古代日本を舞台とした独特な世界観と、戦術性の高いバトルでタクティクスRPGファンをうならせた前作『GOD WARS(ゴッドウォーズ) ~時をこえて~』。その発売から約1年後の2018年6月14日に発売となる本作『GOD WARS(ゴッドウォーズ) 日本神話大戦』は、前作の本編とダウンロードコンテンツがすべて収録されているほか、高難度ダンジョンで展開される新シナリオ・黄泉の迷宮も実装。1周目の総プレイ時間は150時間を超える膨大なボリュームであり、さまざまな改良も加えられ、格段に遊びやすく進化している。本稿では、そんな本作が前作から進化した点や、新たに追加された要素など、実際にプレイしてわかった魅力をお届けする。
プレイヤーの戦略が試される黄泉の迷宮
前作のプレイヤーからのフィードバックを反映し、あらゆる改良が加えられている本作。なかでも、前作をプレイした筆者がうれしかったのがバトルスピードの向上だ。オート操作でもサクサクとバトルが進むため、スムーズにキャラクターを育成できた。黄泉の迷宮はいくつもの階層で構成されており、最初はレベル70以上が推奨で、階層を経るごとに推奨レベルが上がっていく。その都度キャラクターの育成が必要になるのだが、黄泉の迷宮では出撃可能なキャラクターの人数上限が6人から8人に増えていることもあり、キャラクターの育成も手間にはならなかった。
とはいえ、黄泉の迷宮の攻略難度は非常に高い。キャラクターの育成は十分でも、しっかりと戦略を立てて行動を選択しないと、あっという間に敵に囲まれ、ゲームオーバーになってしまう。
とくに、5層ごとに現れる、黄泉の気を受けて復活した本編のボスたちとの戦闘は歯応え十分。ステージがボスに合わせた難攻不落の地形となっているほか、ボス自体もパワーアップ。本編では1体で登場したボスが、ほかのボスとペアになって出現するステージもあり、力押しでの攻略ではほとんど勝ち目がない。
筆者の場合、ボス戦ではたいてい一度負けてから、対策を練った編成で挑む羽目になった。だが、難度が高いこともあり、そうして考えた対策がうまく機能したときの気持ちよさは、前作以上。階層が深くなるほど難度も上がっていくが、それにともなってクリアーしたときの達成感も増していく。難敵に悩まされながらも、その達成感のとりこになった。
新プレイアブルキャラクターによって広がった戦略の幅
筆者が個人的にうれしく思ったのが、モモタロウとその配下のイヌ、サル、キジがプレイアブルキャラクターとして使えるようになったことだ。前作では終盤で仲間になるだろうと思っていた彼らが、やっと使えるようになり、心の底からよろこんだ。
そのうえ、モモタロウは既存のキャラクターたちと比べてもかなり強い。パーティーに加わったときはレベル70で、職業スキルをほとんど習得していないため、少し育成する必要はあるものの、育成が済めば黄泉の迷宮でもバッサバッサと敵をなぎ倒してくれる。
また、新キャラクターのオリヒメも、モモタロウに負けず劣らず強力。敵の弱体化から味方の支援までこなせるため、いろいろな編成のパーティーで活躍する。加入には少し手間がかかるものの、その手間を補って余りあるほど扱いやすいキャラクターで、筆者のパーティーでは欠かすことのできない存在となっている。
筆者自身、前作では毎回固定のパーティーメンバーで攻略していたのだが、前述の通りキャラクターの育成が快適になっているうえ、追加キャラクターが強力だったため、いろいろなパーティーを編成して、それぞれの戦略を試す楽しさも堪能できた。
主人公・カグヤたちの宿命と、知られざる過去が描かれる
黄泉の迷宮では、前作の本編クリアー後の世界でシナリオが展開され、本作の主人公であるカグヤとキンタロウの出会いや、ダークヒーローとなったモモタロウの過去、オオクニヌシとスサノオの関係性など、前作では明かされなかったキャラクターのバックボーンが掘り下げられていく。そのため、筆者は前作をプレイしたときの思い出とともに、新鮮な気持ちでシナリオを読み進めていくことができた。
シナリオはプレイヤーの行動によって結末が分岐するマルチエンディングシステムが採用されている。すべての結末を見ると、サクヤ、カグヤ、イワナガの三姉妹に託された使命が明かされる、真の結末が明らかになるのだ。三姉妹の使命とは、いったい何なのか?
カグヤたちの物語は本作で一区切りつくわけだが、筆者は本稿を書くためのプレイを進めながら、ここまで楽しくプレイできるタクティクスRPGが終わってしまうのはもったいないとしみじみ思った。角川ゲームスにはこれからも『GOD WARS(ゴッドウォーズ)』に限らず、楽しいタクティクスRPGを生み出し続けてほしい。