『PUBG』国内大会運営チームにインタビュー。“PJS”βリーグでは「選手にフォーカスしたコンテンツなど多数の企画を用意」

PC用バトルロイヤルシューター『PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS』のDMMGAMES公式大会“PUBG JAPAN SERIES”βリーグ。2018年5月18日の開幕前に、大会運営チームにインタビューを行った。

 PC用バトルロイヤルシューター『PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS』(以下、『PUBG』)のDMMGAMES公式大会“PUBG JAPAN SERIES”βリーグが、2018年5月18日よりいよいよ開幕(Class1は19日より)。

 “PUBG JAPAN SERIES(PJS)”とは、日本国内における“PUBGプロリーグ設立”を目指して開催するリーグ形式の大会。国内の『PUBG』プレイヤーに世界大会への切符が掴める公式大会の場を提供しつつ、プロリーグ設立へ向けての準備段階として、“αリーグ”に続き“βリーグ”が開催される。大会を通して、DMMGAMESはプレイヤーとともにコミュニティを盛り上げ、最終的に『PUBG』でのesports大会を実施し、“選手が自立できる”ようになることを目標として掲げている。

 βリーグからは二部リーグ制を採用するなど、大会規模が前回よりも大きくなっている。そのβリーグ開幕前に、PJS運営チームにメールインタビューを行った。αリーグで感じたことや、そこから出た問題点、βリーグへの意気込みなど、さまざまな点について話を伺った。

αリーグについて

――PJSαリーグの感想をお聞かせください。

 公式Twitterでも投稿させていただいたのですが、熱い試合を見せてくれたチームと選手の皆様、配信を盛り上げてくれた視聴者の皆様、手に汗握る配信を届けてくれたキャスターの皆様、80人同時参加での大会という前代未聞の進行をやり遂げたスタッフの皆様、大会運営を支えていただいた協賛企業の皆様、もちろんメディアの皆様を含む、すべての関係者の方々に大会運営チーム一同、心より感謝しております。

 海外ではさも当たり前のように行われている20チーム80名が参加する大会を、約3ヵ月に渡って日本でも無事に開催できたのは、多くの方々がPJSαリーグにご協力いただいたおかげだと思っております。

 この場を借りて御礼申し上げます。

――αリーグの運営で苦労した点はどこでしょうか?

 まずPUBG Corp.(『PUBG』開発元)から、公式大会を実施するにあたり提示された、“選手全員を審判のいる会場に集めてプレイさせる”という最低限のレギュレーションをどう守るかがたいへんでした。一般的なesportsタイトルであれば会場にいる選手は10~20名であるところを、80名集めなければいけないので、会場探しには苦労しましたし、選手の皆様には負担をかけてしまったと思います。

 ほかには機材なども80名分に加えて、予備を含めると100台以上の規模で集める必要があり、ご協賛企業担当者様のご協力なしでは運営することはできませんでした。

 また、ゲーム自体が正式サービスを開始してまだ1年も経っておらず、いわゆるesports向けにカスタマイズされていないので、現状のゲームクライアントでどこまで大会運営ができるかがネックでした。これはPUBG Corp.の協力と大会実行チームのおかげで何とかクリアできました。

――PJSではチームとどのような契約を結んでいるのでしょうか?

 ザックリ言いますと、選手もしくはチームと弊社で出演者契約を締結させていただいております。細かいところは契約内容に関する部分なので、控えさせていただければと思います。

――αリーグの配信視聴者数について、いかがでしたでしょうか?

 全体的に見ると、αリーグというテスト段階にも関わらず、多くの関心を寄せていただき国内の『PUBG』配信では盛り上がったほうだと感じています。PJSでは全選手が配信することをルールで定めておりましたが、全選手の視聴者数を足すと、公式配信視聴者と同数くらいになり、『PUBG』というタイトルのポテンシャルと配信というコンテンツの親和性の高さを感じました。

 ただ、どうしても長期に渡って配信を続けるとマンネリ化してしまい、徐々に視聴数が伸び悩んでいったのも事実です。そこで、αリーグ期間中でも出演者による解説コーナー(アナリストデスク)を用意して、実況・解説とは別に試合内容をより深く視聴者の皆様にご説明できる時間を用意することをはじめ、テストリーグだからこそ配信製作チームとミーティングを毎週重ねながら、試行錯誤をして配信しておりました。βリーグでもさまざまな企画をご用意しておりますので楽しみにしていただければと思います。

――αリーグの配信(オブザーバー)で、苦労した点はどこでしょうか?

 オブザーバーは専門の担当チームにお願いしておりました。αリーグのDay1とDay2では事前に国内Scrim(練習試合)コミュニティにご協力していただき、オブザーバーの練習をさせていただいておりましたが、やはり配信のコメントを見ると満足できるものではなかったと思います。

 しかし、オブザーバーチームはRound毎にミーティングを重ねて、よりよい場面を映せるように努力しており、Phase2では多くの皆様にいいシーンをお見せできたのではないかと思っています。もちろん現状に満足せず、継続してクオリティ向上に取り組んでもらっていますが、結果的にPJSのオブザーバーチームが、より多くの人に評価されるようになればと思います。

 Phase2から実況・解説だけではなく、オブザーバーも公式サイトやプレスリリースで紹介するようになったのも、そういう理由があります。視聴者から「彼のオブザーバーなら安心して試合が見られる!」というように、ひとつのスキルとして評価されるようになることが目標のひとつです。

――特設サイトや公式Twitterで、心がけていた点、注力した点はありますか?

 試合中はいいシーン(ハイライト)を公式ツイートで投稿するようにしておりました。とくに反響が大きかったのは、水中に潜んでランクアップを狙う作戦(通称:マーメイド)を採用したプレイヤーたちを陸上にいるプレイヤーが水際で倒しまくるシーンなどです。その作戦の是非は置いておき、視聴していて思わず笑ってしまうようなハイライトの投稿は、リアルタイムで大会を視聴できなかった人にも楽しんでいただけたのではないでしょうか。

 また、特設ページではファミ通さんをはじめ、各メディアさんの記事を一覧で見られるようにしたり、チームインタビュー記事などを更新したりしました。

 βリーグへ向けて、大会運営スタッフが選ぶ「Good Play of the Round and Day」と呼ばれるその日のいいシーンをまとめたものや、アナリストデスクとは別視点で試合を解説する「Round Analyst」など、試合内容を掘り下げて観戦がおもしろくなるような施策を準備していますので楽しみにしてください。

 Twitterでは、今後は試合内容だけではなく、選手にもフォーカスした企画を予定しています。海外ではよくコラージュ画像などが、大会公式Twitterで投稿されたりして“meme”としてコミュニティを盛り上げています。大会観戦をしながら感想をTwitterで投稿する視聴者の方は多いので、いろいろな企画でより盛り上がれるよう貢献できればいいなという感じです。

――αリーグでは、選手からどのような要望や感想があがっていましたでしょうか?

 αリーグ終了後にアンケートを取らせていただいたのですが、60%の選手に満足だったと回答いただけました。率直に言うと、弊社としてもesportsの試みもそうですし、この規模のイベントを企画することも初めてだったので、かなりのご負担とご迷惑を選手にかけてしまったと思っております。βリーグではこの反省を活かして、αリーグより満足していただける大会にしなければならないと、大会運営スタッフ一同が感じています。

 ゲームの部分で言うと、リザーブ選手の制限やキルポイント(PJSでは5点)、FPPモード(一人称視点)の追加などについてご意見をいただきました。以前に大会運営チームより発表させて頂いたβリーグへ向けての展望(→こちら )にも記載したのですが、大会ルールなどは世界大会などの規準を採用しつつ、PUBG Corp.と調整して決めております。

 リザーブ選手は仮に20チームにリザーブを1名認めると最大20名のプレイヤーが増えることになり、宿泊地の手配が間に合わなくなったり、契約関係で手続きが複雑になってしまったりすることが想定されるので、現時点では対応が難しいと感じています。今後安定して大会運営が出来るようになればそういった部分も対応可能になるはずです。

 弊社もPUBG Corp.も、『PUBG』のesports化についてはまだ試行錯誤の段階なので、引き続き選手からはいろいろなフィードバックをいただきたいです。もちろんメディアの方々からの、こういった質問もたいへん参考になります。

――αリーグで注目したチームや選手はいますか?

 まずはUSG_Hyster1cJamのclockbox選手です。彼は会場に入るときに毎回挨拶をしていたのが印象に残っています。プロチームからみて商品であるプロゲーマーは、ただ単に好きなゲームをプレイしているだけでは、成り立たないと思っています。そういった点では、きちんと挨拶ができる彼は、大会運営スタッフから見ていてもいいプレイヤーのひとりでした。

 プレイングの部分でいうと、彼の所属するUSG_Hyster1cJamは、試合中にお互いに声を出し続けていて、そういった部分もPhase2優勝に結びついたのではないかと思います。『PUBG』というゲームは、想定外のイレギュラーなことが他のゲームより多く発生します。そこでイレギュラーを自分たちの力にするためには、チーム全員で“ドン勝“を取るという姿勢が大事だと感じさせてくれました。

 ほかにはSunSister Suicider'sは、Phase2の冒頭でスコアが落ち込んでしまったのにも関わらず、最終的に2位にまで上がってきたのは流石だと関心いたしました。国内の『PUBG』チームではダントツに海外経験があるので、やはりその差はあるのかなと思います。

 他のチームでもαリーグもPhase1 Day1とPhase2 Day6では、まったくプレイスタイルを変えてきたチームが多くありました。各チームが国内外の試合を研究して切磋琢磨している様子が見て取れました。PJSを通して多数のチームやプレイヤーが成長していたので、大会運営チームとしては非常におもしろい試合展開を見せていただきました。

SunSister Suicider'sは、αリーグPhase1で優勝、Phase2では2位の好成績を残した。

――αリーグを通じて、問題点はありましたでしょうか?

 国内初の『PUBG』公式大会ということで、多くの問題点がありました。まずは社内での対応フローが整っておらず、大会を行いながら修正していくという状態でしたが、現在はスタッフも開幕当初より増員したので、よりスムーズに対応できるようにいたします。

 大会運営の部分で言うと、毎週土曜日に選手80名を一ヵ所に集めて試合に出場させるという大会フォーマットで実施するうえで、遠方に住んでいる選手の負担が増えてしまうことも問題でした。たとえば前日入りにした場合、金曜日の午後出発になってしまうので、社会人プレイヤーは出場できないかもしれません。仮にこれを個別に認めると、前日入りできる選手とできない選手との差が新たに生まれてしまうので、悩ましいところです。

 将来的に“選手が自立すること”を目標としていますが、まだテスト段階のリーグに出場するために、選手が退学したり退職したりすることは望んでいません。韓国では日本より国土が狭いことと、プロゲーマーに対するハードルが低いので、指定された会場に集まって試合に参加することが比較的容易にできるそうですが、日本ではなかなか難しいというのが実情です。ただ、今後どうにか選手の負担が少なくなるような形にしていきたいです。

 実際のところ、ゼロから始めたαリーグはこれ以外にも多くの修正すべき点がありますが、βリーグに向けてよりよい大会になるように試行錯誤を行っているので、引き続き選手や視聴者の皆様だけでなく、大会に関わるすべての人々にご協力いただければ幸甚です。