先週ボストンで行われたゲームイベント“PAX EAST 2018”で、OtherSide EntertainmentのアクションRPG『Underworld Ascendant』のプレスデモを体験してきたので、その内容をご紹介しよう。

 なお本作は、505 GamesをパブリッシャーにSteamで2018年にリリース予定。製品版では日本語にも対応するようだ。

 さて『Underworld Ascendant』とはズバリ、往年の名作RPG『ウルティマアンダーワールド』の精神的後継作である。しかも、OtherSide Entertainmentを率いるポール・ニューラス氏とウォーレン・スペクター氏は、オリジナル版を開発した名門Looking Glass Studios(当時はBlue Sky Productions)のコアメンバーでもある。

 というわけで権利的な事情を除けば、少なくともビジョン的には後継作やリブート作としてかなり由緒正しい作品となる。

 PAXデモの内容は、本作のキーとなるプレイヤーの発想を歓迎するゲームデザインの方向性を体感させるための、ダンジョンからの脱出ゲーム的なものだった。

 基本は一人称視点のアクションRPGで、さまざまなオブジェクトを持ち運び可能。“箱をスイッチに置いてゲートを開けっ放しにする”、“物をぶん投げてレバーを動かす”といったように、これを使ってパズルを解けるようになっている。

 中でも笑ったのが、開かない木製扉の先に進む方法。普通は鍵を見つけたり、別ルートを探さなきゃいけないところだが、本作では“灯りの火を移して焼く”とか、場合によっては“壊して強引に進む”といった方法を取れる。

開かない扉があるなら焼けばいいじゃない。プレイヤーの発想を歓迎するRPG『Underworld Ascendant』に名門の魂を見た【PAX EAST 2018】_05

 最近のタイトルなら『マインクラフト』や『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』がそうであるような、ゲーム内の自然法則を利用した、サンドボックス的な解き方ができるわけだ。

 ファンタジー世界であるからして、その自然法則には魔法も含まれ、物体を静止させる能力を持った魔法の杖でトラップを止めて進むシーンも。また今回のデモには入っていなかったが、“ダンジョンのトラップに余計なものを投げ込んで機構を破壊する”といったこともできるらしい。

 またステルス的な要素もあって、“物をぶん投げて音で注意をひきつける”とか、“水の矢で灯りを消して隠れやすくする”とか、“大きな照明を吊っているロープを矢で断ち切って落とす”といったことも可能。

開かない扉があるなら焼けばいいじゃない。プレイヤーの発想を歓迎するRPG『Underworld Ascendant』に名門の魂を見た【PAX EAST 2018】_02
開かない扉があるなら焼けばいいじゃない。プレイヤーの発想を歓迎するRPG『Underworld Ascendant』に名門の魂を見た【PAX EAST 2018】_01
開かない扉があるなら焼けばいいじゃない。プレイヤーの発想を歓迎するRPG『Underworld Ascendant』に名門の魂を見た【PAX EAST 2018】_03

 こういった要素のひとつひとつはいまや珍しくないと思うが、そもそもそれもLooking Glass Studiosが関わった『ウルティマアンダーワールド』や『シーフ』や『システムショック』といったタイトルが、プレイヤーのアクションと環境を組み合わせて活路を見出す一人称視点の没入型ゲームという潮流を生んだからこそという部分もある。

 そりゃ本作、ぶっちゃけて言ってしまうと見た目もちょっと古い感じだが、そんなゲームデザインの魔法使いたちが再びこの手のジャンルに挑もうってんだから、ここからどんな遊びが可能になるかという方が大事なんである。早くテスト環境ではないゲーム本編を遊んでみたいところだ。

開かない扉があるなら焼けばいいじゃない。プレイヤーの発想を歓迎するRPG『Underworld Ascendant』に名門の魂を見た【PAX EAST 2018】_04
デモをクリアーしたら、「遊んでみてどうだった?」と聞こえて振り返ってみたらポール・ニューラス御大その人が。「ミスター、これは本当にLooking Glass Studiosの魂を持ったゲームでした」と恐縮しながらコメントしたところ、「僕らの何人かは本当にLooking Glassだったからね」とニヤリ。