PC、ガントレット、ゲーム機、スーツ……形を変えて受け継がれてきた悪魔召喚プログラムは、ついにスマートフォンアプリに。
というわけで、メガテンファンの皆さん遊んでますか? 『D×2 真・女神転生 リベレーション』。ええっ? 遊んでいない? もったいないですよ!
なぜなら本作は、タダの一般人(=あなた)が人智を超えた悪魔使いになるまでの修業の日々を、めちゃめちゃリアルに疑似体験できる、まさに“ロールプレイング(役割を演じる)ゲーム”なのだから。
ですから本作を最大限楽しむコツは、自分自身が“一人の新米デビルサマナー”(※)になりきって遊ぶこと。
ゲームの中の主人公ではなく、あなた自身がスマホに悪魔召喚プログラムをインストールしたつもりで、悪魔と過ごす日々を生活の一部にしてしまいましょう。そうやって毎日コツコツ継続してプレイすれば、どんな悪魔でも必ず仲魔にできるシステムになっています。
逆に、本作を“よくあるスマホゲーム”と捉えて始めてしまうと、渋めに設定された召喚(ガチャ)の確率に面食らってしまうかも……。
ですがよく考えてみてください。我々みたいな凡人が、いきなりシヴァやルシファーと契約できると思いますか?
答えはもちろん「NO」ですね。そんなことができるなら、世界がいくらあっても滅び足りません。
くり返しますが、これは『冴えない高校生の俺がシヴァと契約してしまった件』ではなく『真・女神転生』です。
彼ら英霊や神々を使役するためには、現実世界で起こる事件を解決し、異界に潜って経験を積み、悪魔合体の施設に足しげく通う必要がある。強大な力は一朝一夕では得られない。
もしかしたら、もどかしく感じる人もいるかもしれません。僕もはじめはそうでした。でも、そんな研鑽の日々こそが、妖しくも刺激的なサマナーの日常だと思いませんか? あなたも体験してみたいと思いませんか?
本稿では、そんな本作の魅力を皆様にお届けしていきます。
さあ、悪魔召喚時の決めポーズは考えました? 交渉前の発声練習はOK? それじゃあ、始めましょう。
ライトだからこそダークさも際立つ、ソーシャル時代の女神転生
作中の主人公は、フリーの悪魔使いではありません。
悪魔関係の事件を解決する組織“リベレイターズ”の一員となって、強大な敵との戦いに巻き込まれていく……いえ、「巻き込まれる」なんて眠たい表現は不適切ですね。あなたの意志で戦いに身を投じていくのです。
本作で描かれるのは、カジュアルな欲望で悪魔を使役し、カジュアルな理由で悪魔と戦う、等身大の若者たちの物語。一見すると、新規ユーザー向けのライトな物語にも感じます。
しかしながら、正義感、義務感、興奮と快感……それぞれの欲を満たすために悪魔を殺す彼らを見ていると、リアルな“ヒト”の恐ろしさを見せつけられているようで、なんだか背筋がぞっとする。このあたりの人間描写は非常に『女神転生』らしい。
それにストーリーはまだまだ序章。これから世界がどう転がっていくのか、リベレイターズの未来に何が待ち受けているのか。今後のアップデートにも邪な期待が高まるばかり。
神も悪魔も、人々の想像からうまれた存在です。時代が変われば、その在り方も変わるもの。本作の物語は、ソーシャル社会を舞台に描かれる新時代の神話といえるかもしれません。
あなたの手のひらでいきいき蠢く悪魔たち
悪魔のモデリング、端的に申し上げて最高です。しかもめちゃめちゃヌルヌル動きます。マーラ様もヌルッヌル。
サイバーかっこいいインターフェースも相まって、本物の悪魔召喚プログラムを操作している気になってきます。
もちろん交渉システムも搭載。本作の会話はランダムで発生するため、「失敗できない」というヒリヒリした緊張感も魅力。気まぐれな悪魔たちと過ごすリアルな時間を楽しんでください。
さらに、フェイバリットな悪魔をとことん強化できるのもうれしい。スキルを継承できるのはもちろんのこと、本作にはアーキタイプと呼ばれるステータスが存在し、同じ悪魔でもアーキタイプによって覚えるスキルが異なってくるのです。
アーキタイプの種類は5つ。主に攻撃系のスキルを覚える“荒神”、耐性が優秀な“防魔”、パッシブスキルでトリッキーな動きができる“異能”など、それぞれ強烈な個性になりえます。
そして、このアーキタイプこそが、本作における“合体”の価値を高めているポイント。なぜなら、召喚(ガチャ)で入手した悪魔はアーキタイプがランダムで付与されるのに対して、合体で作成した悪魔は任意のアーキタイプを継承することが可能だから。お気に入りの悪魔と最高の形で出会うために、手持ちの素材や合体表とにらめっこする楽しさは健在です。
また、どんな悪魔でも☆6まで育成可能なのもうれしい。さすがに元が☆1と☆5の悪魔を比較するとステータスに差が出ますが、攻撃スキルや耐性を継承することで、充分運用に足るレベルまで育ちます。
出だしで述べたように、強大な力を得るまでには相応の時間がかかります。でもだからこそ、あなた自身のスマホの中で、手塩にかけた相棒がいきいきと蠢く様子は、いくら眺めても飽きない光景になるはずですよ。
この難易度こそが『真・女神転生』だ
もちろん本作は、難易度まで『真・女神転生』。エンドコンテンツはまさに修羅の難しさ。手に汗握る戦いが楽しめます。
たとえばアウラゲートと呼ばれる3Dダンジョン。
あ、そうそう。言い忘れましたが、本作には3Dダンジョンも存在するのです。おなじみのダークゾーンに頭を悩ませたり、他のプレイヤーのパーティーで戦うイベントが発生したりと、ギミックも多彩。スマホ向けに最適化されながらも、存分に『メガテン』らしさを味わうことができるようになっています。
さらに、2018年3月28日の大型アップデートにて、他のプレイヤーが編成したパーティーと対戦できるデュエル機能も正式に実装されました。
通常のバトルでさえ息つく暇がないプレスターンバトルなのに、それを他のプレイヤーが手塩にかけた悪魔と戦えるとなれば、どれほどのスリルが楽しめるのか……。シリーズ経験者なら想像に難くないでしょう。
力を求めた末に英雄となるのか、はたまた魔人に堕ちるのか。いずれにせよ、いつか伝説級の存在となったあなたを満足させるだけの戦場が、無数に用意されているのです。
さて、『D×2 真・女神転生 リベレーション』の魅力を総括するならば、まさにスマートフォンアプリであることそれ自体といえるでしょう。現実の日常とゲーム内の生活が密にリンクして、憧れだった悪魔使いの気分を存分に味わうことができる。本作のプレイヤーにのみ与えられた特権です。
熱中しすぎて、悪魔に肉体を乗っ取られぬようにお気をつけて……。