2018年6月11日(現地時間)、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(以下、SIE)が、“PlayStation E3 2018 Showcase”を開催。その模様をお届けしよう。

 今回のSIEカンファレンスは、新作の発表や期待作の続報映像を紹介しつつ、開発者たちが登場してプレゼンテーション……といった、従来型の発表会とは趣を変え、新たなスタイルに。
 新規発表でも『バイオハザード RE:2』、『仁王2』といった複数の大型タイトルを用意して、観客を大いに驚かせ、歓喜させていたが、カンファレンスの中心にあったのは、PS4でしか遊べない4タイトルのプレゼンテーションだった。4タイトルとは、すなわち『The Last of Us Part II』、『Ghost of Tsushima』、『DEATH STRANDING(デス・ストランディング)』、『Marvel's Spider-Man(スパイダーマン)』。これらのタイトルについては、会場そのものをプレゼンの装置にするような仕掛けも交えつつ、プレイシーンを中心とした見応えある映像をたっぷりと披露し、PS4でのゲーミングが充実したものになることを自信をもってアピールした。

 発表開始に先駆けて登場したのは、ソニー・インタラクティブエンタテインメントアメリカ プレジデント兼、ソニー・インタラクティブエンタテインメント ワールドワイド・スタジオ チェアマンのショーン・レーデン氏。レーデン氏も、「新たなクリエイティブの発表で皆さんを圧倒する代わりに、キー・タイトルに深く入っていく旅へお誘いしたいと思います」と、今回のカンファレンスの主旨を説明した。

PlayStation E3 2018 Showcaseは新時代へ!? 自信の独占タイトル4本を強力に“体験”させる新スタイルに【E3 2018】_01
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狭い教会内にメディアがギッシリ!! たしかに広々とした会場と違い、この会場なら、エリーの困難を身にしみて感じられる……ような気も。
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ショーン・レーデン氏。「今回は教会にお集まりいただきましたが、映画「キングスマン」のような結末にはなりませんのでご安心ください」とジョークを飛ばし、観客の笑いを誘っていた(※「キングスマン」では、教会に集まった人々が短時間で……、というシーンがある)。
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映像の前に、弦楽器の生演奏が。ショーン氏いわく、今回のカンファレンスでは「ゲームに対する愛情を歌にして大きな音でお聞かせしたいと思います」との意図があったようで、発表と発表の合間に、生演奏や、『Dreams』のキャラクターたちによる演奏(&失敗)がコミカルに描かれたアニメーションが披露される演出も見られた。

 そしてカンファレンスの幕開けを飾ったのは、『The Last of Us Part II』だ。今回のカンファレンスでは、途中で大きな会場に移動するという趣向があったのだが、最初の会場としてメディアが招き入れられたのは、こぢんまりとした教会風の建物。『The Last of Us Part II』のプレゼン後はすぐに移動となったため、つまりここは、『The Last of Us Part II』のプレゼンのためだけに作られた会場ということになる。
 発表された映像の内容は既報の通り。前作ではまだ幼かったエリーがすっかり成長し、同姓の人物とキスをかわすシーンや、大勢からの襲撃を撃退していく激しいアクションシーンなど見応え満点。会場内でとくに大きな歓声が上がったのは、鮮烈なキスシーンのほか、容赦ない残虐表現シーン(宙づりにされた男性が腹を刺され、腸が……なシーンなど)、エリーが見事に敵を葬り去るシーン(クルマの下から、のぞき込んできた敵の顔面に銃撃を浴びせるシーンなど)、といったところ。

 続いてはいったん会場を移動することに。和風なあつらえの回廊を抜け、つぎの会場に入ると、いきなり目に飛び込んできたのは、横長の巨大スクリーン全面に映し出されたススキの野原。この時点で、つぎのプレゼンタイトルが『Ghost of Tsushima』であることは明白だ。
 ここでは尺八の演奏をプレリュードに、『Ghost of Tsushima』のプレイ映像が公開された。内容は既報の通り。美しい映像に誰もが息を呑むところだったが、とくに刀で敵を一閃するシーンなどでは、大きな歓声が上がっていた。

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会場と会場のあいだをつなぐ通路から見えた風景。ここから、13世紀の対馬に向かう……といった趣向だ。
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会場入り口からの光景。思わず「fantastic……!」とつぶやいて立ちつくしてしまうという、まるで映画の登場人物みたいなリアクションをした外国人メディアの姿もちらほら(実話)。
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今度は尺八の生演奏。映像も相まってすばらしい雰囲気。

 『Ghost of Tsushima』のプレイ映像が終わったところで、プレゼンパートの前半が終了。ここで、完全新規タイトルも含め、初公開のタイトル映像が続々と公開されていく。
 最初に紹介されたのは、『Alan Wake』や『Quantum Break』で知られるRemedy Entertainmentが制作、505 Gamesが販売する完全新作『CONTROL』。念動力か、重力を操るような力か? 特殊な能力を駆使しながら敵を倒していくシューティング的なゲームプレイ映像が公開された。

 続けて、『バイオハザード RE:2』、『Trover Saves the Universe』(SQUANCH GAMES制作のアクションコメディーアドベンチャー。PS VR対応)、『キングダム ハーツIII』の映像が公開。いずれも歓声をもって迎えられたが、『バイオ』でレオンの顔が映し出されたとき、『キングダム ハーツIII』で海賊姿のソラが映し出されたときなどは、とくに大きな歓声が巻き起こっていた。

Trover Saves the Universe - E3 2018 Announce Trailer | PS4, PS VR

 そして待望の、『DEATH STRANDING(デス・ストランディング)』の映像が公開! 多くの情報が込められた恐ろしく緊張感のある映像で、会場では誰もがスクリーンに釘付けに。8分間以上に及ぶ長い映像のあいだ一瞬たりとも目が離せず、息を呑んで見つめていたようだった。

 さて、あとは『Marvel's Spider-Man(スパイダーマン)』のプレゼンを残すのみか……と思いきや、ここでまさかのサプライズ、『仁王2』が発表に。世界で200万本を超える大ヒット作となった『仁王』だが、会場で『仁王2』が大きな拍手と歓喜の声で迎えられているところを実際に目撃すると、同作が世界的タイトルとなったことが実感される。

 そして今度こそ、トリを飾ったのが『Marvel's Spider-Man(スパイダーマン)』。今回公開されたのは、バトルアクションを中心とした爽快な映像。しかし、最後は強敵たちに囲まれて……! 続きが気になる、本編を遊びたくなる映像に仕上がっていた。

Marvel’s Spider-Man – E3 2018 Showcase Demo Video | PS4

 現地会場でのプレゼンテーションは以上で終了。しかし全世界向けに配信されていたストリーミング中継では、この後にフロム・ソフトウェアのプレイステーション VR向け新作『Deracine(デラシネ)』の発表や、Media Moleculeが制作中の『Dreams』の新映像が発表されている。

 以上、PlayStation E3 2018 Showcaseの内容をまとめてお届けした。約70分というコンパクトな長さの中で、しっかり時間をかけて見せるものと、短時間で大きなインパクトを残すものとがうまくミックスされ、バランスのよい内容になっていたように思う。

 今回のカンファレンスでは、自信のある4本柱のコンテンツを、複数の会場を使い、会場のギミックも含めた“体験”としてプレゼンテーションする戦略をとったSIE。いまや全世界に向けて同時に映像を配信することが可能になり、またゲームファンの側も、手軽にそうした最新情報をリアルタイムで受け取ることができるようになった。そんな時代にあって、あえて現地に取材に訪れるメディアに向けて、何を、どんな方法でアピールするべきか? 新しい時代にふさわしいものにするべく、チャレンジングな趣向が凝らされた今回のカンファレンスは、新しい、ユニークなエンターテインメントを追求し続けているSIEらしいものだったと言えるのではないだろうか。

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ショーン・レーデン氏も、メディアと同様に会場間を移動。なかなかに慌ただしいが、ほかにない、ユニークなカンファレンスだった。