ドワンゴがバーチャル生放送対応の大型モーションキャプチャースタジオを新設、VRの新体験“バーチャルキャスト”を体験

2018年4月16日、東京・池袋のニコニコ本社にて、ドワンゴのVRを活用した新サービスの体験会が開催された。その模様をお届けする。

つねにVRを意識して事業を展開

 2018年4月16日、東京・池袋のニコニコ本社にて、ドワンゴのVRを活用した新サービスの体験会が開催された。その模様をお届けする。体験会は、VRの新サービスの概要について説明がなされたのち、実際にニコニコ本社に導入された新設備を見学、体験するという流れで行われた。まずは、ドワンゴ マルチメディア企画開発部 先端演出技術開発セクション 岩城進之介氏が、同社がこれまでどんなことを展開してきて、今後どこへ進もうとするのかを説明した。

最初に岩城氏が、これまでのドワンゴの活動と、新たな取り組みを説明した。

 冒頭で岩城氏は改めて、ドワンゴがどんな会社であるかを紹介。日本最大級の動画サービス“ニコニコ動画”の運営をベースとしつつ、“ネットとリアルの境界線を崩す”方向性と、“ニコニコ超会議”などの事例がいくつか語られた。

動画サービスを軸として、“ニコニコ超会議”など、ネットとリアルが融合した多彩なイベントを展開。

ライブハウス“ニコファーレ”は、壁一面がモニターとなっているのが特徴。コメントが流れ、リアルタイムで出演者とユーザーがいっしょに盛り上がれる。

ネット上で選挙イベントを実施した試み。視聴者はアバターとなって、応援演説に対してヤジを飛ばしたりもできる。

ニコニコ本社にあるバーカウンターでは、視聴者がネットを見て、“差し入れ”することも可能。

将棋対局のリアルタイム解説や、小林幸子さんのライブ放送などにも、VRを活かした演出を導入。

ドワンゴが展開するN高等学校では、遠方の校長先生の話をVRで体験できるなど、VR技術を活かした入学式が行われている。

AR技術の導入で大きな軸となっているのが、ARキャラクターライブだ。バックヤードにいる演者の動きが、リアルタイムでステージに再現される。ユーザーが作成したデータでのライブも可能。このシステムは、“超歌舞伎”などにも活用されている。

立体的なキャラクターと、ARで記念写真を撮ることもできる。

バーチャルユーチューバー(Vtuber)の事例として紹介された、のじゃロりおじさんの放送。ユーザーのコメント数に応じてキャラクターの脇からおにぎりが出て、空を飛ぶというギミックが仕掛けられている。

放課後の教室が舞台の放送では、ユーザーのコメントが背後の黒板に流れるといった演出も。

近年はAR/VR技術をさらに強化

 会社の基本的な事業展開に続いて岩城氏は、本題となる“AR/VR技術”について説明。ここでは培ったノウハウをもとに、モーションキャプチャーが可能な自社スタジオを展開している点などが、強みとしてアピールされた。

自社スタジオやイベント拠点があることは、同社のAR/VR展開にとって大きなアドバンテージとなっている。

 それを踏まえたうえで、まず発表されたひとつ目のトピックスは、ニコニコ本社の新設備となる生放送スタジオ。パーソナリティとしてVTtuberが出演してリアルタイムに交流できる、VR機能を活かしたスタジオ設備となっている。

VRキャラクターと目線を合わせながらおしゃべりできるスタジオブース。

 続いて発表されたふたつ目のトピックスは、“Virtual Cast(バーチャルキャスト)”。これはひと言でいうと、簡単にVRキャラクターになりきれるシステム。プレイヤーの動きに合わせて、VRキャラクターが画面内で同様に動く。

ゴーグルと両手に持った装備で、モーションキャプチャーで自分の動きがVRキャラクターに再現される。キャラクターの容姿は自由に選択可能。

4月13日に行われた“ニコニコ超会議”発表会での、デモンストレーションの様子も紹介された。

今度のニコニコ超神社は落とし穴付き!? 新たな配信サービス“Virtual Cast(β)”も発表された“ニコニコ超会議2018”発表会第3弾をリポート

2018年4月13日、六本木のニコファーレにて、“ニコニコ超会議2018”の第3弾発表会を実施。ステージにはゲストが登壇し、各ブースの最新情報や企画について発表された。

 最後となる3つ目のトピックスは、VR向けアバターファイル形式“VRM”だ。これはプラットフォーム共通のファイル形式で、対応アプリケーションすべてにおいて同じ3Dモデルデータを使用できる仕様となっている。これにより、生放送や動画、ゲーム配信など、それぞれの世界で存在するVRがプラットフォームを超えたコラボを実現。なお同社では発表の4月16日より、オープンソースで無料公開している。

アプリケーションの垣根を超えて、3Dアバターがさまざまなジャンルで活躍できる。

目指すのはネットとリアルの融合

VR事業について詳細を説明してくれた助田氏。

 続いては、事業戦略本部 VR文化振興室 副室長の助田徹臣氏が登壇。ドワンゴのVR事業について補足した。助田氏によると、同社のVR関連の事業は3分野で、それぞれコンテンツ&IP事業、プラットフォーム&サービス事業、リアル事業となる。ここではそれぞれの具体的な内容や価値が語られた。
 コンテンツ&IP事業では、会員数の実績や、Twitterでの高評価例を紹介。プラットフォーム&サービス事業ではバーチャルキャストの可能性が、リアル事業についてはニコファーレの活用やグッズ展開のサポート体制などを紹介。そのうえで、最後はそういったVR展開の最新例として、多数のVTuberも出演する“ニコニコ超会議”をアピールした。

順調に成長しているコンテンツ&IP事業パート。

プラットフォーム&サービス事業では、新たな試みのバーチャルキャストが注目を集めている。ゲームの発表会などでも活用されそうだ。

ネットとリアルの融合を推進しているリアル事業では、会場の準備やノウハウの提供などを幅広く展開。

4月28日~29日に開催される“ニコニコ超会議2018”。同社のAR/VR技術がしっかり反映されている。

ラストはメディア陣が実際に体験

 VRサービスの説明に続いては、いよいよ実際の体験会に。まず見学できたのは、VRキャラクターとともに生放送を配信できるスタジオブースだ。スタジオにはメインキャスターの斜めにモニターが配置され、そこにVRキャラクターが映し出せれて、キャスターとリアルタイムでやり取りできるシステムとなっている。
 実際の仕組みとしては、別室に声優さんなどの人間のキャストがいて、その動きをモーションキャプチャーでリアルタイムにVRキャラクターに再現し、ボイスを実演。リアルな会話応対や、豊かなアクションが実現できるのが特徴だ。なお顔の表情は、パネルのボタンを押すことで変化させているとのことだ。

モニターをはさんで、リアルな会話が体験できる。

別室の演者の動きや声が、モニター裏のカメラを通じて再現される仕組みだ。別室キャストの机の右下にあるのが、表情変化のタッチパネル。

 おつぎは、“バーチャルキャスト”体験。ここではゴーグルをはめて両手にアイテムを装備し、VR空間で物をつかんだり、ほかのVRキャラクターと触れ合うような感覚も味わえた。

 VR展開の説明および、実際の体験プレイタイムを終えて、体験会イベントは終了となった。印象としては、同社が培ってきたAR/VR技術の方向性が、より強くアピールされた形。今後も“ニコニコ超会議”のみならず、AR/VRの可能性を幅広く展開していく活動に期待したい。