アメリカはカリフォルニア州サンフランシスコ在住の記者が昨今如実に感じているのが、北米での日本のゲームの存在感の復活だ。

 ゼルダやマリオはもちろん、空港で検査官に「それ『ニーア オートマタ』のTシャツ? 私いま3周目よ」なんて言われることもあるし、業界人やコアなゲームファンともなれば、かなりのニッチ向けだった『モンスターハンター: ワールド』や『Yakuza』(龍が如く)の話がそれなりに通じるようになっていて、逆に彼らからSNS経由でスクリーンショットやジョークが流れてきたりする。

 さて、こうした状況をクリエイター側はどのように捉えているのか? 8人のクリエイターと、1人のローカライズ関係者にその考えを聞いたドキュメンタリー“Ebb and Flow”がYouTubeで公開中だ。

 製作・配信しているのは、日本のさまざまなクリエイターに取材して海外に発信するチャンネル、Archipel(アルシペル)。同チャンネルはこれまでも頻繁に日本のゲームクリエイターをフィーチャーしてきたが、今回はその特別版とでも言うべき内容。人数が多い分だけ普段より長い、39分超のボリュームだ。

 登場するのは、橋野桂氏(『ペルソナ5』)、名越稔洋氏(『龍が如く6 命の詩。』ほか)、中西晃史氏(『バイオハザード7 レジデント イービル』)、水口哲也氏(『Rez Infinite』)、徳田優也氏(『モンスターハンター: ワールド』)、外山圭一郎氏(『GRAVITY DAZE 2』)、安田文彦氏(『仁王』)、ヨコオタロウ氏(『ニーア オートマタ』)、そしてそれらのゲームの海外展開に関わっているローカライズ会社8-4のジョン・リカーディ氏(順不同)。

※2018年5月11日午後7時35分訂正:当初、参加者のひとりを上田文人氏と記載しておりましたが、正しくは安田文彦氏となります。読者ならびに関係者の皆様にお詫びするとともに訂正致します。

 その考察は幅広く、AAA(超大作)とインディーに分かれつつある市場のスポットにハマったのではという推測や、技術的観点や組織論からの分析、それぞれのキャリアからの振り返り、海外クリエイターとの交流から見えてきた強みなど、絶対的な正解と断言できるものはなくとも、興味深い示唆にあふれている。