“絶アルテマ”は“絶タイタン”を内包? 『FFXIV』パッチ4.3吉田氏インタビュー

『ファイナルファンタジーXIV』の次期大型アップデートとなるパッチ4.3の見どころを、吉田直樹プロデューサー兼ディレクターに直撃。同氏が明かした、“絶アルテマウェポン破壊作戦”の激烈なまでの難しさとは!?

 『FFXIV』の次期大型アップデートとなるパッチ4.3が、2018年5月22日にリリースされる。これに先立ち、同作の制作を指揮する吉田直樹プロデューサー兼ディレクターにインタビューを実施。「ふつうのRPG1本ぶんのボリュームがあるかもしれない……」と同氏が語る、今回の新要素のポイントをじっくりと語ってもらった。

プロフィール

吉田直樹(よしだなおき)

『FFXIV』プロデューサー兼ディレクター。

“ドマ、真の解放”のカギはヨツユが握る

──パッチタイトルの“月下の華”は、前回の“暁光の刻”と対になるよう名付けたのですか?

吉田 解放されたドマは夜明けを迎えたものの、日は昇り、沈んでいく……このふたつの営みによって平穏な日々が形作られるわけですが、ドマにはまだ解決しきれていない問題が存在します。月が消えて朝日が昇るまでのあいだに、そうした課題は解決されるのか。そして、その果てに咲く華とは一体何なのか……そういったところをテーマにして、今回のパッチタイトルを決めました。

──今回のメインシナリオは、ヨツユがキーパーソンになるのでしょうか?

吉田 かねてからお伝えしている通り、パッチ4.2と4.3で『紅蓮のリベレータ―』の物語が大団円を迎えるとともに、いわゆる“ドマ編”のストーリーも完結します。今回のパッチによって『紅蓮のリベレータ―』のシナリオに関わってきた主要キャストのうち、とくに東方側のメンバーについては、解放者による奪還戦争という意味で全員きれいに結末が描かれています。

──トレーラームービーでは、ヨツユが代理総督時代の声色で話すシーンもありました。

吉田 はたして彼女の記憶が戻るのかどうか。仮にそれが蘇った場合、ヨツユはどうするのか……ぜひトレーラームービーを観ながら、いろいろディスカッションやご想像をしていただければと。今回は“ドマ編”の完結ではありますが、『蒼天のイシュガルド』の当時とは違い、つぎの話への取っ掛かりがわりとドカンと提示されてからシナリオが終わります。ぜひ最後まで気を抜かずに、ストーリーをご覧いただければなと。

──つぎに語られるシナリオの前段階みたいな部分が、ドカンと提示されるのですか?

吉田 『FFXIV』をドラマシリーズに例えるならば、『新生エオルゼア』が第1シーズンという位置づけです。その後の『蒼天のイシュガルド』が第2シーズンで、『紅蓮のリベレータ―』が第3シーズンであるとすると、その3回目のグランドフィナーレを今回のパッチ4.3で迎えることになります。そこからつぎのシーズンに向かって新たな展開が始まるという部分は、いままでよりも明確におわかりいただけるはずです。

“ドマ編”が完結したのちに、つぎのシーズンに向けた物語が胎動を始める。

──なるほど。

吉田 今回のラストでその一歩目を踏み出すわけですが、そうした部分は“ドマ編”の完結と切り離してお楽しみいただくといいかもしれません。僕としては、ちょっとびっくりしてもらえるのではないかなと思っています。

──ゼノスから蛮神の力を与えられたのはじつはヨツユで、彼女自身が新たなボスとして光の戦士の前に立ちはだかる、みたいな展開を映像から想像しました。

吉田 なるほど……当たっているといいですね(苦笑)。そういう形でいろいろ議論していただければなと。ともあれ、つぎのシーズンに向けての展開は、明示されますがあくまでも次回予告。本編でその場面を目の当たりにしたときに、“やっぱりそう来たか”とニヤリとされるのか、あるいは“やられた!”と感じられるのか……人によって感じかたが違うでしょうし、当該シーンの受け止めかたや解釈も人によって異なるはず。僕もいっしょにシナリオの最終調整を行なったので、そのぶんよくなったとは思っています。『FFXIV』というよりも、『FF』シリーズの最新ストーリーとして楽しんでもらえるとうれしいです。

──シナリオやボイスのボリュームも、『紅蓮のリベレータ―』のフィナーレにふさわしい分量でしょうか?

吉田 結構長めです。時間に余裕があるときに、じっくりとプレイしていただいたほうがいいとは思います。

──アサヒの裏にゼノスの影が見え隠れしているように思えます。アサヒはドマに対して和平交渉という名目で謀略を仕掛けようとしている印象ですが、いい意味で力の信奉者であるゼノスが、それをよしとするとは思えません。そのあたりの謎といいますか疑問みたいなところも、今回明らかになるのでしょうか?

吉田 そうですね。たぶん決定的なシーンが観られるとは思うので、もう一段わかるはずです。ヨツユの記憶がはたしてどうなるのか、アサヒは何を企んでいるのか、それに対してゴウセツはどう対応しようと考えているのか、それを知ったヒエンは君主として何を決断せねばならないのか……このように、いまはお話しの軸が複数存在します。もちろんそこに、“ゼノスは何なんだ”という軸も入ってきます。これらが今回、きれいに一段階前に進むので、ぜひご自身の目で真相を確かめていただければと。

──楽しみです。

吉田 鳥海さん(鳥海浩輔さん。声優。ゼノスのボイスを担当)をはじめとする声優さんたちの演技も本当に素晴らしいので、そのあたりにもご注目ください。

──今回のメインビジュアルではヨツユが大きく描かれているうえに、彼女を象徴する月下美人が周囲に散りばめられています。いまお話しされた物語の軸をまとめる存在として、ヨツユがいるのでしょうか?

吉田 いずれにせよ、ドマの解放が完全に達成されていない最後のネックは、ヨツユが生きているうえに、記憶まで失っている点にあります。その部分に関して何らかの結末を見ない限り、ドマはつぎに進めません。どういう形になるにしろ、何らかの決着はつくので、メインビジュアルでそれをイメージした感じです。

パッチ4.3のメインビジュアル。ヨツユの物憂げな表情が意味するものとは……?

──そこまで深い意味が込められているとは驚きです。

吉田 メインビジュアルに限らず、あらゆるパブイラストは僕が構図を決めているので、こだわってはいますが……じつはそろそろ構図アイデアの引き出しが限界に達していて(苦笑)。

──(笑)。今回はどんなイメージを伝えられたのでしょうか?

吉田 「ヨツユをアップにしたい。以上」みたいな感じです(笑)。

──イラストの縦位置や横位置も、吉田さんが指定されているのですか?

吉田 最初は「いつも通り縦位置でいいかな」と伝えていたんですが、「宣伝用の素材として使いづらい」と言われたため、今回は横位置になりました。すると今度はメインビジュアル制作担当の皆川さん(皆川裕史氏。アートディレクター)が、「ロゴのおさまりが悪いかも」と……。

──そこで吉田さんは何と?

吉田 「もう知らないから何とかしてくれ!」と(笑)。

──(笑)。拡張パッケージを制作する際に行われるシナリオキャンプの時点で、そうした部分をいっしょに決めることはできないのでしょうか?

吉田 拡張パッケージのシナリオを決める際の主軸は、ストーリーとともに、あくまでもプレイヤーのゲーム体験を話し合うことが大前提です。バトルコンテンツを中心とするさまざまな遊びと、ストーリー体験を交わらせることで、ゲームをいかに面白くするか……これしか議論していません。

──ディレクターとしての仕事に専念されていると。

吉田 はい。それらが決まった後に、プロデューサーとして“どうやってPRを配置しよう”みたいな流れで考えていくことになります。ストーリーを決めているときとは、僕の中で思考のスイッチを切り替えていますし、そもそもシナリオ担当のスタッフに、いまお話ししたようなことを考えてもらうのは、おかしな話かなと思うのです。

──確かにそうです。

吉田 ある意味プロデューサーは、開発しているゲームの中身を誇張しなければならない面もあります。なぜなら、たとえば真実のテーマをプロモーションでそのまま見せたりすると、「いきなりネタをバラすようなことをなぜやるんですか?」みたいな感じで開発側から怒られてしまうからです。

──ではどうすればいいのでしょう。

吉田 シナリオの部分で含みを感じさせつつも、インターネット上でメインビジュアルを見た新規の方が“遊んでみようかな”と思ってバナーをクリックし、その先のプロモーションサイトに飛んでもらえる作りにする必要があります。そうした方々に興味を抱いてもらうことと、ゲームそのものをどう表現するのかという部分は別次元の問題です。アイデアに苦しくなったら開発に相談して、ネタを貰うこともありますが、いずれにせよ、開発とPRは別の頭で考えます。

“絶アルテマ”の報酬は光り輝くAF1武器

──絶アルテマウェポン破壊作戦の入場条件は、前回を踏襲していますか?

吉田 次元の狭間オメガ零式:シグマ編の踏破がキーになっています。

──アイテムレベル制限も同様ですか?

吉田 絶バハムート討滅戦の時と同じように、現時点での最高アイテムレベルで挑んでいただくことになります。

──現状ですでに持っているものは、すべて活用できると。

吉田 はい。その状態です。

──やはり今回も、“まずはイフリートから倒してもらおうか”みたいな展開になるのですか?

吉田 イフリートからかどうかは別として、絶バハムート討滅戦と銘打つコンテンツなのに、ツインタニアとの戦いを冒頭に配置してしまった須藤神(須藤賢次氏。バトルコンテンツデザイナー)が悪いですね(笑)。あれがもとで、“いきなりアルテマウェポンがいるわけにはいかないだろう”的なチキンレースが始まってしまいました。

──バトルのプランを吉田さんがご覧になったうえで、「つぎは絶アルテマウェポン破壊作戦でいこう」という感じで決まったのですか?

吉田 絶バハムート討滅戦というカードを最初に切ったので、「つぎはアルテマウェポンしかないね」という話にはすぐなりました。バトルプランに関しては、初期の段階で担当者が「3蛮神を使いますよ」と報告してきたので、「僕は絶タイタン討滅戦が見たかったのに、ここで使ってしまうのかぁ」とちょっと残念でしたね。

──それに対して企画スタッフの方は何と?

吉田 「吉田さんが絶タイタン討滅戦で想像していたようなことは、今回のバトルに入れておくので大丈夫です」と(笑)。

──なんと(笑)。

吉田 確かに、そんなふうになっていますね……(苦笑)。

──ステージ全体にランドスライドが……みたいな感じですか?

吉田 えらいことになっています。皆さんからお寄せいただいた絶バハムート討滅戦のフィードバックを受けて、全体のクリアー時間は前回よりも数分短くなるようにしました。その代わりに展開がものすごく早いため、フェーズが超ハイペースで進みます。ワイプになるときは、一瞬です(笑)。

──難度の面で前回と比較すると……?

吉田 そこは人によると思います。

──以前、絶バハムート討滅戦をテストプレイした際に“なんだこりゃ”という印象を抱いたとお話しされていましたが、今回の感想はいかがでしたか?

吉田 “なんだこりゃ”の度合いは、こちらのほうが大きいです。絶バハムート討滅戦の当時は、8人で吹き飛んでホールインワンしてください的な“なんだこりゃ”でした。今回はロジックがすごすぎて、「おいおい」という感じです。これ以上は攻略のヒントにつながってしまうのでお話しできませんが、インターネット配信で観戦している方は、前回よりも楽しめるかもしれませんね。

──映像を観ている側もわかりやすいと。

吉田 展開が早いので、絵が面白いのではないかなと。

──ギミックを解明しつつクリアーを目指すトッププレイヤーの人たちは、そういう味付けを好むような気もします。

吉田 戦闘時間を短くする代わりに前回より難しくしていいというお声を、わりと素直に反映させたつもりではいます。超絶レベルの難度で、しかも展開が恐ろしく早いですが、解ければきれいに突破できるのでは。逆に言えば、そのキレイさがなければ解けないかもしれません。

──極ナイツ・オブ・ラウンド討滅戦の終盤に登場する、ギミック連発のフェーズが頭をよぎりました。

吉田 あんなにゆっくりではないですね……(笑)。

──そうですよね(笑)。報酬となる武器のグラフィックスは、既存の武器が光る感じですか?

吉田 そもそも究極幻想 アルテマウェポン破壊作戦には、報酬として武器が設定されていません。絶バハムート討滅戦にはもともとの武器があったのでそれをベースデザインにしましたが、今回は“各ジョブを象徴するデザイン”のテーマのもと、いわゆる“AF1”を中心にデザインを踏襲しています。

──そうなんですか!

吉田 当然ながら“AF1”が存在しないジョブもあるので、たとえば暗黒騎士に関しては、『蒼天のイシュガルド』時代のAF(ウェザード・デスブリンガー)から持ってきました。各ジョブのイメージにふさわしい武器を、ド派手にした感じです。

──光りかたも特徴的ですか?

吉田 かなり調整しました。

──絶バハムート討滅戦の武器の光りっぷりは、すごかったです。

吉田 あれはすごくよかったと思っています。武器と称号を見れば、絶バハムート討滅戦をクリアーしていることがすぐにわかりますから。

──称号に関しても、前回の“the Legend”に匹敵するものがもらえるのですか?

吉田 称号も用意してあります。

──ふたつの“絶”を突破した人向けのご褒美が用意されていたりしますか?

吉田 今後もシリーズを続けていくとしたら、その場合、クリアーを毎回強要することにもなってしまうので……。それよりも、すべての武器を取るために絶バハムート討滅戦に通っている方もおられるので、“何回突破した”みたいな報酬のほうがいいのかもしれません。いずれにせよ、今回はシンプルに称号はひとつです。