと期待してくれているはずなので、そうした思いに応えたいですね。ビジネスライクではなく、本当にゲームが大好きなふたつのチーム(会社)が、世界で戦っているタイトルでコラボレーションを実施する……ある意味、お祭りにも似たワクワク感を楽しんでもらえればいいのかなと。その結果が双方のタイトルが本物であることを再認識してもらえるはずなので、僕としてはそれでいいと思っています。プレイヤーが何人増えるとか、売上がどうとかは、あまり考えていません。このふたつのタイトルであれば、今後もまたおもしろいことをやってくれるだろうと思ってもらえればいいので、そのためにも、精一杯今回のイベントを楽しんでいただきたいです。

辻本双方のタイトルともにオンラインゲームなので、いろいろな人どうしがつながりを持てるのが魅力です。たとえば『MH:W』のプレイヤーが『FFXIV』のコミュニティーに入っていったりとか、そういう接点になればいいかなと思っています。すべての人に必ずそうしてほしいというわけではありませんが、“遊び場を提供する”という考えかたはどちらの作品もよく似ているので、それくらい双方の垣根は低いと考えています。あと、いわゆる派生作品ではなく、コンシューマシリーズ、アクション系の『MH』シリーズにおいてコラボイベントでモンスターが登場するのは初めてなんです。そこは誰も見たことがないので、「こいつらはどんなことをしてくるんだ!」みたいなワクワク感が味わえると思います。僕と吉田さんはそのワクワク感をとても重視しているので、まずは驚いてほしいですし、“遊んでみたらおもしろい”を実感していただければなと。先ほど7〜8年前のお話をしましたが、正直なところ、つぎのコラボレーションに関してはまだまったく考えていません。まずは、いまの夢を実現させることに全力投球しているので、そういう意味でもご期待いただきたいです。

吉田本格的なモンスターがこれまで一度も登場してこなかったので、僕は辻本さんが待っていてくれたのかと勝手に思っていました。ですので、声を掛けていただいたときに、「今回こそモンスターで行きたい」と言っていただいたことは本当に光栄です。『FFXIV』がここまで来るのを待っていてくれたのかな……と、ポジティブに思うことにしています。

辻本MH:W』はアクション重視のゲームなので、モンスターを登場させるのはけっこうたいへんな部分があります。ですが、「日本のタイトルとして全世界同時に展開するのであれば、どうしてもモンスターでやりたい」という話を吉田さんとして、ベヒーモスで行かせてもらうことになりました。

──『FFXIV』側のコラボ参加条件はすでに発表されていますが、『MH:W』のほうはいかがですか?

辻本現在調整しているところです。『MH:W』にはたとえば“下位”と“上位”みたいなハンターランクのキャップが設けられていますが、そのあたりはあまりキツくしているわけではありません。「このへんに行くのであればこれくらいのランクで、相応の装備を用意しないとアクションゲームとしてしんどいよ」みたいなところでセッティングさせてもらっています。さらに言うと、それ以降はご自身の腕や装備で対応してもらいますので、たとえば「ハンターランク500からです」みたいなことはありません。ある程度の基準くらいでやっていくつもりです。

──コラボイベントの開催期間は決まっていますか?

辻本こちらのほうは決めていませんが、基本的に再配信ができますので、「これを逃すと一生楽しめない!」ということは絶対にありません。

──ひとまず一定の開催期間を設けたうえで、その後は再配信があるかもしれない、みたいなイメージですか?

辻本そのあたりもまだ決めていないです。クエストの内容だけでなく、もちろん装備によっても変えていきます。

吉田我々のほうは「できるだけ長く開催期間を取らせてください」とお願いしているので、レベリングを急ぐあまり「ストーリーはすべてスキップするぜ!」みたいなことをしなくても大丈夫です。そのあたりは、どちらのタイトルも心配しなくていいと思います。ちなみに詳細は、足並みをそろえて発表させていただきます。

──『FFXIV』側の参加条件は比較的きびしめかと思うのですが、なぜそうしたのでしょうか?

吉田リオレウスの強さを表現するためには、レベル70で戦ってもらうしかないと思ったからです。仮にレベル70まで到達したとしても、『紅蓮のリベレータ―』のメインシナリオをクリアーしないことにはアラガントームストーン系の装備が獲得できません。ですので、そこを最低条件としました。開発チームの面々は、その条件に関して異論は出ませんでした。どちらかといえば広報などから、「条件が高くないですか?」と言われました。「『MH:W』のハンターはガチのプレイヤーばかりなので、これくらいは余裕だ」と言って説き伏せました。これは、ハンターの皆さんに対する僕たちからの挑戦です。

──吉田さんが想定されているアイテムレベルは、どれくらいですか?

吉田それを言ったらおもしろくないじゃないですか。リオレウスの強さをしっかりと感じてもらえて、現役のトッププレイヤーたちも楽しめるようにしてあります。このあたりの詳細は、後日発表しようと思っているところです。

──ベヒーモスの“二つ名”の話がさきほどありましたが、種族的にはどうなるのでしょうか? やはり、古龍扱いになるのでしょうか?

辻本そのあたりも詳細になってきてしまうので……発表をお待ちください(苦笑)。

──『MH:W』でベヒーモスを登場させる際、攻撃方法を『MH:W』に合わせて整理する必要があると思うのですが、その過程でオリジナル準拠ではない攻撃も生まれたりしたのでしょうか?

辻本モーションはこちらで組んでいますが、イメージは絶対に損なわないようにしているのと、「ああ〜(ベヒーモスだね)」と言ってもらえるようにちゃんと作っています。ベヒーモスを『MH:W』に取り入れるとき、どうしてもモデルの形状や骨(ボーン)の構造など、こちらの仕様に合わせる必要があるのですが、そのへんは調整しています。

吉田お互い、無理やり感はたぶんないですよ。それぞれの作品になじんでいるはずです。『FFXIV』プレイヤーが『MH:W』のベヒーモスを見ても、何の違和感もないと思いますし、逆に『FFXIV』のリオレウスを見ていただいても、「あ、レウス、レウス」とちゃんとなると思います。そこはやはり、お互いの現場のリスペクトがすごかったので。先ほどデータのお話がありましたけど、なかなかこのレベルの2社だと、ふつうは“独特なプラグインを使っていてデータを渡しづらい”とかありそうな気もしますけど、全部渡せたんですよ。モデルからテクスチャー、アニメーションも使えるなら全部使ってください、SEもBGMもすべてどうぞ、という状況で、綺麗に再現していただいていると思います。ただ、どうしても関節まわりは『MH:W』の仕様に合わせないといけないので、そこはたぶん調整したと思いますけど、フォルムはまったく違和感がないです。そこも期待してもらっていい点かもしれないですね。

辻本レウスなんてまんまレベルじゃないですか? ああ、この攻撃、この攻撃みたいな。

吉田そうですね。今回、ひとつやり取りでおもしろかったのは、『MH:W』のレウスって色がちょっと浅いんですよね。『MH:W』のシェーダーはかなり『MH:W』に特化したものになっていて、元テクスチャが薄いんですよ。『MH:W』の画面を見ながら色調整をしたのですが、僕が現場で最初に見たときも「色、薄くないか? レウス、もっと赤いよね」と言ったほどで。でも、『MH:W』の環境下で見ると確かに同じで、ちょっと白っぽいんです。それで、一度赤くしたバージョンも作ってもらって、見比べてみたのですが、「俺の中でのレウスはこっち(赤)なんだけど、『MH:W』のレウスはこっちだな……」ということで、色が薄いほうのレウスを監修のためにカプコンさんにお渡ししたんです。そうしたら、「もう少し赤味を」というフィードバックが返ってきて……。けっきょく、赤いほうに差し替えたんです。やはり、シェーダーもレンダリング環境もライトの当たりかたも違うので、そこまでこだわっているんです。

──お互いのデータを交換することになった現場(グラフィクス担当)の方々は、何か言っていましたか?

吉田僕は聞かないようにしていました。きっと挑戦を楽しんでいるだろうなと(笑)。

辻本ゲームにもよりますけど、作りかたがやっぱり違うので刺激になりますよね。先ほどの補足になりますけど、レウスも『MH:W』の絵作りとしてあのようになっているわけで、たとえばフィギュアにしましょうということになればもっと赤くなったりします。『FFXIV』の絵作りとしたら、赤いほうがいいだろうという話はさせていただいていますね。

──コンテンツのボリュームとしてはどれくらいでしょうか?

吉田両者、1回クリアしたらから終わりというレベルじゃないので。

辻本それはないですね(笑)。

──装備が全部集まるまでひたすら……?

吉田そうですね(笑)。

辻本いまモンスターにスポットを当てていますけど、細かいニヤッとしてもらえる要素も入っているので。

吉田その全体ボリュームも含めて、こいつらどれだけやってるんだと思ってもらえるとうれしいですね。

──この夏、ガッツリ遊べる感じでしょうか?

吉田いけるんじゃないですか。

──最後に、それぞれのファンに向けてメッセージを。

辻本今回は個人的な気持ちが強いコラボでもありますし、そのうえですごくいいものができたつもりです。スクウェア・エニックスとカプコンという違う会社でありながら、こんなバカなことを本当にやるんだというところを見てもらえるとうれしいです。もちろん、コラボという取り組みなので、両方のゲームについて、おもしろさをかじってもらうだけでもいいので、触っていただきたいですね。また、オンラインのゲームなので、お互いのコミュニティーの輪が広がったり、いろいろな人がつながったりしていくと、僕たちもすごくうれしいです。そうしたことで、「ゲームっておもしろいな!」と思う人がまた増えるといいなと思いますね。期待していてください。

吉田良三さんがいま言ったことに近いのですが、どうしても日本のオンラインゲームって、“オンライン”と聞いただけで毛嫌いされてしまったり、『MH:W』でもずっとソロで狩っているという人がやっぱりいて。でも、今回こうしたお話が実現したのも、良三さんや藤岡さんとつながって、コミュニケーションができたからこそなんです。もちろん、ひとりで遊ぶことを悪いとは思っていません。僕も『MHP2ndG』ではソロ派でしたし(笑)。でも、いまは人と遊ぶことにいちいち理由をつけなくてもいい時代です。人がつながることで、ひと昔だったら考えられないコラボレーションまで発展するのだから、ゲームもあまり気負わずにどっちも触ってみてもらえばいいのかなと。僕はユーザーを交換したいわけじゃなくて、たとえば『MH:W』のプレイヤーが『FFXIV』を触って、改めて『MH:W』のいいところを再認識することもあるだろうし、『FFXIV』のプレイヤーが『MH:W』をプレイすることで『FFXIV』のよさを再認識することもたくさんあると思うんです。そういう波及効果がそれぞれであればいいのかなと。あとは、日本の開発者でもまだまだこんなバカなことをする人たちがいっぱいいるんだということを世界含めて見せつけられれば、僕らとしては成功かなと思うので。これから詳細発表していきますので、ぜひ楽しみに待っていただけるとうれしいです。